純愛
ヒロイン名前設定
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ビビビ…♪
スマホのアラームが鳴る音。
私は目をこすり、アラームを止めて重たい体を起こした。
ね、眠い…(汗)
でも起きないと…
今は、いつも寝ている時間の1時間ばかり早い時間。
外はもう太陽が出ているけど、まだお日様は低い位置にいる。
私はベッドから降りて、そっと部屋から出た。
そして物音をたてないように、階段を下りて、洗面所へ向かった。
クラピカと暮らし始めてから、まだ2日。
今日は同居してから、初めての学校だった。
バシャッ
ジャーーー…
顔を洗い、ボサボサの髪を直す。
こんな寝起きで髪ボサボサで、すっぴん&もろ部屋着の姿を、クラピカに見せられない…(汗)
これが、私が早起きした理由。
自分の用事が終わり、洗濯かごの衣類を洗濯機に入れ、棚から洗剤を出す。
洗濯機の中の衣類は、いつもより倍多い。
それは、クラピカとクラウスくんの衣類が増えたから、当然の事だった。
本当に…
クラピカと同居してるんだ私…
どこかで、まだ夢じゃないかって思ってる。
私は洗濯機に洗剤を入れて、スイッチを入れた。
バタン…
脱衣所から出て、着替えをしようとまた2階へ上がる。
しーんと静まり返る廊下…
まだ、誰も起きてないみたい。
私の隣の部屋のドアを見る。
この部屋には、クラピカがいる。
…多分?
やっぱりまだ、信じられないや。
私は部屋に入り、部屋着を脱いで制服に着替え、メイク道具の入ったポーチを出す。
部屋着って言っても…中学の時のジャージなんだよね(笑)
かわいい部屋着持ってないから、買おうかな。
脱いだジャージを見つめ、頭の片隅でそんなことを思う。
クラピカに見られたくないものばっかりだよ…
ジャージ姿とか寝起きとか、すっぴんとか…
男と一緒に暮らすって、すごく気を遣うんだなぁ。
クラピカと暮らせて、嬉しんだけどさ…。
ん?嬉しい?
私…クラピカと暮らせて、嬉しいと思ってるの?
ということは…
お母さんの言うように
私…クラピカのこと…
カァァ////
恥ずかしくなって、ひとりなのに顔を赤らめてしまう。
私…やっぱり…
クラピカのこと…好きなんだ…。
隣の部屋にクラピカがいると思うと…
緊張して…
ドキドキして…
でも嬉しくて…
それって…
好きってことだよね…
カァァァ////
顔は更に赤くなる。
こんな気持ち、生まれて初めてかも…
早起きして、一人で部屋にいるときに…クラピカのことが好きなんだって気づくなんて…
ちょっとイタイ…?
それに暗いかな。
でも、いいや。
私…クラピカのこと好きなんだぁ…
それに気づいたのは、恥ずかしいけど…
嬉しい。
少し気持ちが落ち着いた後、メイクに取りかかったが、なんだか今日はうまくメイクできなかった。
クラピカに対する自分の気持ちが分かったから、浮かれてんのかな、私…
カッコ悪…。
ガチャ…
メイクと髪のセットが終わり、朝食の用意をしようと再び部屋を出る…
もうそろそろ…莉子が起きて来る時間かな?
