純愛
ヒロイン名前設定
この小説の夢小説設定〇ヒロインの苗字と名前が設定できます。
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モヤモヤモヤモヤモヤモヤ…
「クラピカくんって、超ーーーーーーカッコイイよねっ!!」
「あんなイケメンが、うちのクラスにいたなんて知らなかったぁ!!」
「さっき職員室で聞いたんだけど、クラピカくんって○○人で日本育ちなんだって!中学でも成績トップで、なんだっけなぁ…あ、数学全国大会で1位とったんだって!!」
「そんな天才がなんでうちの高校に!?」
「顔もいいし、頭もいいし、完璧ね~♥」
モヤモヤモヤモヤモヤモヤ…
「ね?!凛ちゃんも、クラピカくんのことカッコイイって思うでしょ!?」
『えっ……!』
クラピカのトークで盛り上がっていた友達が、私に振ってきた。
『……う、ま、まぁ……』
顔はいいんじゃない?
「だよね!!♡」
「あー私このクラスで良かった」
「クラピカくん、毎日見れるもんねっ」
あれから数日後。
私達よりも、一週間遅れで学校に登場したクラピカは学校で一気に人気者になっていた。
クラスの女子たちは、みんなクラピカに夢中…
きっと、他のクラスの子たちも同じだと思う。
そんなことよりも!!
私はこの数日間、ずっとイライラしていることがあった。
それは…
あの日から、あいつ(クラピカ)がずっと委員会をサボってることだ!!!!
朝、私が裏庭の花壇に行ってもいないし、放課後もあいつは顔を見せない!!
なんなの!?
最初だけやって、あとは私に押し付けるつもりなのかな!!?
ここ数日間、私はそのことでずっとモヤモヤしていた。
クラピカに話しかけようにも、女子からのこの人気じゃ、なかなかクラピカに話しかけられない…
話しかけて目立つのも嫌だし…
休み時間、教台の辺りで友達と固まって話しながら、クラピカをチラッと見る。
クラピカは自分の席で、ずっと本を読んでいた。
あんまり、男友達とつるまないのかな…
いつも一人でいるし…
一匹狼ってやつ?
でも、うちのクラスの男子はみんな子供っぽい感じだから、クラピカとは合わないかも…
ハッ!!
またクラピカのことを考えてしまった…!!
ま、私には関係ないけどさっ
とにかく!!
あいつが委員会をサボるせいで、私がこんなにあいつのこと考えちゃうんだよっ
あー
文句言いたいっ‼
でも、いつ話しかけたらいいの!?
「次の授業なんだっけー?」
「選択だよー。音楽か美術」
「私音楽だー!凛ちゃんは?」
『私は美術』
「じゃあ、別々かぁ。そろそろ行かないと」
『うん、あとでね!』
私以外の子達は、みんな音楽室へ行った。
美術選択してるの、私だけかぁ…
ま、一人の方が楽だけどね。
面倒なことに、巻き込まれたくないし。
私は鞄を持って、一人で美術室へ向かった。
盗難防止の為、うちの学校は移動教室の時は鞄を持っていくのが決まりなのだ。
「今日はデッサンをするぞー。目の前にある果物の絵を、各自描くように」
カゴにフルーツが入った物を、みんなで囲むようにして座り、各自用紙にデッサンを始める。
美術は結構好きだな。
絵描くのも、得意だし!
画用紙に、鉛筆で絵を描いていくと…
ん?
ふと窓際に目をやった時、窓側の方にクラピカの姿が見えた。
どうやら真剣な顔をして、デッサンをしている。
あいつも、選択美術だったんだ!!
話しかけるチャンスじゃん!
横の二人挟んだところにいるクラピカに、手を振って合図する。
でもクラピカは、全然気づいてくれない。
あいつめ~
ちょっとはこっちを見ろっての!
