純愛 番外編
ヒロイン名前設定
この小説の夢小説設定〇ヒロインの苗字と名前が設定できます。
無しの場合は、『水上 凛(りん)』になります。
〇ヒロインの妹の名前が設定できます。
無しの場合は、『莉子(りこ)』になります。
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「私は雪女!」
『私はデビル(女)!』
くじ引きの結果を報告し合う私と香奈江。
10月中旬の学校行事である”文化祭”の準備が、各クラス始まった。
私たち3年生にとっては、最後の文化祭。
やっぱり最後は最高の思い出を作りたい。
「この前のホームルームで、うちのクラスの文化祭の出し物何やるかで、超モメたよね(笑)」
香奈江が笑っている理由は、数日前のホームルームの出来事。
クラスで文化祭の出し物を決める際、なかなか決まらなくて、クラスで少しモメたからだ。
『そうそう(笑)最後まで”駄菓子屋”と”お化け屋敷”が残ったんだよね』
「多数決しても、両方同じ人数で決まらなかったから、結局両方やることになったよね」
『題して”駄菓子屋敷”!』
そう。
うちのクラスは、駄菓子とお化け屋敷が合わさった”駄菓子屋敷”をやることになった!
クラス全員がオバケや妖怪になって、駄菓子を売るの。
一時はどうなるかと思ったけど、発想の転換で、なんだか新鮮で面白いものに仕上がりそう♪
今引いたくじ引きは、文化祭の当日、それぞれ何のオバケになるのか決めるものだった。
くじ引きの結果…
私はデビル(女)で、香奈江は雪女になった。
本当はディ◯ニーのアリスゾンビとかやりたかったんだけどね(笑)
まぁくじ引きだから仕方ない。
『香奈江は雪女かー♪着物着るんだよね?香奈江肌も白いし似合いそう!』
「凛はデビル?……ってなに?」
『さっき実行委員に聞いたら、デビルは男と女がいるんだって。その女バージョンらしい…』
「そうなんだ!凛ならぜったい可愛いデビルになるよ♥」
『いやいや(汗)イメージ的には、赤のキラキラのミニワンピで、ばい菌みたいな、ツノとシッポをつけてって言われた(笑)』
「なるほどね~。ますます可愛いデビルになるね♥早速、放課後に家でお互いのコスプレのイメージ考えようよ!」
『そうだね♪』
ちなみに…
それぞれのコスプレの衣装は、自分で用意するのが決まり。
それも含めて女の子は楽しい。
私はコスプレするのが初めてなので、なんだかすごく嬉しい気持ちになっていた。
『ただいま!』
夜6時。
香奈江の家で、文化祭のお互いのコスプレのイメージを散々した後、家に帰宅。
鞄を置き、リビングに行くと…
「あ、お姉ちゃん。おかえりー」
と言って台所で野菜の皮を向いている莉子。
『ごめんね、私も手伝うから』
「いいよ、今日はシチューだから楽だし。明日はお姉ちゃん作ってね」
『了解♪』
チラッと横を見ると、クラウスくんとクラピカが洗濯物を畳んでくれていた。
二人もよく手伝ってくれるから家事が余り負担にならずにすんでいた。
莉子が作ってくれた夕飯のシチューを食べ終わった後、私はお母さんに電話をかけた。
『あ、もしもし?お母さん?』
「あら、凛ー!!どうしたのー?」
相変わらずテンションが高い声。
『あのさ、ミシンってどこだっけ?』
「ミシン?」
『文化祭で使うんだけどさー』
冷蔵庫を開けて、飲み物を出す。
クラピカはソファーでクラウスくんと莉子とテレビを観ている。
それを横目で見ながら、冷蔵庫からペットボトルの緑茶を出す。
『文化祭で、私のクラスはオバケのコスプレして、駄菓子を売るの!』
「へぇ~」
「…なにそれ(汗)」
お母さんとの電話中に莉子が入って来た。
『駄菓子屋かお化け屋敷でクラスでモメて…じゃあ、両方やればいいじゃんってなったの』
「変わったクラスだな」
その話にフッと、鼻で笑うクラピカ。
お母さんにミシンの場所を聞くと、私は電話を切った。
『クラピカのクラスは、文化祭何やるの?』
「ホスト喫茶だ」
『ホスト喫茶!?え、もしかしてクラピカホストやるの!?』
クラピカがホストなんてやったら女子ウホウホじゃん!!
