純愛
ヒロイン名前設定
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<クラピカ{雨のため今日は無しだ}>
翌日の朝。
クラピカから、LINEが来た。
これは返すべき?
スルーすべき?
スタンプだけでも送る?
【既読】ついてるし、やっぱりスルー?
うーん……
「お姉ちゃん?遅れるよ?」
『え、あ……うんっ!』
自分の部屋で、モタモタしていると…妹が私を呼んだ。
えーい!
適当でいいや!
私は”ОK”の文字が入ったキャラクターのスタンプをクラピカにレスし、学校へ向かった。
ザーーーーーーーー…
今日は雨。
だから、委員会の仕事はなし。
学校に到着し、窓際で友達と話しながら窓の外の雨を眺める私。
雨か…
委員会の仕事が始まってから、初めてだ…
キーンコーン
カーンコーン
「あ、先生来た!」
「後でね~」
チャイムが鳴り、みんな自分の席につく。
チラッとクラピカを見た。
クラピカは相変わらず自分の席で本を読んでいる。
今さっきクラピカとLINEしたのが、なんか嘘みたい…
委員会やってない時は、クラピカが凄く遠くに感じる…。
その日の昼休み。
「やっぱ私はクラピカくんかなー♡」
「A組の加藤くんもいいよね」
「いやクラピカくんだよ!!」
「私もー♡」
「私もかなー♡」
お昼を食べながらの友達の会話は、クラピカの事でもちきり。
やっぱりクラピカの人気は、凄すぎる…。
クラピカの席をチラッと見ると、クラピカの姿はない。
まだ雨降ってるから、今日は裏庭行けないよね。
お昼…
どこで食べてるんだろ…。
キーンコーン
カーンコーン
「やっと凛ちゃんと帰れるね♪」
放課後。
私は久しぶりに、友達皆と帰ることにした。
まだ雨降ってるし、今日は放課後も委員会はなし。
今日はクラピカと、一回も話してないな…
下駄箱で上履きを脱いでいると…
「あ、クラピカくんだ♡」
急に、周りの女子達が騒ぎ始めた。
チラッと後ろを向くと、クラピカも帰るところらしく、下駄箱にやって来たみたいだった。
クラピカも、帰るとこなんだ。
ローファーを履き、友達を待つ間、チラッとクラピカを見ると…
‼
クラピカと一瞬目が合った。
恥ずかしくなり、思いっきり目をそらす私。
「あークラピカくん帰っちゃう」
「目の保養が~」
そらした目を、またクラピカに向けると…
クラピカは紺色の無地の傘をさして帰って行った。
私はクラピカの背中を、見えなくなるまでずっと見ていた…
『ただいまー』
夕方。
家に帰宅した私。
「お姉ちゃん、おかえりー」
すると、妹が出迎えてくれた。
妹は私より2つ年下の、中学2年生。
名前は莉子。
優しくて面倒見がよく、見た目も可愛くて真面目な莉子。
父と離婚して母子家庭になってから、お母さんが忙しくなったこともあり…
莉子と私は助け合って生活してきた為、すごく仲が良く、喧嘩したことは滅多になかった。
姉妹であり、友達のような関係でもある莉子は、私のよき理解者であり、今一番信頼できる人かもしれない。
『ただいま』
「お姉ちゃん!これなーんだ?」
『あ!』
莉子が持ってきたものは、私が集めているあのパンのシール。
『どうしたのこれ!?』
「帰りにたまたまコンビニに行ったら、あのパンがあったから買ったのー♡最後の一個だったからラッキーだったよ」
『ありがと莉子っ』
莉子に抱きつく私。
そしてキッチンの冷蔵庫に貼ってある、集めているシールを貼る紙に、莉子から貰ったシールを貼った。
「あと何個で貯まる~?」
『3つ…』
ゴールまで微妙な数。
「そっかー。見つけたらまた買ってくるよ」
『ありがと、莉子』
「それより夕飯の買い物行かない?雨まだ降ってた?」
『もう止んでたよ』
帰るときは小雨だったけど、電車降りたらもう止んでたな。
私は制服のまま、莉子と買い物に出かけた。
「焼うどんはどう?」
『いいね♪そうしよっ』
近所のスーパーに着き、莉子とカートを押して食材を選ぶ私。
お母さんは出張でいないため、今日は莉子と二人きり。
『アイス買って、帰りに食べよ!』
「いいよ」
莉子とアイスのコーナーへ行く。
「お姉ちゃん、何にする?」
『んーーーーチョコ』
「じゃあ私もー」
アイスを手に取り、カゴに入れたその時…
冷凍食品コーナーの前で、クラピカと中学生くらいの男の子がこっちを見ていた。
ク、クラピカ!?
