純愛 番外編
ヒロイン名前設定
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今日は高校生活最後の体育祭。
運動が苦手な私は、体育祭は嫌いな行事だった。
『…めんどくさいなー』
ふと隣を見ると、クラピカが腕を組んで椅子に座っている。
クラピカの赤いはちまきを巻いてる姿、めっっちゃカッコイイ♡
体育祭は嫌だけど、クラピカの体操着とはちまき姿が見られたから別にいーけどねっ♥
「…何だ?」
私が余りにもガン見するものだから、クラピカは私を冷たく見た。
『あ…ゴメン、なんでもない』
「そうか」
この冷たい反応。
私の彼氏はクールを通り越したちょっと不愛想なヤツかも。
私はふとグランドに目を向けた。
クラスの何人かが競技に出場してるみたい。
クラスのほとんどが応援してる。
…この暑い中、ご苦労様だね。
なんて考えていると…
「あ、凛いた」
と声がする。
『へ?』
振り返るとそこにいたのは、私と同じ黄色いはちまきを頭に巻く香奈江だった。
隣には彼氏のレオリオを連れて。
レオリオは首に赤いはちまきをぶら下げている。
私とクラピカは別々のクラスなので、自由席に座っていた。
『香奈江どうしたの?』
そう声をかけると
「うん、暇だったから」
香奈江はニコッと微笑む。
…暇だったって。
レオリオをチラッと見上げると…
「香奈江が暇そうだったからなー!」
と笑って言う。
すると…
「あれー?水上じゃん!」
え?
目が合った同い年に声をかけられてキョトンとする私。
その見覚えのある顔に私は目を見開いた。
『え、りょういち!?』
声をかけて来たのは中学で同じクラスだった諒一だった。
「お前ここの学校!?」
『うん、なんでここに?』
「友達がここの学校だからさ、ちょっと遊びに来た。お前余り変わってねーな」
変わってない??
まぁ確かにそうかもしんないけど…
中学卒業して2年経つんだけどな。
私がムッとした顔を向けると…
「あれ?後ろの…ひょっとして」
後ろの…
とはクラピカのことだろうか。
「彼氏?」
諒一がそんなことを言うから、絶対馬鹿にされると思って私は先に言った。
『私には勿体ないくらいカッコイイ男だって言いたいの?』
「分かってんじゃん」
ニコッと笑う諒一の表情は昔も今も変わらない。
私をホッとさせる。
「あ、次の種目俺出なきゃだな!クラピカ、おめェもだよな、行くぞ!」
レオリオがクラピカにそう言う。
「あぁ…凛」
『え?』
クラピカに呼ばれ、振り返る。
クラピカが私を抱き寄せ、耳元で言った。
「ちゃんと見ていてくれ」
『…ぇ、あ、うん////』
私の顔は真っ赤だ。
…てか、クラピカキャラ違っ!!
どうしたんだろ…
「水上の彼氏めっちゃ大胆だなっ、いつもあんなん?」
と諒一が言ってくる。
『いや…全然』
そう言う私の横で香奈江がクスクス笑っている。
『もー何』
私が赤い顔を隠しつつ言うと香奈江はまだ笑っている。
『香奈江っ』
イラついたように言えば…
「…だってクラピカくん可愛いんだもん」
なんて言い出す。
『…はぁ?』
「諒一君に凛取られそうでめっちゃ焦ってる顔だった!」
そう笑顔で話す香奈江に、私は笑って言った。
『ないない!それは絶対にない!』
諒一も不思議そうに言う。
「そんな顔してたかなぁ?いや、取る取らないの前に俺にも選ぶ権利があるよな」
そう言う諒一を私は冷ややかに見た。
『あっそーですか』
そう言ってやれば…
「あれ、怒った?」
なんて私の顔色を伺う。
「あっ凛凛!!レオちゃんとクラピカくんが出るよ!」
二人が出ているのは三人四脚競争。
「きゃー♥クラピカくーん!!」
「がんばってー♥」
相変わらず女子集団が集まってクラピカを応援している。
『本当だぁ…』
彼氏がこんなにもモテるって…なんかなぁ。
と適当に言えば…
「もう!ちゃんと見ろって言われたんでしょ?」
と香奈江が私に言う。
『もー、見てるよー』
クラピカ、レオリオのチームが走り出した。
一瞬、クラピカが私の方を見た気がした。
「水上って恋愛に冷めてんなぁー」
と、諒一が隣に並ぶ。
『るっさい、彼女いないくせに』
「いや、でも俺は彼女がいたら彼女のこと愛しぬくし」
と真顔で言われる。