「…私は断ったのだが、勝手に決められてしまったのだよ(汗)格好はホストだが実際はほぼウエイトレスらしい」
『ふーん…』
クラピカのホストかぁ~。
すっごく見たいけど、彼女としてなんかちょっと複雑。
「お前は、何のコスプレをするんだ?」
『!あ、えっと…デビル!』
「…?デビル?(汗)」
少し離れたところにいる莉子とクラウスくんも眉をしかめた(汗)
そうだよね(汗)
デビルって、なんかピンとこないよね。
『香奈江んちで、一応コスプレのイメージ考えて来たんだ』
廊下に置いてあった鞄から、ルーズリーフの紙をクラピカに渡した。
『どう?』
私がルーズリーフを見せると、2人がクラピカの元に集まってくる。
『どう…かな(汗)?一応、一生懸命考えたんだけど…』
みんなの反応を伺う。
「いいじゃん!かわいい♥私が代わりに着たい!!」
莉子は気にいってくれたみたい。
「何だこれ!?デビルって、こういうもんなのか??」
デビルっていうものについて、考え始めるクラウスくん(笑)
「…露出が多くないか?」
クラピカは、ボソッとそう言った。
文化祭当日。
がやがや
今日は、待ちに待った高校最後の文化祭。
私はいつもの登校時間よりも、遥かに早く学校に到着して、香奈江と準備に負われていた。
『香奈江いいじゃん!!めちゃめちゃ可愛い♥♥♥』
雪女のコスプレに着替えた香奈江に、私は興奮しっぱなし。
「そうかな?///」
雪女に変身した香奈江が、顔を赤くして照れている。
香奈江は真っ白い着物に、帯は水色。
髪はストレートで、化粧はいつもよりも濃いめにしてみた。
「でも凛の方が可愛い過ぎて負けるよー♥それ、作るの大変だったでしょ?」
香奈江が、私の着ているコスプレを指差した。
私のデビルコスプレも、無事に完成。
赤のキラキラミニワンピに、黒のブーツ。
それとツノのついたカチューシャをして、ワンピにはシッポもつけた。
髪はコテで巻いて、メイクはいつもより濃いめ。
『まあね。でもほとんどは妹に手伝って貰っちゃった(笑) 莉子、こうゆうの得意だし』
最後は、ほぼ莉子にやってもらったし(汗)
私は、買い出しくらいしかしてないよ(笑)
ホント、妹がいてくれてよかった。
「私も親に手伝ってもらった(笑) お互い当日に間に合って良かったよね」
『だね♪』
コスプレの姿のまま、香奈江とトイレへ。
すれ違う生徒達から、なんとなく視線を感じる。
コスプレって…初めてしたけど、やっぱりちょっと恥ずかしいな////
一人だったら、絶対出来ない。
そんなことを思いながら、トイレを済ませた私達は、教室に戻ろうと廊下を歩く。
その時見えてきたのは、クラピカのクラス。
私と香奈江は、なんとなくクラピカ達のクラスを覗いた。
「香奈江!」
教室を覗くと、レオリオが私達に気付き近寄って来た。
近くを見渡したけど、クラピカの姿はない。
レオリオもホストでスーツを着ている。
レオリオってまだ高校生だよね?
なのに全然違和感がないし、似合いすぎてもう大人のサラリーマンみたいな感じに見える(笑)
クラピカとレオリオのクラスは、『メイドクラブ☆ホスト喫茶』
イケメン男子はホストの格好をして、可愛い女子はメイド服でウエイトレスをするらしい。
「お♥いいじゃねーか、雪女!!すげぇ可愛いぜ!?」
レオリオの目線は、香奈江だけを促えている。
「あ、あんまり見ないでよ////」
「いや見る!!」
「……/////」
いーな、ラブラブで。
うらやましい~(泣)
「凛も、可愛いぜ!!」
『ハイハイ。いいですよ。気を使ってくれなくても(汗)』
私の言葉に、香奈江とレオリオが笑う。
『クラピカは?』
何気なく、クラピカのことをレオリオに聞く私。
「実はよ~クラピカのホストが女子に人気あり過ぎちまって、実行委員の連中に「来てくれた客に壁ドンか手の甲にキスをサービスでやってくれ」って頼まれて、そんでクラピカがキレちまってな。どっか行っちまったんだ(汗」
な、なにぃ~~~!?