私は固まってしまって…
目をそらすこともできない。
な、なんでクラピカがここに!?
なんでなんでなんでなんでなんでなんで…!?
いきなりのクラピカの登場に、頭が混乱していると…
クラピカが私に近づいてきた。
え!!
こっちに来るしっ!!!!
『莉子っ』
「お姉ちゃん?」
私は莉子の手を掴み、気づいていないフリをして、そのまま逃げようとした。
こんなとこでクラピカに会うなんて、恥ずかしいっ!!
しかも妹と夕飯の買い物なんて、庶民的過ぎるでしょっ!!
「!!」
すると莉子が私の手から離れ、クラピカの方に近づいていく。
なんで!?
莉子とクラピカ、知り合いなの!?
「水上?」
え…
莉子が近づいていったのは、クラピカの隣にいる中学生の男子の方だった。
「クラウスくん、偶然だねー買い物?」
「そ。兄ちゃんが晩飯作るんだけど、俺も暇だから買い出しについてきた!」
「あ!この人がクラウスくんのお兄さん?話してた通り、イケメンだね!クラウスくんに似てるー」
お、お兄さん!?
この子、クラピカの弟!?
「あ、あれ私のお姉ちゃん!お姉ちゃん、同じクラスのクラウスくん。この前、転校してきたんだよ」
なにーーー!!!!
クラピカの弟と莉子が同級生?
あ…クラピカって、この春引っ越してきたって言ってたよね?
ってことは…
クラピカの家って…
「お前んち、こっから近いの?」
「うん!そこの交差点曲がったらすぐ。クラウスくんちは?」
「俺んち、この通りのマンション」
「そうなんだ!近いね~」
家、近所なの!!?
この前、私の地元の話になって、地名教えただけだけど…
クラピカはそんなこと一言も…
クラピカを見ると、私を見てなんだか楽しそうな笑みを浮かべている。
もしかして…私の反応見るために、わざと家の事言わなかったの…?
こうやってバッタリ会う時まで、黙ってようってこと?
だったら、ムカつくんですけど。
『………!!』
すると、クラピカが私に近づいてきた。
な、何!?
カートを持つ手を震わせ、構えていると…
「…うどんって手があるな」
!!
私の買い物カゴの中の食材を見て、言うクラピカ。
「もしかしてさ~お姉ちゃんとクラウスくんのお兄さんって、同じ学校じゃない?」
「制服が同じだもんな」
……!!
莉子とクラピカの弟が、こっちを見ている。
『え、えっと…』
「同じ高校だ、クラスも同じ」
!!!
クラピカが、さらっと本当の事を言った。
「あ、そーなの!?私はクラウスくんと一緒のクラスで、お兄さんは私のお姉ちゃんと同じクラスなんて凄いね!!」
「偶然だな」
こんな偶然ってあるの…??(汗
世間は狭いって事か…
あ。
またクラピカと、目が合っちゃった…!
『莉子、行こうっ』
私はクルッと後ろに向いて、先にスタスタとレジへ向かう。
「お姉ちゃん、待ってよ~」
莉子が後ろから追いかけて来る。
早く帰りたい…
とりあえず、早くスーパー出たい…!!
並んでいるレジの後ろにつき、順番を待つ。
すると、莉子が私に追いついて私の後ろへ回る。
「混んでるねぇ…」
『夕方だからね』
レジの列は、結構長い…
順番が来るまで、少しかかりそう…。
「あ、お兄さん」
えっ………
お兄さんって…
私の後ろで、莉子が確かにそう言った。
恐る恐る振り返ると…
うっ……!また…
私と莉子の後ろに、クラピカが並んでいた。
な、なんでーー?
なんでこうなるのさーーー
「お兄ちゃん、あったよ!」
「悪いな」
すると、クラピカの弟も手に商品を持ってこっちにやってくる。
「あ、クラウスくんちも今日焼うどん?」
「そう!」
クラピカの弟は、焼うどんの素をクラピカの持っているカゴに入れた。
さっき、クラピカうちが買ったカゴの中見てたから…
自分ちも今日焼うどんにしたのか。
冷凍食品の所にいたから、本当は冷凍にしようと思ってたのかな?
っていうか、なんでクラピカが料理すんの?
お母さんは?
「お姉ちゃんとクラウスくんのお兄さんが、同じ学校だったなんてびっくりだね~」
そこ、掘り返さなくてもいいよ莉子っ!
「だよなーしかも、同じクラスだろ?二人は接点あんのか?」
ギクッ。
クラピカの弟!
