純愛
ヒロイン名前設定
この小説の夢小説設定〇ヒロインの苗字と名前が設定できます。
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次の日。
朝から雨で、委員会の仕事は無し。
私は小雨の中、傘をさしていつも通り学校へ行った。
教室に入ると…
…………。
クラスの全員が、私に一瞬注目する。
昨日、あれだけ目立てば当然か。
それに…
「………」
昨日まで仲の良かったあのグループが、私をちらっと見て目をそらした。
その目は気まずさと、少しビビっているようにも見えた。
そりゃあ、昨日クラピカにあんなことされたら驚くよね…(汗
この様子じゃ…もう私にあんなことしてくれることは、とりあえずはなさそうかな。
私は自分の席につき、鞄から荷物を出した。
あんなことがあった翌日にも関わらず、案外平気でいられた。
クラピカの言うように、自分を偽らず、自分らしくいられるから…
これが私なの。
だから、いいや。
もう…私は私でいい。
すると、突然自分の席の机が、ギシッと音を立てた。
『クラピカ…?』
顔を上げると、少し息を切らせたクラピカが目の前で机に手をついている。
「…おはよう」
『お、おはよ。来てたんだ』
「あぁ、今来てな。それよりすまない、今日迎えに行けなかったこと」
『え…』
迎えに…?
「昨日の今日だから、今日一緒に登校したかったんだ。それが不覚にも寝坊してしまった…」
『…寝坊?珍しいね?』
「あぁ。クラウスに付き合わされて、遅くまでゲームしていたのだよ(汗」
『ふふ、そう(笑)でも大丈夫!意外と平気だったよ』
私は、クラピカに笑顔を向けた。
「…無理してないか?」
『してないしてないっ!逆にあの子達の方が大変そうだよ?あんたが昨日、怖い態度とったから…』
「…私には関係ない」
冷たい言い方をするクラピカ。
ったく…
急に素っ気なくなるんだから。
………!
『クラピカ、血が出てる…!』
クラピカの指から、血が垂れていた。
『ど、どうしたの!?』
私は直ぐにティッシュを出して、クラピカに渡す。
「これか…昨日の夜中、腹が空いて料理を作ろうと包丁を使ったんだが切ってしまってな。消毒して寝たが…さっきどこかで指がかすって傷口が開いてしまったのだろう」
『絆創膏しなかったの?』
「…家になかったのだよ」
『………(汗』
お母さんがいない家って、本当大変なんだね…。
『ちょっと待っててね』
私はポーチから、絆創膏を出した。
「…女は準備がいいな」
『ほら、指出して』
クラピカが差し出した傷のある指に、絆創膏を貼る。
自分の手が、クラピカの手に一瞬当たって、ドキってした。
『…はい、終わり』
「ありがとう…」
お礼を言うと、クラピカは申し訳なさそうに口を開く。
「それから…今日もお弁当、貰っていいか?」
『あ…はいはい』
私はクラピカに、今日の分のお弁当を渡した。
そしてチャイムが鳴り、クラピカはまたお礼を言って自分の席へ…
教室でこんなにクラピカと話すのって、初めてかも。
なんか変な感じ…
そしてその日、クラピカは私によく話しかけて来た。
休み時間や移動教室…
お昼も一緒に食べた。
最初は不思議に思っていたけど、クラピカの優しさに気づくのに、そんなに時間はかからなかった。
一人になってもいいから、自分らしくいようって決めたから。
クラピカはそれを気遣って、私ができるだけ一人にならないようにしてくれてるんだ。
ありがとう…クラピカ。
クラピカがいて、本当によかったよ。
放課後。
「まだ雨が降ってるから、委員会は無しだな」
『うん…』
「今日の夜、空いてるか?」
『うん…』
「クラウスと夕飯食べに行っても構わないだろうか」
『うん…』
「…どうした、探し物か?」
『うん…えっ!?』
鞄の中を手であさりながら、クラピカの言う事を聞き流していた私は、ハッと気がついた。
『ご、ごめん。ちゃんと聞いてなかった…』
「どうした?」
不思議そうな顔をして、私に近寄って来るクラピカ。
『鍵につけてたマスコットが見当たらなくて…』
「マスコット?鍵は?」
『鍵はあるんだけど、ヅラにゃんこのマスコットが見当たらないの…』
「出た…(汗」
”ヅラにゃんこ”という名前が出て、呆れた顔をするクラピカ。
『さ、最近買ったやつだから、気に入ってるのっ!』
「ロッカーは?」
『そっか、ロッカー!…いや、ロッカーあんまり使ってないや。でも一応見てみよ』
私は席から離れて、ロッカーを見に行った。
しかし、ロッカーの中にマスコットはなかった。
「…無くしたんだな」
私の席からロッカーにいる私を見て、ボソッと言うクラピカ。
『ショック…。あれ、気に入ってたのに…』
「また買えばいいだろう」
『そういう問題じゃなくて…』
「もう帰ろう。早く帰ってお前の手料理が食べたい」
『うん…って、え!?今日来るの!?』
「…先程言っただろう」
帰り道。
『あ~なんで落としたんだろ~』
「抜けてるからな」
『…ムッ』
電車を降りて、スーパーで買い物を済ませた後、クラピカと家に向かっている。
「くだらないキャラクターの事は忘れろ。それより、今日は米を多めに炊いて欲しい」
『…食う事しか頭にないの?(汗』
「仕方ないだろう。毎日、お前が作った夕飯を食べられるわけではないからな」
それって…
私の作った料理が、美味しいって事かな?