ブンブンと手を振る私…
「どうした水上?何か質問か?」
『ハッ…!!』
不思議そうな顔をして、私を見る先生。
『な、なんでもないです…』
私は顔をうつむき、小さくなる。
他の生徒たちは、クスクスと笑っていた。
は、恥ずかしい…///////
私は小さくなったまま、デッサンを続けた。
キーンコーン
カーンコーン
「最後に提出してけー裏に名前書けよー」
美術の授業終了。
なんか集中できなくて、あんまりうまく描けなかったよ…
描いたデッサンを、指定されたところに提出しようとした時…
他の生徒と画用紙を置くタイミングが重なり、腕がぶつかりそうになった。
『どうぞ、先に……あ!』
先に譲ろうとして、顔を上げると…
その生徒はクラピカだった!!
「…………」
『ク、クラピカ…』
クラピカはデッサンを、提出箱に入れる。
「さっきは目立っていたな」
フッと鼻で笑い、私に背を向けるクラピカ。
ムッ。
ちょっとムカつくけど…
なんか一言言いたいけど、それよりももっと言いたいことがあるんだよ!
私はデッサンを提出箱に入れて、クラピカを追いかけた。
『クラピカっ…』
「………なんだ?」
少し驚いたように後ろに振り返るクラピカ。
『あ、あの…さ…』
さっきまで文句言ってやる気満々だったのに、いざ本人を前にすると、なかなかスイッチが入らない。
「もしかして、シールの事か?」
っ!!
面倒な顔をしながら言うクラピカ。
『ちっ、ちがーう!委員会のこと!!』
「…委員会?」
『そう!なんで委員会の仕事サボるのよ!?あれだけ先生に言われたのに…』
やった!
とりあえず、ちょっと怒ってるっぽく言えた♪
「…心外だな。私はサボってなどいない」
『え?』
「毎日水やりはしている。サボっているのはお前の方ではないのか?」
『は!?さ、サボってないよっっ!!』
なんで、そんなこと言うの?
「私は毎朝あの花壇に行ってもお前の姿を見かけない。放課後もだ」
『私も毎日行ってるよ!?』
「…朝何時に?」
『8時………20分くらい?』
8時半までの登校だから、10分前に来てやってた。
「私は8時に来てやっている…」
『は、8時!?』
早っ!!
「水やりが終わった後、そのまま裏庭で読書に勤しむ事にしている」
『放課後は!?』
「ホームルームが終わったら直ぐにやっている」
『…私、友達と少し話してから行ってた…(汗』
「…………」
ヤバイ…
この空気、ヤバイよね…(汗
クラピカ怒る?
怒るかな…??
「…それはつまり…」
『?』
「一日4回、水やりをしている事になるな」
『…………(汗』
クラピカにそう言われて、もう返す言葉がなくなってしまった。
「お前…」
『は、はい…』
怒られるーー!!!!
絶対に怒られるっ!!!!
「着いて来い」
『え…』
クラピカに腕を掴まれ、そのまま引っ張られた。
そして美術室を出て、中庭の方へ向かう。
もう昼休みだけど…
中庭の方は、誰もいなかった。
裏庭の花壇まで来ると…
クラピカは、私の手首から手を離した。
「とりあえず、今のところは大丈夫みたいだな」
『う、うん』
花壇の花はとりあえずは異常なしで、枯れたりはしていなかった。
『花って、水を沢山あげると枯れちゃうの?』
「あぁ」
『あ、危なっ(汗』
セーフ。
早めに気づいて良かった~
クラピカも、ホッとしている様子。
『あの…ごめんね。私勘違いしちゃって…』
サボってないのに、サボってるなんて言っちゃった…
「別に構わない。ただ、お前は馬鹿だな」
『バカ!?』
「初めて会った時からそう思っていた…単純に言えば、そそっかしいというか…」
『くっ…』
そそっかしいのは事実なので、言い返せない。
「ちょうど昼だな」
そう言うと、クラピカは花壇に座った。
そして、鞄からコンビニの袋らしきものを出した。
ここで、お昼食べるのか…
そっか、初めて会ったあの日も、ここでお昼食べてたもんね。
私は教室に戻らなきゃ。
いつも食べる友達がいるし。
「憂鬱そうな顔だな」
ビクッ。
すると、クラピカがパンの袋を開けながら言った。
嘘、顔に出てた…!?