そんなこと聞くなっつーの!!
「昨日、昼飯を一緒にな」
ちょ、ちょっと!!
「え、そーなのー?」
「もう仲いいんだ♪」
仲良くない仲良くない!
委員会が一緒なだけだよ!
「俺らも昼は一緒だよな?」
「フフ、班が一緒だから、一緒に食べてるだけでしょー?」
笑いあう、莉子とクラウス。
なんで、あんた達そんなに仲いいわけ?
ま、どっちかっていうと莉子は男に好かれるけど…
こんなに男と話してる莉子は、初めて見るかも…
そして、レジはもうすぐ私の番!
やっとだよ…
「いらっしゃいませ~」
私の番が回ってきて、店員さんが買った品物を機会にスキャンしていく。
「お前と姉ちゃん、顔似てないな?」
するとレジ待ちしているクラウスが、また莉子に話しかけた。
「そお?よく言われるけどね。クラウス君たちは似てるよね」
莉子がクラピカ兄弟を、見比べて言った。
確かに似てる…
弟の方は、ちょっと背の低いクラピカって感じだし。
でも、雰囲気はちょっと違うかも。
クラピカはクールで、一見怖い感じがする…
弟は、顔はクラピカと同じでクールだけど…話すと可愛らしい感じかな。
人懐っこそうって言うか…
まだ中学生だからかな?
「お前の姉ちゃん、美人だな」
なぬ!?
クラピカの弟が、ポツリとそう言った。
「そうなの♪私のお姉ちゃん、美人なの♡友達もみんな羨ましがってるんだ!美人でスタイル良いって!自慢のお姉ちゃんなのー♡」
「お前と正反対だな」
「あー言ったなー!」
ポトッ
鞄から財布を出そうとしたら、手を滑らせて床に落としてしまった。
び、美人なんて…
まったく莉子たらっ
財布を拾い、恥ずかしそうに隠そうとすると、財布を開けようもないのに、小銭を探る。
「なぁ、兄ちゃん!水上の姉ちゃん美人だよなー?」
な、なにーーーーー!!?
クラピカの弟が、クラピカに振る。
ちょ、ちょっと!!
それは本当に困るっっ
「あぁ、そうだな」
えーーーーーーーー!!
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…
『あ!』
財布から、小銭やカードが落ちる。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
『ご、ごめん!』
その場にしゃがみ、落ちた小銭を素早く拾う。
は、恥ずかし…
もう何やってるんだろ私…
「これで全部か」
莉子とクラピカの弟が、落ちた小銭やカードを拾ってくれた。
『二人ともありがと、ごめんね』
普通に、普通に。
「…………」
『え?』
すると、クラピカの手が私の方に伸びて来た。
手には、ここのスーパーのポイントカードがある。
それも財布から落ちて、拾ってくれたんだ…
うう、恥ずかしい…////
『あ、あげる…ポイント使っていいよ』
私はクラピカから目をそらし、素っ気なくそう言った。
もーなに言ってんの、私…
恥ずかしいからって、ポイントカードあげることないのに…
クラピカは、スッと手を引っ込める。
「1,860円になります」
『あ、はいっ』
うちの買い物の会計が終わる。
「お客様、エコバッグはお持ちですか?」
『あ、持ってま…』
あ、マズイ。
本当はエコバッグ持ってるけど、クラピカの前で出すのは恥ずい…
『…持ってないので下さい』
「かしこまりました。では袋代の3円追加で、お会計変わりまして1863円頂きます」
『…はい』
たかが3円…されど3円…
「ポイントカードはお持ちですか?」
私のポイントカードは、クラピカの手にある。
『すみません、新しいの作ってください…』
「ありがとうございます。入会金で300円頂きます」
『………は、はぃ』
私のバカ…
ウィーン…
買った食材を袋に詰め、莉子とスーパーを出る。
「もう真っ暗だねー」
『うん…』
春になって日が延びたけど、やっぱり6時過ぎると暗いな…
「水上ー」
クラピカの弟が、私達に近づいて来る。
「もう遅いから送ってくよ」
へ??
送ってくって…
「大丈夫だよ、うち近いから」
莉子がそう言って、クラピカの弟に笑顔で返す。
「兄ちゃんの命令だから、逆らえないよ」
逆らえない?
