純愛 番外編
ヒロイン名前設定
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がやがや。
『あつ~』
昼休み。
私と香奈江は廊下のロビーでお弁当を食べ終えた後、すぐ側の自販機で買ったジュースを飲みながら話してた。
すると、自販機でジュースを買い始める同じ学年の女子達の会話が聞こえてくる。
「期末テストのトップ、また4組のクラピカくんねー」
「そう、トップでその上全教科満点よ!凄いよね~♥」
初耳だった香奈江は目を丸くして、私に話しかける。
「え、クラピカくんまた満点だったの?本当すごいね♪」
『うん、凄すぎて人間じゃないかも』
どうすればあんな天才になれるんだろう…
頭もいいし、スポーツも出来るし、顔もいいしぜんぶ完璧。
時々自分が彼女なのが申し訳ないくらい。
すると、女子達の中にいる一人の女子とバッチリ目が合った。
その子は、学年で男性人気ナンバーワンの川村 美姫。
顔も可愛くて、スポーツ万能、頭も良くて…私と正反対。
「あなたがクラピカくんの彼女さんの水上さんよね?」
そう言って川村 美姫さんは笑顔で私に話しかけてきた。
『あ、うん…そうだけど』
「クラピカくんと付き合ってどれくらいなの?」
初対面なのになんでそんなこと聞いて来るんだろ?
疑問を浮かべながらも答える私。
『…2年3ヶ月だけど』
「正直、クラピカくんと水上さんって釣り合わないわよね~」
自身気に言う川村さんにちょっとムカってきた私。
『何が?』
すると、女は長い髪を後ろに流すと…胸を強調してきた。
見たところ…多分Fカップはあるかも。
自分のを見ると…Bカップで負けた気がした。
『クラピカも…胸の大きい子が好き?』
「当然でしょ、クラピカくんも男なんだから。もしかして…まだクラピカくんとシてないの?」
ギクッ
『そ、そんなこと…』
慌てて答える私に川村さんは笑った。
「その顔はまだしてないんだ~。もう付き合って長いわよね?その胸じゃ抱く気も起きないわよね~。まぁ、せいぜい頑張ってね♥」
そう言い残し、川村さんは友達とその場を後にした。
な、何なのよ…
超ムカつくんですけど!!
まったく、私に嫌味を言いたかっただけ?
「ムカつくね…凛、あの子の言ったこと気にしない方がいいよ。凛はクラピカくんの彼女なんだし、堂々としてればいいんだよ」
優しく励ましてくれる香奈江にじーんときた私。
『香奈江~っ』
私は香奈江に抱き着いた。
そうだよ、私はクラピカに選ばれた彼女なんだもん。
もっと堂々としなくちゃ。
クラピカは絶対に誰にも渡さないんだから!
帰り道。
私はいつも通りクラピカと並んで歩いていた。
二人の間に沈黙が続く。
私はさっきから変な考え事をしていた。
…やっぱりクラピカも18の男だし、もちろん性欲はあるよね?
本当はエッチな本とか…読んでるのかな?
クラピカがエッチな本を読む?
うーん、ぜんぜん想像つかない。
部屋のベッドの下に実は隠してるとか?
一度確かめてみたい!
でも、勝手にそんなことしたら怪しまれるしなぁ…
川村さんが言ってたように、きっと胸の大きい子の方が好きだよね。
あの子は色気があったけど、私なんて全然色気とかないし。
だから、キス以上のことは求めてこないのかなぁ?
もう付き合って2年3ヶ月は経つし…しかも、一緒に住んでるんだし、シててもおかしくないよね?
でもうちは弟妹がいるし、2人きりにならないからなー。
でもその前に、私の心の準備が…
「…凛」
『へ?』
呼ばれて我に帰った私。
「また考え事か?」
『え、いや…その…』
どうする?思い切って聞いてみる?