壁ドンか手の甲にキス?!!
ちょっとここの実行委員!!
私の彼氏に何頼んでんのよーーー!!!
内心怒りで燃える私。
「レオちゃんはしないよね?」
香奈江は悲しそうな顔でレオリオを上目遣いで見つめて尋ねる。
「あったりめーよ!!香奈江がいんのにするわけねーだろ!?」
と言って香奈江の頭をポンポンと叩く。
香奈江は安心した表情に変わった。
「凛も心配すんな!クラピカは真面目だからぜってぇしねーよ。当番だしもうすぐ戻って来ると思うぜ?」
『うん…でも私達、もうすぐ行かないと…』
教室の時計を見て言った。
「そっか。私達、お昼まで駄菓子売る係りだもんね」
「ならそれ終わったら合流して、4人で回ろうぜ!!クラピカにもそう言っとくからよ!!」
『分かった~』
私と香奈江はレオリオと別れた。
どうか、どーかクラピカが女子にサービスなんてしませんよーにっ!!
…て、しないと思うけど。
もししたらただじゃおかないんだから。
モヤモヤしながらも教室に戻り、私と香奈江は駄菓子が並べられている長いテーブルを前にして、売り子の仕事についた。
教室は真っ暗。
壁や周りの装飾は、お化け屋敷そのもの。
この変わったスタイルにつられて、お客さんがたくさん集まって来た。
オバケに変装した生徒達が、たまにお客さんを驚かしたりして、私達のクラスは盛り上がりを見せていた。
お昼になり、私と香奈江はクラピカ達のクラスに向かった。
でも、クラピカとレオリオの姿がない。
私と香奈江は二人を探しながら、校内を回っていた。
私はスマホを取り出し、クラピカに連絡しようとした。
すると…
ドンッ!
『すみま…』
顔がサーッと青くなるのを感じた。
曲がり角でぶつかった相手は、私よりも背が高く、私の真ん前にはほどよく筋肉のついたたくましい胸があった。
そして近くの荒れてるってよく聞く高校の制服を着ていたことからその高校の生徒なのだろう。
制服の着崩し方からして不良だ…。
そう思いながら恐る恐る顔を上げてみる。
『…っひ』
…絶対この人不良だっ!!
髪はド金髪だし、後ろの友達はオシャレに刈り上げている坊主。
唇と耳には複数のピアスが付いている。
こ、恐い。
しかも3人組だったようだ。
隣の香奈江もさすがに強張った表情を浮かべている。
「気をつけろよ、女!!」
なんてぶつかってもいない人に言われながらも…
『す、すみません…』
と言って足早に通り過ぎようとする。
…が、すぐに。
「おい」
ビクッ!!
後ろから不良に声をかけられる。
もう…!何やってんのよ私!!
私はさっきまでの自分を恨んだ。
私は突然の出来事に声も出ず、ただ立ち止まっていた。
「おい、デビル女。聞いてんのかよ」
なんて少し荒っぽく言われ、仕方なく振り返る。
『…はい』
言葉を発したのは私とぶつかった人だと分かる。
…ど、どうしよ!
なんかいちゃもんつけられんのかな…!?
そんなこと考えていると…
「お前名前は?」
と聞かれる。
…は?
な、なななな、何?
名前なんか聞いてどうすんのよ…。
そう思いながらゆっくり相手を見上げ、口を開いた。
『水上…凛です…』
「凛か…」
何をされるのかと思うと恐くて私は俯く。
すると、男が近づいてきた。
……っひ。
「俺、佐熊 愁登(しゅうと)」
…は?
差し出された、手。
私は恐る恐る佐熊愁登と名乗る、私とぶつかった怖そうな男を見上げる。
「握手」
そう言って差し出した手をヒラヒラする佐熊愁登さん。
『あっ、はい』
思わず握手をしてしまった。
そんな佐熊愁登さんの後ろからヘラヘラと笑う男達。
…ば、ばかにされてんの、私?
