【本編8】Meets05 優しいバーサーカー
「ふざけるなよ! おれ達はともかく、ミチルにそんなことさせられるか!」
エリオットは怒り爆発。立ち上がってルードに怒鳴った。
「貴様、聖戦を名乗るなど正気か!?」
続けてジンも立ち上がる。細い目を珍しく開いて、ルードを威圧していた。
「チルクサンダー魔教会を倒せばベスティアが消えるのだな? ならば斬ろう!」
「脳筋は黙れっ!」
つられて奮起したジェイを、エリオットが即座に抑える。
「ミチルを誘拐した魔教会ってヤツに落とし前つけんだろ? やってやんよ!」
「脳筋其のニも黙れぃ!」
拳を叩いてやる気を見せたアニーも、ジンに引っ叩かれた。
「なんだよー、いいじゃねえか。各強国の王子に騎士、元武官が揃ってるんだぜ? 使わない手はないだろ」
ぶうぶう言いながら反論するルードに、ジンは更に怒号を飛ばした。
「身分を明かすなどもっての他だ!!」
「ええー」
残念そうに嘆息するルードだったが、考えを改める気はなさそうだった。
「ルードよ、旗頭はお前ではないのか?」
マグノリアがそう聞くと、ルードは肩を竦めながら答える。
「まあ、最初はそのつもりだったけどさ。考えてもみなよ、親父様。反乱を計画していたラーウスの民の元に、伝説のセイソン様が降臨なされたんだぜ。しかもカリシムスを五人も伴ってな。これを使わない手はない。チルチル神教の加護は我らにあり、だ。皆の士気も上がるだろう」
「む……なるほど」
「ちょ、ちょっと! セイソンとかカリシムスとかは、デマカセなんでしょ? じゃあ、オレ達が出ても意味ないじゃん!」
ミチルは必死に反論した。
このままではジャン〇ダル〇的なものにされてしまう! 失敗したら火あぶり!? そんな思考で一杯になってしまった。
「お前は話をどう聞いてたんだ? セイソンとカリシムスがデマカセかなんてのは、この際どうでもいい。少なくとも、ラーウスの地ではその存在の影響はでかい。クソ魔教会が熱心に広めてくれたおかげでな。いいか? お前が、今、この地において、一番尊い人物なのは間違いねえんだ」
「そんな……そんなの、やだよ。出来ないよ……」
ミチルは自分に降りかかった火の粉に震えた。
大衆を導いて反乱を起こせなんて、戦争も知らない非核保有国でぬくぬく育ったミチルに出来る訳がない。
「……おい、ルード」
そんなミチルを見かねて、エリオットが低い声でルードを睨む。だが当の本人は涼しい顔で笑っていた。
「条件か?」
ルードは頭の回るエリオットの何手先も読んでいるのかもしれない。余裕の態度でエリオットを促す。
エリオットは深く息を吐いて、それからキッとルークを更に睨みつけながら言った。
「おれ達に自国を背負えって言うなら、この話は降りるぜ」
「……カリシムスとしてなら、いいって言うんだな?」
ニヤと笑って聞くルードに、エリオットは一方的な要求を突きつけた。
「まずはおれ達に衣装を用意しろ。顔も体もすっぽり隠れるローブみたいなのがいい。それから頑丈で豪奢な輿だ。天井があって四方も覆えるヤツ。ミチルはそれに入って、民衆には絶対に姿を晒さない。おれ達はミチルの輿から何があっても離れない」
「なるほど……?」
「テメエらがおれ達を聖人扱いするなら、それでも充分だろ。おれ達はただ、テメエらが暴れる後ろで『加護』ってのを与えてやるよ」
エリオットがそう要求するのを聞いて、ミチルは歴史の授業を思い出した。
かつて日本にも聖戦という名の反乱があった。神の子を旗頭にした農民の反乱。だがその神の子は前戦どころか、民衆にもほとんど姿を見せなかったと言う。反乱を扇動する武士がひた隠しにしていた。一説には神の子はただの農民の少年だとも、数人でその役割を演じたとも言われている。
