純愛
ヒロイン名前設定
この小説の夢小説設定〇ヒロインの苗字と名前が設定できます。
無しの場合は、『水上 凛(りん)』になります。
〇ヒロインの妹の名前が設定できます。
無しの場合は、『莉子(りこ)』になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あーいっぱい買ったね~」
『満足満足♪』
次の日の土曜日。
私は香奈江ちゃんと遊びに出掛け、ヅラにゃんこグッズのお店で散々買い物して、今はカフェでお茶をしている。
『ヅラにゃんこに、新キャラが登場してるとは思わなかったね!』
「ね!”ミセス・ウィッグ”にゃんこでしょ〜」
『そう!ブロンドのウィングしてて、可愛いよね♪私ミセス・ウィッグにゃんこのミラー買っちゃった♡』
カフェオレを飲みながら、私と香奈江ちゃんの会話は盛り上がる。
「アハハ~」
「いやだも~」
ふと周りの席を見ると、他のお客さんはカップルばかり…
「カップル多いね」
『そうだね~休みだから、皆はデートなんだね』
「凛ちゃんは今日はクラピカくんとデートじゃなかったんだ?今日は私と予定あったから明日会うのかな?」
『えええ!でで、デートってなに!?///』
飲んでいたカフェオレが、口から吹き出しそうになった。
「え…だって、クラピカくんと付き合ってるんでしょ?」
『つ、付き合ってないよっ!友達友達!!///』
「ええ~嘘だ~」
『嘘じゃないって!』
なんでそんなことになってんの!?
「だって、いつも一緒にいるし…」
『それはね…委員会が一緒で…』
「…でも、私がマスコット届けた日…凛ちゃんの家にいたよね…?」
『う…それはね~う~んと…』
なんて言えばいいんだろ…
『話せば長くなるんだけどさ…』
私はクラピカとの今までの関係を、香奈江ちゃんに話した。
『ーーーそんなわけで、なんかあいつと仲良くなっちゃって…』
仲いい…よね?
こういうの、仲いいっていうんだよね?
「そうだったの…二人には縁があるね。委員会もそうだけど、家が近いし…それに、両親の仕事関係もほぼ一緒なんて…」
『まあね…』
縁があるのは、間違いではないかも。
「でも凛ちゃんはどうなの?付き合ってなかったとしても、クラピカくんのこと好き?」
ニッコリと笑って、私を見つめる香奈江ちゃん。
『香奈江ちゃん…人見知りとか言ってたくせに、慣れてくると結構突っ込んでくるのね…』
「へへへ♪はい、答えてくださーい」
『~~~』
なんか香奈江ちゃんって、莉子と似てるかも…。
『わ、わかんない…良い奴だとは思うけど…』
「ふーん…」
『クラピカって不思議なんだよね…友達モードのときと…そうじゃない時があって…///』
「そうじゃない時ってなにー!?教えて教えて!!」
私に顔を近づけて来る香奈江ちゃん。
『か、香奈江ちゃんはどーなの!?///好きな人とか彼氏はいないの?』
私ばっかりでズルい!
「私?私は昔から男の人苦手だったから、恋愛経験ゼロだよ♪人見知りの原因も、男が怖いからだし(笑)だからこのままだと、一生ひとりぼっちかも~アハハ」
『重い悩みを明るく言わないのっ』
夕方。
香奈江ちゃんと別れ、地元に帰って来た私。
今日は楽しかったな~♪
香奈江ちゃんのこと知れば知るほど、どんどん好きになってくよ。
あ~今日は夕飯作る気になんないな~。
ピザでも取ろうかなー。
どんっ。
そんなことを考えながら、ボケっと歩いてたら…
信号待ちしていた、誰かの背中にぶつかってしまった。
『す、すみません!』
ボーっとしちゃった!
ぶつかった相手が、クルッとこっちを振り返ると、私は思わず「あ!」と声をあげてしまった。
『ク、クラピカ!?』
「…水上?」
私がぶつかった相手は、クラピカだった。
クラピカは私服姿で、なんだかいつもと雰囲気が違った。
『ぐ、偶然だね…』
さっき香奈江ちゃんとあんな話したせいか…
クラピカの事、まともに見れないよ…////
「ちょうどお前に連絡しようと思っていたところだ」
『え?』
私に…?
