第1章 ポートマフィアの侍、樋口一葉
証拠集めの準備をすると探偵社員たちが席を外し、私は一人ソファへ腰掛けた
湯飲みに残ったお茶を一口啜る
次は・・・確か人虎君を動けなくして捕獲だっけ
なるべくなら手荒な真似はしたくないから
自主的について来てくれれば一番なんだけどなぁ
もちろん、そんな都合のいい話があるわけもない
ため息を一つ吐いたところで、扉が開く
「お待たせしました。行きましょう」
しょうがないなぁ・・・
探偵社を出て数分後
目的地へ向かいながら、彼らは他愛ない話を続けていた
「アハハ、それは脅されましたねぇ」
平和だ
彼等は証拠を集めるだけの
単純作業だとおもってる
その方がこっちとしても楽だからよいけど・・・
やがて人気のない路地裏へ辿り着いた
「着きました」
全員が路地裏へ入る
私はさりげなく女子高生の隣へ移動した
「なんか・・・気味の悪い所ですね。」
「・・・おかしい。本当に此処なんですか? ええと・・・」
「樋口です」
「樋口さん。無法者というのは臆病な連中です
大抵、取引場所には逃げ道を用意しておくものです。でもここは・・・」
青年が奥を指差す
「捕り方が向こうから来たら逃げ場がない」
さすが、探偵社
この程度の違和感にはすぐ気付か
「その通り」
「きゃっ!?」バチッ!
小型スタンガンを女子高生の首筋へ当てた
彼女は小さく震え、そのまま意識を失った
「ナオミ!?」
ごめんよ
出力は最低限。数分で目は覚める
腕の中へ抱き寄せ、探偵社員たちから距離を取る
そのままイヤホン型通信機へ連絡した
「芥川隊長。予定通り捕らえました」
「重畳。五分で向かう」
通信が切れる
「ナオミを離せ!」
「ご安心を。こちらの指示に従っていただければ、彼女に危害は加えません」
そう言いながら、私は彼女を支えたままマシンガンを構えた
青年の殺気が膨れ上がる
「チンピラ如きがならば
”細雪”」
空気が変わった
季節外れの雪が、音もなく舞い始めたのだ
きたな、異能力
視界が白く染まっていく。
「敦君」
青年は静かに告げた
「奥へ避難するんだ。
こいつは、僕が殺す」
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