ミチルの章 新しいオレの存在証明
ミチルは新しい転移術「イケメンにお鼻をあむあむされたらムズムズして転移しちゃうよ」の術を使えるようになった!(※長くて意味深なので以降は『ムズムズ転移』と呼びます)
だが、これは一方通行の術である。鼻をあむあむしてくれたイケメンの故郷に行けるのはいいが、どうやってペルスピコーズに帰って来るのか? その問題は依然残されていた。
「ふうむ……」
ついさっきまで、ムズムズ転移にくっついて行ったり、ミチルとイケメン達の♡行為に押しつぶされたりしていた法皇エーデルワイス。
それとは打って変わって、神妙な面持ちで杖で床をカツンカツン鳴らして思考に耽る。
この場には床で正座中のミチルとイケメン達がいるが、彼らは何か考えているようで何も考えていない。皆が皆、エーデルワイスが何か思いつくだろうとボケーっと待っているだけなのである。
「つまり、ミチルが帰りの転移も出来なくてはならぬ……」
エーデルワイスは思考を巡らせながら、執務室をウロウロしていた。
「ムズムズ転移は優秀だが、目印であるカリシムスがいてこそ……」
エーデルワイスはウンウン唸りながら、執務室をぐるぐると徘徊。
「ペルスピコーズに縁のある者があむあむしたらどうだ……? いや、カリシムスと同等の目印を持つ者など存在しない」
ちょっと雲行きがあやしくなってきた。
六人のイケメン以外の第三者を出そうとしている。それはミチルの浮気になるのでは……!?
「お話は全て聞かせてもらいましたよー!!」
突然、バッターンと扉を開けた者がいる。
こんなにうるさく法皇の執務室を開ける不届きな者はミチルかイケメン達かと思われていた。
しかし、まだいたのだ。とびきりのフトドキ者が。
「ミ、ミモザくん!」
振り返ったミチルは、白い法衣服を着てピンクの髪を揺らす小さな姿を見つける。
「お兄さまぁ〜ん! はあい、僕です、キャワイイ♡ミモザくんでえす!」
十歳の法皇見習い少年・ミモザは、特徴的なお尻ぷりぷりの動きでミチルに擦り寄った。
コドモだからと油断してはならない。彼は攻め希望少年なのである。
「うふふ、お兄さまったら、今日もオトコの匂いプンプンさせちゃってえ。僕を煽ってるのお?」
「ひえええっ!」
下手に触ったらタイホ案件なのはミチルの方である。乱暴に突き飛ばしても同様。
ミチルはオコサマ相手に抵抗できる術を持たない。だからミモザに会うと好きにされ放題である。
「ちょいちょいちょーい! そんなトコ触っちゃダメえ!」
「ふっふふう! 嫌なら抵抗してみせてよお♡ ほんとはスキなんでしょお?」
強気の攻め希望見習い法皇少年(←長い)は、今の所無敵である!
ギム教育は最大の鉄壁!
ずもももお……ん
背後に暗黒の気配。ミチルのイケメン達の嫉妬で漆黒の炎がどんよりどよどよと燃え盛っている。
それから更に。
「ミモザァアア! 修行はどうしたぁ、また逃げ出したのだなァアア!?」
バリバリゴッシャーン!
特大雷が落ちた。
イケメン達はちょっとほくそ笑む。
彼らもミチル同様、ミモザには手を出せない。
法皇候補の秘蔵っ子に何かする事は許されていないのだ。
つまり、ミチルとはまた別の意味でミモザに教会内で敵はない。だからやりたい放題。
そしてエーデルワイスの雷が落ちる。ほぼミチルと同じ仕様である。
「まま、おじいさま。お叱りは後で受けます。今はお兄さまの転移問題でしょ?」
「まったく、お前はほんとにはしっこい。下がりなさい、お前の出る幕ではない」
エーデルワイスはミモザを軽くあしらって追い出そうとした。
だが、ミモザは持ち前のしつこさで堂々とこの場に居座るつもりだ。
「いいえ、おじいさま! お兄さまのムズムズ転移における帰路を確立させるために、ペルスピコーズから人材が必要なんでしょ!?」
キリリと眉を引き締めて、まともな口調で述べたものの、ミモザの言葉は法皇に「ばかな」と一蹴された。
「そのような事は不可能だ。仮に、ワタシの部下の誰かがミチルに手を出してみろ。灰も残らん」
曽祖父の冷ややかな物言いに、ミチルはゾゾっと凍りついた。
だが、ふと近くを見るとそれよりもさらに絶対零度の風が六つ吹いている。
「灰……? なまぬりぃ事言ってんじゃねえぞ」
「即。滅」
「いやもう、そんな可能性があるなら、いっそ今潰さない?」
「私の剣のサビにしてやろう」
「……壊滅もやむなし」
「頸動脈、噛みちぎります」
ゾゾー! っとミチルは慄いた。
そんな事は万が一にもミチル側にはないけれど、一歩間違えれば大量虐〇必至かと思うと、青ざめるどころではない。
だがコレにもめげないのがミモザである。その胆力こそが次代の法皇に相応しいとされている所以だ。
「そおぉんな事、もちろんそこらの坊主にはさせられないよぉ! 僕の蹴りで首飛ばしてやるよぉ」
恐ろしい物言いは負けていない。ミモザはにへえと笑って自分を指さした。
「だ・か・ら、ね? 僕が、ペルスピコーズ担当イケメンになればいいでしょ? てか、なるつもりだしね!」
うふうふ笑って、お尻ぷりぷり。
この場の全員がオコサマの提案に思考停止した。
は。
は。
はあぁああぁあぁあッ!?
