冷静と情熱の効果
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定妄想を拗らせた結果達です。
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暗い部屋で蝋燭の明かりが二つの影を揺らめかす。
「あっ!あぁ!」
豪奢な調度品に囲まれた部屋で、肉がぶつかる度に女が高い声を上げる。
随分と派手な声だ。
女の上から今まさにその声をあげさせた張本人である荀攸はそう思いながら、女の中に埋め込んだ己の分身を動かした。
徐州侵攻が終わり、許昌に無事に帰還を果たして数日。
荀攸は珍しくこの夜に女を買いに屋敷を出た。
少し出かけてくるとだけ言い置いて、随分と久しぶりに足を運んだ色街で、とりあえず安全そうな見世の目についた女を買って抱いている。
結い上げた髪を敷き布に散らして喘ぐ女は、見世でも高く売られている女であるらしい。
洗練された所作と品のある物言いをする女が己の下で快楽におぼれる様は男の支配欲を大いに満たしてくれるのだろう。
荀攸がこの女を選んだ理由は、たまたま目についたからというだけである。
別にこの女に対して特別に情欲を掻き立てられたというわけではない。
余計な手間がかからない女を探した時、たまたまこの女が目に入ったというだけだ。
色が白い女である。
華奢とは言い難いが、そのおかげで胸元は随分と豊かだ。
ふるふると小刻みに揺れる白い胸は荀攸が無造作に握っても随分と余る。
腰に少しだけ肉がついているあたり、外見年齢より実年齢が高いのかもしれない。
女を抱いているのだと実感が得られるので、抱く相手としては妥当であると荀攸は緩やかに腰を動かしながら冷静に分析をする。
難点は派手な嬌声だ。
先ほどから大袈裟な嬌声が耳について、荀攸は幾分かそこにはうんざりしていた。
いや、女も仕事だ。
そうでなくとも派手に反応をして見せなければならないのだろう。
そう思い直して、荀攸は律動を早める。
「あっ、あんっ!凄い!」
嬌声混じりに称賛をする女が、にゅるりと荀攸に白い腕を伸ばす。
女が荀攸の首に遠慮無く腕を巻きつける。
随分と無遠慮な女だと荀攸は下半身の熱とは別に冷静に考えた。
このまま攻め立てる事はできるだろう。
久しぶりの女であるし、終わるまで長くはかからない事はよく分かっている。
行為を楽しむ気など無いのだから、さっさと終わるべく動く事は可能だ。
素人の女を相手にしているわけでもなければ、生娘が相手というわけでもなく、相手は商売女であるし、埋め込んでいる己を馴染ませて少しでも良くしてやろうという気遣いをしなくて良いというのが商売女の良い所でもある。
荀攸の首に白い腕を巻きつけて何やら強請る仕草を見せる女とて、早く荀攸の相手を終えて次の相手を見つけねばならないのだから、いっそのこと早くこの行為を終わらせるのが互いにとっての最善だといっても過言ではないだろう。
だが荀攸は大きく動く事はしなかった。
今、大きく動けばおそらく、この女は容赦無く荀攸の背中に長い爪を立てるだろう。
行為に入る前に、背中に爪を立てない様に伝えておけば良かった。
荀攸の背中に女の爪の痕を、万が一にでも千代に発見されたら、何を言われるか分かったものではない。
今まで思考からあえて追い出していた己の付き人が唐突に思考に浮かんで荀攸は苦り切って動きを止める。
下で喘いでいた女が、突然に止まった動きに訝しげな顔をした。
額に僅かに浮いている汗を荀攸は指先で拭う。
はたかれた白粉が荀攸の日焼けした節のある指につく。
綺麗に化粧をしているが、汗ばんだ肌は幾分か荒れていた。
化粧のせいか、荒れた生活をしているせいか。
千代は薄汚れていても、もっと柔らかく滑らかな肌をしていたと無意識に比べる荀攸は柄にも無く小さく舌を鳴らした。
うっとりとした・・・おそらくは演技であろう・・・視線を向ける女から荀攸は己を引き抜く。
首に絡まる白い女の腕を外し、無言で女をうつ伏せにして尻を高く上げさせるために腰を引き上げる。
馴れているらしい女は、荀攸に向かって嫣然と微笑む。
毒々しいまでの赤い色の唇は、千代とは違いぽってりとしていた。
一瞬、このまま今回は終わろうか、と荀攸は考える。
どうにもこの女に対しての欲望が減退しはじめていたせいだ。
派手な嬌声も、肉付きの良すぎる体も、無遠慮な行動も、何もかもが荀攸の欲望を萎えさせるような気がしてきた。
精神的には完全に萎えているにも関わらず、肉体の方が反映されないのは、やはりそれなりに溜まっている欲があったせいだろう。
もっとも、肉体の問題は一人でどうとでも出来るのだが・・・・問題は、何を頭に描くかである。
先ほどから荀攸の思考に浮かぶ年若い付き人を頭の中でとはいえ相手にするのは、荀攸にとって面白い事ではない。
あの白い滑らかな肌を余すことなく撫で、首筋に舌を這わせたらどうするだろう?
頬を撫でた時のようにくすぐったがるかもしれない。
それともくすぐったさ以外の何かを感じてくれるだろうか?
あの耳障りの良い声で快楽を訴えるのだろうか?