『あ、あのさ…クラピカは、その…』
「何だ?」
『お、男の子だし…やっぱり、む、胸の大きい子が好きなのかなって…』
「………」
予想だにしていなかった質問に、クラピカは驚きの顔を浮かべる。
「何を聞いてくるかと思えば…」
呆れた顔で言うクラピカに私はもう一度尋ねる。
『ねぇ、どうなの?本当は好きなんでしょ?』
「好きか嫌いかなど考えたことはない」
『そうなの?』
「そんなことより、今日母さんが来る」
『え!?』
聞かされていない報告に目を見開く。
『そうなの!じゃあ、私のお母さんもかな?』
「何も連絡来てないのか?」
『うん、何も連絡なしに帰って来ることの方が多いしなー。多分帰って来るかも』
あ、じゃあ夕飯は食べに出掛けるかもな。
帰って来る度に出前か外食だし。
今日は作らなくていいからラッキーかも♪
真っ直ぐ自宅に帰ると、私は自分の部屋で制服を着替えた。
前身鏡で自分の胸の大きさをチェックする。
もうちょっと大きかったらなー。
ふと目が移動したのはタンスの二番目の引き出し。
そこを開けて、靴下を取り出す。
靴下を折りたたんで、ブラと胸の間に両方詰めてみた。
そしてもう一度鏡でチェックする。
…うん、これでちょっと大きくなったかも♥
その時…
ピンポーン。
家のインターフォンが鳴り、莉子が代わりにドアを開ける音がする。
少ししてから下に降りると…
玄関にはお母さんとクラピカのお母さんの姿が。
何やら玄関で莉子も入れて三人でこそこそと話している。
なに話してるんだろ?
『おかえり~』
声をかけると、お母さんが慌てて私に話しかける。
「凛!ちょっと私達今日はお偉いさんに呼ばれててまた出掛けなくちゃ行けないのよ~!夕飯はクラピカくんと何とかして!いい?」
『え?莉子達も連れてくの?』
「そうよ~莉子とクラウスくんにも会いたいみたいなの!」
そう言って家を出るお母さん。
「ねぇ、兄ちゃんは?」
尋ねるクラウスくんにクラピカのお母さんが…
「受験生は勉強があるから行けないのよー。クラウスも、ほら早く行くわよ」
そう言って無理矢理クラウスの腕を引っ張る。
莉子も連れて行くお母さんに、私は慌てて声をかける。
『ちょっとお母さん!』
「あんた達は来ちゃダメだからね!戸締りしっかりね!じゃあね~」
「お姉ちゃん、バイバーイ♪」
笑顔でそう言って、お母さんと莉子達は家を出て行った。
バタン。
残された私とクラピカは呆然と立ち竦む。
え…ちょっと待って。
クラピカと二人きり?
二人きりで家とか初めてだし、どうしよう…
ちょっと緊張してきた。
「夕飯、どうする?」
いつも通りの真顔で問いかけるクラピカ。
『あ、そうだね…どうしよっか』
てっきり外食か出前かと思ってたから、何も買ってないし…。
悩んでいるとクラピカがピザのチラシを持ってきた。
「久々にピザでも取るか?」
『あ…うん、そうしよ!』
ピザ取るのなんて久しぶりだし。
私とクラピカはピザのチラシを見て、どれにするか選ぶ。
照り焼きチキンピザLサイズ一枚に決めてから直ぐに電話をかけて注文した。
そして30分後。
注文したピザが来て、玄関先でお金を払った後、キッチンに戻ると…
クラピカがダイニングテーブルに二つのコップとお皿を並べている。
いつもならピザを注文した時、みんなが先にピザを食べてるのに…
今日は二人きりなんだと実感がわく。
クラピカと一緒に住んでだいぶ経つのに…
二人きりは初めてだから、緊張してしまう。
「食べよう」
『あ、うん』
食べてるとこ見られるのが恥ずかしいから、クラピカの隣に座る私。
クラピカは不思議そうに私を見つめると、ピザに手をつけ始めた。
「夕飯で二人きりは、初めてだな」
そう言って、ピザを食べるクラピカ。
『うん、そうだね。なんか静か…』
こうして二人でご飯食べるなんて、まるで結婚したみたい♥
クラピカの隣で一つのピザを食べる。
なんか幸せ。
黙々と食べ終わると…
「先にシャワー借りるぞ」
そう言って席を立ち、食器を台所に運ぶクラピカ。
『うん…』
いつも言ってることなのに、今日は一段とドキッとしてしまう。
クラピカは着替えを持ってバスルームに向かった。
その時…
テーブルに置いてあるスマホに電話がかかって来た。
着信:お母さん
何だろう?
