純愛 番外編
ヒロイン名前設定
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キーンコーン
カーンコーン
いつものように最終ホームルームのベルが鳴り響いている。
「それじゃあ、これで連絡等は以上だ。今日からテスト一週間、お前らにとってこれで一学期の成績が決まるからな。しっかり勉強しろよー」
担任の先生が終了間際にそう言って教室を後にする。
「あーどうしよう、凛。もうテストまで一週間切っちゃった…」
香奈江は私の前の席に来て、私に向かいながら言う。
『そうだねー、さすがに期末は勉強しないとね。中間もひどかったし…』
私達が高校生になってからもう夏間近になりかけてる。
楽しみの夏休み前に必ず越えなければならない課題…期末テストだ。
しかも大学受験を控える3年生は、一学期の成績が大きく関わる。
やっぱ大学は行きたいしな…。
でも私、成績もそんなによくないから…行ける大学があるかだけど。
私が帰り支度をしていると、香奈江は私に話しかける。
「でも凛はいいじゃん。そこそこ出来るし!」
『そこそこって何よ!』
香奈江の言葉に反論しながらも私は笑顔で答える。
『これでも一応勉強してるんですぅー』
「そうだよね~おまけに凛の彼氏は超頭いいし!今回も学年トップだったよね」
『…一緒に勉強して帰る?』
一応香奈江に声をかける。
私、家では中々勉強はかどらないんだよね。
だから図書室で勉強して帰るんだけど、テスト期間はいつもそんな感じ。
「いい、やめとく。クラピカくんと勉強するんでしょ♪」
『まぁ…でも相手にしてくれないけどね』
でもクラピカの勉強している姿なんて見たことない。
いっつも本読んでるし。
本当に、二人で勉強できたらいいんだけど。
「じゃあ、私帰るね。また明日ね!」
『うん』
香奈江と別れ、私は図書室へと向かった。
はぁ…テストなんて憂鬱。
早くテスト終わっちゃえ!!
なんて一人で考えながら廊下を歩く。
ガラッ。
さすが図書室なのか、テスト期間だからか、いつにもまして静かで。
なんとなく、その雰囲気に癒された。
少し時間が経って、私はいつもの窓際一番後ろの席に向かう。
『…クラピカ?』
そこにはもう、クラピカが座って本を読んでいた。
「…勉強か?」
クラピカは読書をしながら話しかける。
『…そう』
静かな教室でどこからともなく鉛筆の音が妙に大きく聞こえて。
私は何となく音を立てずにこっそりとクラピカの隣に座った。
『…クラピカは勉強しないの?』
「…そのうちな」
『ふーん…』
本当に勉強するのかな?
勉強しなくてもいっつも学年トップって…
この人の脳ミソはどうなってるの?
その頭脳、ちょっと分けてほしい。
…勉強しよ。
学校でクラピカの隣に座れて、ちょっとドキドキしながらも私はノートと教科書を開いてシャーペンを走らせた。
シャーペンを走らせた…んだけど気がついたら私、寝てたみたいで。
バッ。
すかさず身体を起こすと…隣で本を読んでいたはずのクラピカがいつの間にかいなくなっていた。
『…なんで寝ちゃうのよー!!』
自分の失態に腹が立つ。
「…クラピカ…帰っちゃったんだ」
前は寝ちゃっても待っててくれたのに。
一緒に帰りたかったなぁ…。
まぁ今日は買い物しないからいいけど…
『…帰ろっ』
机に広げた教科書やノートを鞄にしまい、図書室を後にした。
『あっ、戸締りだ』
せっかく玄関まで来たのにいつも後になって気がつくんだよね…
私はまた図書室へと向かった。
図書室まできた調度その時、別の女の子が鍵をかけたところで…
「あっ、もう閉めちゃうの。使う?」
可愛い子だなぁ…
アイドルみたいだし、私と違って笑った顔が素敵。
なんて考え事してたら…
「…あの図書室もういいですか?」
『えっ?!あっ!ゴメン!!』
プッ。
「可笑しいね。そんなに慌てないで」
普段笑われないのに笑われた…
「…えっと…」
『あ、ゴメン!私図書室の戸締り確認し忘れたから、戻ってきたとこなの』
私は自分の慌てぶりによる恥ずかしさから早口に説明していた。
「そうだったんだ。大丈夫だよ。私、さっきまで教室にいたら先生に戸締りの確認頼まれちゃって」
