【本編11】Final Meets 舞い降りた愛、生命そそぐ絆
テン・イーは消えた。
この世界に彼の存在意義は果たしてあったのか。それは誰にもわからない。
彼の「執念」は確かにそこにあり、それを「認知」した者はいる。
しかし、それだけで彼が満足したかもわからなかった。
世界は、運命を弄ぶくせに何も教えてくれない。
ミチルは跡形もなくなった、「彼がいた」空間を見続けていた。
「見事でした。ミチル・プルケリマ」
まだいたんかい、と突っ込まずにいられない。
都合の良い感じで声をかけてきた円環のヘビ。その二匹に向かってミチルは少し悪態をつく。
「……いたんならアイツに説明してやったら良かったのに」
どうせカミサマの遣いなんだろ、お前ら。
だったら消えゆく妄執の影に、引導を渡してやれば良かったのに。お土産付きで。
ミチルはそんな気持ちをこめたが、円環のヘビは二匹とも無表情で言うだけ。
「世界の理、カミの御意志」
「私達にその代弁は出来ません」
「あっそ、使えないヘビだな」
カミサマの遣いに何という口を。
だがミチルもヘビ達もそこは気にしていなかった。
それからヘビ達はまた淡々とものすごい事を言う。
「カミの代弁者」
「それはミチル」
「……は?」
青白く光るヘビ二匹は、相変わらず分担した台詞を喋り続けた。
「カミは地下から出られない」
「ミチルが地上でカミに代わるのです」
「ええ! イヤなんだけど!!」
プルケリマだって渋々やってるんだ、カミサマなんてやりたくない。
ていうか、そんなに簡単にやれるもんなの、カミサマって?
「大丈夫」
「難しいことはありません」
円環のヘビはそれまで閉じていた目を薄く開けた。
「地上はすでにカミの手を離れている」
「地上はすでにヒトのもの」
「プルケリマの役目は終わった」
「カリシムスの役目も終わった」
「世界は変わる」
「ヒトが変える」
「……つまり?」
ミチルにはヘビ達が何を言っているのか、何を言いたいのかさっぱりわからなかった。
円環のヘビは再び目を閉じて静かに結んだ。
「これからは、ヒトが世界を作るのです」
「ヒトが世界を動かすのです」
「あったりまえでしょうが! カミサマが何もしないなら、オレ達がやるしかないでしょうが!」
それは、地球育ちのミチルなら当然の考え方かもしれない。
だが、イケメン達はまだピンと来ていなかった。
エーデルワイスも戸惑いながら立ち尽くしている。
「世界の……理が、変わると言うのですか」
法皇の問いに、円環のヘビは優しく言い聞かせるように言った。
「法皇よ、新しい在り方を探しなさい」
「ヒトの世界を、ヒトビトが作っていくのです」
エーデルワイスは目を閉じる。
その顔には安堵があった。
これからは、運命に翻弄されずに済む。
自分のように、転生してくる存在は現れない。
ミチルのように、召喚される存在も現れない。
──テン・イーのように、運命に弄ばれる者も現れない。
「御意……」
エーデルワイスは膝を折って祈る。
カミがいる地 下 に向かって。
「はて。何故、カミは地下におわすのか?」
その疑問に、ヘビは答えなかった。
「カミは自ら悔いている」
「カミは自ら地下へ赴いた」
「それは、今のヒトビトには関わりのないこと」
「それはまた、別の話」
意味深な台詞を残して円環のヘビは消えゆこうとしている。
ミチルはどうしても一言文句が言いたかった。
「おおい! 帰るならカミサマに言っとけ!」
薄れゆく二つの環に向かって。
「いつか絶対に謝りに来いっ!!」
閉じた目を最後にもう一度だけ開けて。
カミの御使は微笑んだ。
「そうですね……」
「いつか、また……」
ミチル、貴方はカミの手がかり……
その架け橋に……
ヘビ達が最後に紡いだ言葉は、よく聞こえなかった。
「終わった……のか?」
平素に戻った空を見上げて、イケメン達はそう呟いた。
「終わったのではない。始まったのだ、新しい世が。ベスティアも次第に出現しなくなるだろう」
法皇エーデルワイスは、決意とともにそう答えた。
「……うん!」
ミチルはなんだか胸に希望が広がって、ワクワクすらしていた。
心は晴れ晴れだ!
