このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

一次創作短編

「なんて時間まで起きてるのさ……」

少し温まった液晶から、そんな文句が感じられる。

「はぁ、文句あるに決まってるでしょ。ボクは寝る必要ないけど、キミは違うじゃないか。
それに、スマホが熱いのはキミのせいだろ。少しは休ませてあげたらどうなんだい」

仕方がないだろう。眠れないのだから。
それに、この時期は寒くて手離したくない。

……風呂に入る気力は、もう少しで沸き上がる。

「沸き上が……って、風呂だけに!とか言うつもりかい?キミは本当にジョークが好きだね」

それもそうだ。私は文系と言っても過言ではない。
小中高、図書委員を貫いてきたのだから。

「関係ないと思うなぁ。
……それで?懐かしさに浸った衝動書きかい?」

ああ。実家ではないが、少し覗き見したら、こうだ。
私はつくづく根に持ちやすい者らしい。

「なら、語り部気取りはやめてくれないかな。せめて、もはや見慣れた敬語か……極端に素を出すかのどっちかに……」

どう転んでも黒歴史に終わることだ。
別に、生んだことを後悔しているわけではないが。

「だろうね。むしろお気に入りだろ?
こうして、短い物語を書いているのが証拠だ。キミはボクを捨てられない」

全くもって、図星である。
まず、私は今までの子達を捨てたつもりは無いが。

……テセウスの船、と言われればそれまでだけども。

「あの場に戻る気はあるのかい?」

どうとも言えない。
後ろ髪を引かれてはいるが、いまいち仕事が忙しい。

それに、ここ最近の私は"変化"している。
覗く程度で済ませているのだ。劇的に変わった、と、はっきり言える。

「……ボクを使って、自分の気持ちを確かめるのか。
まぁ、頭の中で考えて、それでおしまい。なんてよりかはマシだと思うよ。

ボクはキミの思考に基づいた発言をしているけれど……考えを文章に書き起こすのは、世間も褒めてくれるんじゃないかな。」

許して欲しい。こうでもしないと、自己を否定するだけの骸に成り下がってしまう。

自問自答をして、自分を都合良く認めないと、私は私がわからなくなってしまう。

「勝手にしなよ。
せいぜい、昔言われた『図々しくなってもいい』なんて言葉に縋っていればいいさ」

懐かしい。何年前だったか忘れてしまった程に懐かしい。
今でも、ふと思い出すんだ。それ。

「ふぅん。それで?気は済んだかい?」

まぁ、ほどほどに。
たまには、痛々しい自分を大切にするのも悪くないだろう。

わざわざ付き合わせて悪かった。

「別に?怒っているとかはないよ。
ボクはね、少しでも好かれるようなキャラクターになれればいい。
そういう設定で、埋め込まれた思考回路だとしても、好かれて悪い気はしない。キミがそうなんだから、ボクもそうだ」

我ながら、いい名前を考えたと思う。
もっとも、苗字は借り物に近いが。

「"黒江 紫日兎"……なんて厨二病くさいんだ。
はは!ボク達の名前なんて、キミの趣味にしか沿えないからねぃ」

…自ら黒歴史を掘り起こしてしまった……

「バカみたい。いや、バカだったか」

せっかくだし、デザインの一変でもしようか。
あの画像を変える気はないが。

「せいぜい頑張りなよ。時間がある時にね」

それじゃあ、ひとっ風呂あびてくる。

「またいつでも呼んでくれよ。自己満足の道具になってあげるよ。黎江さん」

……虚しいな。

「また、自分で自分を攻撃したね」
2/2ページ
スキ