だとしたら、嬉しい。
「クラウスも呼んでいいか?」
『もちろんだよ。莉子が、クラウスくんにゲームで分からないとこがあるとか言ってたし』
家が見えたところで、私は鞄から鍵を出した。
ん…?
すると、どこからか視線を感じる。
私は鞄に手を入れながら、キョロキョロ辺りを見渡した。
「…どうした?」
『いや…なんでもない…』
また…この前と同じ…
気のせい…だよね。
私は玄関の鍵を開けて、クラピカと家に入った。
そしてクラピカ達と夕飯を済ませ、クラピカが帰る時間、玄関先で見送っていると…
っ!
また、視線を感じる。
「お姉ちゃん?」
『え?あ…なんでもない』
不思議そうに見つめる莉子に、私は笑顔を向けた。
それから数日間。
このようなことが、何度か続いた。
学校や周りで、誰かに見られているような感じがした。
だけど…学校でも帰り道でも、ほとんどクラピカと一緒だったから怖くなかった。
それに…
今回感じる視線は、この前とはちょっと違う気がする…。
嫌な感じは、しないんだよな。
『あつ…い…』
数日後の放課後。
ジメジメする暑さの中、私とクラピカは委員会の仕事をしていた。
『もうすぐ6月だもんね』
「お前の扇風機貸してくれないか?」
『…いいけど、自分のは?』
「動かなくなったんだ」
『え…(汗』
もしかして、もう壊したの!?
『ちょっと見せて』
「鞄のポケットに入っている…」
私はクラピカに自分の扇風機を渡した。
そして、クラピカの鞄の外ポケットからクラピカの青い扇風機を出した。
カチ。
カチカチ。
扇風機のスイッチを入れてみると、クラピカの言うように羽は回らない。
『ちょっと私の貸して』
「え…」
『いいから、貸しなさいっ』
私の扇風機から電池を抜き取り、クラピカの扇風機に入れ替えた。
そして、スイッチを入れる…
ブオオオオオオーン。
『やっぱり…』
扇風機の羽は、問題なく動き始める。
『電池なかったんだね』
「そうだ」
『そうだって…知ってたの!?』
「あぁ」
すると、クラピカが私に近づいて来る。
そして…
「…感謝する」
『ちょっとー!!(汗』
電池を入れ換えた自分の扇風機で、クラピカは涼み始めた。
私は「電池泥棒!!」と言って、クラピカの腕を叩いた。
ーー次は~A川ー、A川ーー
その日の帰り、委員会を終えたクラピカと私は、いつものように電車に揺られていた。
『はぁ、涼しい…』
「そうだな」
電車の中のクーラーに当たり、くつろぐ私とクラピカ。
っ!
その時…また視線を感じる。
私はとっさに、視線を感じた方に目をやった。
しかし、そこには誰もいない。
まただ…
こう何日も続くと、さすがに気持ち悪いな…
「…今のは、私にも分かった」
『えっ』
隣にいるクラピカが、無表情のままそう言った。
『もしかして…気づいてたの?』
「何となくだ。お前の顔見てれば分かる」
…嘘。
私って、そんなに分かりやすいの?
「ここんとこ、誰かにつけられているだろう」
『…つけられてるのかな?でも、視線は感じるんだよね。家の近くとかでも』
「なら、つけられているな」
『え…』
急に怖くなってきた…。
「とにかく、一人にならない方がいい」
『…う、うん』
「今日お前の家で見張ってやる。そのストーカー、私が捕えてみせる」
『………』
なんか、急に大事になっちゃった…
大丈夫かな?