「七人目をまた増やそうと言うのか!?」
「ふざけるな、七人目希望など、お前はあのクソ皇帝か!」
「だいたい年齢が足りてないだろ!」
イケメン達もミチルも口々に混乱しだす。
特にミチルは顔面蒼白。
嫌だ、犯罪者にはなりたくないっ!
「て事は、故郷凱旋にこのチビずっとついてくんの!?」
「ぷ、プライバシー、侵害ね!」
「マンツーマンのラブラブ♡♡♡が出来ぬではないかぁ!!」
そこに降り立つ冷静な声。
ようやくそれを取り戻した現役法皇エーデルワイス。
カッツーンッ!!
「ミモザよ。お前は法皇修行中の身。ペルスピコーズを出る事は罷りならん」
声は冷静。
だが視線が冷凍ビーム。
それに射抜かれてもミモザはけろっとしていた。
「ええー、そこを何とかぁ」
「ダメだ。法皇の機密保全のため、絶対に、許さん」
「ぶーぶー」
ミモザはわりと軽めのノリで不貞腐れていた。
こう見えて賢い子なので、今までの言動は全て「ダメ元」だったのだろう。
ただ、お祭り騒ぎには一枚噛んでおきたい。それがミチル関係なら尚更だ。
「……仕方ない」
エーデルワイスは大きくため息をついて、懐からあるものを取り出した。
「これを使う」
それは、初めて見る石。いや、宝石?
手のひらに収まる大きさ、透明だけれど虹色に輝く。
ミチルはそれを見て、なんだか懐かしい気持ちになった。
だが、これは一方通行の術である。鼻をあむあむしてくれたイケメンの故郷に行けるのはいいが、どうやってペルスピコーズに帰って来るのか? その問題は依然残されていた。
「ふうむ……」
ついさっきまで、ムズムズ転移にくっついて行ったり、ミチルとイケメン達の♡行為に押しつぶされたりしていた法皇エーデルワイス。
それとは打って変わって、神妙な面持ちで杖で床をカツンカツン鳴らして思考に耽る。
この場には床で正座中のミチルとイケメン達がいるが、彼らは何か考えているようで何も考えていない。皆が皆、エーデルワイスが何か思いつくだろうとボケーっと待っているだけなのである。
「つまり、ミチルが帰りの転移も出来なくてはならぬ……」
エーデルワイスは思考を巡らせながら、執務室をウロウロしていた。
「ムズムズ転移は優秀だが、目印であるカリシムスがいてこそ……」
エーデルワイスはウンウン唸りながら、執務室をぐるぐると徘徊。
「ペルスピコーズに縁のある者があむあむしたらどうだ……? いや、カリシムスと同等の目印を持つ者など存在しない」
ちょっと雲行きがあやしくなってきた。
六人のイケメン以外の第三者を出そうとしている。それはミチルの浮気になるのでは……!?
「お話は全て聞かせてもらいましたよー!!」
突然、バッターンと扉を開けた者がいる。
こんなにうるさく法皇の執務室を開ける不届きな者はミチルかイケメン達かと思われていた。
しかし、まだいたのだ。とびきりのフトドキ者が。
「ミ、ミモザくん!」
振り返ったミチルは、白い法衣服を着てピンクの髪を揺らす小さな姿を見つける。
「お兄さまぁ〜ん! はあい、僕です、キャワイイ♡ミモザくんでえす!」
十歳の法皇見習い少年・ミモザは、特徴的なお尻ぷりぷりの動きでミチルに擦り寄った。
コドモだからと油断してはならない。彼は攻め希望少年なのである。
「うふふ、お兄さまったら、今日もオトコの匂いプンプンさせちゃってえ。僕を煽ってるのお?」
「ひえええっ!」
下手に触ったらタイホ案件なのはミチルの方である。乱暴に突き飛ばしても同様。
ミチルはオコサマ相手に抵抗できる術を持たない。だからミモザに会うと好きにされ放題である。
「ちょいちょいちょーい! そんなトコ触っちゃダメえ!」
「ふっふふう! 嫌なら抵抗してみせてよお♡ ほんとはスキなんでしょお?」
強気の攻め希望見習い法皇少年(←長い)は、今の所無敵である!