ドアをそっと開け、足音を立てずに廊下を出ると…
「…おはよう」
ビクーーーーーーッ‼
部屋を出てドアを閉めようとした時…横から急に、クラピカが顔を出した。
『び、びっくりした…!』
「お前の部屋ノックしようとしたら、ちょうどお前が出てきて…」
『そ、そう…おはよ』
クラピカの顔…まともに見れない。
そりゃあ、そうだよね。
さっき好きだって気づいた人が、急に現れたら…顔見れないよ…
「…今日早く起きてたな。いつもあれぐらい早起きなのか?」
『えっ。なんで知ってるの?クラピカも起きてたの?』
「はっきりと起きてたわけではないが、何となく分かった…」
『そう…ごめん、起こしちゃった?』
「いや、自然に起きただけだ。毎日こんなに早く起きて、私の弁当を作ってくれているんだな…感謝する」
そう言ってクラピカは、私の頭をポンと撫でた。
…は、反則。
これやばいでしょっ
『ううん、全然っ』
クラピカから目をそらしてしまう…
ダメだ。
意識しちゃって、クラピカと普通に会話できないよっ
『ちょ、朝食作るねっ!』
「…あぁ」
私はクラピカにクルッと背を向けて、階段を降りた。
後ろから、クラピカが私についてくる音が聞こえたが…
なんだか恥ずかしくて…話しかけたり、見たりすることが出来なかった。
私はエプロンをつけて、キッチンで黙々と朝食とお弁当を作った。
その間に、莉子とクラウスくんも起きてきて、それぞれ支度を始めていた。
クラピカは洗面所で顔を洗った後、また自分の部屋へ戻っていき、制服に着替えた後また下に降りて来た。
制服姿のクラピカ…2日ぶり。
やっぱりカッコイイな。
テーブルに食器を並べながら、ちらちらクラピカを見る。
部屋着姿のクラピカも、カッコ良かったけど。
制服姿も好き。
あーヤバイ!
胸がキューーーっとなるよ!
カタ…
ハッ…!
すると、私のいるキッチンに来て、テーブルの椅子に座るクラピカ。
私の背中はピンと張り、まるで操り人形のように動きがおかしくなる。
好きな人と同じ空間にいるだけで、こんなに緊張すんの!?
この分じゃ、私…この先身が持たないよ…
「水上」
ビクッ。
食器をささっと並べ、キッチンに戻ろうとすると、クラピカが私を呼んだ。
『…っ……ん?』
クラピカを意識し過ぎて、返事の仕方もどうしたらいいのか分からなくなる。
ぎこちなく返事をして振り返ると、クラピカはそっと近づいて来る。
「コーヒー飲みたいのだが…」
『あ、今入れる!カフェオレがいい?コーヒー牛乳もあるし!』
「では…」
私に顔を近づけるクラピカ…
そして…
「アイスのブラックで頼む」
『…う、うん』
か、顔が近いよっ
私はクラピカから瞬時に離れ、棚からグラスを一つ出した。
「おかず、お弁当箱に詰めちゃうね」
すると、莉子がキッチンにやって来る。
『あ、うん!卵焼きだけ、まだ作ってないんだ…お願いしていい?』
「オッケ~」
お弁当の続きを莉子に任せ、私はクラピカのアイスコーヒーを入れる。
「あ~腹減った~俺パン3枚ね♪」
クラウスくんもテーブルに座り、オレンジジュースの入ったグラスを持ち、グビグビと飲んだ。
クラピカとクラウスくんがいる朝…
昨日は日曜日だったから、ただクラピカ達が遊びに来てるって感じの一日だったけど…
今日は違う。
これからは学校に行く前に、みんなで朝食を食べるってことは…
やっぱり一緒に住んでるんだよね。
クラピカの事が好きって気づいた今…
それって、すごく有利じゃない?
片想いの相手と同居してるなんて、チャンスたくさんあるよね!
うん。
頑張れ私っ!
心の中でガッツポーズをし、自分の中で初恋を自分で応援する。
「水上…」
『は、はいっっ』
またクラピカが私を呼んだ。
体は石のようになり、背筋がピンと張った。
「すまないが、私もパン2枚焼いてくれないか?」
『あ…パンね、今焼くよ。はいコーヒー!』
クラピカと目を合わせずに、コーヒーの入ったグラスだけを渡す。
「………ありがとう」
私、超不自然な態度とってる…
恥ずかしいからって、ちょっと失礼過ぎる。
クラピカだって、絶対変に思ってるよね…
でも、恥ずかしいんだもん!
