【DKBL】カップルごちゃまぜ超短編チャレンジ!

「せんぱーい、部活終わりましたね!」

 帰り支度をしながら、トモはウキウキで立ち上がる。
 ナツはいつもの事ながら、呆れて返事をするのも面倒くさい。

「そんなのは見ればわかるだろ。いちいち言うな、うざい」

 ナツの口が悪いのはこの後輩限定で。
 ワンコのように慕ってくるトモに対して、何故か当たりがキツくなってしまう。

「せんぱぁい、この後はどうするんですか?」

 それでもめげないナツ限定ワンコは、目をキラキラさせていた。
 何かを期待している。

「普通に帰る。当たり前だろ」

「ですよねえ、そういえばぁ、オレ駅前に用事があるんですよ」

「そうか」

 トモは自転車、ナツは電車で帰宅するのだが、トモは部活が終わるたびに駅前に用事がある。
 それは何故かと考えるまでもなく、ナツには全てお見通し。
 いつもの事なのに、あえてそう言うのはナツに言って欲しいから。

「それじゃあ……一緒に帰ろうか」

 いつも犬みたいについてくるくせに。
 帰る時だけはナツからの言葉を待ちたいのだ。このワンコは。

「ええー? しょうがないですねえ、まあ、オレも用事ありますからあ」

 嬉しそうに頬を緩ませるトモ。
 面倒くさいがもうこのルーティンに慣れてしまった。

「ほら、さっさと自転車取りに行って来い」

「はあい!」

「マゴマゴしたら置いてくぞ」

「ヒドイッ!」

 今日も一緒に帰れる。あと何回帰れる?
 トモはナツの部活引退を指折り数えて、隣を歩く。
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