「ええ!!お姉ちゃんにストーカー!!?」
莉子が大声を出す。
半分冗談だと思ってたのに、クラピカはあれから家にやって来て、家の中から外を見張ってくれた。
途中で莉子とクラウスくんも帰って来て、今はとりあえず夕食中…
私が誰かにつけられてると聞いて、莉子は心配そうに声を上げた。
『ストーカーじゃないって!男かも分かんないし…』
「分かんないじゃん!お姉ちゃんのこと好きな男子が、ストーカーしてるって事も…」
『ないない』
「でもとりあえず、犯人が誰かだけでも知ってた方がよくね?あ、おかわり♪」
空になったお茶碗を、私に差し出すクラウスくん。
私は「うん」と言って、お茶碗にご飯をよそった。
「本当怖い…最近ストーカーに殺されるニュース多いし」
莉子が、本気の心配モードになる。
『まだストーカーされてるって決まったわけじゃないって!私の勘違いかも…』
「…いや、勘違いではないな」
『…!』
クラピカが会話に割って入った。
「…どういうこと!?」
莉子がクラピカに聞く。
「先程電車で視線を感じた方に、何人か私達の学校の制服を着た女がいた…おそらく、その中の誰かが…お前をつけている」
『…つけてるって、どうして分かるの!?』
私はクラウスくんにお茶碗を渡し、席についた。
「委員会で中庭の水道で手洗いをしていた時、視線を感じて振り返ったんだ…そしたら、女が柱に隠れたのが見えた」
『嘘…』
女の子が!?
『なんで言ってくれなかったの!?』
「言ったらお前は騒ぐだろう。相手の尻尾を掴む為にも、仰ぐのさ」
『…………』
この人、探偵ですか…?
そして夕食後。
私は流しで皿を洗い、クラピカとクラウスと莉子は…キッチンの窓から、外を眺めている。
「兄ちゃん…つけてた女って、どんな感じ…?」
「一瞬だったからな…分からない」
「女のストーカーなんて、ますます怖い…」
3人はそんな会話をしながら、外を見張ってる。
みんなの行為はありがたいけど…
さすがに今日は、もう現れないと思うけどなぁ。
時間だって8時過ぎてるし…
「…あ、アイツだ」
えっ。
クラピカが勢いよく外に出る。
「兄ちゃん待って!」
「私もっ!」
え、ちょっと待って…
泡だらけの手を洗い、一足出遅れながら玄関で靴を履いて外に飛び出した私。
「クラピカー??」
外に出て、辺りをキョロキョロと見渡す。
すると数メートル先で、3人が固まっているのが見えた…
私は小走りで近づく。
『…っ!』
3人に近づくと…クラピカの隣に、見覚えのある女子が制服姿で気まずそうに立っていた。
私の存在に気づくと、その子はもっと気まずそうな顔をする。
『…な、永井さん!?』
その女の子は、同じクラスの永井さんだった。
「お姉ちゃんの友達?」
『友達…っていうか…同じクラスで…』
話した事ないけど…
だから、名前くらいしか知らない。
「ご、ごめんなさい…私…」
今にも泣きそうな顔をして、謝る永井さん。
『ええ!じゃあ、私つけてたのって永井さん!?』
「ごめんなさい、本当にっ!これを渡したくて…」
『え?』
永井さんは鞄から何かを出して、私にスッと差し出した。
それは…数日前、私がなくしたヅラにゃんこのマスコットだった。
「これ…拾ったから、渡したくて…」
『…………』
私達は、言葉を失ってしまった。
そのまま数秒間、辺りはしーんと静まり返ったーーー…
『紅茶とコーヒーどっちがいい?』
「じゃあ紅茶を…」
永井さんを我が家に招き入れ、私はアイスティーを入れた。
「ありがとう…」
『あとこれ…夕飯まだでしょ?良かったら食べて!』
私はアイスティーと一緒に、おにぎり2つと夕飯の残りのハンバーグを出した。
「えっ、そんな!悪いよっ…」
『いいのいいの♪私の落とし物拾ってくれたんだもん…お礼させて?っていっても、こんなことしかできないけど』
「ううん!すごく美味しそう…実はお腹空いてたの…」
顔を赤くする永井さん。
『だよね、もう8時過ぎてるもん。遠慮しないで食べてね』
「…うん、ありがとう。いただきます」