朝からクラピカがいるなんて、マジで心臓持たないよ…
「じゃあね~」
「行って来まーす」
朝食を済ませ、私達4人は同時に家を出た。
家の前で莉子とクラウスくんと別れ、私とクラピカは駅に向かって歩く。
忘れてた。
これから毎日、クラピカと一緒に登校することになるんだ…
また恥ずかしいことが増える。
恥ずかしいというか、緊張する~
「…おい」
『はいっ!』
隣にいるクラピカに声をかけられ、思わず大声で返事をしてしまった。
クラピカは少し驚いた表情をした後、「ぷっ」と笑った。
やっちゃった…
かっこ悪い。
「具合でも悪いのか?」
『…え、なんで?』
「朝からずっと、顔が赤いからな」
『!!!!』
そう言うとクラピカは、私のおでこに手を当てる。
や、ヤバイって‼////
「熱はないみたいだが…大丈夫か?」
『だ、大丈夫大丈夫っ!元気だから』
「…そうか」
そう言うと、クラピカはふわっと笑った。
あ…私の好きなクラピカの笑顔だ。
その笑顔が、出会ったあの日から…ずっと頭に焼き付いてたな。
ってことは、私…
結構前からクラピカのこと好きだったのかも。
う…また顔が赤くなる…
私は首を横に振り、なるべくラブいことは考えないよう努力した。
学校に着き、委員会の仕事が終わると、暑さで汗が噴き出してくる。
『今日は久々に晴れたけど、やっぱり暑いね…』
「そうだ、忘れていた…」
『?』
クラピカが鞄から出したのは…
置くタイプの小型扇風機だった。
因みにカラーは青。
『なにその扇風機!?』
「こないだ100円ショップで購入した。300円だったが…」
『ああ、あるよね。100均で300円で売ってるやつ』
「お前の分もある…帰ったら渡す」
『え…』
私の…分…?
「これから本格的に夏になったら、これだけでは暑いと思い…見つけた時直ぐに購入したのだよ」
クラピカは、手に持つタイプのあの扇風機を出して言った。
『…そうだね、ありがとう。私も使うね』
私の言葉に、またクラピカはふわっと微笑む。
この笑顔を…
独り占めできたらいいのにな…
がやがや。
「では、また後で…」
『うん』
教室に着き、私はクラピカと離れ自分の席についた。
変わらないいつもの朝だけど、私にとっては違う。
クラピカと同居して、初めての学校…
私からすると、特別な日かも…
「凛ちゃん!おはよ~」
すると、登校してきた香奈江ちゃんが私に近づいてきた。
『香奈江ちゃんっ!』
「ど、どうしたの!?」
私は香奈江ちゃんの腕を掴む。
『ちょっと…話聞いて欲しいんだけど…』
「…話?」
ホームルームまで時間があった為、私は香奈江ちゃんと廊下に出て、窓際で風に当たりながら…
ここ数日間の出来事を話した。
「ええ!?クラピカくんと同居っ!!?」
『ちょっ…声大きいよっ…』
「ごめんっ…」
口を両手で押さえる香奈江ちゃん。
その必死の姿が、可愛い。
「クラピカくんと同居なんて、すごい!凛ちゃん良かったね!!」
『…良かったって…?』
「だって…クラピカくんのこと好きなんでしょ?」
『なっ…なんで知って……あ!』
しまった…
「やっぱり~♪私の思ってた通り!」
『…気づいてたの?』
「うん♪なんとなくだけど…そうなのかなぁって。凛ちゃんも、自分で気づいたんでしょ?」
『まあね…』
うう。
友達に好きな人のこと話すだけで、こんなに恥ずかしいんだ…
「がんばって凛ちゃん!絶対イケるよ♪」
『イケるって…』
「だって~一緒に住んでるんだもん!もう彼氏みたいなもんじゃない?♪」
『え、ナイナイ!それはナイッ!!』
とんでもございませんっ
「ふふ。凛ちゃんって想像してた性格と全然ちがーう。もっとクールで大人っぽいと思ってたけど、本当はすっごく可愛いんだね♡ヅラにゃんこ好きだし、お料理とかも上手だし…私好きになっちゃうかも~」
そう言って香奈江ちゃんは、私の腕にしがみついた。
『そんなっ…全然!可愛いとか…ないから!てか、可愛いのは香奈江ちゃんだって!私、香奈江ちゃんみたいに顔も性格も可愛いらしくなりたいよ!癒し系だしさ…男にモテそうなのに、そういうの全然出さないし、しかもヅラにゃんこ好きでゲーマーだから大好きっ♡』
「そんな…そんなことないよ~」
キーンコーン
カーンコーン
私達がお互いを褒め合っていると、チャイムが鳴った。
「あ、先生来るね」
『戻ろっか』
私と香奈江ちゃんは教室に戻り、それぞれ席についた。
「カッコイイ~」
「ヤバすぎ~♡」
席につくと、なにやら女子達が騒いでいて窓際に集まっている。
何気なく目をやると…
女子達は自分の席に座って腕を組み、うたた寝をするクラピカをスマホの写メで撮っていた。
隠し撮り!?