『ごめんね、ありがとう』
教室にいたのにわざわざ見に来るなんていい子だなぁ。
「よかったら、一緒に帰らない?私、神崎瑠美。3年4組」
『同期だね!私は水上凛、6組だよ。よろしくね』
4組ってクラピカと同じクラスなんだ。
なんとなく気になった。
でも瑠美ちゃんと話すにつれ直ぐに仲良くなった。
「凛ちゃんはどうして図書室に??」
私は瑠美ちゃんと同じ方向だと分かり、二人並んで帰っていた。
そんな中、瑠美ちゃんが質問する。
『うん、家じゃ勉強がはかどらないから』
「なるほど!ちょっと分かる」
本当は学校でもクラピカと一緒にいたいからって言うのは内緒だけどね。
「じゃあ、私こっちだから」
『うん、じゃあね』
瑠美ちゃんは電車を降りた。
瑠美ちゃんと話してたからか、あっという間に家に着いた。
『ただいまー』
「おかえりー」
リビングに行くと莉子が夕飯の準備を始めていた。
「遅かったねー、先にお兄ちゃんが帰って来たし」
不思議そうに尋ねる莉子。
するとダイニングテーブルでクラウスに勉強を教えているクラピカに問い詰める。
『ねぇ、なんで起こしてくれなかったの?』
クラピカは呆れたような顔で答えた。
「何度も起こした。全く起きなかったから先に帰って来たんだ。眠たいなら家に帰ってから寝ろ」
うっ…
要するにもう来るなってことだよね。
当たり前か…
みんな勉強してるのに堂々と寝ちゃうなんて、私ならムカつく。
『ごめんね…』
私は鞄を自分の部屋に置きに行き、さっそく夕食の準備に取り掛かった。
ザワザワ。
翌日、各休み時間トイレから帰っているとき、ちらっと4組を覗いてみる。
クラピカ、いるかな?
あっ、瑠美ちゃんだ!
昨日友達になった瑠美ちゃんを見つけ少し嬉しくなる。
瑠美ちゃんへ呼びかけようとクラスへ入ろうとしたら…
「クラピカくん。今日の放課後、勉強で教えてほしいとこがあるんだけどいいかな?」
そんな瑠美ちゃんの発言が聞こえて踏み入れようとした足を止めた。
動けない…
「…構わないが、最初の少しだけだ」
ズキッ
クラピカ…オッケーしちゃうんだ。
胸が痛い。
それからの私は放課後のことばかり考えて、今日一日の授業なんて全然頭に入ってこなかった。
キーンコーン
カーンコーン
「凛、どうしたの?一日元気なかったね」
香奈江が帰り支度を整え、私の元に来てはそう話しかける。
香奈江だってテストなんだし、余計な心配かけたくないな。
『元気だよ!』
「そう??じゃあ先に帰るね。勉強して帰るんでしょ?」
『うん…』
「バイバイ、また明日ね」
香奈江はそれだけ言うと直ぐに帰って行った。
今日…行きたくないなぁ。
でも気になるし。
行かなきゃ。
私は直ぐに鞄へ教科書を放り込み、図書室へと向かう。
落ち着け。
行くよ。
私は静かに図書室のドアを開ける。
そこには思った通り、クラピカと瑠美ちゃんが並んで座って勉強していた。
今すぐ立ち去りたい。
そう思って私は物音を立てないように振り返ると…
ガタッ。
やだ、音鳴っちゃった…
なんとなく背後に視線を感じ、ゆっくりとまた振り返る。
「…凛?そんな所で何をしている」
「凛ちゃん?水上凛ちゃんのこと??」
瑠美ちゃんはワンテンポ遅れて顔を上げる。
『邪魔してごめんね、すぐ帰るから』
私は咄嗟にそう言って図書室を出ようとした。
バシッ。
動けない。
そう思ったらクラピカが私の手を掴んでいた。
「お前、何か勘違いしてないか?」
『何もしてないよ。約束してたの知ってたし。朝、瑠美ちゃんが声かけてたでしょ』
クラピカに背中を向けたまま早口に話す。
「…そうか、ならいいが」
クラピカは私の手を離し、また元の席に戻った。
「凛ちゃん!今日も勉強だった?私も勉強してたの!良かったら一緒に勉強しない?」
『…ゴメン、今日は別の友達と帰る約束してるから。先に帰るね』
私は背中を向けたまま答えた。
そのまま静かに出口へと向かい涙目を必死に堪えながら図書室を後にした。
あの二人の様子が目に焼き付いて離れない。
次の日から図書室へ行くのを止めた。
知らなかった。
私って、意外と嫉妬深いのかな…?