『もしもし?』
「あ、凛?あのね、今から皆とカラオケに行くことになっちゃって~!」
『カラオケ?』
「そう。悪いんだけど、今日は帰りが遅いから先に寝ててくれる?」
…カラオケかぁ。
電話からはワイワイとにぎやかな声が聞こえる。
『いいな~楽しそう!』
「凛も来る?」
『ん~行きたいけど、明日は数学の小テストがあるから勉強しなきゃ』
「あら、そ~お?ごめんね、凛達は勉強なのに」
『ううん、せっかくなんだし皆で楽しんできてね』
「は~い!じゃあね~」
そう言って電話が終わり、数分後。
ガチャ
クラピカがタオルで頭を拭きながらバスルームから出て来た。
何度見ても、髪が濡れてる姿にドキッとしてしまう私。
『あ、お母さん達、これからカラオケだから帰りが遅くなるって』
「カラオケ?」
『うん、だから先に寝ててだって』
「そうか」
そう言って冷蔵庫からお茶を出すクラピカ。
シャワーどうしよっかな…
今はめんどくさいし、テスト勉強してからにしよ。
『私、明日小テストだから部屋に戻るね』
「あぁ」
私は部屋に戻り、明日のテスト勉強を始めた。
…30分後。
問題集の問題が一つも解けず、答えも全然合わない。
あーさっぱりわからない!!
イライラしてくる~!
こんなんじゃ明日の小テストヤバいよぉ(汗)
私は問題集とシャーペンを持って、リビングに向かった。
でもリビングは電気が消えて、クラピカがいない。
部屋かな?
私は戻ってクラピカの部屋をノックした。
「どうぞ」
クラピカの声が聞こえて、ドアを静かに開ける。
部屋を覗くと、クラピカはベッドに座って本を読んでいた。
『あの…ちょっと時間ある?』
「…何だ?」
私は部屋に入ってクラピカに近づく。
『ごめんね、実は分からないところがあって、解き方が付いてなくて…』
じっと助けを求める眼差しでクラピカを見つめる私。
クラピカはため息をついて、読んでいた本を下ろすと私に目を向けた。
「何処が分からないんだ?」
『ここ!ここなの!』
私は直ぐ持っていた問題集を見せて、分からない問題に指差した。
その問題集を見るクラピカ。
「…これの何が分からないんだ」
『え?』
目を大きくする私。
互いに目が合うと、クラピカはもう一度ため息をつく。
そして、問題集に解き方を書き出した。
書き始めてから10分後。
「ほら、これでいいだろう」
そう言って教科書を渡すクラピカ。
問題集を見ると、ぎっしりと分かりやすく解き方が書かれている。
『わぁ~ありがとう!ホント助かった!』
笑顔でそう言って部屋を後にする私。
自分の部屋に戻って椅子に座ると、その問題集を読んだ。
なるほど~こう解くのかぁ…
すごく分かりやすい。
さすがクラピカ♥
これだったら次のページも出来るかも♪
再び勉強をし始めて、また20分後。
私はもう一度問題集を持ってクラピカの部屋のドアを開けた。
『あの~ちょっといい?』
目を向けるクラピカに苦笑いで問題集を見せる。
『もう1問だけ』
そしてまたまた10分後。
再びクラピカのドアを開けると、クラピカはベッドに入った頃。
『あ、寝ちゃうの?実は、次のもちょっと…』
そしてまたまたまた30分後。
時刻は夜11時を過ぎていた。
…あ~わかんない。
もうどうしよう…わかんない~!
頭が痛いよぉ~(泣)
クラピカ…寝ちゃったかな?
私は問題集を持って、最後にもう一度クラピカの部屋へ。
静かにドアを開けると…
部屋の電気は真っ暗、クラピカはベッドで静かに寝ていた。
やっぱ寝ちゃったかぁ…
ドアを閉めようとした時、ふと魔がさした。
この部屋にエッチな本とか、実は隠してるのかな?
クラピカの部屋を覗くには今がチャンスかも!
よく寝ちゃって…気が利くじゃん♪
私は音を立てないように忍び足で部屋に入った。
エッチな本とかって普通ならベッドの下に隠してるとかいうよね?
クラピカのベッドに近づいて、ベッドの下を確認する。
…あれ、ない。
ってことは、クラピカは実は性欲がないってこと?
ま、まさかね。
実は違う場所に隠してるとか…
机に向かおうとした時。
ガコン
ぶつかって横の空のゴミ箱が倒れてしまった。
!!