「…今夜も夕飯食べに行ってもいいのかと聞こうと思ってな」
『あ、そ、そう…』
「毎日夕飯食べに来てもいいと言っていたな?」
『言いました…(汗』
今日はさすがに休みだから、来ないと思ってたよ…
すると信号が青になり、通行人が歩き始めた。
私とクラピカも、信号を渡って歩き始める。
「ところで、凄い荷物だな…買い物か?」
私の持ってる買い物袋を見て、苦笑いをするクラピカ。
『そう!今日は香奈江ちゃんと遊んで、ヅラにゃんこのグッズ買いに行ったの!ちょっと買いすぎちゃった(汗』
「…金の無駄だな」
『ム(怒』
クラピカは私から袋を奪い、袋の中の物色。
『うるさいな(汗)袋返してよっ』
「友達が出来て良かったな」
っ!
そう言ってクラピカは笑い、歩くスペースを早めた。
また…
あの笑顔が見れた。
『ちょっと待って…荷物っ…』
「持とう」
『あ…』
荷物、持ってくれるんだ…。
『ありがとう』
追いついた私は、そう言ってクラピカの隣に行き、並んで歩いた。
『…クラピカは出掛けた帰り?』
隣にいるクラピカに話しかける。
「東京の友達と会ってきたのだよ」
『…!そうなんだ…』
東京から引っ越してきたばかりだったから、クラピカの仲がいい友達は、東京にいるんだよね。
『友達に会うの久しぶりだったの?』
「いや…毎週土日のどちらかには会っているから、一週間ぶりだな…」
『あ、そうだったの…』
知らなかったな…
ま、ここから東京に出るのは電車だったら1時間かからないくらいだもんね。
会おうと思えば、いつだって会える距離だよ。
それにしても、週に一回会ってるなんて…すごく仲がいいんだな。
ハッ…!
もしかして、友達って彼女とかだったりするかも…
ちらっと横のクラピカを見る。
うーん、デートの格好っぽいっちゃぽいかな…
楽過ぎてないし、シンプルだけどオシャレ過ぎてもないし。
あ、でも、デートだったら…
こんなに早く帰って来ないよね?
まだ6時ぐらいだし、明日も日曜で休みなんだから…
もっとギリギリまでいるはず!
もしくは、泊まりってパターンも…
ああーわからん!
しかも、本当にデートだったらちょっとショックだし…
「…水上」
へ?
クラピカが、歩くスピードを緩めた。
「夕飯の買い出し、行かなくてもいいのか?」
『…あ、夕飯ね』
私の勝手の激しい妄想から、急に現実に引き戻される。
『ちょっと遅くなっちゃったから、今日はピザでも取ろうと思ってたんだけど…でもせっかくだから作ろうかな!』
「いや、たまにはピザもいいな」
『…本当に?ま、たまにはいいよね』
作るの面倒だから、出前にしたいなんて言えない。
「ピザにしよう」
『やった!…じゃないや、そお?(汗)クラウスくんも来るのかな?』
「先程連絡したら、7時頃にお前の家に来ると言っていた」
『そっか!で、莉子もいるから…ピザ何枚頼む?クラピカ兄弟は結構食べるでしょ?』
「そうだな…」
『うちは莉子と二人で、いつもLサイズ1枚だけど…』
「ならL3枚だな」
『うお!すごい!さすが育ち盛りっ』
「私が払おう」
『そんなっ…悪いって…あれ?』
角が曲がって、家が見えてきたとき…
うちの家の前に、数人がたまって話しているのが見えた。
遠くから見て、たまっている人の服がなんだか派手で明るいような気が…?
誰?
莉子の友達…?
「あ!お姉ちゃん帰って来たよ♪」
すると莉子が気づき、指を指した。
そしてその中にいる一人が、私に向かって勢いよく走って来る。
ダダダダダダ…
「凛----っ!」
『お、お母さん!?』
むぎゅぅー
勢いよく私に抱きついたのは、私のお母さんだった。
「会いたかった~凛元気~?」
『う、うん…お母さん帰って来たの?』
「そう!明日帰るけど、ちょっと用があって…」
用…?
突然のお母さんの帰宅に驚いていると…
お母さんのすぐ後ろに、綺麗なおばさんがやって来て、クラピカをじーーーっと見ている。
この人は…誰?