う、羨ましい…私も撮りたい!
あの子達のスマホに、クラピカの写真があると思うと…悔しいよっ
「みんな席につきなさーい」
先生が教室に入って来ると、写真を撮っていた女子達は席についた。
クラピカは姿勢を変えずに、頬杖をついてまだ寝ている…
写真を撮られたことに気づいてないなんて…お気楽だな。
「今日は急だけど、みんなに転校生を紹介するわね!」
先生のその言葉で、クラス中が急にざわつき始める。
こんな中途半端な時期に転校生?
よっぽど、複雑な事情があるのかな…
「レオリオくん、入って来てー」
「…おう」
先生が廊下に向かってそう言うと、ダルそうな返事が聞こえてくる。
転校生か‥
レオリオ?
変な名前…
クラス全員、教室の前のドアに注目する。
「あっちぃ~んだよ、この暑さ!!この学校クーラーねえのかっ!?」
……。
教室に入って来たのは、背が高くて高校生の割にはかなり大人びたダンディな男だった。
「はい。あなたはとりあえず自己紹介」
先生に肩をペシッと叩かれるその男子生徒は、髪は短髪、高校生なのに何故か大人の風格があり、揉み上げが生えてるし、ちょっとチャラそうな…私の苦手なタイプだった。
「ねえ、あの人よーく見たらイケメンじゃない?」
「えー大人過ぎ~」
「でも男って感じでカッコイイかも。狙っちゃおーかな♪」
周りにいる女子達の、そんな会話が聞こえてくる。
イケメン?
まあ、カッコ悪くはないけど…私は嫌!
クラピカの方が100億倍カッコイイ!!
ちらっと、クラピカの席を見ると…
クラピカはまだ姿勢を変えずに、うたた寝。
おーい、起きろ~
転校生なんて興味なくても、とりあえず起きろ~
「えー…レオリオだ。東京から来ました~」
気がつくと…転校生の自己紹介が始まっていた。
転校生はポケットに手を入れて、めんどくさそうに話す。
「俺が東京からわざわざここに来た理由はっと…あ、いたいた」
転校生は教室をざっと見渡すと…ニヤリと笑って、ある生徒の席へ足を運ぶ。
その生徒とは…
えっ。
クラピカ!?
転校生の目の先は、クラピカしかいなかった。
そしてクラピカの真横までやって来ると…
「…おい、起きろ!」
「…………」
するとクラピカは、閉じていた目をそっと開けて転校生を見た…
クラピカは大きく目を見開いた。
「レオリオ…お前、何故ここに!?」
「喜べクラピカッ♪大親友の俺様が転校してきてやったぞ!!」
え!!!!
大親友って…どういうこと!?
この転校生とクラピカは…知り合いなの?
「私は頼んでいない!」
「またまた~照れやがって~っ♪」
二人の会話に教室は笑いに包まれ、先生も呆れながら笑っていた。
「じゃあクラピカくんの隣の席空いてるから、君はその席ね」
先生が転校生に指定した席は、クラピカの隣。
転校生は嬉しそうにその席にドカッと雑に座り、体をクラピカの方に向けた。
そしてホームルームが終わると…
「レオリオくんは、東京のどこから来たの?」
「連絡先教えて~」
「家どこー?」
「変わった名前だね、ハーフ?」
転校生は女子達に囲まれていて、質問責めになっていた。
しかも!
レオリオくんに近づくフリして、みんなちゃっかりクラピカとも話そうとしてる感じ!