心臓が飛び跳ねる。
私は急いでクラピカを見た。
大丈夫、起きてないみたい…
セーフ。
ふとクラピカの寝顔を見た時…
可愛くて思わず見とれてしまう。
クラピカがエッチな本なんて持ってる訳ないか。
部屋に戻ろっと…
立ち上がり、部屋を出ようとしたその時…
ガシッ
『ひゃっ!!』
後ろから腕を掴まれた。
振り向くとクラピカが起き上がって私をじっと見つめている。
「何をしている、こそ泥みたいに」
『いや、あの…探し物があって…』
慌てて言う私を見て、クラピカはフッと笑った。
「下手な言い訳だな。よりによって誰もいない時に探し物か?」
『え、でも本当…きゃっ!』
クラピカは掴んでいた腕を強く引いて、私をベッドへと押し倒した。
私の上に覆い被さるクラピカ。
どどどうしよう…!!
『ちょ、ちょっと待ってっ』
「何が待てだ、そのつもりで来たのだろう」
『ち、違うよ…っ』
「私はずっと凛と二人きりになりたかったのだよ。今この家には私達しかいない。…凛、心の準備はいいか?」
『何言って…んんっ…!』
そう言って私の唇にキスをするクラピカ。
そして、舌を絡ませる。
『んっ…ふぅっ…』
ドキドキし過ぎて息が苦しい…!!////
唇が離れたとき…
『い、今じゃなくても…!』
「いや、私は今がいいのだ。何よりこれ以上我慢できる自信がない」
クラピカは震える私をキュッと抱き締めた。
「大丈夫だ…絶対に優しくする…」
そう言って私のTシャツのすき間からそっと手を入れて、下着を触った。
ハッ!
ちょっと待って…
下着の中には靴下が!!
これがバレたら恥ずかしいなんてもんじゃない!!
『さ、触らないで!!』
私は大声を出して、クラピカの手を止めた。
『ま、まだ心の準備が出来てないの!だから…ゴメンッ!!』
慌ててそう言って、私はベッドから降りて勢いよく走って部屋を出た。
バタンッ!
ドアを閉めてから、私は正気に返った。
あ…
私、こんな風に断って…
クラピカを…傷つけちゃったかも。
どうしよう…!
でも、もうドアを開ける勇気が、ない…。
私はそのまま自分の部屋に戻った。
私、バカだ。
クラピカにずっと我慢させて、せっかく二人きりになれたのに。
触らないでなんて…あんな酷いこと。
もう嫌われちゃったかも…。
私の目からとめどなく涙が溢れ出る。
その日の夜、私は泣き続けていつの間にか寝てしまった。
翌日。
今まで起きた朝で一番最悪な朝。
いつも通りに起きて、莉子と朝食の準備をする私。
その日の朝はお母さんとクラピカのお母さんもいた。
昨日は夜中の0時頃に帰って来たみたい。
お母さんに付き合わされた莉子とクラウスくんはおかげで寝不足だった。
「あら、お兄ちゃんおはよう。昨日はごめんね」
「いや…」
クラピカのお母さんがリビングに来た制服姿のクラピカに声をかけた。
思わず背筋がピンとなってしまう私。
昨日のこと、怒ってるかな…?
私は思い切ってクラピカに挨拶すると…
『クラピカ…おはよ』
「……おはよう」
クールに冷たく返された。
「もうお兄ちゃんたら、相変わらず愛想がないんだから」
「カッコイイんだからいいじゃない。さ、食べましょう!美味しそうーね♪いただきまーす」
朝から元気なお母さんは私と莉子が作った朝ご飯を食べ始めた。
皆で朝食を済ませて、出掛ける支度が済み、玄関に向かう私とクラピカ。
するとお母さんが呼び止めて来た。
「クラピカくん、ちょっと凛と話があるから先に学校行っててくれる?」
『話?もう行かなきゃいけないんだけど…』
「いいから!」
「…分かりました。行ってきます」
そう言って靴を履いて家を出るクラピカ。
『何?』
私はお母さんに問いかけた。
「お母さん達、今週の日曜日までいるからね!で、どうだった?」
『え?』
「どうだったのよー!」
なんだか楽しそうに尋ねてくるお母さん。
『何が?』
「昨日二人で過ごしたんでしょ!クラピカくんとはまだなんだって?だからわざと二人きりにしてあげたのに~♥」
『え!?』
私は学校に行こうとする莉子を見た。
莉子は勘付いたのか、笑顔で謝ってきた。
「ごめんねお姉ちゃん、言っちゃった♪」
言っちゃった♪…っておい!!