「お兄ちゃん…」
そしてクラピカの名前を呟いて、そのおばさんは突然泣き出した。
「か、母さん…(汗」
え?
クラピカはそのおばさんを見て、苦笑いを浮かべていた。
「お兄ちゃーーん!ママあなたに会いたかったのよ~!」
「……………(汗)」
そのおばさんも、泣きながらクラピカに抱きついた。
この人…
クラピカのお母さん!!?
「あら?このイケメン君、息子さんなの!?」
お母さんが、そのおばさんに向かってそう言った。
…お母さんとクラピカのお母さん、知り合いなの!!?
「へぇ~相変わらず綺麗にしてんじゃん♪」
家に入ると、お母さんはダイニングテーブルにドカッと座り、家中を見渡した。
お母さんはワインレッドのパンツに白いブラウスを着て、メイクはやや濃いめ、髪はこげ茶、香水の香りを漂わせている…
これが、私のお母さんです。
東京で女性向けのビューティサロンの経営をしていて、見た目は派手だし、豪快な性格。
「凛~みんなに紅茶でも出してあげなさい」
『はいはい』
「あと、なんかお茶菓子ある?ママはクッキーがいいな」
『はいはいはいはい(汗)』
この人、いつ会っても変わんない。
平気で、子どもをこき使うんだから…
私は言われた通り、キッチンで全員のお茶を入れた。
「大丈夫?ゆっくりしてってね」
「うん平気よ、ありがとう」
クラピカのお母さんは落ち着いたみたいで、私のお母さんに笑顔を向けた。
クラピカのお母さん…
本当にキレイな人…
髪は短くて、一見クールビューティーな感じだけど、話すと可愛い感じ。
ピンポーン…
「!クラウスくん来たんじゃない?」
「えっ…」
”クラウス”という名前に、クラピカのお母さんが反応する。
「私出るね~」
「わ、私も…」
莉子とクラピカのお母さんが玄関へ走っていく。
私は全員分の紅茶をテーブルに並べた。
「すまない…」
クラピカの分の紅茶を置くと、テーブルの隅に座るクラピカが申し訳なさそうに言った。
「いいって」と言って、私は笑顔を向けた。
なんで謝ったんだろ…
急にお母さんが来たからかな…
「クラちゃ~~~~ん」
「げ!お袋がなんでここに!?」
玄関から、クラウスくんのそんな声が聞こえてきた。
クラピカのお母さんは、また泣いてる様子。
私はお母さんの隣に腰を下ろし、とりあえず紅茶を一口飲んだ。
「うん!このクッキー、市販の割には美味しい♪」
お母さんが、クッキーを頬張った。
この人…
本当に変わってない…(汗)
「兄ちゃん!なんでお袋がいんの!?」
クラウスくんが、私達のいるダイニングに駆け込んでくる。
後ろでは、泣いているクラピカのお母さんを莉子が眺めていた。
「私もまだ知らない…」
クラピカは、小さい声で言った。
『お母さん…なんで急に帰って来たの?』
「ん~?」
くびくびとミルクティーを飲むお母さん。
「もう一杯ちょーだい♪」
『………(汗)』
差し出された空のカップを受け取り、ミルクティーを入れる私。
「大丈夫?とりあえず座ってお茶飲んでよ…ね?」
お母さんがそう言うと、クラピカのお母さんは私とは反対側のお母さんの隣に座った。
そして莉子とクラウスくんも、それぞれ席につく。
「実はね、ママのサロンの昔からのお得意様なの」
お得意さまって…クラピカのお母さんが!?
「だんだん仲良くなって、お客様から友達の関係になって親しくなったのよ。お互いシングルマザーだし、子どもも同い年だし気が合っちゃってさ~」
お母さんが続ける。
「でさ。私達仕事で明日ちょっくらイギリスに行くついでに、お互いの子どもに会いに行こうってなったわけ!最初に私んちに寄ったら凛とクラピカくんが現れるからビックリしたわよ~」
ケラケラと笑うお母さん。
「最初に家に寄ったとき、莉子しかいなくて、莉子に聞いたけど…あんた達、お互い同じ学校なんだって?住所聞いたら近かったけど、まさかもう知り合いだとは思わなかったわよ~」
『…………』
言葉が見つからない私達…
とにかく、お母さんとクラピカのお母さんは、友達ってことだよね…?