「アーテル皇帝はしばらく目覚めないだろう。今のうちに強制送還する」
エーデルワイスが部下の僧侶を呼び、シャントリエリの眠る体を丁重に運んでいく。
帝国軍は隊列を組んで、皇帝を運びながら自国への長い旅を始めようとしていた。
最期に「命」を託したテン・イーの願い通り、皇帝が目覚める事はあるのだろうか。
今は、ただ安らかに彼は眠り続ける。
その姿を見送りながら、ミチルはエーデルワイスに問うた。
「えぇじいちゃん、これからどうすんの?」
「そうだな。やる事は山積みだが……」
曽祖父は杖を翻して曽孫に誓う。
「お前が幸せに暮らせるようなカエルラ=プルーマを作っていこう」
「……うんっ!」
ああ、本当に。
心は晴れ晴れだ。
「我々は、今後はどうすればいいのだ?」
「そんなん、オメー決まってんだろ」
「シウレンのいる場所が儂のいる場所だ」
「ミチル、ずっと一緒……!」
「ええー♡ ラブラブ新婚生活始まっちゃう!?」
口々に言うイケメン達の薬指には、誓いの環 が嵌められている。
「これが……我とミチルの新たな絆」
チルクサンダーは指に光る環を見て笑った。
イケメン達も、ミチルとの♡♡♡を想像してニヤニヤが止まらない。
「……ほえっ」
そしてミチルも。
イケメン全員との絆を感じて、今後の生活に照れる。
「やだあ♡ いやーん♡」
ミチル。
オレ達の伴侶 !
この世界に彼の存在意義は果たしてあったのか。それは誰にもわからない。
彼の「執念」は確かにそこにあり、それを「認知」した者はいる。
しかし、それだけで彼が満足したかもわからなかった。
世界は、運命を弄ぶくせに何も教えてくれない。
ミチルは跡形もなくなった、「彼がいた」空間を見続けていた。
「見事でした。ミチル・プルケリマ」
まだいたんかい、と突っ込まずにいられない。
都合の良い感じで声をかけてきた円環のヘビ。その二匹に向かってミチルは少し悪態をつく。
「……いたんならアイツに説明してやったら良かったのに」
どうせカミサマの遣いなんだろ、お前ら。
だったら消えゆく妄執の影に、引導を渡してやれば良かったのに。お土産付きで。
ミチルはそんな気持ちをこめたが、円環のヘビは二匹とも無表情で言うだけ。
「世界の理、カミの御意志」
「私達にその代弁は出来ません」
「あっそ、使えないヘビだな」
カミサマの遣いに何という口を。
だがミチルもヘビ達もそこは気にしていなかった。
それからヘビ達はまた淡々とものすごい事を言う。
「カミの代弁者」
「それはミチル」
「……は?」
青白く光るヘビ二匹は、相変わらず分担した台詞を喋り続けた。
「カミは地下から出られない」
「ミチルが地上でカミに代わるのです」
「ええ! イヤなんだけど!!」
プルケリマだって渋々やってるんだ、カミサマなんてやりたくない。
ていうか、そんなに簡単にやれるもんなの、カミサマって?