図書室で勉強しなくなって4日が経った。
あと2日で期末テスト。
『香奈江、今日も一緒に帰ろ』
「…いいけど、もう図書室で勉強してないんだね。いいの?クラピカくん」
『いいの。同じクラスの子としてるみたいだし、私邪魔だから』
「でも凛は彼女でしょ?」
『いーの!!』
今、それを聞くのはつらい。
「キャーー♥」
「クラピカくんだー♥」
教室にいる女子達がざわつき、悲鳴が聞こえる。
クラピカって言った?
滅多に来ないのに教室の入り口には、クラピカが立っていた。
クラピカが無言で私を呼んでいる。
私は気まずい雰囲気をなくそうと明るく振る舞い、クラピカの元に行く。
『…珍しいね。ここまで来るなんて。勉強は?図書室に行くんでしょ?』
それだけ話すがクラピカからの返答はない。
『また後でね』
それだけ言って自分の席へ戻ろうとしたら…
グイッ
腕を引っ張られる。
『っ痛い、クラピカ!』
「…お前、何故来ない」
一瞬、クラピカの言っている意味に理解するのが遅れたが直ぐに図書室だと分かった。
『何でって、家で勉強したいから』
「…そうか」
それだけ聞くとクラピカはいきなり私を引っ張り歩く。
『ちょっ!クラピカ!!どこ行くの!?私、鞄がまだ…』
無言のまま引っ張って歩くクラピカの着いた場所は、あの裏庭だった。
変わらず裏庭には誰もいない。
『…何?…ちょっと…!』
グイッ
クラピカは裏庭の近くの校舎壁に私を押し寄せ、両手首を掴み静止させる。
ビクッ
そんなクラピカの行動に怯えながらもクラピカに聞く。
『何よ、ここに連れて来て…』
無言のままクラピカは何も言わず…
『…クラピカ、どうしっっ…ん』
言いかけた瞬間、クラピカの口が私の口を塞ぐ。
『…んっっ…はっ…』
すぐにまた離れてクラピカは、やっと言葉を発する。
「…お前、本当は…勘違いしているだろう」
なんとなく、瑠美ちゃんとクラピカの勉強のことだと気づく。
『…瑠美ちゃん…のこと?』
クラピカは瑠美ちゃんの名前を聞くとため息をつく。
「…やはりな、お前は勘違いしている」
『っ何が!!』
クラピカの勿体ぶる発言につい大声を出してしまう。
「…神崎は、男がいる」
『え?』
「…同じクラスだ。放課後の勉強は最初の15分だけだ」
いまいちクラピカの言っていることが分からず、ぼーっとなってしまう。
「…つまり神崎との勉強はきっちり最初の15分だけだと決めてある。そうしないと私が神崎の男に怒られるからな」
クラピカが若干呆れかえりながらそう説明する。
『…そうだったんだ。瑠美ちゃん、彼氏いるんだ』
しかも、同じクラス。
「…で、何故4日も来なかったんだ?」
『えっ?!それ聞くの!?』
ニヤッ。
クラピカが不敵な笑みを浮かべて知らないフリをする。
『っつ絶対分かってるじゃん!』
今ぜったい顔真っ赤…
熱くなった顔を少し仰ぐふりして冷ます。
「…言ってくれ…」
クラピカが耳元で呟く。
『っわかった!降参。…クラピカと瑠美ちゃんが一緒にいるの見たくなかったから…』
「…言えたな」
『えっ?』
グイッ
不意にクラピカが私を抱き締める。
そしてポンポンと優しく頭に手を置く。
「…明日はサボるな、分かったな」
そう言ってクラピカは私から離れた。
私、また明日から一緒に勉強していいってことだよね。
『ん?』
不意に振り向きようにクラピカが私に言う。
「…両肘付いてその手の上に顔を乗せて寝るのは禁止だ」
『…どーゆうこと?』
「流石の私でも理性を保つのに必死だ。後、他の奴の前でも駄目だ」
意味が分からない。
そんな顔をして突っ立ってたら…
「…あの日、誘われているのかと思った」
『なっ!!そんな変な顔してないもん!』
私は真っ赤になって否定する。
「分かったから、帰るぞ」
『違うからね!!』
私はクラピカにそう言い残し、忘れた鞄を取りに教室へ向かった。
そしたら…すっかり香奈江のこと忘れてて。
携帯を見てみると…
<香奈江{先に帰るね!明日の報告楽しみにしてるから(*ノωノ)じゃあね~♪}>
てLINEがきてた。
ゴメン、香奈江。
私は帰る支度を整え、玄関へ向かった。
玄関に向かうとクラピカは腕を組んでロッカーに寄りかかって待っていた。
その姿を見てやっぱカッコイイって思う。
はぁ…
つくづく私も瑠美ちゃんみたいにもっと愛想よくならないとなって思う。
ぼーっとしてそんな事を考えてたら…
「…行こう」
私はふと周りを見て誰もいないことを確認した。
『待って、クラピカ』
クラピカは?な顔をして直ぐに歩くのを止めて、止まってくれた。
狙ってた訳じゃないんだけど…
グイッ
クラピカの胸元を引っ張る。
ちゅっ
一瞬で短いキス。
「…何だ」
唇を離した瞬間、クラピカが言った。
『何でもない!好きだなって思っただけ!』
そう言ったら直ぐに歩いて行ったけど。
恥ずかしいのかな…?