世間って狭いな、本当に…
しかも、お母さんたちの方が私達よりも付き合い長いんだ…
「凛ちゃんと莉子ちゃん、ごめんなさいね。私…息子と久々に会うと、どうしても涙が出てしまって…」
涙を拭きながら、クラピカのお母さんが私達に謝ってきた。
『いえ、そんな…』
「謝って頂く事じゃ…」
「二人ともいい娘さんね、ひとみちゃん!こんなに可愛くて、しっかりしてる!」
クラピカのお母さんが、隣にいるお母さんの肩をさする。
因みに、お母さんの名前は「ひとみ」。
「そうよ~二人とも自慢の娘なの~♡私に似て、性格もいいのよ~莉子は前の旦那に似て、可愛い系♪凛は私に似て、美人系なの♪」
『ちょっとお母さんっ』
「やめてよ(汗)」
めっちゃ恥ずかしい…
親バカ過ぎる…
「しっかし、クラピカくんとクラウスくんはいい男ね~♪二人とも、お母さんに似てるわよ!何か芸能の仕事でもさせてるの?」
「そうでしょ~?芸能系は私がダメって言ってるのよ~変な女装とかモデルに息子たち取られたくないもんね~」
「…やめろ(汗)」
「………(汗)」
親バカは、うちの親だけじゃなかった。
「ってゆうか、夕飯どうすんの~?」
お母さんが、またクッキーに手をつける。
話が急に変わった…(汗)
『今日はピザでも取ろうと思って…』
「ピザ?じゃあデリバリーじゃなくて、ちゃんとイタリアンレストランのピザ食べよう!あ、でもここ東京じゃないじゃん!こんな田舎にイタリアンレストランなんかないわね~」
頭を抱えるお母さん。
「しょうがない…じゃあデリバリーにするか~莉子、メニューは?」
「スマホで見れるよ~今出す」
「じゃあ見せなさい、ママ電話する」
「ネット注文したら安くなるから、ネットで頼もうよ」
莉子はスマホを見ながら、ひじをついてそう言った。
「偉いわね~」
「しっかりしてるわね~」
お母さんとクラピカのお母さんが、そう言う。
この二人…似た者同士だな。
息ぴったりだし…
一時間後。
注文したピザが来て、玄関先でお金を払った後、キッチンに戻ると…
「あら美味しい♪」
「いけるわね♪」
もうみんな食べてるし(汗)
そんなにお腹空いてたのか…
それにしても、デリバリーピザを4枚も頼むのは初めてだよ。
おかげで、次回使えるクーポンとかたくさん貰っちゃった♪
「てゆうかあんた達はお互い、いつから付き合ってるの?もう長いのー?」
!?
口をモゴモゴさせながら話すお母さん。
「…付き合ってるって?」
莉子が、食べる手を止める。
「あんたとクラウスくんと凛とクラピカくんよ」
「『ええ!?』」
私と莉子は、同時に声を上げた。
「なによあんた達、ママは別に反対しないわよ?」
「私もよ♪ひとみちゃんの娘さんたちだもの~」
クラピカのお母さんも、会話に入ってくる。
『違う!違うよ!!』
「付き合ってないからっっ」
私と莉子は、全力で否定する。
もう…クラピカの前でやめてよっ
クラピカは何も気にしてない様子で、黙々とピザを食べ続けている。
クラウスくんも同じだ。
「はぁ?じゃあ、なんでうちにいるの~?」
『そ、それは…友達だからだよ』
「は?」
『本当に!学校で委員会が一緒になって、仲良くなって…それで…たまにうちにご飯食べてて…』
付き合ってることを否定したのはいいけど、クラピカと仲がいい事を公表するのは、すごく恥ずかしい…///
「お兄ちゃんとクラちゃんも…そうなの?ただのお友達?」
クラピカのお母さんが、クラピカ兄弟に聞いた。
なんて言うんだろう…
「そうだ、母さん達と同じ関係だ」
「そうそう」
そう言って、ピザを食べ続ける二人。
「「ふーん…」」
お母さんとクラピカのお母さんは、顔を合わせてニヤリと笑う。
な、なに笑顔…(汗)
「じゃあ、あんた達ここで一緒に暮らしたら?」
!!!!!!!!