私はちょっとむくれながら、香奈江ちゃんの元へ行く。
『次理科室だよーいこー香奈江ちゃん』
「…凛ちゃん、顔顔!顔に気持ち出過ぎだよ!まあ、気持ち分かるけどね」
香奈江ちゃんって、結構スルドイ。
『だって~転校生のせいで、クラピカに接近する子がいっぱい…』
「本当だね。レオリオくん…?だっけ?あの人何者?クラピカくんとどんな関係?」
私と香奈江ちゃんは、荷物を持って話しながら理科室へ向かう。
『あの転校生、明らかにクラピカのこと知ってたよね?お互い顔見知りかな?』
「”大親友”とか言ってなかった?ってことは友達?」
『え、あんな奴とクラピカが…!?私のすごい苦手なタイプ…』
「私も…ああゆうチャラそうな人苦手。なんかジャマ者登場だね…」
『うん…』
私は重い返事をした。
こんな展開…思ってもいなかったよ。
クラピカと話したいけど、周りにあれだけ女子がいたら話しかけられないよ…
「では4人1グループになって実験を始めて下さい。グループは自由ですよ」
理科の先生がそう言うと、生徒たちはそれぞれグループを作り実験を始める。
私はもちろん香奈江ちゃんと!
グループを作るには、あと2人必要なんだけど…
チラッと、クラピカ達を確認すると…
「実験なんてかったりぃなぁ~」
「早く終わらせれば、理科の先生あとは自由時間にしてくれるよ♪」
「クラピカくん!ビーカーに水入れてもらってもいい?」
「…分かった」
ム。
クラピカは、転校生と派手な目立つ女子2人とペアを組み、実験を始めていた。
あの女子達…
普通にクラピカに話しかけてる。
前までは、一人でいるクラピカのオーラがちょっと怖いから誰も話しかけてなかったのに!
あのおジャマ虫(転校生)のせいで、クラピカと他の女子との距離が近くなった~
「凛ちゃん、大丈夫…?」
香奈江ちゃんが、私の肩をポンと叩く。
『ハハハ~大丈夫だよ…実験やろうか?』
「凛ちゃん…」
ちょっと壊れた私を見て、香奈江ちゃんは苦笑い。
「あの~よかったら俺達とペアになってくれる?」
私達の前に現れたのは…
クラスメイトの体格のいい柔道部の男子が声をかけて来た。
『あ、いいよ~』
「ハハハ~」
私と香奈江ちゃんも、とりあえず笑った。
キーンコーン
カーンコーン
理科の実験が終わり、香奈江ちゃんと教室に戻る私。
「びっくりしたね~まさか柔道部の男子と、実験ペアになるとは思わなかったよ…いい人たちだったけど♪」
『ね!テキパキやってくれたから、早く終わったね!おかげで自由時間たくさんあったから、ヅラにゃんこ戦争やり放題♪』
「そうだね~!あ…」
『ん?』
香奈江ちゃんが歩きながら前の方を見て、ピタッと目を止めた。
不思議に思いながら、香奈江ちゃんの目線をたどると…
「キャハハハハ♪」
「ウケる~」
私達の数歩前には、クラピカとおジャマ虫…あとさっき実験でペアを組んでいた女子2人が歩いている。
げ、最悪…
「ちょっと…スピード落とす?」
『うん…ごめんね!』
香奈江ちゃんと小声で話し、歩くスピードを落とす私達。
その時…
クル…
!!!
目の前にいたクラピカが、突然後ろを振り返り、私とバチッと目が合った。
ななな、何っ!?
私はとっさに、横にいる香奈江ちゃんの方に首を向け、クラピカから目を思いっきりそらしてしまう…
あーもう…
なにやってんだ、私…
「凛ちゃんっ…前!」
『へっ…?』
香奈江ちゃんが私の制服を引っ張り、目で何かを訴える。
ゆっくりと、目線を前に移すと…
うお!
前から、クラピカが私に向かって歩いて来る…
わわわ!
どうしようっ
「わ、私…先に行ってるねっ」
『あ…香奈江ちゃん!』
香奈江ちゃんは、走って教室に戻って行ってしまった。
それとほぼ同時に、クラピカが私の目の前にやってくる。
「…水上」
『な、なに…?』
クラピカが私に話しかけてくる。
少し向こうであのおジャマ虫と女子達が立ち止って、クラピカを待っている様子。
み、見られてる…
視線が痛いんだけどっ
「悪いがシャーペン貸してくれないか?」
『え?』
シャーペン…?