そう言って、永井さんはやや遠慮がちにおにぎりを一口食べた。
私はダイニングテーブルに座る永井さんの隣に座り、アイスティーを飲んだ。
クラピカとクラウスくんと莉子は、リビングでテレビを観ている。
「…お邪魔しちゃって…本当によかった?」
永井さんがクラピカ達を見て、心配そうに言う。
『全然大丈夫!私こそ、引き止めちゃって大丈夫だった?』
「私は大丈夫っ!無事に落とし物が渡せて、ホッとしてるの…」
永井さんは表情を曇らせた。
「私…昔からすごく人見知りで…人と関わるのが苦手なの。高校入っても、友達も出来ないし…」
『永井さん…』
「だから、水上さんがマスコット落としたの見て、それ拾ったのはいいけど…中々話しかけられなくて。もたもたしてたら、時間がどんどん過ぎちゃって…」
そっか…永井さんって、そんなに人見知りなんだ。
大人しそうだとは思ってたけど、まさか私にすら話しかけられないほど、人見知りだとは思わなかったなぁ…
「マスコット…渡すの遅くなっちゃって、ごめんね」
『!…いいって~本当謝らないでー。あれ気に入ってたやつだから、戻って来て嬉しいの♪拾ってくれたのが永井さんで良かったよ~他の人だったら、もしかしたら捨てられてたかも…』
私がそう言うと、永井さんは初めて笑顔になった。
可愛い…
色白で、大きな丸いクリッとした目。
髪の毛は黒くて、肩ぐらいまで伸ばしてる…
背は低い方だけど、華奢で細いなぁ~
手とかも小っちゃいし、守ってあげたくなる感じ。
永井さんって、見てるだけで…
なんか癒されるかも。
『永井さんって家どこ?この近くー?』
「A川の方だよ」
『じゃあ近いね!うちから電車で2つ!って事は、中学は?』
「A川北中…分かる?」
『分かる分かる!』
永井さんと話していると、あっという間に時間は過ぎた。
「ごちそうさま。水上さん、ありがとう。夜遅くまでごめんね…」
9時過ぎ。
永井さんとクラピカとクラウスくんは、帰ることにした。
「送っていこう」
「えっ…」
クラピカは隣にいる永井さんに、低い声でそう言った。
「いいよいいよっ!私大丈夫だからっ」
顔を赤くして、首を横に振る永井さん。
「せめて駅まででも」
「物騒だから送ってくよ!」
「…………」
クラピカとクラウスは、永井さんに説得する。
『そうしなよ!こんな時間に女の子がうろついてたら危ないし…ね?』
「でも…」
『遠慮しないで』
「……う、ん…じゃあ…お願いします」
私がそう言うと、永井さんはクラピカに頭を下げた。
『じゃあ…よろしくね…』
私は、クラピカに小さな声で言った。
「あぁ、ご馳走様」
『ううん、色々ありがとう』
「…明日天気が良かったら、いつも通りで頼む」
『分かった』
クラピカ達が、うちから離れていく…
『永井さん、気をつけてね!マスコットありがとう!』
「ううん、ご飯ごちそうさま!どうもありがとう!」
私は、永井さん、クラウスくんの順に手を振った。
クラピカは私に背を向けたまま、こっちに振り向いてくれなかった…
「…入ろっか」
『…うん』
3人が見えなくなってから、私と莉子は家の中に入る。
そして後片付けとお風呂を済ませた後、私は少し早めに自分の部屋に入った。
そして、戻って来たヅラにゃんこのマスコットを鍵につける。
今度は落ちるなよ!
マスコットに念を送っていると…
ブブブッ
私のスマホが震えた。
画面を見ると、誰かからかLINEが来ている。
LINEを開くと…
【永井です(≧▽≦)さっきクラピカくんから連絡先聞いちゃった!大丈夫だったかなぁ…??今日はありがとう♪もう一度ちゃんとお礼を言いたくて(人 •͈ᴗ•͈)】
永井さん…
私は直ぐにレスする。
【凛{いえいえ(*´ω`*)私も連絡先聞きたかったんだ!私こそありがとう( *´艸`)また落とさないようにしっかり鍵につけ直したよ(笑)}】
すると直ぐにレスが来た。
【香奈江{そうだね!また落としたら大変(;´∀`)水上さんって、ヅラにゃんこ好きなの?実は私も大好きで…もしかしたらって…(/ω\)}】
えっ、嘘!