『なに言ってんの、お母さん!!?』
「意味わかんないんだけどっ」
本当になに言い出すの!?
「だって…その方が楽じゃない?」
『あのねえ…』
「私もできれば…みんなで住んでくれてた方が、安心できるわ。うちは男の子だから、ご飯の事とか心配で…」
クラピカのお母さんが、心配そうに言う。
「そうよね~私もね、前から年頃の女の子だけで住むのは心配だったのよ。ママは仕事だから一緒に住めないし。それにほら、今物騒じゃない?だから…男の子がいれば安心なのよね」
お母さんたちは、私と莉子をウルウルした目で見つめた…
だったら、あんたら子どもほったらかしにしてないで、帰ってくればいーでしょ!?
これ何度も言ったけど…
「ママの第二の人生だから、許してね」「仕事だからしょうがないじゃない」っていつも言われて終わるけど…(汗)
「クラピカとクラウスはどう?みんなで住むのは賛成?」
クラピカのお母さんが、クラピカ達に問いかける。
クラピカ…
なんて言うだろう…
「…別に構わないが」
「あら♪」
いいの!?
別に構わないって…そんなあっさりいいの!?
「クラウスは?」
「毎日うまい飯が食えるから、いいよ」
「そう♡」
クラピカのお母さんは、頷きながらニコッと笑った。
「だってよ~どうすんの、あんた達…」
お母さんが、私と莉子を横目で見る。
『どうするって…』
「そんな急に…」
顔を合わせる私と莉子。
「あんた達、クラピカくんママはうちのサロンのお客さんだけじゃなく、今は同業者でもあるのよ?
今度イギリスでやるクラピカくんママの会社のファッションショーで、うちのヘアメイクアーティスト達を使ってくれるんだからね!だから私達、明日からイギリスに行くのよ」
『だ、だから何よ…』
それと、クラピカ達が一緒に住むのは関係なくない?
「クラピカくんママにはすっごくお世話になってるのよ!うちのサロンが有名になったのも、クラピカくんママが企業の女社長とかセレブ達にうちのサロン紹介してくれたおかげなんだからねっ」
「ひとみちゃん、いいのよ…」
「だから!あんた達はクラピカくんとクラウスくんの世話をしなさい!栄養ある食事に、掃除、洗濯…とにかくあの子たちに尽くしなさい!今から嫁入り修行だと思って!」
「ちょっとひとみちゃん…そんな言い方は…」
………なんつー親なの?(汗)
お世話になったのは、あんたでしょ!!
だからって、そのお返しを私達子どもがやる訳!?
「とにかく…ママは決めたからねん♪ご飯食べたら、息子君たちは荷物持ってきなさいね~」
「本当に良いのかしら…?」
「いいのよ~部屋は余ってるし、この家に二人は広すぎるし、やっぱり物騒だわ。みんなで住むのが一番よ、それに…」
っ!?
私と莉子を、ジロッと睨むお母さん。
「私が正しかったって、今に気づくわ。さ、食事の続き~♪」
…もう、なんなの、本当。
わけわかんない、親!!
「…ゴミ捨ててくるね」
「うん、お願い」
夕食後。
私と莉子は後片付けをして、クラピカとクラウスくんとクラピカ兄弟のお母さんは、一度家に帰って荷物を取りに行った。
お母さんはというと…
「アッハハハハハ~」
ビールを片手に、リビングでお笑い番組を観ている。
クラピカ…本当にここに住む気なのかな。
うちのお母さんがあんな言い方したから、すごく強引になっちゃってない?
高校生の男子が(クラウスくんは中学生だけど)、女と住むなんて嫌に決まってるよね。
私は別に良いけどさ…
クラピカとだったら、別に…いい。
けどっ////
クラピカが無理してんのは嫌なの!
