第1章 ポートマフィアの侍、樋口一葉



突然だが、私の所属する
ポートマフィアには地下牢というものが存在する
敵対組織の人間を監禁したり、情報を吐かせるための拷問を行ったり
まぁ、用途は実に様々だ
そして今、私はその地下牢の一室で

「あー、疲れたー」

クッションを抱きしめ
ゴロゴロと寝転がっていた

「知ってるよ、太宰さん」

向かいで湯を沸かしていたQ
夢野久作が、何気なく口を開く

「元ポートマフィアで僕も小さい頃、お世話になったんだー」
「へー。小さいQが世話になったてことは、けっこー前からいたんだな」

寝転がりながら相槌を打つ
ここはQ
夢野久作の座敷牢・・・いや部屋だ
本来なら一般構成員の私は入れないが
元々私はQの世話係として雇われた身
出入りは自由なのだ

むしろ何故、世話係として雇われた私が遊撃隊の副隊長になってるんだ?
改めて疑問に思うがまぁいいや
持ち寄った抱き心地の良い
クッションを胸にゴロゴロ転がる
何があるか分からないのが人生だ

「はい、お茶」

Qが湯呑みを差し出す

「ありがと」

受け取った湯呑みからは、ほっとする香りが立ち上っていた

「気になるなら調べてみたら?」

Qは自分の分のお茶を淹れながら続ける

「まだどこかに、太宰さんの資料が残ってるはずだよ」
「んー・・・」

私は湯呑みに口を付けながら首を傾げた

「別に、そこまでしなくてもいいかな」

ただ少し気になっただけだ
今日の任務で見せた芥川隊長の態度
親しい……というより
どこか敬意にも似た感情が混じっているように見えた
しかも相手は
異能力を無効化する異能力者
異能力を持たない私の方が相性は良いはずなのに彼は異能力者をトップにもつ〝黒蜥蜴〟に人虎捕獲を命令して
私は待機となった
まぁ、あんな詐欺みたいな任務、行かなくて済んだからいいけど
私は肩を竦める

「一姉がいいなら、それでいいけど」

Qは少し呆れたように笑った
「ま、気が向いたら調べるよ」
「・・・・」

Qは何か言いたげにこちらを見る

(たぶん、一生気が向かないんだろうな)

そんなことを考えているのもつゆ知らず、私は持ってきた焼き菓子を一つ摘まみ、柔らかなクッションに身を預けながら、大きく伸びをした
そうして、私はQと他愛のない話をしながら、束の間の休息を満喫するのだった

にしてもマフィアから探偵に転職って
すげえな


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