クラピカは、私に手を差し出した。
「…壊れたのだよ」
『嘘。それしか持ってないの?』
「あぁ」
あぁって…
シャーペン、せめて2本は持ってようよ…
『私の女っぽいのしかないよ?』
「何でもいい。それから消しゴムも貸してくれ」
『ハイハイ…』
教科書やノートを片手に、ペンケースを開くと…
あ…
クラピカが、私の教科書やノートを持ってくれた。
『…ありがと』
ボソッとそう言って、ペンケースからシャーペンと消しゴムを出し、クラピカに差し出した。
『…はい。消しゴム2つ持ってるから、ひとつあげるよ』
「さすがカリスマ主婦だな」
『消しゴムと主婦は関係ないでしょっ』
「…助かった、ありがとう」
フッと笑うクラピカの顔に見とれながら、シャーペンと消しゴムを渡す。
「クラピカ!済んだか~?」
すると…おジャマ虫転校生のレオリオが、私達に近づいてきた!
一緒にいた女子2人は、先に教室に行ってしまったみたい…
「あぁ、すまない。もう済んだ」
「そっか~」
その時、レオリオと目が合う。
レオリオは私を上から下まで舐めるように、じーっと見つめてくる。
な、なにこいつ…
なんか文句あんの!?
『…じゃあ、私行くね』
「いや一緒に…」
『いいのいいの!じゃあね』
私はクラピカ達から離れ、逃げるように教室に戻った。
レオリオのせいで、クラピカとまともに話せない…
本当、何者なのあいつ!?
昼休み。
「凛ちゃん!一緒にお弁当食べよ♪」
香奈江ちゃんが私の元にやって来た。
『うん!食べよ♪』
席を立ち、香奈江ちゃんと教室を出ようとすると…
「水上」
後ろからクラピカに呼ばれ、振り返る…
隣にはレオリオがいて、またもや私をじーっと見ている。
う…
やりにくい…
『…な、なに?』
「弁当欲しいのだが…」
『えっ…』
私に手を差し出すクラピカを見て、とっさに鞄の中をあさる。
忘れてた!
まだクラピカの分のお弁当渡してなかった!
『ごめんね!』
「いや…」
クラピカにお弁当を渡す私。
「オイ、お前!!」
すると、ずっと私を見つめていたレオリオがやっと私に話しかけてきた。
『な、なによ…』
一歩引いて、やっと声を出す私。
なんで話しかけてくんの?
しかも顔が、私を疑っているような顔してるし…
「てめぇ…クラピカのなんだ?どんな関係だ!?」
『はぁ?』
どんな関係って…
『あ、あんたには関係ないでしょっ』
「いやある!俺はクラピカのダチだ!!」
『…あの、いや…』
「彼女も私の友達だ」
私とレオリオが軽く口論していたら、クラピカが会話の中に入ってくる。
「…トモダチって…クラピカに女のダチ?」
「そうだ。弁当ありがとう」
「あ、待てよクラピカ!!」
そう言うと、クラピカは私に背を向けて教室から出て行った。
それをすぐに、レオリオが追いかけていく。
なんなのもう…
あいつ(レオリオ)、よくわかんないな。
なんで私が、あいつに疑いの目で見られなきゃなんないのさ!
クラピカは私をかばってくれた?
…から良かったけど…
「大丈夫?」
すると、香奈江ちゃんが私の顔を覗きこんでくる。
『大丈夫だよ!待たせちゃってごめんね!』
「ううん…私は平気。凛ちゃん、レオリオくんになにか言われてたでしょ?」
『うん…なんなんだろうね、あいつ。明らかに私のこと嫌ってるっぽいけど…私あんな奴知らないしな』
香奈江ちゃんと教室を出て、歩きながら話をする私。
「なんか感じ悪いし、心配だなぁ。ま、クラピカくんがいるから大丈夫か♪」
『ななな、なんでクラピカがいるから大丈夫なのさ…』
「分かってるくせに~」
『~~~~~~』
ひじで私をツンツンする香奈江ちゃん。
その日のお昼、私は香奈江ちゃんにずっとからかわれていた。
「ーーーえーで、このXをここに当てはめてですね…」
数学の先生の声が、まるで子守唄のように耳に入ってくる。
6時間目の授業中…
私は眠気と必死に戦っていた。
ねむい…
ヤバい…まぶたが重いよ…
いつも最後の授業は眠くなることがないのに6時間目に眠くなるなんて珍しいな。
今朝、無理して早起きしたせいだ…
あ、ダメだ…
ねっむ………………サヨナラ…
…ん?