「気の合わない奴らと食事など、私ならしない。一人でいる方がマシだ」
『…なんでそんなこと言うの?』
ゆっくりと、クラピカに近づく。
「友達と一緒に居る時のお前は、無理しているからな」
『み、見てたの…?』
「ここ数日間は、お前を観察していた」
『…なにそれ?』
私はクラピカの隣に、少し離れて座った。
「…まだお前しか知り合いがいないからな。自然と目が行く」
『あ、そっか…風邪引いてたんだっけ?中学一緒の人とかいないの?』
「いない。中学卒業して、東京からこっちに引っ越してきた」
『あ、そうなの?』
それは初耳!
クラスの女子たちも、そんなこと言ってなかったしな…
「…お前の地元は?」
『A町だよ。って言ってもわかんないよね?ここから電車で5つのところ』
「………そうか」
私の地元は、ここから少し離れてるんだよね。
電車で5つとか…微妙な距離なんだよなぁ…
「…ダイエットしているのか?」
『はい?』
急に話変わったよね?
『まぁ、ダイエットはしてるけど…』
「だから食べないのか?」
『え、ううん…お弁当は持ってきてるけど…』
「食べないのか?」
二つ目のパンに手をつけるクラピカ。
『…一緒に食べてもいいの?』
鞄を両手でギュッと持ち、クラピカから目をそらす。
「私の許可が必要か?駄目だと言ったら食べないのか?」
『……い、いや』
ムカつく言い方。
でも、言い返せないや。
『じゃあ、私も食べよ』
私は鞄からお弁当箱と、ペットボトルのお茶を出した。
そして、手さげのバックからお弁当箱を取り出した。
友達には、後で適当に言い訳しとけばいいよね…
正直、あの子たちよりも、クラピカといた方が楽だ。
お弁当箱を開けて、箸を手に持つ。
「…女の子のお弁当だな」
お弁当を開けると、横でクラピカがボソッと言った。
『これ妹が作ったの。妹はキャラ弁とか得意なんだよね』
今日の私のお弁当は、可愛らしい盛り付けと、時たまキャラクターの要素も入ったようなお弁当。
「料理好きの妹なんだな」
『まあ、料理は好きなんじゃない?うち母子家庭で、親が仕事であんまり家にいないから…私も妹もちっちゃい頃から料理してたし、自然に料理好きになったのかも』
「…そうか」
少し驚いたような顔をするクラピカ。
『家事と自炊と妹と協力してやって、お弁当は交代で作ってるの。今日は妹が当番だったから、妹が作ったやつ…』
「……そうか」
…………。
ちょっと素っ気ない。
ま、私の家のことなんて別に興味ないか。
「お前が作った方も見てみたいな…」
『え…』
み、見てみたいって…
少しドキドキする私。
「妹が作った弁当と、比べてみたい」
ガクッ。
そっちかい!!
どうせ私が作ったやつより、妹が作ったやつの方が可愛いですよ…
「だが料理していることは感心だな。女性が料理しているのを見るのは好きだ」
クラピカが「好き」って言うと…
なんかドキっとする。
『…よ、良かったら食べて。私いつも残すから…全部食べれないし…』
「え……」
クラピカに、お弁当をぐっと差し出した。
恥ずかしさを誤魔化すように、必死で冷静な顔をする。
「…………」
『…ま、いらないならいいけどっ』
「いや、妹が作ったのなら貰っておこう」
『なっ…!』
なにそれっ!!
私が作ったやつだったら、いらないってこと!?
「冗談だ、かたじけない」
『あ…』
クラピカは、炊き込みご飯のおにぎりを一つ取って、そう言ってまたフワッと笑った。
昨日のあの笑顔と同じ…
かたじけないって…いつの時代の人??