『ちょっと莉子!!』
「行って来まーす!!」
「俺も行ってくる」
逃げるように莉子は家を出て、クラウスくんも平然とした顔で家を出て行った。
「凛ちゃん!どうだったの?」
クラピカのお母さんにも同じことを聞いてくる。
『…特になにも』
「ウソでしょ!?本当なの!?」
「クラピカったらあれでも男なの!?信じられない!」
ビックリするお母さんとクラピカのお母さん。
『いえ、私が悪いんです…学校行ってきます』
そう言って私は家を出て行った。
「あら、何かあったのかしらね…」
とお母さん達は心配そうな表情を浮かべている気がした。
クラピカ、まだそんな遠くに行ってないよね?
私は登校道を走った。
すると、遠くにクラピカの後ろ姿を見つける。
私はその後ろ姿を追いかけて、クラピカを呼んだ。
私に気がついたクラピカは、歩く足を止める。
『ハァ…ハァ…一緒に行こ!』
「………」
何も言わないクラピカ。
やっぱりちょっと怒ってるように見える。
私はクラピカの隣に並んで歩き出した。
「…………」
『…………』
しばらく沈黙が続き、二人の間に足音しか聞こえない。
どうしよう…気まずい。
昨日のこと、謝らなきゃ…
『…あの、昨日は…ごめんね』
顔色を伺いながら真剣に謝ると…
「…いや、私の方こそ無理矢理してすまなかったな」
そう言って謝るクラピカ。
『クラピカは全然悪くないよ。私がその…』
勘違いさせちゃったし、ひどい断り方したから…。
「お前は…」
私の顔を見ずにクラピカが低い声で尋ねてきた。
「私に求められるのが嫌なのか?」
『え…』
突然のその質問に思わず赤くなる私。
『い、嫌じゃないけど…』
寧ろいっぱい求めてほしいよ。
でも自分から突き放しておいて、私自分勝手だ…。
『私のこと…嫌いになった?』
怖いけど思い切って聞いてみた。
クラピカは私を見ずに前を向いたままクールに答える。
「そんなことで嫌いになる訳がないだろう。ただ…」
『ただ?』
「時々お前が分からなくなる」
そう言われた時、気がつけば駅に辿り着いていた。
そりゃそうだよね…
もし私がクラピカの立場だったら、同じこと思うよ。
本当、ごめんね…クラピカ。
お互い謝ったものの気まずい雰囲気は学校に到着するまでずっと変わらなかった。
そして放課後。
クラピカからLINEが来た。
<クラピカ{用事があるから先に帰っててくれ}>
今日一緒に帰れないのか…。
まだ怒ってるのかな?
何の用事だろう?
私は香奈江とレオリオと三人で下校するため、下駄箱へと向かっていた。
「A大?」
『そう、面接で私に今入れる大学はそこしかないって先生に言われた。社会科学部だって。香奈江もでしょ?』
「うん。私も同じ」
『でも書類が通っても面接で落とされちゃうって話だよね、ちゃんと受かるかなぁ』
「いいなァお前らは大学も同じでよォ。オレもA大にすっかな」
レオリオの発言に香奈江が首を傾げる。
「え?クラピカくんと一緒じゃなくていいの?」
「アイツは天才だからな。天才には天才の大学だし、オレには到底ムリだ」
そういえば、クラピカはどこの大学に行くのかも全然聞いてなかったな。
私の頭じゃクラピカと同じ大学になんて行ける訳ないんだけどさ。
気になるなぁ…
「…あ、あれクラピカくんじゃない?」
そう言って香奈江が立ち止り、通りかかった教室を覗いた。
『え?』
「我が校は歴史と伝統を誇る学校でして、多くのエリートを輩出しています」
その教室にはクラピカと知らない男性だけで向かい合って座り、何やらその男性から説明を受けている。
あの人、誰かな?
私はじーっとクラピカとその男性を見つめた。
たぶんあの人、きっと大学の人だよね?
推薦かな?