「大丈夫」
「難しいことはありません」
円環のヘビはそれまで閉じていた目を薄く開けた。
「地上はすでにカミの手を離れている」
「地上はすでにヒトのもの」
「プルケリマの役目は終わった」
「カリシムスの役目も終わった」
「世界は変わる」
「ヒトが変える」
「……つまり?」
ミチルにはヘビ達が何を言っているのか、何を言いたいのかさっぱりわからなかった。
円環のヘビは再び目を閉じて静かに結んだ。
「これからは、ヒトが世界を作るのです」
「ヒトが世界を動かすのです」
「あったりまえでしょうが! カミサマが何もしないなら、オレ達がやるしかないでしょうが!」
それは、地球育ちのミチルなら当然の考え方かもしれない。
だが、イケメン達はまだピンと来ていなかった。
エーデルワイスも戸惑いながら立ち尽くしている。
「世界の……理が、変わると言うのですか」
法皇の問いに、円環のヘビは優しく言い聞かせるように言った。
「法皇よ、新しい在り方を探しなさい」
「ヒトの世界を、ヒトビトが作っていくのです」
エーデルワイスは目を閉じる。
その顔には安堵があった。
これからは、運命に翻弄されずに済む。
自分のように、転生してくる存在は現れない。
ミチルのように、召喚される存在も現れない。
──テン・イーのように、運命に弄ばれる者も現れない。
「御意……」
エーデルワイスは膝を折って祈る。
カミがいる
「はて。何故、カミは地下におわすのか?」
その疑問に、ヘビは答えなかった。
「カミは自ら悔いている」
「カミは自ら地下へ赴いた」
「それは、今のヒトビトには関わりのないこと」
「それはまた、別の話」
意味深な台詞を残して円環のヘビは消えゆこうとしている。
ミチルはどうしても一言文句が言いたかった。
「おおい! 帰るならカミサマに言っとけ!」
薄れゆく二つの環に向かって。
「いつか絶対に謝りに来いっ!!」
閉じた目を最後にもう一度だけ開けて。
カミの御使は微笑んだ。
「そうですね……」
「いつか、また……」
ミチル、貴方はカミの手がかり……
その架け橋に……
ヘビ達が最後に紡いだ言葉は、よく聞こえなかった。
「終わった……のか?」
平素に戻った空を見上げて、イケメン達はそう呟いた。
「終わったのではない。始まったのだ、新しい世が。ベスティアも次第に出現しなくなるだろう」
法皇エーデルワイスは、決意とともにそう答えた。
「……うん!」
ミチルはなんだか胸に希望が広がって、ワクワクすらしていた。
心は晴れ晴れだ!
「アーテル皇帝はしばらく目覚めないだろう。今のうちに強制送還する」
エーデルワイスが部下の僧侶を呼び、シャントリエリの眠る体を丁重に運んでいく。
帝国軍は隊列を組んで、皇帝を運びながら自国への長い旅を始めようとしていた。
最期に「命」を託したテン・イーの願い通り、皇帝が目覚める事はあるのだろうか。
今は、ただ安らかに彼は眠り続ける。
その姿を見送りながら、ミチルはエーデルワイスに問うた。
「えぇじいちゃん、これからどうすんの?」
「そうだな。やる事は山積みだが……」
曽祖父は杖を翻して曽孫に誓う。
「お前が幸せに暮らせるようなカエルラ=プルーマを作っていこう」
「……うんっ!」
ああ、本当に。
心は晴れ晴れだ。
「我々は、今後はどうすればいいのだ?」
「そんなん、オメー決まってんだろ」
「シウレンのいる場所が儂のいる場所だ」
「ミチル、ずっと一緒……!」
「ええー♡ ラブラブ新婚生活始まっちゃう!?」
口々に言うイケメン達の薬指には、誓いの
「これが……我とミチルの新たな絆」
チルクサンダーは指に光る環を見て笑った。
イケメン達も、ミチルとの♡♡♡を想像してニヤニヤが止まらない。
「……ほえっ」
そしてミチルも。
イケメン全員との絆を感じて、今後の生活に照れる。
「やだあ♡ いやーん♡」
ミチル。
オレ達の