今どき、かたじけないなんて言ってる人なんかいる訳ないし、時代劇でしか聞いた事ない。
クラピカって…
話したらめっちゃ固いし、なんか時々ムカつくけど…
実は良いヤツなのかも。
放課後。
「凛ちゃん、大丈夫?」
「病院行った方がいいって」
「そんなに体弱いって、知らなかったよ…」
『ご、ごめん…』
ホームルームが終わると、私の席の周りに友達が集まってきた。
昼休みに教室に戻らなかった理由を、「具合が悪いから保健室にいた」ことにしたら、友達が私をかなり心配してしまったのだ…。
さっきからなんとかスルーしようとしてるんだけど、今回はなんかしつこい…
嘘をついた罰だな、きっと。
「水上、先生呼んでる」
クラスの男子が、そう言って教台にいる先生を指差す。
『うん…』
先生から呼び出し?
なんだろう??
私は友達と別れ、鞄を持って先生に近づいた。
『なんでしょう…?』
先生に近づくと、クラピカもこっちに近づいて来る。
え、クラピカ?
クラピカも先生に呼び出されたの?
ってことは、委員会絡み!?
そわそわしていると、クラピカもこっちにやって来て、私の隣に来て立ち止まる。
「水上さん…」
ビクッ。
『は、はい…』
先生の顔が怖い。
「委員会の仕事…サボってるでしょ?」
『え』
私が?
『さ、サボってな…』
「サボってないです」
私が否定しようとすると、隣にいたクラピカが私よりも先にきっぱりと否定してくれた。
クラピカ…
「そうなの…?ここ数日間、朝と放課後に2階から花壇を覗いたけど…クラピカくんが水やりしてるところしか見てないんだけど?」
な………
なにーーーーーーー!!?
『違います、先生!私もちゃんと花壇に行って、水やりをやってました!ただ、クラピカと入れ替わりになっちゃってて…私も水……っ』
クラピカが私の手首を掴み、私の声を止める。
あ、そっか…(汗
入れ替わりで2回水やりしてたこと言ったら、先生に「やり過ぎ」って注意されちゃうか。
「水上さんは毎日来てました。ただ突き指をしていたので、私が帰したんです」
!!!!
クラピカはそう言って、私の手首を掴んでいた手をそっと離した。
突き指は、もうとっくに包帯が取れてるのに…
クラピカ、私の事かばってくれてるんだ…。
「そう、ならごめんなさい。私の勘違いだったみたいね」
先生は、私に頭を下げた。
「クラピカくんが水上さんのケガを気遣って帰したのは偉いと思うわ。でもこれからは、なるべく二人揃って委員会の仕事をしてほしいのよ」
…!?
先生はつづける。
「園芸委員会は二人なんだし、できれば二人の力を合わせて、仕事をやるべきなんじゃないかしら?花に水をやる簡単な作業でも、二人でやればもっと簡単になるんだし」
この先生…すごく真面目なんだな…。
「てゆうか私からすれば、委員会はあんた達なんだから、ちゃんと二人でやれよって感じなんだけど」
!!!!
