第1章 人虎捕獲編
「こいつは______ボクが殺す」
青年、えーと谷崎くん?から溢れ出た殺気にこれ以上余計なことをされては困る
そう思い、片腕だがマシンガンで何発も打ち込んでいく
が、全ての銃弾が彼を通り抜け消えてしまった
『!?』
「ボクの〝細雪〟は_____雪の降る空間そのものをスクリーンに変える」
スッ
『!!!しまった!』
油断してしまった!突然の異能力に気が緩んでたのか妹をあっさりと奪還されてしまった
すかさず銃を向けるがその先に彼の気配はない
「ボクの姿の上に背後の風景を〝上書き〟した、もうお前にボクは見えない」
ちッ・・・コレは厄介だな
彼の妹を人質にしようとして人虎捕獲を考えていたが取られてしまった
でも策はある
『(私に異能力の説明をしたのが間違いだよ谷崎くん)』
空間内をスクリーンに変える、つまり実態はある
そして・・・・・・殺意は消えない
ガシッ、ドコォォォ
バチィィッッ
マシンガンをすぐさま捨て、後ろから伸びてきた腕を引っ掴んで壁際に思いっきり叩きつける
そしてすかさず、先程のスタンガンでとどめを刺す!
死んではいないよ!!
「グッッ・・・・・・」
動かなくなったのを確認し人虎君に向き合う
『さて、人虎改め敦くん。少々_____ 』
「ゴホ、ゴホ」
お時間よろしいですか?と言う前に
後ろを振り返ると芥川隊長が外套をなびかせ立っていた
「死を惧れよ、殺しを惧れよ、死を望む者、等しく死に、望まるるが故に_____ゴホッ
お初にお目にかかる僕は芥川
そこな小娘と同じく卑しきポートマフィアの狗_____ 」
私の話をさえぎり、隣まで歩いてきて自己紹介をする芥川隊長
挨拶は大事だよね!でも・・・
『小娘とはなんですか!隊長と私、あんま歳かわらんでしょうが!!』
「黙れ、樋口」
抗議する私を他所に人虎くんと向き合う
「あんたたち一体」
「僕らの目的は貴様一人なのだ人虎、そこにいるお仲間は_____いわば貴様の巻き添え」
「僕のせいで皆が_____?」
「然り、それが貴様の業だ人虎。貴様は生きているだけで周囲の人間を損なうのだ」
あーあ、酷いな隊長。敦くん絶望しきった顔してるじゃん
私も最初は散々言われたなぁ・・・もう慣れたけど
あ、敦くんが隊長に突撃した
というか動けたんだ谷崎くんタフだな
敦くんは私がその辺に放り投げたマシンガンで対抗したが隊長の異能〝羅生門〟の前では無意味だ
隊長は容赦無く彼の右脚を千切った
『うわぁグロ、容赦無いっスね隊長』
「鞄に縄がある、捕縛しろ」
『へー・・・ん?』
「何ッ・・・・・・」
敦くんの身体から煙があがり、みるみる変化していくマジ?
「そうこなくては」
完全な虎になってしまった彼に隊長は嬉しそうに言うがこちらとしては面倒_____
グオォォォオォォ
来たーーー!!隊長が〝羅生門〟で傷を負わせたがすぐさま回復いや、再生する
『隊長!』
「退がっていろ樋口、お前では手に負えぬ」
『もちろん!バケモノと対峙するつもりは一切ございません!!』
「そうか、ならば黙れ」
わぁ、冷静なツッコミいや暴言?
とおもったら虎におもいっきり体当たりされ吹っ飛ぶ隊長
面倒なぁ、とおもいつつ
マシンガンを乱射して、こちらに注意を惹きつけた。期待はしてないけど銃弾が通らないとかマジヤベェ
こちらに向かって来た虎の口に警棒を入れて渾身の力で・・・蹴り上げる!
「ち・・・・・・生捕りの筈が」
『殺してませんよ!?』
にしても蹴り上げる時違和感があった・・・・・・あれは
虎を見ると霧のように消えていく
「〝細雪〟・・・・・・!」
『(しまった虚像か!)隊長!!』
隊長の後ろから本物の虎が現れ
笑いながら〝叢〟を出す隊長
一人と一匹が対峙しようとしたその時_____
「はぁーい、そこまでー」
間延びした声がその場に響いた