始まり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そんなこんなで、私は無事4歳まで成長した。殆ど泣くこともなく、偶に泣くとしてもぐずるぐらいだった私を両親は不思議に思っている様だったが、大切に育ててくれた。
ただ、母が偶に私に対してごめんね、と謝ってくる理由がわからないが....まあそのうちわかるだろうと考えていた。
そうして(私の基準で)普通に過ごしていたのだが.....はて、この光景はなんだろう?
確か私は布団に入って眠りについたはずなんだが....気がつくと私は見覚えのあるような、そんな場所に立っていた。
見覚えのある.....?だがここに来た記憶は私にはない。なら前世で来たのか...?それにしては記憶がないんだが....それに、『来たことがある』というより『見たことがある』の方が近いような感覚...
どういう事だ?と1人首を傾げていると、前の方から子供が2人-----それもやはり見た事のある-----走ってきた。
何処かで会った事がある.....?でも保育園に通っているわけではない私の交友関係なんてたかが知れてる。ならば何故....?
そんな事を考えていれば、いつの間にか(少なくともどちらかの)父親と思われる人物が子供達と話していた。話し声が聞こえれば誰かわかりそうなんだが....口の動きは見えても声までは聞こえなかった。
彼等が誰かもわかりそうにないし、そろそろこの夢も終わらないだろうか....そう思っていた矢先、今まで聞こえなかったはずの声が此方にまで届いてきた。
【七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき】
この古歌を私は『見たことがある』....それは確実に前世での記憶だった。存在するはずのない世界.....ならば何故私はこの夢を見た?
目の前で子供の父親が刺される場面を眺め....そこで目が覚めた。
あの夢に何の意味があると言うのだろうか。とりあえず、突然飛び起きた私に母が驚いている様だから説明をするか。
「母さん、『誰か』が殺される夢を見た」
『誰か』なんてあの古歌を聞いた瞬間にはもう気づいていた。それが確実に起こる出来事だということも。なんでそんな夢を見たのかわからない。母は一言だけ、「場所は?」と尋ねてきた。場所....あれは、
「山吹が咲いている神社.....?」
そう答えれば母は満足したのか、少しだけ笑ってそしてこう告げた。
「絶対に今日は家から出ては駄目よ、お母さんは今から出かけてくるからお父さんと遊んでなさい」
そんな事を言う理由が全くわからなかった。ただ言う通りにしないといけない、そうしないと危ないのだ....そんな風に感じた。
その後、母は家から出ていった-----そして二度とは帰ってこなかった。
父に母が何処に行ったのか尋ねても悲しそうに笑うだけで、何も教えてくれなかった。
母が居なくなって暫くした後、私と父は母の実家に住むようになった。そこで私は自分が何者なのか、母が偶に謝ってきた理由を何となくだが知ってしまった。
そして気づいてしまった。
『此処』が私が生きていた世界とはきっと違う世界なのだと。
ただ、母が偶に私に対してごめんね、と謝ってくる理由がわからないが....まあそのうちわかるだろうと考えていた。
そうして(私の基準で)普通に過ごしていたのだが.....はて、この光景はなんだろう?
確か私は布団に入って眠りについたはずなんだが....気がつくと私は見覚えのあるような、そんな場所に立っていた。
見覚えのある.....?だがここに来た記憶は私にはない。なら前世で来たのか...?それにしては記憶がないんだが....それに、『来たことがある』というより『見たことがある』の方が近いような感覚...
どういう事だ?と1人首を傾げていると、前の方から子供が2人-----それもやはり見た事のある-----走ってきた。
何処かで会った事がある.....?でも保育園に通っているわけではない私の交友関係なんてたかが知れてる。ならば何故....?
そんな事を考えていれば、いつの間にか(少なくともどちらかの)父親と思われる人物が子供達と話していた。話し声が聞こえれば誰かわかりそうなんだが....口の動きは見えても声までは聞こえなかった。
彼等が誰かもわかりそうにないし、そろそろこの夢も終わらないだろうか....そう思っていた矢先、今まで聞こえなかったはずの声が此方にまで届いてきた。
【七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき】
この古歌を私は『見たことがある』....それは確実に前世での記憶だった。存在するはずのない世界.....ならば何故私はこの夢を見た?
目の前で子供の父親が刺される場面を眺め....そこで目が覚めた。
あの夢に何の意味があると言うのだろうか。とりあえず、突然飛び起きた私に母が驚いている様だから説明をするか。
「母さん、『誰か』が殺される夢を見た」
『誰か』なんてあの古歌を聞いた瞬間にはもう気づいていた。それが確実に起こる出来事だということも。なんでそんな夢を見たのかわからない。母は一言だけ、「場所は?」と尋ねてきた。場所....あれは、
「山吹が咲いている神社.....?」
そう答えれば母は満足したのか、少しだけ笑ってそしてこう告げた。
「絶対に今日は家から出ては駄目よ、お母さんは今から出かけてくるからお父さんと遊んでなさい」
そんな事を言う理由が全くわからなかった。ただ言う通りにしないといけない、そうしないと危ないのだ....そんな風に感じた。
その後、母は家から出ていった-----そして二度とは帰ってこなかった。
父に母が何処に行ったのか尋ねても悲しそうに笑うだけで、何も教えてくれなかった。
母が居なくなって暫くした後、私と父は母の実家に住むようになった。そこで私は自分が何者なのか、母が偶に謝ってきた理由を何となくだが知ってしまった。
そして気づいてしまった。
『此処』が私が生きていた世界とはきっと違う世界なのだと。
2/2ページ