外の光が窓から差し込んだ教室の部屋が、目に飛び込んでくる。
辺りはすごく静かで、どこからか生徒の笑い声が聞こえてくるだけ…
『…え!……うそ!』
ガバッと飛び起きると、教室の電気は消えていて、誰もいなくなっていた。
「…目が覚めたか」
ビクッ。
『ク、ク…クラ…ピカ?』
突然横から声がして、とっさに目を向けると…
私の隣の席にクラピカが座っていて、本を読んでいた。
「…よく寝てたな」
『今何時!?』
「もうすぐ4時だ」
『うそ!』
もしかして私…6時間目の授業から、今までずっと寝てたの!?
ホームルームも、とっくに終わってるよね?
全っ然気がつかなかった!
『ご、ごめんね!委員会あるのに…帰るの遅くなっちゃうね』
「別に構わない。急ぎの用はないからな、それに帰る家も一緒だろ」
『あ、そっか…』
そうだよね…
これからは帰る方向だけじゃなく、家も一緒なんだ。
あーでも、申し訳なかったな…
「私達が来たことで、家事大変になったんだろ。余り無理はするな」
クラピカが本を鞄にしまい、私を真っ直ぐに見つめて言った。
『違う違う!家事は今までと変わんないよ。ただ、今日はちょっと早起きしちゃって…』
「…そうなのか?」
『あ……』
しまった…!
今朝は「いつもこの時間に起きてる」って、クラピカに言ったんだった…
『お、お弁当とか張り切っちゃったんだよね…だから早起きして…それだけ!それだけだから…』
ごまかしながら、嘘でも本当でもないことをペラペラと話す。
本当は、クラピカにスッピンとかジャージ姿を見られたくなかった…
なんて言えない。
「…そうか」
『そ、そうなの』
クラピカは少しだけ微笑んだ。
ふう、なんとかごまかせた…
「委員会、行けるか?」
『あ、うん!行こ!』
私とクラピカは、裏庭の花壇へ向かった。
「やっと来たか!いつまで寝てんだ、水上!!」
げ!
裏庭に行くと、花壇にレオリオが座って漫画を読んでいた。
私の顔を見るなり、レオリオはブーブーと文句を言ってくる。
な、なんでレオリオが!?
サイテー!
「聞いてんのか!?」
う…
私に近づいて来るレオリオ。
私はクラピカの後ろに隠れる。
「隠れてんじゃねーぞ!!ちょっと話があるから出てこい!!」
『な、なんで私があんたとっ』
話なんか!
「なんだとてめぇ…」
「レオリオ。余り彼女をいじめるな」
クラピカがレオリオに苦笑いを浮かべて言った。
クラピカ…
もしかして助けてくれた…?
「いやだって…お前…」
「彼女は大丈夫だ」
「本当かよ!?」
「…あぁ」
????
二人でなんの話してんの?
「彼女とは一緒に住んでいる程だ。私も…」
「一緒に住んでる!!?そんなの初耳だぜ!?なんで俺に言ってくれなかったんだ!?」
「住み始めたのが、一昨日だからな…次お前に会った時に言おうと思ってたのだ」
?????????
なんなの、この会話…
これじゃまるで…
ハッ…まさか!
クラピカとレオリオって、あっち系なの!!?
「…おい、お前…物凄く勘違いしてんだろ!?」
『え…』
二人をジロジロと見ていたら、それに気づいてレオリオに突っ込まれた。
クラピカは軽く笑って、物置からホースを出す。
『とにかく!今から委員会の仕事やるんだから、邪魔しないでよねっ』
「…へいへい」
レオリオは腑に落ちない顔をしていたが、一先ず花壇から離れた場所に腰を下ろして、漫画の続きを読んでいるみたいだった。
帰らないわけ?
あいつに居られると、すっごくやりにくいんだけど!