エリオットが描いたのは、そういう作戦なんだろうとミチルは悟った。
そして、それがミチルを危険に曝さずに反乱に参加させるための譲歩だ。
「……やれるか? ミチル」
エリオットはミチルを見た。その目はミチルを鼓舞するような光が宿っている。
どんなに嫌でも、怖くても、立ち向かわなくてはならない運命がある。
自分で戦うと決めた敵がいるはずだ。
決めろ、ここで。見せろ、おれ達に。
お前の敵 と戦う意志を。
「……わかった」
ミチルはぐっと自分の膝に力を入れて立ち上がった。
「それでいいなら、オレも反乱に参加する」
決意を帯びた横顔は、イケメン達を奮い立たせるには充分だった。
「よかろう、シウレンがそう決めたなら」
ジンは満足げに笑う。
「ミチル、必ず私が守る」
ジェイも改めて誓いを口にする。
「絶対、落とし前つけてやろうぜ」
アニーも力強く頷いた。
「ミチル……すごいです」
そしてルークも、そんなミチルの姿を眩しそうに見つめていた。
「よぉーし! 交渉成立だな!」
ルードは手を打ちながら弾んだ声を出す。
「そうと決まれば、イロイロ調達しねえとなんねえ。俺様はアジトに帰って準備を整えてくる」
「うむ。よろしく頼むぞ」
何故かどっしり構えるマグノリアに、ルードはニヤッと笑った。
「親父様にも用意して欲しいモンがある」
「なんだ?」
「セイソン様のお召し物……さ」
そう言うと、父と長男はだいぶワルイ笑みを浮かべた。
「なるほど、アレか……」
「そう、アレだ」
ヒッヒッヒ、と笑い合う親子の怪しさにミチルはちょっと嫌な予感がした。
何を着させるつもりなんだ?
パーカーじゃダメなの?
これがオレの戦闘服なんだけど!
数日後、ミチルの〇〇姿に五人のイケメンは悶絶の果てに出血多量 で失神の危機に陥ることになる……
エリオットは怒り爆発。立ち上がってルードに怒鳴った。
「貴様、聖戦を名乗るなど正気か!?」
続けてジンも立ち上がる。細い目を珍しく開いて、ルードを威圧していた。
「チルクサンダー魔教会を倒せばベスティアが消えるのだな? ならば斬ろう!」
「脳筋は黙れっ!」
つられて奮起したジェイを、エリオットが即座に抑える。
「ミチルを誘拐した魔教会ってヤツに落とし前つけんだろ? やってやんよ!」
「脳筋其のニも黙れぃ!」
拳を叩いてやる気を見せたアニーも、ジンに引っ叩かれた。
「なんだよー、いいじゃねえか。各強国の王子に騎士、元武官が揃ってるんだぜ? 使わない手はないだろ」
ぶうぶう言いながら反論するルードに、ジンは更に怒号を飛ばした。
「身分を明かすなどもっての他だ!!」
「ええー」
残念そうに嘆息するルードだったが、考えを改める気はなさそうだった。
「ルードよ、旗頭はお前ではないのか?」
マグノリアがそう聞くと、ルードは肩を竦めながら答える。
「まあ、最初はそのつもりだったけどさ。考えてもみなよ、親父様。反乱を計画していたラーウスの民の元に、伝説のセイソン様が降臨なされたんだぜ。しかもカリシムスを五人も伴ってな。これを使わない手はない。チルチル神教の加護は我らにあり、だ。皆の士気も上がるだろう」
「む……なるほど」
「ちょ、ちょっと! セイソンとかカリシムスとかは、デマカセなんでしょ? じゃあ、オレ達が出ても意味ないじゃん!」
ミチルは必死に反論した。
このままではジャン〇ダル〇的なものにされてしまう! 失敗したら火あぶり!? そんな思考で一杯になってしまった。