こんな事で、クラピカとの関係を崩したくなんかないし…
ああー
クラピカとちゃんと話したいよ…。
ガチャ。
「クラピカくん達、戻って来たよ~」
ゴミ捨てから戻って来た莉子が、部屋に入ってくるなり言った。
「はー疲れた…結構荷物合ったな~」
先にリビングに入って来たのは、クラウスくん。
「本当だ~」
クラウスくんの荷物の多さに、驚く莉子。
「ひとみちゃん、お待たせっ。荷物まとめるのに時間かかっちゃったわ~」
クラピカのお母さんが、一仕事を終えた表情をして、リビングに入って来た。
「いいのよ~全然!大変だったわね~お疲れ様。一杯飲む?」
「飲むわ。ありがとう♪」
お母さんは、クラピカのお母さんに缶ビールを1本差し出した。
「凛と莉子はクラピカくんとクラウスくんを部屋に案内してあげなさい。片付けも手伝ってあげるのよ~」
お母さんは軽い口調で言った。
あの人、口だけで何も動いてなくない!?
本当、女王様だ!
すると…廊下でクラピカが荷物を下ろしている姿が見えた。
莉子は、先にクラウスくんを部屋に案内している。
私も…クラピカを部屋に連れて行ってあげないと…
私は廊下にいるクラピカに、そっと声をかけた。
『…部屋2階なの』
「…分かった」
クラピカは、大きめのキャリーバッグを抱える。
クラウスくんよりは、クラピカの荷物は少なめだな…
あ…
『こっち持つよ』
さっきより一回り小さい、もう一つのキャリーバッグを持とうとすると…
「大丈夫だ…部屋どこだ?」
『っ!』
クラピカは、私が持とうとした方のキャリーバッグを軽々とひょいっと持ち上げた。
ち、力持ち…
私じゃ頼りなかったかな。
それとも、私には私物を触れられたくないとか…
私はちょっとショックを受けつつ、クラピカに2階の部屋を案内した。
『…ここ客室なんだけど、お客さんって来ないから…好きに使って』
「あぁ…」
その部屋は…階段を上がって直ぐにある、一番手前の部屋でベットとクローゼットくらいしかない。
因みに、その隣の部屋は私の部屋だ。
カチッ
ガチャガチャ
「…………」
クラピカは早速キャリーバッグを開けて、中から荷物を出す。
「これ持っててくれ」
『え…あ、うん…ハンガーかけようか?』
「あぁ」
クラピカから学校の制服を渡された私は、クローゼットからハンガーを出して丁寧にかけた。
制服が出てきたのは…さっき私が持とうとしたキャリーバッグ。
中に入ってた私物を、私に渡すって事は…触れられたくなかったわけじゃないのかな…。
「これもかけてほしい」
『……うん』
今度は、大量の服を渡してくるクラピカ。
それよりも…
もっと気になることが…
『ねぇ…』
「…なんだ?」
クラピカは、荷物を整理しながら返事をする。
『本当に…一緒に住んでいいの?』
「え…」
私がそう言うと、クラピカは手を止めて私の方を見た。
「…何故だ?」
『…だって…お母さんが強引に提案したことでしょ?クラピカ達が嫌がってるなら、無理してこんなこと…』
「…私は別に嫌がってはいない」
キョトンとした顔をするクラピカ。
『え、でも…女の私と一緒に住むんだよ!?妹だっているし…それに私クラスメイトだしっ』
「…あぁ、だから何だ?」
『”だから”って…(汗)』
この人、あんまり深く考えてないでしょ?
「お前の母親の言っている事、私は何となく分かる…」
『わ、分かるの!?』
「ここに女性2人だけで住んでいるのは、物騒だと思う。お互い親が近くに居ないのなら、私達が一緒に住むと言うのは…別に変な事ではないと思うがな」
『………』
まあ、そうなんだけど。
そうなんだけれどもっ!
「…だが私達と暮らしたくないのなら、それは仕方ないが…」
『違う!違うっ!そうじゃないっ!私は住みたいよ!あ…』
”住みたい”って変だよね?
でも、なんて言ったらいいの!?
『…と、とにかく…嫌じゃないから。私は!クラピカが嫌じゃないなら…いい』
なんか恥ずかし。
ぽん
すると、クラピカが私の頭を撫でた。
顔を見上げると、クラピカは微笑んでいた。
「…当分、世話になるな」
『……ふ、服…ハンガーにかけちゃうねっ////』
「頼む」
クラピカから目をそらし、ドキドキしている自分を、必死に隠しながらテキパキと動き、おかげで片づけは早く終わった。
カタ
カタカタ…
ん…?