そう思ったのも束の間。
男達は思いもしなかったことを口にした。
「愁登、まさかこの子に惚れたわけ?」
「そ。…凛、俺と回んねぇ?」
『っは、ひ?』
佐熊愁登さんの言葉に馬鹿みたいな声を漏らす。
香奈江も隣でビックリしているようだ。
男達はヘラヘラしながら言った。
「愁登マジー?」
「俺、こっちの子の方が好みなんだけど、あえてのそっち?」
…ムカ。
つい男達を睨んでしまった。
「あ?なんだよその目」
男の一人が近づいて来る。
やばっ。
『や、あのっすみま…』
怯えながらもそう言ったとき…
「お前ら凛に何かしたら殺すぞ」
…え。
佐熊愁登さんの言葉にただ驚く。
「愁登怖ぁー」
「はいはい、わかりましたぁー」
そう言いながら片方の男が私を睨み、言った。
『すみま、せ…』
「お前」
佐熊愁登さんが香奈江に言う。
まさか自分に振られると思っていなかった香奈江は…
「はいっ」
と怯えたように声を出しながら私にしがみつく。
「凛借りていい?」
「へ…?」
香奈江は間抜けな声を出す。
「だから、凛」
目付きが恐くて香奈江は涙目になりながらこくこくと頷く。
「じゃ行こ」
『ひゃ…っ』
佐熊愁登さんが私の手を握る。
後ろを振り返ると香奈江が泣きそうな表情でごめんねと手を合わせている。
なんかもう泣きたくなった。
「しっかしよー、初対面で惚れるとか初めてじゃね?」
「やっぱさっきの子の方が可愛くねェ?」
そう言う二人に佐熊愁登さんが答える。
「顔覚えてねぇ」
「お前って昔からそうだよな~」
「まじウケるわ~」
そう言う男達に若干イラつきつつも後が怖いから、睨むことも出来ずにただ俯く。
「でもまぁ今までの中では一番可愛いよな」
「めっちゃお似合いだな」
なんてハハッと気分の悪くなるような笑い声を後ろの男達が上げた。
「つかお前ら二人で回ってくんね?俺凛と二人で回る」
…え?
「ハハッマジ?」
「了解ー行こうぜ」
そう言って二人は去ってゆく。
…ちょ、やだ、待って。
3人いるのも嫌だけど、2人きりはちょっと…
そんなこと口に出来るはずもなくもう2人はいなくなってしまった。
同じ学校の人がやたら私と佐熊愁登さんを見てる気がする。
「あの子、彼氏乗り換えたの?」
「マジあり得ないんだけどー」
同じ学年の女子がすれ違い様で聞こえた。
乗り換えてません!!
早く逃げたい…!!泣
「凛さー」
『…はいっ』
何を言われるのかと思うと恐ろしくてしょうがない。
私はぶつかってしまった身だから。
「どっか回りたいとこある?」
『…はい?』
この人、マジで私と回る気?
『…えっと、佐熊さん…』
「愁登」
『へ?』
「愁登、って呼べよ」
そう言われて断る気にもなれず…
『しゅ、うと…くん』
と呼ぶ。
愁登くんは優しく微笑み…
「何?」
と言う。
こんな顔も出来るんだ…
そう思いながら私は怯えながらに話した。
『あの、私自分のクラスに行かないといけなくて…だからここで…』
なんて私の当番はもう終わったから何もない。
が、何とか愁登くんから逃れようと嘘をついた。
「分かった、じゃあ行こ」
え、そうじゃなくて…!
繋がれた手を引っ張られる。
『あのっ手…』
と言えば、愁登君は照れくさそうに手を離してくれた。
「あぁ、ゴメン」
クラピカもこれくらい顔に出してくれたらいいのにな。
なんてなぜ愁登くんが照れているのか分からないが微笑む。
「あ」
愁登くんの声に不思議そうに顔を浮かべれば
「笑った顔、可愛いなって思って」
なんて言ってくるから私はついドキッとしてしまった。
可愛いだなんて、クラピカ以外に初めて言われたよ。
私と愁登くんは私のクラスの駄菓子屋敷の場所に向かった。
愁登くんを駄菓子屋敷に連れて来ると…
客や同じ変装したクラスの子達も明らかに怯えている。
「水上さん、ちょっと誰よこの人」
と小声で同じクラスの女子(ナースゾンビ)が話しかけて来た。
『ぶつかって捕まってるの…(泣)』
「お客さん、あんたの連れ見てめっちゃ怖がってんだけど」
…私だって怖い。
「だからあの人連れて出てって?」
笑顔で言う女子に私は怯えるような目を向ける。
「でもあの人、結構顔は水上さんの彼氏に負けないくらいいいんじゃない?」
と女子にそう言われて、愁登くんに目を向ける。
ポケットに手を突っ込んで駄菓子の並べられたテーブルを見ている。
けど、綺麗な顔立ちはしていることは分かる。
でもクラピカの顔に勝とうだなんて、一億万年早いよ!