ギム教育は最大の鉄壁!
ずもももお……ん
背後に暗黒の気配。ミチルのイケメン達の嫉妬で漆黒の炎がどんよりどよどよと燃え盛っている。
それから更に。
「ミモザァアア! 修行はどうしたぁ、また逃げ出したのだなァアア!?」
バリバリゴッシャーン!
特大雷が落ちた。
イケメン達はちょっとほくそ笑む。
彼らもミチル同様、ミモザには手を出せない。
法皇候補の秘蔵っ子に何かする事は許されていないのだ。
つまり、ミチルとはまた別の意味でミモザに教会内で敵はない。だからやりたい放題。
そしてエーデルワイスの雷が落ちる。ほぼミチルと同じ仕様である。
「まま、おじいさま。お叱りは後で受けます。今はお兄さまの転移問題でしょ?」
「まったく、お前はほんとにはしっこい。下がりなさい、お前の出る幕ではない」
エーデルワイスはミモザを軽くあしらって追い出そうとした。
だが、ミモザは持ち前のしつこさで堂々とこの場に居座るつもりだ。
「いいえ、おじいさま! お兄さまのムズムズ転移における帰路を確立させるために、ペルスピコーズから人材が必要なんでしょ!?」
キリリと眉を引き締めて、まともな口調で述べたものの、ミモザの言葉は法皇に「ばかな」と一蹴された。
「そのような事は不可能だ。仮に、ワタシの部下の誰かがミチルに手を出してみろ。灰も残らん」
曽祖父の冷ややかな物言いに、ミチルはゾゾっと凍りついた。
だが、ふと近くを見るとそれよりもさらに絶対零度の風が六つ吹いている。
「灰……? なまぬりぃ事言ってんじゃねえぞ」
「即。滅」
「いやもう、そんな可能性があるなら、いっそ今潰さない?」
「私の剣のサビにしてやろう」
「……壊滅もやむなし」
「頸動脈、噛みちぎります」
ゾゾー! っとミチルは慄いた。
そんな事は万が一にもミチル側にはないけれど、一歩間違えれば大量虐〇必至かと思うと、青ざめるどころではない。
だがコレにもめげないのがミモザである。その胆力こそが次代の法皇に相応しいとされている所以だ。
「そおぉんな事、もちろんそこらの坊主にはさせられないよぉ! 僕の蹴りで首飛ばしてやるよぉ」
恐ろしい物言いは負けていない。ミモザはにへえと笑って自分を指さした。
「だ・か・ら、ね? 僕が、ペルスピコーズ担当イケメンになればいいでしょ? てか、なるつもりだしね!」
うふうふ笑って、お尻ぷりぷり。
この場の全員がオコサマの提案に思考停止した。
は。
は。
はあぁああぁあぁあッ!?
「七人目をまた増やそうと言うのか!?」
「ふざけるな、七人目希望など、お前はあのクソ皇帝か!」
「だいたい年齢が足りてないだろ!」
イケメン達もミチルも口々に混乱しだす。
特にミチルは顔面蒼白。
嫌だ、犯罪者にはなりたくないっ!
「て事は、故郷凱旋にこのチビずっとついてくんの!?」
「ぷ、プライバシー、侵害ね!」
「マンツーマンのラブラブ♡♡♡が出来ぬではないかぁ!!」
そこに降り立つ冷静な声。
ようやくそれを取り戻した現役法皇エーデルワイス。
カッツーンッ!!
「ミモザよ。お前は法皇修行中の身。ペルスピコーズを出る事は罷りならん」
声は冷静。
だが視線が冷凍ビーム。
それに射抜かれてもミモザはけろっとしていた。
「ええー、そこを何とかぁ」
「ダメだ。法皇の機密保全のため、絶対に、許さん」
「ぶーぶー」
ミモザはわりと軽めのノリで不貞腐れていた。
こう見えて賢い子なので、今までの言動は全て「ダメ元」だったのだろう。
ただ、お祭り騒ぎには一枚噛んでおきたい。それがミチル関係なら尚更だ。
「……仕方ない」
エーデルワイスは大きくため息をついて、懐からあるものを取り出した。
「これを使う」
それは、初めて見る石。いや、宝石?
手のひらに収まる大きさ、透明だけれど虹色に輝く。
ミチルはそれを見て、なんだか懐かしい気持ちになった。