【凛{ホントΣ(゚Д゚)!?私も大好きなの♪グッズとか集めてるんだ~!この前のパンのシールとか集めてた??}】
私と永井さんのLINEは、その後しばらく続いた。
そして寝る前に、永井さんとのLINEでの会話を思い出していた。
永井さんもヅラにゃんこ好きだなんて…仲間がいて嬉しいなっ♡
ま、莉子も好きだけど…身内だし(笑
それに、永井さんって下の名前が香奈江っていうんだ~
名前も可愛いっ!
そんな事を考えながら、何となくまたLINEを開いた。
あれ…?
クラピカからもLINEが来てる!!
クラピカとのトークにまだ未読メッセージが残っていた。
来た時間を見ると、9時過ぎだった…
永井さんとのLINEの夢中で、気づかなかったんだ…(汗
私は、慌ててメッセージを開く。
【クラピカ{永井さんを送って、お前のLINEを教えた。夕飯ご馳走様、また明日}】
…………。
あっさりとした文章…
これは返すべき…だよね?一応…
【凛{了解(`・ω・´)また明日ね♪おやすみなさい☆}】
一応レスした。
もう0時過ぎてるけど、ま、いいよね(汗
スマホの目覚ましを確認して、充電器をコンセントに指す。
ブブブッ
ビクッ。
すると、クラピカからレスが返って来た。
私は手を止めて、すぐLINEを開く…
【クラピカ{随分時間がかかったな。おやすみ}】
………!
それって…私からの返事待ってた…訳じゃないよね…
私は心の中でぶるぶると首を振り、スマホで明日の天気を見た。
明日も一日中雨か~
ってことは、委員会はなし…。
『…………』
私はまたLINEを開き、クラピカにメッセージを送った。
【凛{この前くれたイヤホンジャックってどこの本屋で買ったって言ったんだっけ?(*'ω'*)}】
すぐに、クラピカから返信が来る。
【クラピカ{何故だ?}】
私も直ぐに返事した。
そして、次の日。
ザーーーーーーーー
予報通り、天気は朝から雨。
私はいつもより少し早めに、家を出た。
そして駅に向かって歩き始め、駅前の本屋さんに立ち寄った。
ここの本屋は朝早くから営業している。
あ、あったあった!
雑貨コーナーで欲しかったものを見つけ、手に取った。
これにしよう♪
絶対喜んでくれるよね~
しばらく雑貨コーナーを物色した後、本のコーナーに流れ、ブラブラと雑誌を見ていた。
そして数分後、電車を降りて学校の最寄り駅の改札を出る。
すると、数メートル前にクラピカが歩いている。
私は小走りでクラピカを追いかけた。
『クラピカ!』
「…水上…おはよう」
『おはよっ!あ、昨日はありがと』
「いや、昨日LINEで聞いてたやつは見つかったのか?」
『うん。…あ、そうそう。今、渡しとくね!はいお弁当』
「今日もすまないな、礼を言う」
『ううん!』
「そういえば、永井さんから連絡はきたか?」
『あ、きたきた!クラピカが永井さんに、私の連絡先教えてくれたんでしょ?』
「あぁ。聞かれた時迷ったんだが…永井さんなら心配ないと思ってな」
『昨日LINEきて、すごい盛り上がっちゃったんだよ♡永井さんも、ヅラにゃんこ好きなんだってー♪』
「そうか…(汗」
最近、クラピカには思いっきり素を出してるな私…
なぜかクラピカには、素でいられるの…
男とか、どちらかというと苦手なのに…不思議だな…
早く学校に着いたからか、教室にはまだ余り人が来ていなかった。
「…水上」
『なにー?』
自分の席で鞄から荷物を出していると、クラピカが私を呼んだ。
私は荷物を机に入れながら、返事をする。
「すまない、絆創膏持ってないか?」
『え?また!?』
手を止めて、クルッとクラピカの席を見る私。
そして鞄を持って席を立ち、小走りでクラピカに近づいた。
『どうしたの?また包丁?』
クラピカの中指に、結構深い切り傷があり、血が指に垂れている。
「そうだ…」
『昨日はうちでご飯食べて帰ったのに、なんで包丁使ったの?』
「夜中クラウスが腹が減ったと言い出し、何か作ろうとしたら又も切ってしまったんだ。何度も情けないな…」
『…………』
なんか可哀想になってきた。
年頃だから、夕飯あれだけ食べても夜中普通にお腹減るんだね。
『ちょっと待って…消毒しないと』
「…消毒液持ってるのか?」
『ま、まあね…』
この前指ケガしたの見てから…
絆創膏だけじゃ、なんとなく不安になって…持ち歩く用の消毒液買っちゃったんだよね。
「さすがカリスマ主婦だな」
『しゅ、主婦じゃないってば///』
高校生です!