先生はまた怖い顔をする。
やっぱり、この先生ヤバイ。
「先生はあなた達のどちらかが仕事してるのを見るより、二人で仕事をしてるのを見たいわね。だってそれが委員会じゃない?」
『…はい』
確かにそうですが…
「この前も言ったけど、校長は学校の園芸にうるさいから…私の為だと思って、よろしくね。花壇が汚くなってたら、私が怒られるんだからね♥」
うっ……(汗
笑顔が怖。
先生の一番こだわるところは、きっとそこなんだね。
校長に怒られたくないんだ…
「ってことで、今から放課後の花壇のお世話よろしくー」
『……はい』
「………はい」
先生はそう言って、スキップして教室から出て行く。
あの先生、本当怖い。
でも逆に言えば、面白いのかな。
「…変わった先生だな」
隣にいたクラピカが、先生の後ろ姿を見てそう言った。
『ね。校長に怒られたくないからって、素直に言えばいいのに…でも、校長先生ってそんなに学校の園芸にうるさいのかな?』
「この前裏庭に向かう途中、他のクラスの奴らが校庭の木の手入れをしていたのを見たが…担任らしき奴に、私達と同じことを言われていた」
『え、本当?』
「校長が相当うるさいから、教師達も必死に生徒に言うのだろう」
『そっかー』
そんなこと聞いたら、ますますヘマできないね…。
「ここで待ってろ」
『…!!』
そう言って、自分の席に戻り鞄を持つクラピカ。
な、なに今の…
これから一緒に帰るみたいな、言い方…
「行こう」
『へ、あ…はい』
直ぐにクラピカが鞄を持って戻って来て、私達は一緒に教室を出た。
クラピカと並んで廊下を歩く…変な感じ。
ただ委員会に行くだけなのに、こんなにドキドキするなんて…
キャハハハハハ…
その時、下駄箱の方から…聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
あ、あの子たち…
同じクラスの女子数人がちょうど帰るところのようで、下駄箱で靴を履き替えている。
その中には、私の友達もいた…
みんな、まだ帰ってなかったんだ。
クラピカと一緒にいるところを見られたら、マズイよ…
『ごめん、教室に忘れ物しちゃったから先に行ってて…』
「…………」
私は小走りで、逃げるように教室に戻った。
女子が怖い…
もう、あんな想いしたくない。
私は用もない教室に戻り、鞄から荷物を出したり、いつも机に入れっぱなしの教科書を鞄に入れたりした。
なんで、こんなに弱いんだろう…
弱いって…辛いよ…。
しばらくした後、私は教室を出て下駄箱に向かった。
もう、さすがにいないよね…。
私の思った通り、下駄箱にはもうクラスの女子達はいなかった。
それを確認すると、私は急いで靴を履き替えて、猛ダッシュで裏庭へ…
クラピカ…
もう帰っちゃったかな…。
高校生になってから、こんなに全速力で走ったことなんてなかった。
それくらい、走った。
『ハァ…ハァハァ…』
裏庭へいくと、クラピカが背を向けて花壇に座っているのが見えた。
私はそんなクラピカに、そっと近づいた。
『クラピカ…』
私が近づくと、本を読んでいたクラピカが私に気づく。
「帰っていなかったのか…」
『二人でやれって言われたじゃん』
「…………」
あ、そっか。
それ守ってくれたんだ。
『ごめんね』
「忘れ物はあったか?」
『…まぁ、ね』
「…………」
クラピカから目をそらす。
『本当にごめん!今度なんかおごるよ』
クラピカから離れ、物置からホースを出す。
そして軽く草むしりをした後、水やりをさっと終わらせた。
『雑草捨てて来るね』
「あぁ…」
バケツに入った雑草を、ゴミ箱に入れて縛る。
「水上」
『んー?』
ゴミ箱の近くにあるゴミ捨て場に置きながら、クラピカの方を見た。
「朝…何時に来れそうだ?」
『え…』
「朝の水やり…」
『あぁ、そっか…』
二人でやるんだったよね。
「私は何時でも構わない。水上に合わせよう」
う…
こんなセリフなんか恥ずかし…
『じゃあ…8時10分にここ(裏庭)でいい?』
「あぁ、分かった」
待ち合わせなんて…
男子とするの初めてだよ。
「あと…」
クラピカが、ズボンのポケットからスマホを取り出し、近づいてきた。
「連絡先、教えてくれ」
『え…ええっ』
れれれ、連絡先!?
「休む時とか、何かの時に必要だろ」
『あ…そ、そうだよね』
別に、深い意味はないよね…
私は、クラピカにLINEのIDを交換した。
自分のスマホに、クラピカの連絡先が入ってるかと思うと…
変な感じがした。
胸の奥が
苦しいような…
キリッとするような…
温かいような…
よくわかんない。
こんなこと、生まれて初めてだな。
「では、また明日」
『あ、うん』
”また明日”だって……
またここで、明日会えるんだ…。
next…