「お前は話をどう聞いてたんだ? セイソンとカリシムスがデマカセかなんてのは、この際どうでもいい。少なくとも、ラーウスの地ではその存在の影響はでかい。クソ魔教会が熱心に広めてくれたおかげでな。いいか? お前が、今、この地において、一番尊い人物なのは間違いねえんだ」
「そんな……そんなの、やだよ。出来ないよ……」
ミチルは自分に降りかかった火の粉に震えた。
大衆を導いて反乱を起こせなんて、戦争も知らない非核保有国でぬくぬく育ったミチルに出来る訳がない。
「……おい、ルード」
そんなミチルを見かねて、エリオットが低い声でルードを睨む。だが当の本人は涼しい顔で笑っていた。
「条件か?」
ルードは頭の回るエリオットの何手先も読んでいるのかもしれない。余裕の態度でエリオットを促す。
エリオットは深く息を吐いて、それからキッとルークを更に睨みつけながら言った。
「おれ達に自国を背負えって言うなら、この話は降りるぜ」
「……カリシムスとしてなら、いいって言うんだな?」
ニヤと笑って聞くルードに、エリオットは一方的な要求を突きつけた。
「まずはおれ達に衣装を用意しろ。顔も体もすっぽり隠れるローブみたいなのがいい。それから頑丈で豪奢な輿だ。天井があって四方も覆えるヤツ。ミチルはそれに入って、民衆には絶対に姿を晒さない。おれ達はミチルの輿から何があっても離れない」
「なるほど……?」
「テメエらがおれ達を聖人扱いするなら、それでも充分だろ。おれ達はただ、テメエらが暴れる後ろで『加護』ってのを与えてやるよ」
エリオットがそう要求するのを聞いて、ミチルは歴史の授業を思い出した。
かつて日本にも聖戦という名の反乱があった。神の子を旗頭にした農民の反乱。だがその神の子は前戦どころか、民衆にもほとんど姿を見せなかったと言う。反乱を扇動する武士がひた隠しにしていた。一説には神の子はただの農民の少年だとも、数人でその役割を演じたとも言われている。
エリオットが描いたのは、そういう作戦なんだろうとミチルは悟った。
そして、それがミチルを危険に曝さずに反乱に参加させるための譲歩だ。
「……やれるか? ミチル」
エリオットはミチルを見た。その目はミチルを鼓舞するような光が宿っている。
どんなに嫌でも、怖くても、立ち向かわなくてはならない運命がある。
自分で戦うと決めた敵がいるはずだ。
決めろ、ここで。見せろ、おれ達に。
「……わかった」
ミチルはぐっと自分の膝に力を入れて立ち上がった。
「それでいいなら、オレも反乱に参加する」
決意を帯びた横顔は、イケメン達を奮い立たせるには充分だった。
「よかろう、シウレンがそう決めたなら」
ジンは満足げに笑う。
「ミチル、必ず私が守る」
ジェイも改めて誓いを口にする。
「絶対、落とし前つけてやろうぜ」
アニーも力強く頷いた。
「ミチル……すごいです」
そしてルークも、そんなミチルの姿を眩しそうに見つめていた。
「よぉーし! 交渉成立だな!」
ルードは手を打ちながら弾んだ声を出す。
「そうと決まれば、イロイロ調達しねえとなんねえ。俺様はアジトに帰って準備を整えてくる」
「うむ。よろしく頼むぞ」
何故かどっしり構えるマグノリアに、ルードはニヤッと笑った。
「親父様にも用意して欲しいモンがある」
「なんだ?」
「セイソン様のお召し物……さ」
そう言うと、父と長男はだいぶワルイ笑みを浮かべた。
「なるほど、アレか……」
「そう、アレだ」
ヒッヒッヒ、と笑い合う親子の怪しさにミチルはちょっと嫌な予感がした。
何を着させるつもりなんだ?
パーカーじゃダメなの?
これがオレの戦闘服なんだけど!
数日後、ミチルの〇〇姿に五人のイケメンは悶絶の果てに