【本編11】Final Meets 舞い降りた愛、生命そそぐ絆

 ああ……プルケリマ、我が愛を継ぐ者よ。



 ──だれ?



 我が息子を……頼む。



 ──ド*ゴ*?



 ソナタの最愛に……招いてくれて……



 ──あなたがカ***?



 ありがとう……



 ◇ ◇ ◇



「──ぶわはぁ……ッ!?」

 突然酸素が脳に回った感覚。
 長いこと溺れていたようだった。
 ミチルは咽せながら息を吹き返す。

「ゲエッホ、エホエホッ!」

 涙で周りがよく見えない。咳ばかりで苦しい。
 ミチルはまだそのを落ち着かせるだけで精一杯だった。



「ミチルッ!!」



 聞こえたのは六重奏。
 ミチルの愛しい六人の声。

「あ、み、みんな……?」

 何がどうしてこうなったんだろう。
 ミチルは直前の記憶が定かではなかった。

 見上げると、よく晴れた空。
 なんか……黒い竜がどんよりどよどよ、バリバリゴッシャーンな印象があるけども。
 今の空を見ると、それも収まったような気がする。誰が収めた? あ、オレか?

「ああ、ミチル……気分はどうだ?」

 顔を近づけたのは、色白黒髪、角がないのでマジトップモデルみたいな容姿のチルクサンダー。
 その表情は心配と不安に支配されて、彼の本来の尊大さが無かった。

「気分? んー、別に何とも……?」

 改めて問われてミチルは自分の状態を考える。
 溺れたような感覚はもうない。空は青いし、イケメン達はフルカラーで顔が良い。そこだけ確認できれば充分だ。
 ミチルはゆっくりと体を起こす。特に痛いところも、怠いところもなかった。

「ミチル……」

「えぇちゃん?」

 弱々しく杖を握る少年法皇。
 その顔には少しの疲労と慈愛が浮かんでいた。

 ミチルにはその姿が、いつもより身近になった感覚があった。
 上手く説明できないけれど、エーデルワイスと繋がっているような感覚だ。
 それが、ミチルに直感を授ける。

「えぇちゃんが……助けてくれたの?」

「わかるのか?」

 意外そうな顔をするエーデルワイス曽祖父に、ミチルは考えても出て来ない何かを思う。

「うーん、わかんないけど、なんかそんな気がする」

「そうか。では隠しても仕方がない」

「えっ、ナニ、何よ!?」

 エーデルワイスの神妙な雰囲気に、ミチルは思わず狼狽えてしまった。
 するとそれまで沈黙していたイケメン達が、堰を切ったように心情を語り出す。



「ちょっと、ちょっと、何が起こったんだよ!? 俺の頭じゃ追いつかないんだけど!」
「むむう、ミチルがいきなり倒れて、私も死ぬかと思った……っ」
「シウレンが目覚めたのは行幸だが、法皇が何かしたのは明白」
「ミチル、だいじょぶ!?」
「……とんでもねえ魔力量だったぞ、こんなの説明出来ねえヤツじゃん!」



 ミチル同様に右往左往するイケメン達を、チルクサンダーが一喝する。

「落ち着け、者共。ミチルは今は大丈夫だ。何故なら、法皇と生命を共有しているからな」

「──エエエッ!?」

 その短くまとめられた真実に、イケメン達もミチルものけ反って驚いた。
 ていうか、それはどういう意味? 状態である。

「……やはり、其方にはわかってしまうか」

 エーデルワイスの嘆息を、チルクサンダーは軽い一息で一蹴する。

「当たり前だ。我はカミの眷属ぞ、法皇のオマエよりもカミに近いのだ」

「それは先ほどまでの話だろう。其方はもはやカミに属する者ではないではないか」

「……えええっ! ちょっと、それもどういう事!?」

 二人の口から次々にとんでもない情報が出て、ミチルはいっそう狼狽える。
 ちょっと溺れている間に何が起こったんだ、状態であった。

「仕方ない、その辺も含めて順を追って説明してやろう……」



 そうしてエーデルワイスはチルクサンダーを脇に置いて語り始める。
 法皇の青空教室、第二回の開催となった。
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