クラピカが一ッ番カッコイイんだから。
クラピカに会いたい…どこにいるの?
『でもあんなのと回るくらいなら私ずっとここに居るから』
聞こえないようにひそひそ話す。
「ちょっ、それはマジで困るって!文化祭だし、回って楽しんで来なよ」
…良いこと言ってるようだけど、この子は私をさっさと追い出そうとしてる…っ。
”売り上げが下がるのは勘弁して”
そんな目をしてるもん。
「そんなこと言ったってねぇー」
なんやかんやで言いくるめられてしまった私は、それから10分も経たないうちに追い出された。
『しゅ、愁登くん』
恐る恐る声をかけてみる。
「おー、行くか」
そんな言葉に私はこくこくと俯く。
その際、笑顔で…
「ありがとうございましたー♥」
なんて言ってくる女子を睨み付けてやった。
せっかくの高校最後の文化祭なのに…
クラピカと回らないで、こんなヤンキーと回って…
私なにやってるの?
もう帰りたい…
少し歩くとクラピカとレオリオと出くわした。
「水上か!?」
レオリオが私と愁登を見比べながら目を見開いて言う。
クラピカが私に冷たい視線を送る。
そして私の格好を見て、眉をしかめた。
『レ、レオリオ、クラピカ』
だいぶ引き攣った笑顔で声をかけた。
「香奈江は?」
レオリオに尋ねられて、答える。
『わかん、ない…』
「つか、隣の人は誰だ…?」
聞くなって方が難しいけれど、触れて欲しくなかった。
『えっと…』
「K高校の佐熊愁登だ。てかお前、凛の何」
私が言葉に詰まると愁登くんがレオリオを睨み付けながら言った。
「え、俺か?」
そう言いながらクラピカをチラチラと見る。
クラピカは少し怖い顔で知らん顔だ。
「…水上は俺の彼女の友達だ。俺はレオリオだ」
レオリオが普通に答えると、愁登くんは睨み付けながら言った。
「そうか、俺の凛に馴れ馴れしく話しかけんじゃねーぞ」
…ハァ!?
いやいやいや、あんたのものになった覚えないし!!
つかクラピカめっちゃ勘違いしてる!?
「行くぞ」
そう言って私の手を引いて歩き出す。
手を引っ張られながらクラピカの方を見ると、不機嫌な顔をしたクラピカと目が合った。
何か考えてんのかな?
クラピカの顔からは何も読み取れなかった。
「凛どっか回りたい?」
『…えっと、愁登くんの好きなところがいいです』
いつキレだすか分からなくて、怒らせないように私は恐る恐る言った。
「ハハッ、凛マジ可愛いな」
そう言いながら愁登くんが私の頭を優しく撫でた。
「じゃ、あそこ行くか」
そう言った愁登くんの指した方向はお化け屋敷。
お化け屋敷を出たとき、愁登くんは大爆笑。
「ハハハッ凛マジでウケる!!オバケとか凛の顔見て逃げてるしな!」
そんな風に言われてつい、思ったことを口にした。
『なっ私の顔じゃないし!愁登くんの顔が怖かっ…』
途中で自分が何を言っているのかに気が付いた。
『っすみません』
そう言うと愁登くんはニコリと微笑む。
「いや、いいよ。凛っぽかった」
『私っぽい…?』
「俺に遠慮なんかすんなよ」
…無理でしょ。
そう思いながら愛想笑いを浮かべる。
その後もいくつか周り、文化祭1日目を終えた。
「じゃあな、明日も来るかも」
『そうなんですか』
出来れば…いや、絶対来ないで!!と強く願う。
そして、愁登くんが帰り、私は安堵のため息を漏らす。
そのあと学年で集まって話をしてから今日は解散することになった。
今日は香奈江に悪いことしちゃったな…。
や、香奈江が私を見捨てたんだけどね!