クラピカにも、なんか話しかけずらいし…
そして花壇に水やりを済ませ、委員会の仕事をささっと終わらせた。
あつい…
これから汗かく季節になるから、嫌だな。
クラピカの前で、汗かきたくないよ…
そんなことを思いながら、タオルで額や首元の汗を拭く。
「帰りは買い物するのか?」
すると、隣にクラピカがやってくる。
『うん!スーパー寄っていい?お米買いたいんだ』
「構わない」
『あ…』
「?」
ふとクラピカを見ると、額から汗がたれている。
私は持っていたタオルで、汗をそっと拭く…
『汗でてた…』
「…すまない」
『ううん』
私はクラピカに笑顔を向けた後、タオルを鞄にしまい肩にかけた。
その間…鞄をもってクラピカを待っている様子のレオリオからの視線が、痛いほど伝わってきた。
また、なにか文句言うつもりなのかな?
レオリオに警戒しながら、中庭を出ようとするクラピカについて行くと…
「じゃ俺、帰るわ」
すると、レオリオはそう言ってクラピカに笑顔を向けた。
え、帰るの…?
今までクラピカを待ってたんじゃないの?
「…帰るのか?」
「ああ!引っ越しの荷物の整理しなきゃなんねーしな、今日は帰るぜ」
「そうか、ではまたな」
「おう!また明日~」
ニコニコと手を振り、走って帰って行くレオリオを私はしばらく見つめていた。
引っ越しの荷物の整理があるなら、さっさと帰ればよかったのに…
どうして今までいたんだろ。
謎だ、あいつ…
レオリオを不思議に思いながら、クラピカと下駄箱で靴を履き替え、駅まで並んで歩く。
『ねぇ…あのさ…』
レオリオの事、思い切ってクラピカに聞いちゃおっかな。
「レオリオの事か?」
『あ…なんで分かったの?』
「分かる」
『…そう』
クラピカの顔は、何でもお見通しと言いたげな顔。
「レオリオは小学校からの友達で、私の一番古い付き合いなのだよ」
『小学校から?』
「そうだ。中学も学校が一緒で仲が良かったのだが…私がこっちに引っ越してきてから、たまにしか会わなくなってな」
『あ、そっか』
クラピカが元々いたのは東京だから、レオリオは残ったんだ。
「しかしあいつは東京の高校がつまらないからだと、親に頼んで私のいる高校に転入して来たらしい…」
『じゃあ、東京からわざわざ通ってんの?』
あ、でもさっき…
引っ越しの荷物がどうの言ってたか!
「大学の従兄弟の兄がこの辺りで独り暮らしをしているらしく、居候させてもらうそうだ」
『ふーん…よっぽどクラピカがいない学校生活が、つまんなかったんだね』
転入してくるほどだから、やっぱりあっち系だと思っちゃうな…(笑)
「…また変な想像しているな(汗)」
『へ?』
呆れ顔のクラピカ。
『なんでわかるのさー』
「お前は直ぐ顔に出る。分かりやすいからな」
『そうかなぁ…』
自分では全然わかんない…
「一応言っておくが…お前が考えていることは、断じてあり得ない。もう考えるのはよせ、想像すらしたくもない」
『だって…あいつ私のこと、ずっと睨んでくるんだもん。変に突っかかって来るし…』
初対面の人に、あんな態度とられたの初めてなんですけど!
「…あれは、私の事を気遣ってくれているのだよ」
『?…どういうこと?』
「……それは言えないな。自分から言いたくもない」
『???』
余計意味わかんなくなった!
本当なんなのよっ
「まぁ気にするな。お前は大丈夫だ」
『は、はぁ…』
クラピカに頭を撫でられる。
それは子どもを撫でるような手つきで、なんか急に下っ端扱いになったようだ…
なんか納得できないなぁ。
でも、頭撫でられたからいっか…
それだけで幸せ…
『そういえば、もうすぐ期末テストだね!』
「…そうだな」
『クラピカは中間テストの成績どうだった?私全然ダメだった…』
「…どうだったかな。とりあえず全科目90点以上は取れたが…」
『えっっ!』
なにそれ。
めっちゃ頭いい…
「お前は?」
『き、聞かないで』
はぁ~
この人見た目も完璧な上に、頭もいいなんて…
私の恋…実るのかな…
でも!
テストが終われば、夏休み!
恋の急接近の予感…?
next…