それは燃えるように暑い夏の日だった。
その日は講義が午前のみだったため、友人に一緒に遊びに行こう、と誘われたのである。いつもの私ならそれなりに理由をつけて断ったのだが、その日は何故かその誘いにのった。

-----だが、それが間違いだったのである。

横断歩道を歩いていれば耳を劈く様なブレーキ音と誰かの危ないという叫び声。
気づいた時にはもう、トラックは目の前に来ていた。
あ、と思った瞬間、身体に衝撃が走った-----トラックにはねられたのだ。
自分がどんな状態になっているのか、自分ではわからないが、友人の泣き叫ぶ声が聞こえるため、かなり酷い状態なのだろう。ごめんね、私が誘わなければよかったのに、そう謝る友人に対して何か声をかけてやれればいいが、生憎もう喋る事さえ出来そうもない。
そう言えば夏の日にトラックってそんな曲があったなぁとか、馬鹿げた事を考えていれば段々と目の前が暗くなってきた。
あぁ死ぬんだな、そう思いながら私は眼を閉じた。





-----これが私、須藤煉の最期だった.....はずなのに。





ここは何処だろう？眼を開けた時には何処かの部屋にいるようだった。私は死んだんじゃなかったのか.....？そう考えながら起き上がろうとしたが、どうにも起き上がれない。
仕方ない、誰かいるのかはわからないがとにかく呼んでみよう。そう思って声を発した、が、
「おぎゃあああああ！」
私の口から出てきたのはまるで赤ん坊かの様な声だった。どういう事か理解出来ないでいると、
「あら、目を覚ましたのね、おはよう、煉」
おそらく先程の声を聞きつけたのだろう、女性が現れた。この人が母親なのだろうか？
そう考えていれば母(仮)はミルクを作ってくると言ってその場を立ち去った。





その後、ミルクを持って戻ってきた母(仮)にミルクを飲まされ、再び眠りにつかされた。





どうやら私、前世の記憶を持ったまま転生とやらをしてしまったらしいです。