「そう言う事だ」
ガサ…
『あ…』
すると、私の持っていたスーパーの袋を、後ろからクラピカが掴んで持ってくれる。
『ク、クラピカいいよっ…』
「家は何処だ?」
怖い顔…これは逆らえない…
『…そこの信号渡って真っ直ぐ』
「分かった」
先にスーパーを出て行く、クラピカ。
私と莉子とクラウス3人は顔を合わせて、すぐクラピカの後を追った。
「アハハ、なにそれー」
「その先生、おかしいよな」
帰り道。
クラピカ→クラウス→莉子→私。
…の順番で、4人並んで私の家を目指す。
クラピカとスーパーで会うなんて、思ってもいなかったなぁ…
帰りに送ってもらうなんて…
家が近所だなんて、全然予想してなかった。
いっ…………!!
莉子とクラウスを挟んで、クラピカと目が合った。
バッ…
私はクルッと横を向き、知らない人の家の庭の植木を眺めた。
私、植木好きなんですー
園芸委員会になってから、ハマってるんですー
植木好きを偽って、クラピカの事は気にしてないオーラを出す。
私変だ…
裏庭では平気なのに、なんでスーパーでクラピカに会うと、こんなに緊張するんだろう…
莉子は、クラピカの弟とこんなに仲良く話してんのに…
私は、可愛くないよね…。
「送ってくれてありがとねー」
4人で家の前まで来ると、莉子がクラピカ達に向かって言った。
「…………」
持っていた荷物を、私に差し出すクラピカ。
『ありがとう…』
お礼は言えたけど、クラピカの顔見れない…
ガサ。
へ?
ガサガサ…ガサガサ…
するとクラピカは、私が受け取ったスーパーの袋に手を入れ、ゴソゴソと探り始めた。
そして…
スーパーの袋から、さっき買ったチョコアイスを一つ出した。
『ちょ、ちょっと!それ私の!』
「…昨日言っただろ。「今度何かおごる」と」
あ…
言ったわ。
確かに、言った…
「では、私はこれで」
『あ、うん…』
「行くぞ、クラウス」
「うん!じゃあ水上…と、美人姉貴!」
クラピカ兄弟は、私達姉妹に背を向けて、帰って行った。
私は…またクラピカの背中を、ずっと見つめてしまう…
今日は話せないと思ってたけど…話せた。
「家入ろーお腹空いちゃった」
『うん…』
私と莉子は、家の中に入った。
その夜。
夕飯とお風呂を終えた私は、リビングのソファーでスマホを眺めていた。
……今日送ってくれた事…
LINEでお礼言った方がいいかな?
LINEを開いて、クラピカとのトーク部屋に行き文章を考える。
【今日は送ってくれてありがと。】
とりあえず文章を打ち込んでみる私。
素っ気なすぎる?
最後に「。」で終わるのは、感じ悪いかな?
【今日は送ってくれてありがと(^^)/】
絵文字使ってみた!
感じはいいけど、軽すぎるかな…
じゃあスタンプ?
スタンプの画面を開き、気の利いたスタンプがないかスライドしながら選ぶ。
ヅラにゃんこが「ありがと!」って言ってるスタンプあるけど…
なんか涙流してる絵だし、私が今回クラピカにいうありがとうとは、ちょっと違うよね…?
うーん…
「お姉ちゃーん」
わ!
突然、莉子が私の隣に座って来る。
LINEに夢中になってたから、ビックリした…
「ねー明日の土曜日、買い物に付き合ってくれる?友達の誕生日プレゼント買いに行きたいの」
『うん、いいよ…』
特に予定ないし…
なっ………!!
ふと持っているスマホを目にやったとき、私の背筋が寒くなった。
ス、スタンプ…
送っちゃった…
莉子が来てビックリした拍子に、指で押しちゃったみたい。
しかも、ヅラにゃんこが「がんばって!!」って言ってるスタンプだし…(汗)
なんで「がんばって」???
せめて「ありがとう」にしてよっ
いや、こんなこと言ってる場合じゃない!
直ぐに間違って送っちゃったこと、クラピカに言わなきゃ!
指を画面につけようとした時…
!!
クラピカから、レスが返ってきた。
<クラピカ{焼うどん失敗してしまった}>
え!
失敗したの?
スタンプの事には、触れてない…
とりあえず良かった?
私はすぐにレスした。
<凛{なんで?あれセットになってるやつでしょ?}>
<クラピカ{そうなのだが失敗した。焼うどんではなく、普通のうどんになってしまった}>
<凛{作り方どうりにやったの~?(;・∀・)}>
<クラピカ{クラウスに作り方を読ませて作ったら、失敗したのだよ}>
なるほど(汗)
クラピカの弟が失敗したのか…
<クラピカ{月曜会った時、簡単なレシピなどあったら教えてくれないか?}>
!!
<凛{いいよ。あと、今日は送ってくれてありがとう}>
送信!