次の日の早朝。
静かな物音で目が覚めた私。
そして起き上がり、部屋を出て階段を駆け下りた。
『お母さん!』
「あ、凛!」
階段を降りると…お母さんとクラピカのお母さんがちょうど玄関で靴を履いていた。
『もう行くの…?』
「うん、昼前の飛行機には乗らないといけないから」
『そう…』
そっか。
これから仕事で、クラピカのお母さんとイギリスに行くんだよね…
「凛、あとは頼むわよ。みんなの事よろしくね」
『うん、分かってるよ』
言われなくても、ちゃんとわかってますよ…
「凛ちゃん…息子たちの事、よろしくお願いします。あの子…特にクラピカは、口数少ないし、何考えてるのか分からない子だけど…どうか、よろしくお願いしますね」
クラピカのお母さんは、目に少し涙を浮かべていた。
『…はい。クラピカは…いい人です。私はクラピカに…何度も助けられました。感謝しています』
高校生活が楽しくなってきたのは…
クラピカがいたからだ。
「そっか。あ、そうだ!あとママ達は、あんた達の交際は賛成するわよ」
『は!?』
早朝の静まり返った時間に、私は思わず大声を出してしまった。
『こ、交際ってなに言ってんのっ!!?///』
「バカね。ママ達の目はごまかされないわよ。クラピカくんの事、好きなんでしょ?」
『っ!!!!!!!!』
お母さんは自信満々の顔をして、クラピカのお母さんはニコニコと笑った。
『もしかして…だからクラピカ達に、ここに住めって言ったんじゃ…』
「あったり~♪」
『お、お母さんっ!!!どうしてそんなことっ////』
「面白いから♪」
この悪魔~~~~~‼!!
「大丈夫大丈夫♡あとは時間の問題よ、ねえ?」
「ええ♪私も凛ちゃんなら大賛成よ~」
抱き合いながら、キャッキャとはしゃぐお母さんとクラピカのお母さん。
この人たち…朝からハイテンションだなぁ。
昨日遅くまで飲んでたくせに、元気だよね…
「ま、あとは適当にやりなさい。何かあったら絶対に連絡すんのよ?あ、一応言っとくけど…ヤるときはちゃんと避妊しなさいよ~」
『なっ…!!/////』
なに言ってんだ、本当にーーーーっ!!////
『ヤるわけないでしょっっっ/////』
「はいはい、じゃーねー」
お母さんとクラピカのお母さんは、ケラケラ笑いながら家を出て行った。
朝から変な事を言われたせいで、すっかり目が覚めてしまった私…
頬は熱く、胸はドキドキしている…
「…行ったか」
ビクッ!
『ク、クラピカ…!?』
寝起きっぽい顔つきのクラピカが、私に近づいて来る。
『ごめん…起こしちゃった?』
「いや…目が覚めてしまってな」
『そう…あ、クラピカッ、お母さんに会わなくていいの?まだ近くにいると思うから、追いかければ?』
今日から海外に行っちゃうのに、昨日あれから…特に親子の交流なかったよね…
「大丈夫だ。どうせまた、1ヶ月程したら戻って来る」
『え、そーなの?』
「あぁ、いつも大体1ヶ月の頻度で帰って来る。先月も会ったからな」
そうなんだ…
クラピカ達を見て、クラピカのお母さん泣いてたから…てっきり凄く久しぶりに会うんだと思ってた…
「今何時だ?」
クラピカが軽く目をこする。
『…6時ぐらいかな』
「今日は日曜日だろう。まだ寝てればどうだ?」
『うーん…目覚めちゃったから、朝ご飯の用意でもしようかな』
「…なら私も起きる」
『…へ!?』
クラピカはそう言ってリビングのソファーに座り、テレビをつけた。
『まだ寝ててもいいのに…』
「…目が覚めてしまったからな」
『そう?…何か飲む?』
「…あぁ、頂こう」
私はクラピカと自分の牛乳を用意して、その日はいつもよりも手の凝った朝食を作った。
その匂いにつられてか、莉子とクラウスくんもその日は早起きだった。
こんな感じで
私とクラピカの同居生活が始まった。
クラピカと出会ってからまだ日が浅いのに…
色々あり過ぎる。
これから何が起こるんだろう…
next…