05 おてて繋いで散歩しよ

【ファストフード店が出てくるので、多分、現代地球設定です】

 手を繋いで歩く。
 お互いの体温を感じながら、心まで繋がれる気がする。

「ねえ、ルーク。今日はどこ行く?」

 目的を決めずに家を出て、手を繋いで会話をしながら今日の過ごし方を決める。
 それが最近のミチルのお気に入り、スローライフというやつである。

「今日、とてもいい天気。公園行くの、どう?」

 隣を歩くルークはちゃんと提案してくれる。
 それが二人の未来をしっかり考えてくれているようで、ミチルの顔は嬉しさに綻んだ。

「いいねえ、それなら日向ぼっこでランチ食べたいなあ」

 提案を出してもらったら、次の提案は自分が出す。それがミチルとルークの対等でいるためのルール。
 二人の希望は二人で叶える。それが、ミチルとルークが一緒にいるための約束(ルール)である。

「それじゃあ、途中でお弁当、買お」

「うん。ああ! モックみっけ!」

 ハンバーガーのファストフード店を見つけたミチルは、ルークの手を引いて店に入った。



「ルーク、見て見て! カップルセット〜恋占いアイテム付、だって!」

 それは、お子様セット(おもちゃ付)の大人バージョンのようなセットだった。
 ミーハーなミチルは目を輝かせて即決する。

「ねねね、これがいい。これでもいい?」

 そんなにキラキラと瞳を輝かせていれば、ルークに断る理由は見当たらない。

「もちろん」

「ワーイ!」

 こうして二人はダブルなチーズバーガーと照り焼き的なハンバーガー、フライドポテトのLサイズ、シェイク二つのセットを買った。それからおまけの占いアイテムはピンクの紙箱に入っている。

「むっふふ、占いの結果は公園で食べてから開けようねえ」

「楽しみ、だね」

 誰がどう見ても、本日来店した中では群を抜いてラブラブバカップルな二人は、再び手を繋いでハンバーガーの袋を下げて、シェイクが溶けないように少し急ぎ足で公園に向かった。



「あー、美味しかったあ」

 フライドポテトをシェアして食べる幸せったら、この陽だまりのように暖かい。
 そして火照った心を甘くて冷たいバニラシェイクが潤してくれる。
 ミチルとルークの本日の散歩は大成功の予感がしていた。

「あとはあ……」

 おまけで付いてきたピンクの紙箱。ここに恋占いとアイテムが入っている。
 ミチルはワクワクソワソワで開封口に指をかけた。

「何が出る、かな?」

 隣に座るルークは黙ってミチルの手元を見ながら微笑んでいる。
 ミチルは幸せな視線に背中を押されて、紙箱を開けた。

 『二人の相性はらぶらぶ100%です!!』
 ハート型のメッセージカードが祝福するように、可愛らしい文字を踊らせていた。

「ヤッター!」

「良かったぁ」

 ミチル大喜び、ルークは小さく拍手。
 これは商品(・・)なので全部100%ってどうせ書いてあるよね、とかは野暮。

「へへへえ、アイテムも期待出来るんじゃなーい?」

 ミチルはいそいそと紙箱を探って、チープな感触のおもちゃを取り出した。
 赤いビーズで作られたブレスレットが二つ。何故か赤いリボンで繋げられている。

「これは……」

 ルークは目を丸くしてそれを見る。そのメッセージ性を考えると、ちょっとアレっぽい。

「なんで繋がってんの?」

「ミチル、きっとこれ、赤い糸のつもり」

「おお……なるほど」

 ルークの思考は良い子でロマンティック。
 しかし、その瞳には少し悪戯っぽい光が宿った。


 
「ミチル、ちょっと付けてみない?」

「うーん、オレ達がつけるには可愛い過ぎない?」

 ビーズ造りのブレスレットはちょっと少女趣味で、ミチルは少し躊躇う。
 しかしルークの悪戯心はすでに膨らんでしまっていた。

「平気。ピッタリくっついて、手を繋げばあんまり見えない」

「そ、そうかなあ……?」

「ミチル、お願い……♡」

「うっ!」

 クウン、と鳴く声が空耳で、しっぽがパタパタ揺れてる気がする。
 ルークの最強ワンワン甘えである!
 当然、ミチルはこれに逆らえない!!

「……見えないようにくっついて帰ろうね」

「わん♡」

 ブレスレットを右手と左手にはめる。
 それからルークはきゅっと指を絡ませた。そう、恋人繋ぎである。

「これでミチルと、赤い糸で繋がったね」

「にゃあん♡」

 改めて言われると照れちゃう。
 二人の手は絡めた指と、赤いリボンで強固に繋がれた。



 繋がる赤い……らぶらぶ100%♡
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