送っちゃった…
素っ気なくも、スタンプもなくて…ちゃんと素直に送った。
ブブ…
クラピカからレスが来る。
<クラピカ{スタンプカードのお礼だ。おやすみ}>
…!!
胸がドキッと高鳴った。
顔が熱いよ…
日曜日。
終わった~
夕飯作るまで、ちょっと休憩しようかな…
そして夕方。
家事が一段落して、リビングでくつろぐ私。
莉子は友達と遊びに行っている。
私は朝から布団を干したり、シーツを替えたり、一週間分の家事を片付けた。
もうすぐ莉子帰って来るのかな…
お米だけ炊いとくか。
私はキッチンへ行き、お米を水で研いだ。
昨日は莉子と買い物に出かけたくらいで、特に何もなかった。
クラピカからのLINEもなかったし、帰りにスーパーに寄ったけど、クラピカとパッタリ…なんてことはなかった。
なんでだろ…
昨日からクラピカのことばかり考えちゃう。
焼うどん失敗したって言ってたけど…
昨日とかは、夕飯どうしたんだろう。
ちゃんと、作れたのかな。
そんなことを考えながら、ジャーに研いだお米を入れ、スイッチを入れた。
あ。
そういえば、回覧板回ってきてたんだっけ?
印鑑押して、隣のおばちゃんに回さなきゃ…
私は回覧板を持って、家を出た。
そしてお隣のおばちゃん家の、インターフォンを押し、出て来たおばちゃんに回覧板を回した。
「あ、そうだ!よかったら食べて」
おばちゃんから、苺が入った箱を貰った。
『うわあ♡こんなに頂いていいんですか?』
「いいのよ~この前家族でいちご狩りに行って、たくさん買っちゃったからおすそ分け。莉子ちゃんと食べてね」
『ありがとうございます!』
私と莉子も、苺好きだからラッキー♡
「お母さんは、また留守?仕事忙しそうね」
『そうなんです。連絡は取ってるんですけどね』
「そう…おばちゃんいつも家にいるから、何かあったらいつでも言ってね」
『はい、ありがとうございます』
軽く世間話をして、私はおばちゃん家を後にした。
うちは住宅街に密集する、建売の一軒家。
だからご近所さんも、割りと近い距離でみんな接している…
日頃お母さんが家にいないから、私の方がご近所さんとお付き合いしてるかも(汗
ま、みんないい人ばかりだからいいんだけど…
!
おばちゃんの家の門を出て、ふと空を見上げると…もう辺りは真っ暗だった。
莉子遅いな…
もしかして、もう帰って来てる?
「お姉ちゃん!」
家に戻ろうとすると、後ろから莉子の声が…
ちょうど莉子が帰って来たと思い、振り返ると…
『…………へ?』
莉子の後ろに、私服姿のクラピカが!!
『ク、クラピカ!?』
「あぁ…」
二人は私の前まで来て、立ち止まる。
なんで、莉子とクラピカが!?
まさか…実は二人、いい感じとか…??
それとも、クラピカが莉子にナンパ!?
クラピカは、実は莉子狙いなのかーーー!!?
「お前…変な想像しているだろう」
『え…(汗』
呆れ顔で、私を見つめるクラピカ。
「変な誤解しないでね!!クラウスのお兄さんが、私を助けてくれたんだから!!」
助けてくれた?
「友達と駅で別れて帰る途中、他校の男子に絡まれたの…怖いし困ってたら、たまたま通りかかったお兄さんが助けてくれて…」
「…………」
そう…だったの…
「女一人では危険なので送って来た。それだけだ」
『あ…』
そう…だったんだ…
『ありがとう、妹を助けてくれて…』
クラピカが偶然通りかからなかったら、もしかしたら莉子に何かあったかもしれないし…
「お兄さん、本当にありがとうございました」
「いや。だが暗くなったら余り一人で出歩かない方がいい」
「はい」
莉子がお礼を言うと、クラピカは冷静にそう言った。
「では…私は帰る。また明日な」
『あ…』
私達に背を向けて、クラピカが帰ろうとする…
『待って!』
私はクラピカを呼び止め、そして小走りで近づいた。
『ねぇ…もしこの後用事とかなければ…』
「…………」
『…う、うちでご飯食べてかない?』
恥ずかしい…
でも…このまま返すなんて、なんか申し訳なくて…
「…………」
『…用事があるならいいんだけど』
ス…
ポケットに手を入れ、スマホを出すクラピカ。
「…それなら、クラウスも呼んでも構わないだろうか?夕飯の用意をしてないのだよ」
『……う、うん!もちろん!!』
これをきっかけに、私とクラピカの距離が、少しずつ縮まっていく…
next…