今少し制御が甘くなっている荀攸の思考を素直に己の分身は反映する。
先ほどよりも硬さと質量が増したソレに女が尻を擦り付けてくる。
「ねぇ、早くしてよ。」
潤んだ声で女が言う。
催促されて荀攸は無遠慮に女を背後から貫いた。
一際高い耳障りな嬌声があがる。
構う事無く荀攸は大きく女から出入りを始めた。
きっと千代が相手であったらこんな手荒な真似はしないのだろう。
だが、このように激しく交われば、あの娘はどのような反応をするのだろうか。
思考から千代を追い出す事を諦めた荀攸は、遠慮無く頭に己の付き人を描いた。
無理やり追い出そうとすればするほどに荀攸の思考に勝手に入り込むのが千代という娘である。
ならばお望み通りに穢してやろうと荀攸は決めた。
冷静な判断ではない事は百も承知だ。
きっと後で自己嫌悪と罪悪感に苛まれるのだろう。
それでも、今は体の熱を吐き出す事の方が最優先で解決する案件だ。
背後から貫かれて髪を振り乱す女が千代であったならば、きっとその項に唇をつけて強く吸うだろう。
あの白く細い項に鬱血した所有の証をつけてやりたい。
荀攸は女の腰をしっかり支える。
女は逃げるような事は無いが、千代であれば逃げてしまうかもしれないと思ったのだ。
早くなる鼓動と呼吸を感じつつ、荀攸は結合部に視線を落とす。
俺は、あの穢れの無さそうな若い娘にコレを埋め込みたい。
男を知らないであろう耳年増なところのある小柄な少女に自身の欲望を埋め込んで掻きまわしてやりたいという欲求は荀攸を追い詰める。
「っ・・・くっ。」
「あっ!も、もぅ・・・あっ!あぁぁ!」
女が派手な声をあげて、白い背が震える。
ピクピクと痙攣を太ももがするが、荀攸はお構いなしに貫いた。
埋め込んだ欲望を女が収縮して刺激する。
千代もこうなるのだろうか?
あの日頃は残念なイタズラしかしないような娘が快楽に果て、その体が雄の種を絞ろうと働く瞬間を想像する。
それはとてつもなく荀攸を興奮させた。
「くっ・・・あっ!」
短く耐えるように荀攸は呻いて急いで女の中から己を引き抜いた。
引き抜いた瞬間に女の尻に白濁とした液体が飛び散る。
女から手を離せば、女がぐったりとしたように寝台にうつ伏せで横たわる。
薄暗い部屋には男と女の荒い息遣いがしばらく続いた。
幾分か呼吸を落ち着けて、荀攸は淡々と後始末に入る。
「ねぇ、貴方凄かったわ。」
気だるげな女の声を背中に受けながら後始末を終えた荀攸は脱ぎ散らかされた着物に手を伸ばす。
「また来て下さる?」
女の声に含まれた媚びた色を荀攸は無視した。
着物を羽織れば、女の甘い匂いが鼻を擽る。
このまま屋敷に帰るのは得策ではないだろう。
何処かでこの匂いを落とした方が良さそうだ。
色街で幼い頃を過ごしている千代の事だ、残り香から荀攸が何処で何をしてきたか察するに違いない。
荀攸とて立派な男なのだから、当然の事ではあるし、付き人相手にそれをどうこう言われた所で、普通は気にするような事でも無いのだろうが・・・・流石に、先ほどまで頭の中で散々に汚した手前もあるし、出来る事ならば千代には察してほしく無い出来事である。
早速に湧きあがって来た自己嫌悪に荀攸は軽く首を横に振った。
それを女は荀攸の返答と受け取ったらしく、「酷い人」とくすくすと笑う。
女の勘違いを正してやる気にもなれなくて、荀攸は身形を整えると卓の上に金を置く。
幾分かすっきりした気分で、荀攸は何事か言っている女を無視して部屋を出た。
見世は今夜は盛況らしく、あちこちから男と女が絡み合っている時特有の音が聞こえきた。
「もうお帰りで?」
「えぇ、どうも。」
「またのご来店をお待ちしておりますよ。」
愛想の良い店主が荀攸を見つけて揉み手をしながら擦り寄ってくる。
高級で売っている見世であるから、客引きがあっさりとしているのも良い所だ。
見世の丁稚奉公に見送られて荀攸は外に出た。
冬の冷たさに荀攸は首を竦める。
沸騰しそうなほどの興奮を吐き出してしまえば、残るのは一抹の虚しさと膨大な罪悪感だ。
冷えた思考回路は淡々と、己の見たくない部分を暴こうとする。
常に自己分析をする癖はこういう時に厄介だ。
はぁ、と漏らした吐息は白い。
こうなったら素直に認めるしかないのだろう、と思うと幾分か憂鬱な気持ちになった。
荀攸は千代を性的な目で見ているのだ。
そこに恋だの何だのという甘い感情を含んでいるというわけではなく、ただあの自分にだけ残念性能を遺憾無く発揮してくる年若い娘を己で満たしたいという支配欲は、どう贔屓目に見ても獣じみている。
もっとも、だからといって欲望に忠実に従う気は全く無い。
色街を足早に移動しつつ、荀攸はこの欲望を隠す事を決めた。
あの娘に手酷い事をして悲しませたいというわけではないのだ。
幸いな事に感情を隠す事には長けている。
自分の思考が明確な結論を弾き出した今、荀攸が最優先に取り組むべき事は、己に纏わりつく女の香りを消す事だ。
さっぱりと女の痕跡を消してたら千代に何か買って帰ってやろう。
甘い物を好む所は年相応に娘らしくて何となく好ましい。
やるべき事が決まれば荀攸はやっと罪悪感から抜け出せた。