高校卒業したら、学校もバラバラになっちゃうのか…。
同じ学校に通うのが当たり前みたいになってきてるから…
一緒に住んでても、学校が違うってなったら急に距離が空いた気がするな。
しかも、大学なんて可愛くて綺麗な女の子だっていっぱいいるだろうし。
はぁ…やだな。
ずっとクラピカと一緒にいたいよ…。
「え、靴下!?あはははっ」
『もー笑わないでよ~』
今日一日落ち込んでいた私を心配してくれた香奈江は、うちの部屋に遊びに来てくれていた。
「ごめんねっ。でも、凛可愛いなって思って」
『全然可愛くなんかないし。はぁ…もう彼女としての自信がない。いつか嫌われそう~(泣)』
大きめのヅラにゃんこのぬいぐるみを抱えて顔を埋める私。
「大丈夫だよ!そんな靴下ぐらいでクラピカくんが嫌いになる訳ないじゃん!」
『そうだけど…もう触れてもくれないかも』
「まぁ…男の子だからショック受けたかもしれないけど、凛から誘っちゃえば一見落着よ♪」
『私から?ぜっったいムリッ!』
ただでさえキスで超緊張しまくりなのに、自分から誘うなんてそんな度胸ない。
「大丈夫だよ!クラピカくんはそこら辺の男子と違って真面目で誠実なんだから♪デキなくてもずっと凛を想ってくれる人だよ」
『うん…でも付き合って長いしな。そろそろクラピカも我慢の限界がありそうな…』
「じゃあ自分から誘っちゃう?」
『う~ん…』
「ふふ♪」
完全に面白がってる香奈江。
『そーゆう香奈江だってまだなんでしょ?』
「うん、恥ずかしくて出来ない///」
香奈江、人には誘っちゃえ♪とか言うくせにぃ。
『やっぱ恥ずかしいよね…』
そんなガールズトークをしばらくしてから…
「暗くなるし、私そろそろ帰らなくちゃ」
『そうだね』
香奈江と一緒に下に降りた。
下のリビングにはお母さんとクラピカのお母さんがダイニングテーブルで仲良く話している。
「あらもう帰るの?夕飯、うちで食べてったら?」
話しかけるお母さんに香奈江は慌てて答える。
「え、いえ!母が用意してますから…」
「そう?…あ!そうそう!今週の金曜日、皆で海に行くんだけど香奈江ちゃんも行かない?」
え、海!?
初耳の私は目を大きくした。
『お母さん、私聞いてないけど!しかも学校あるし…』
お母さんは楽しそうに話す。
「今日決まったのよ!学校は休めばいーじゃない。香奈江ちゃんは水着だけ用意してね♪他は私に任せといて♥」
「あ…はいっありがとうございます!」
嬉しそうにお礼を言う香奈江。
もう、お母さんたら相変わらず勝手なんだから…。
私は呆れたようにため息をついて、尋ねる。
『なんで急に海なの?私水着持ってないし』
「水着なんてもー買ってあるからいいのよ。夏休みはほとんど受験勉強で忙しいんだし、遊ぶなら今のうちだと思ってね♪それにママも久しぶりに海行きたいから!」
笑って話すお母さんにクラピカのお母さんも口を開く。
「一泊二日でね、海でいっぱい遊んで海の前にあるホテルでその日は泊まろうとひとみちゃんと計画してたの♪私達もこんなに長くいられるのなんてめったに出来ないから」
そうだったんだ…
黙って話を聞く私にお母さんがイタズラな笑みを浮かべて話しかける。
「部屋も彼氏と一緒にしてあげるから安心しなさい」
え!?一緒の部屋?!///
『いいよ!!そんなことしなくたってっ!!///』
「恥ずかしがらなくてもいいのよ凛ちゃん!私達、二人のお付き合いには大賛成してるんだから♪将来は是非私の娘になってほしいから♥」
娘って…つまり結婚?!!
『そんなっ…///まだ結婚だなんてっ///』
想像して思わず顔を赤くしてしまう私。
「可愛い凛ちゃん♥」
「まぁそうゆう事だから、明日には準備しときなさいよ?」
そう言ってお母さんは目の前のクッキーを食べる。
突然決まった家族と彼氏と親友と…
一泊二日の海旅行。
クラピカと二人きりになれるチャンスがまた訪れる。
しかも今度は同じ部屋で一晩過ごす。
今度の旅行でこそ、私の処女は奪われちゃうかもしれないけど…
なんとなく昨日、クラピカに求められて嫌じゃなかったのは…クラピカだからだと思ったのは、私だけのヒミツ。
next…