私はポーチから、消毒液とティッシュを出した。
『少ししみるかも…』
「ん…」
『…………』
クラピカが、私に手を差し出す。
『…触るよ?』
「?触れ(汗」
う…////
変なこと言っちゃった…!
意識し過ぎだよね、普通に普通に。
私はクラピカの手を下からそっと添えて、中指に消毒液を含ませたティッシュで、優しく押さえた。
クラピカの手、あったかい…
ヤバイ…手震える…
恥ずかしさと、緊張を抑えながら消毒液終え…次はポーチから絆創膏を取り出した。
『あのさクラピカ…』
「何だ?」
絆創膏を指に貼りながら、クラピカに話しかける。
『…できるだけ…夕飯はうちで食べたら?で、帰りに別に何か作ってあげるから、持って帰って夜中お腹空いたらクラウスくんと食べなよ…』
「…………」
クラピカの指の傷を見ていたら、そんな言葉が出てきた…
『ほら…莉子とクラウスくん仲いいしさっ、うちは全然大丈夫だから。でも無理にとは言わない…っ!…』
ぎゅ…
するとクラピカは、絆創膏を貼っている私の手を握った。
そして…
「そうする…」
そう言って、優しく微笑んだ。
『…ううん、いいの…///』
綺麗なそのクラピカの顔を、まとも見られずに私はそらしてしまった。
『うん…絆創膏に血がしみてきたら言って。かえた方がいいから』
「あぁ、すまない」
ドキドキする気持ちを抑え、普通にクラピカに接しながら、ポーチのチャックを閉めた。
あ…!
すると、永井さんが教室に入って来るのが見えた。
『ちょっと行ってくる!』
「…………」
私は席につく永井さんに、後ろから近づいた。
『おはよ!』
「わ!」
永井さんの肩を後ろからポンと叩くと、永井さんはびっくりしていた。
『ごめん…驚かしちゃった?』
「凛ちゃんか~ううん、大丈夫!おはよう!」
永井さんは、直ぐに笑顔になった。
『これ香奈江ちゃんにプレゼント!』
「えっ…」
私はさっき本屋さんで買ったものを、香奈江ちゃんに渡した。
「こ、これ…」
『マスコット拾ってくれたお礼!香奈江ちゃんも、ヅラにゃんこ好きって言ってたから』
「嬉しい!!♡これイヤホンジャックでしょ!?」
『そうなの!私もそれと同じの持ってるから、オソロ♡』
私が本屋さんで買ったのは、以前クラピカが私にくれた、ヅラにゃんこのイヤホンジャックだった。
「すっごく嬉しい!ありがとう、凛ちゃんっ」
『どういたしまして!』
「早速つけよ~♪」
香奈江ちゃんは自分のスマホを出して、早速そのイヤホンジャックをつけてくれた。
「可愛いッ!!」
『可愛いよね!私も気に入ってるの♪』
おそろいのイヤホンジャックがついた、お互いのスマホを並べてみる。
「大切にするね、凛…ちゃんっ」
『うん、香奈江…ちゃんっ』
「…昨日LINEで話してた通り、やっぱりまだ名前を呼び捨ては照れるねっ」
『そうだね、でも徐々に頑張るよ!』
「私もっ」
アハハと笑い合う、私と香奈江ちゃん。
何も飾ってない、そのままの私を…
香奈江ちゃんは受け入れてくれた。
この感じ…久しぶりだな。
その時、ふとクラピカと目が合った。
クラピカは私に…一瞬だけ笑いかけてくれた。
クラピカ…ありがとう。
私もクラピカに、笑顔を返す。
あんたの言ってた通りだった。
自分に素直になってみたら、変わったよ…
私、変われたみたい。
友達…できたよ。
「凛ちゃん!明日の土曜って暇?良かったら遊ばない?」
『遊ぶ遊ぶ!遊びましょうっ!』
「ふふ、どこ行こっか?」
『ヅラにゃんこグッズが売ってる雑貨屋さんがね、最近近くに出来たらしいんだけど…』
「えー行きたい!」
この感じも、久しぶり…
友達って…
やっぱり、いいかも。
next…