【DKBL】カップルごちゃまぜ超短編チャレンジ!

「おい、リョウ。ちょっとツラかせ」

「な、なんだよ……」

 昼休み。いつも通り屋上に来たリョウは、なぜか入口でナルミに待ち伏せされた。
 とても怖い顔で凄みながら、ナルミはリョウの腕を引いて屋上に出る。

「そこに座れ」

「いつも座ってんじゃん」

 屋上に出て、定位置で座って弁当を食べる。いつも通りの動きだ。
 だが、いつも通りでないのはナルミの態度。明らかに怒っている。

「お前……昨日、俺以外にも弁当作ったろ?」

「あ」

 リョウは思わずギクリと肩を震わせた。

「何故それを」

 そして動揺のあまり流れるような自白をしてしまう。

「し、仕方ないだろ!? 一昨日、佐伯君の弁当を不注意でダメにしてしまったんだ! お詫びに弁当を献上するしかないじゃないか!」

「……」

 ナルミは何も言わずに睨んでいる。リョウはますます動悸が激しくなって捲し立てた。

「毎日作ってるんだ、二個が三個になろうが同じ! いいだろ、昨日だけなんだから!」

「……ぜんっぜん、良くないんだけど」

「なんで!?」

 もうどう言ったらいいのかわからない。
 錯乱しかけるリョウに、ナルミは静かに言った。

「今の俺の胸はな、嫉妬の炎で唐揚げが揚がるぞ」

「へ……っ?」

「真っ黒焦げになるぞ」

「こ、焦げる前に鍋から上げればいい!」

 リョウは料理の話をしているのか、ナルミの話をしているのか混乱していた。

「……わかってんじゃねえか」

 ナルミはリョウのネクタイを引っ張って、顔を近づけて言う。

「俺が焦げる前になんとかしろ」

 リョウはそのまま唇をナルミに食べられてしまった。
 煮立った鍋は、鎮火するのが大変だ。
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