でも私がもし香奈江の立場なら同じことしたかも。
だから、仕方ない。
そう思いながらキョロキョロと辺りを見回して香奈江を探す。
「誰を探している」
後ろから低い声がした。
『クラ、ピカ…』
私に声をかけてきたのはクラピカだった。
『や、香奈江を…』
「永井はレオリオと帰ったぞ」
『マジ?早…』
帰っちゃったんだ…。
ちょっとショック。
ふとクラピカに目をやるとまだホストの格好をしていることに気が付いた。
…クラピカのホスト姿、カッコよすぎる♥
ちゃんと一日、その姿目に焼きつけときたかった…(泣)
『…着替えないの?』
そう聞く私にクラピカは冷たく答える。
「着替える」
少しの沈黙が流れる。
『…じゃあ私、下駄箱で待ってるね』
「あぁ」
そう言って去って行くクラピカの後ろ姿を見ながらマイペース男め、と心の中で呟く。
私は一人で下駄箱へと向かい、クラピカを待つことにした。
スマホを見ると、香奈江からLINEが。
<香奈江{今日は本当にごめんね。お疲れ様(/_;)明日もあの人来るの?明日は来ないといいね…}>
<凛{大丈夫だよ。明日は来るかも、とか言ってた(T_T))}>
と返すと…
<香奈江{そっかぁ…明日は絶対4人で行動しようね!!}>
その後も香奈江とLINEし合っていると…
「待たせたな、帰るぞ」
と着替え終わったらしいクラピカがやって来た。
そう言って歩き出すクラピカ。
…なんかちょっと怒ってる?
私は慌ててクラピカの後を追った。
「…お前、今日の男は知り合いか?」
愁登くんのことだろう…。
『違うよ、廊下でぶつかっちゃってさ。私に仕返ししたかったんだと思う。何もされなくてよかった…』
私が安堵の息を漏らすと、クラピカが尋ねる。
「何かされると思った、とは?」
『何って…』
ぶつかったこと弱味にしておごらされたり、殴られたり、屈辱的なことさせられたり…?
私は自分が予想していたその『何か』を頭に浮かべる。
黙る私にクラピカは不機嫌な表情で口を開く。
「何かされるかもしれない相手に、ノコノコ着いて行ったのか」
なんてトゲのある言い方で言われる。
『私だって怖かったんだからね!?人の気も知らないで…』
「そうか、だが相手は優しそうだったな」
『どこがっ?常に私を脅すこと考えてたよ、絶対』
完全不良な愁登くんを思い浮かべてゾッとする。
「相変わらず鈍感だな」
クラピカがポツリと呟いた。
『えっ?どうゆうこと?』
そう聞くがクラピカは話すのが面倒臭いのかなんなのか、口を閉じた。
『…もう、シカト?…はぁ、明日も来たらどうしよう。明日こそ何か仕掛けてくるよ..』
私は独り言を呟く。
きっと…
「今日は俺の為におごってくれるんだろ?」
って言って来て、もし逆らったりなんてしたら…
「ざけんじゃねーよ!昨日人に体当たりしてきた奴は誰だよ!!」
なんて言いながらきっと私に色んなものを買わせて、荷物持ちさせられて、きっと順番待ちも私一人にやらせて…
なんて考えだすときりがない。
明日で高校最後の文化祭なのに…嫌だよ。
その時、クラピカが口を開いた。
「明日は絶対、一緒に回るぞ」
『え?』
クラピカのいきなりの言葉に私はびっくりする。
「奴と回りたいのなら話は別だが」
素っ気なく言うクラピカに私は尋ねる。
『回ってくれるの!?』
「初めからその予定だっただろう」
そうだ、二日間一緒に回ろうねって言ったのは私だった(汗)
『うん!回る!…つか、絶対回ります!!』
必死に言う私に、クラピカはフッと鼻で笑って…
「明日は私から離れるな」
と言って私の手を握り締めてきた。
『うん』
私は安心したのか、ちょっとだけ涙が出そうになった。
明日は絶対、クラピカと文化祭回れますように‥
だが文化祭二日目は、思いがけない出来事が待ち受けていたーーー…
next…