【本編11】Final Meets 舞い降りた愛、生命そそぐ絆

 朝の光が瞳にさす。
 ミチルは眩しくて目覚めた。

「んん……」

 ここはペルスピコーズ大聖堂。儀式の間だった部屋。
 ふっかふかの巨大ベッドの上でミチルは目を開ける。

 プルケリマの任は解かれた。
 カリシムスの役目もまた同じ。
 儀式の必要も無くなった。

 だが、夜を過ごすならこの部屋が相応しい。
 法皇の計らいによって、部屋は作り替えられた。

「ほわあ……」

 ミチルは六つの温もりを改めて感じてご満悦。
 イケメン達もまた、巨大ベッドの上で共にスヤスヤ眠っていた。

 ミチルの最愛達はまだ起きない。
 その寝顔に愛しさが込み上げる。

 昨夜を思い出すと照れる。
 なんて晴れ晴れとした、共寝の朝。



 ミチルは一人で起き上がって身支度し、大聖堂へと向かった。
 そこには愛する曽祖父が、朝の祈りを捧げている。

「えぇじいちゃん……?」

「ああ、ミチル。起きたのか」

 エーデルワイスはニコリと笑ってミチルに近づいた。

「体の具合はどうだ?」

「えっ」

 ミチルは急にドギマギしてしまう。
 ちょっとどういう意味で聞かれたかわからない。

「疲れはないか?」

 ていうか、キワドイ意味に聞こえてしょうがない!
 ミチルはドキドキしながら、目を軽く逸らして頷いた。

「ああ……うん、バッチリ! 全然!」

「そうか。良かった」

 やだあ、もう。
 ドキドキしたあ♡

 ミチルはエーデルワイスの前でもじもじ赤面してしまう。
 もちろん曽祖父の胸中は複雑だ。

 とりあえず、なんか、ほんのりふんわりでいこう!
 溺愛オジジとマゴの見解はこれで一致する。



 バターン……



 大聖堂の扉が開く。
 眩しい朝日が差し込んだ。
 ミチルは最愛達が起きたのだと思って胸を躍らせた。



「お兄さまっ!!」

 だが、そこにいたのは小さな子どもの影。

「ンン!?」

 見覚えのある、ピンク色のちょんちょこ髪。

「お兄さまーん! 会いたかったーん!!」

「ミ、ミモザくん!?」

 何故ここに、攻め希望ショタがいる?
 ミチルは意外過ぎて、ミモザにまんまと抱きつかれる。

「お兄さま、お兄さま、お兄さま!」

 ぐりぐりっと頭を押しつけるミモザ。
 ミチルは思わず悶絶。

「はあん! ……ってコラァ! なんでここにいるの?」

「あれえ? あれあれえ? お兄さま、匂いが変わりましたね!」

「ぷえ……っ」

「あれれえ? 別のオトコの匂いがたくさんするなあ?」

 それ以上は言及しないで!
 ミチルは大慌てでエーデルワイスの方を振り向いた。

「えぇじいちゃん、どういう事?」

「……その子は、ワタシの次の法皇候補だ」

「ハアァ!?」

 ビックリ仰天、急転直下。
 ミチルは驚き過ぎて固まってしまった。

「次代の法皇を教育せねばならぬ。だが、もう異世界転生者は現れない。そこで、この子の話が出た」

「ドコカラ!?」

「ペルスピコーズの情報網をなめるな。彼はフラーウムでベスティア耐性を顕現させたのだろう」

「んー、まあ、ベスティアを吐き出してたけどぉ……」

 ミチルはミモザがかつてベスティアの苗床にされていたのを思い出す。
 魔教会から怪しい儀式を受けてケロッとしている所を考えても、ミモザの特異性は証明できそうだった。

「諸々の事情に詳しく、経験もある。何より珍しい桃色の髪が素養がある事を物語っている」

「そ、そうなの!?」

 確かにそんな話もあった。
 ミチルはまだ信じられずにいたが、ミモザは嬉しそうに笑っていた。

「うへへえ、僕、ここで立派な法皇になるからね! それでえ、二十歳になったらお兄さまを法皇のお嫁さん♡にするんだあ」

「ぴえええっ!?」

 諦めてなかった、攻め希望少年。
 ミチルは成長したミモザの姿が、何故か鮮明に思い描かれて身震いする。

「……ふう。そんな夢物語はいい。しっかり修行しなさい」

「はあい、おじいさま♡」

「法皇さまと呼べっ!!」

 すでにエーデルワイスもミモザにペースを乱されていた。
 ミモザはやはり「特別な子ども」なのかもしれない。



「……ふふっ」

 ミチルは笑いが込み上げた。
 なんか、なんだか、楽しくなりそう。

 オレのイケメンうほうほ生活、とっても楽しくなりそう!
 ミチルの心は晴れ晴れとしていた。



 ギイィ……



 再び扉が開く音がする。
 ミチルは今度こそと、嬉しさとともに駆け出した。



「ジェイ!」

「ミチル、おはよう」

 大好きだよ、ぽんこつナイト。



「アニー!」

「ミチルゥ、朝から可愛いね!」

 ずっと一緒にいてね、ホスト系アサシン。



「エリオット!」

「ミチルー、先に起きてんじゃねえよ」

 いっぱい笑おう、小悪魔プリンス。



「ジン先生!」

「シウレンよ、×××の調子はどうだ?」

 イロイロ教えて、毒舌師範。



「ルーク!」

「ああ、ミチル。安心しました」

 いつも側にいるよ、優しいバーサーカー。



「チルクサンダー!」

「うむ。良い顔をしているな、ミチル」

 もう一人じゃないからね、孤独なヴィラン。





 みんな、大切。
 みんなが、オレの最愛。



 オレのイケメン。
 愛してる。










 異世界転移なんてしたくないのにくしゃみが止まらないっ! 終
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