でも何だか嬉しくて私はクラピカに向かって抱き着いていた。
そうだ!
『ねぇ、今日帰ったら勉強教えてよ!』
「え?」
『せっかく一緒に住んでるんだし、期末ぜんぜん自信ないの!私を助けると思って!お願いっ!』
上目遣いで見つめて頼む私に、クラピカはため息をついた。
その日の夜。
夕飯を食べてからお互いお風呂を済ませた後、私の部屋でクラピカに勉強を教えてもらっていた。
だけど…
部屋で二人きり。
すぐ隣にクラピカがいる。
何でだろう…全然集中できない!
それに、数学もキレイさっぱりわからない!
『う~ん…(汗)』
私は数字がたくさん書かれているノートとひたすらにらめっこしていた。
「…凛。これも分からないのか?」
腕を組んで呆れたように尋ねるクラピカ。
「もう一度、基本から説明するからよく聞け」
クラピカはシャーペンを持って一緒にノートを見ながら説明を始めた。
「では、求める数をXとする。このXは何だ?」
『へ?』
間抜けな声を出す私。
「このXは何だ?」
えっとー…
『あ!アルファベット♪』
自身気に言う私に呆れた顔でため息をつくクラピカ。
『…分かんない』
「そうだ、分からない数。つまり未知数をXと言うんだ」
クラピカは次々と分かりやすく説明していく。
Xの意味が分かったところで、もう一つの疑問が…
『でもなんでXなのかな?wもHもあるのに…』
「考えてどうする、もう決まっていることだ」
………。
そうですね。
「ほら、X=2×10~」
私は思わず説明しているクラピカの横顔に見とれてしまう。
頭も良くて、顔もカッコよくて、髪もサラサラ。
こんな素敵な人が私の彼氏だなんて…
えへへ、私って本当に幸せ者かも♥
クラピカの説明は左から右へと流される。
内容が一つも頭に入ってこない。
まいったなぁ…♥
「ーーーさて、答えは?」
『……ん?』
「100はいくつだ?計算してみろ」
全然話聞いてなかった…(汗)
『…それどういう意味?』
クラピカは私をじっと見つめた後、深いため息をついて呟く。
「頭が割れそうだ…」
クラピカは立ち上がり、私のベッドに寝転がった。
「はぁ…」
夜中の0時。
クラピカにストレスが溜まりながらも、遅くまで勉強を教えてくれた。
眠い…文字がかすんで見えてくる…。
いつのまにか座ったまま眠ってしまっている私に、クラピカが声をかける。
「動け」
ハッ…!
目を開ける私。
「体を動かしながら覚えると、忘れにくい」
『be anngry at(物)be angry with(人)be anngry at(物)be angry with(人)』
眠たい目を大きく開けて左右に揺れながらひたすら口に出した。
私が英単語をひたすら覚えている間、クラピカは何やらパソコンをいじっている。
そして印刷を始めた。
『ん?』
何枚か印刷が終わり、それを綺麗に角を整えて左上にホッチキスを止めると、私に渡して来た。
『なにこれ?』
「自作の予想問題だ」
『うわ~この間に作ったの!?感動!!』
「今日はそれを見て早く寝るんだ」
自分で予想問題が作れちゃうなんて…
この人、本当に天才かも。
ここから全部出たらいいのにな…
ふと隣を見ると…
『あ…』
クラピカが机で両ひじを付いて眠っている。
クラピカの寝顔…
初めて見たかも!
超貴重映像!!
写メ撮っちゃおっ♥
私はスマホを取り出し、こっそりとクラピカの寝顔を撮った。
きゃーっ♥
待ち受けにしちゃおっかな♪
私はクラピカの寝顔をまじまじと見つめる。
今日は私のヤキモチに付き合ってくれて
遅くまで勉強に付き合ってくれて
『ありがとう』
そう呟いて、私はクラピカの頬に軽いキスをした。
いつものクラピカも好きだけど、今日のクラピカも大好き。
私のこと、嫌いにならないでね。
next…