が、クラピカの走りに夢中の私は…
『へぇー』
と流す。
「おいおいっ、ちゃんと聞けし!!」
そう言って諒一が私の肩を掴む。
『もう、聞いてんじゃん』
そう言って諒一の方を向けば…
「お、やっとこっち向いた」
なんてニッコリ微笑む。
不覚にもドキッとしてしまった。
久しぶりに見た、諒一の笑顔。
背は伸びたし、髪の毛も染めたのか前よりも茶色くなってる。
ピアスの数も…
『ってピアス!!?』
そう言って私は、諒一の耳を思いっきり掴む。
「いたたたたた!!痛いって」
諒一は私に耳を引っ張られて顔を歪めて叫ぶ。
『ピアスしてんの!?中学の時してなかったじゃん!』
「高校入ったらずっとピアスしたかったんだよ。まぁいわゆる高校デビューってやつ?」
笑いながら言う諒一。
変わっちゃったなー。
そんなことを思っていると…
「凛っ、クラピカくん達終わったみたいだよ!私次の種目出るから行くね」
そう言って香奈江が去って行く。
『へ?あ、うん…』
間抜けな声を出せばフッと諒一が馬鹿にするように笑う。
「水上かなりアホな顔してる。あ、もともとか」
ムカ。
諒一を睨み付け…
『香奈江いなくなっちゃったしつまんない。私、応援席に戻ろーっと』
私は諒一を置いてクラスメイトの元へ向かった。
「ねねっ、水上さん!!今の人かなりカッコイイよね!誰々っ?知り合い!?」
めっちゃ興味津々に聞いてくるクラスのイケイケ女子。
『あー…中学の同級生』
「そうなんだぁ~同級生にあんな美形とか羨ましいよねー」
なんて、私に言われても困る。
「あたしも可愛く生まれたかったぁ」
「でもクラピカくんみたいな超イケメンと付き合えてんだからいいよねー!」
「だよねだよねー。クラピカくんって水上さんのどこが良かったのかな?」
…確かにどこが良かったんだろ。
未だに疑問。
『…さあ、なんでだろうね』
「アハハ、水上さん可愛い」
そう言いながら頭を撫でられる。
「でもさぁーさっきの人カッコよかったけど、ぶっちゃけ水上さんはさっきの人がタイプ?」
…何故その話に持っていきたがる。
そう思いながら…
『うーん、まあ確かにカッコイイよね』
「あ、水上さんはさっきの人よりもクラピカくんの方がカッコイイとか言っちゃう?キャハハ♡」
なんて勝手に解釈する目の前のテンションの高い女子達。
なんか…怖いんですけど!!
ここは正直に言うべき?
でもここでのろ気たら余計なんか言われそうだし…。
『…いや、違うよ。ク、クラピカはそんなカッコよくないじゃん…』
なんて思ってもない言葉が口に出る。
「はぁー?」
「マジ水上さん贅沢過ぎ!!」
「クラピカくんのどこが不満なの!?確かにクールだけど」
「カッコイイとこくらいは認めなよ!!」
「マジ羨ましーし!」
なんて言葉を私に強く投げかける女子達。
いや、確かにクラピカは誰よりもカッコよくて、誠実で、素敵で、紳士で、超イケメンだけど…
クラスの女子にそんな自分の彼氏がカッコイイだとか恥ずかしくて、私には言えないっ!!
そう思いながらとっさに口が動く。
『わ、ったしは、諒一みたいなのがタイプだから…』
バカーーー!!!
私、なに言ってるの!?
「え?」
女子達に聞き返される。
「へぇーチャラいのが好きなんだ」
チャラいっていうか…
いや、確かに今はチャラいけど昔は普通に爽やか少年だったし!!
なんて考える。
『ま、そんな感じ。だからクラピカは…』
そう言ったとき、目の前の女子達の顔が曇る。
『へ…』
…ま、まさか。
怯えたように振り返ると、そこにいるその存在。
『ク、クラピカ…?』
私はそう呟く。
女子達はそそくさと私から離れていく。
…ちょ。
に、逃げるなーーー!!
「奴は?」
低い声。
奴って…
もしかして、諒一のこと?
『…分かんない、どっか行った』
なんだか怖くて俯いて言う私。
「そうか」
どうしよう…
さっきの聞かれたよね...
「諒一とやらよりカッコ悪くて悪かったな」
クラピカに冷たい目で言われる。
…やっぱ聞かれてた。
『や、あのっ…』
言い訳も見つからず口ごもる。
「私の顔に文句を付ける前に自分の顔をどうにかしたらどうだ?」
カチン。
なにそれ、どーゆう意味よ。
私がブスだって言いたいの!?
『そう言うクラピカは性格ブスだね』
「…なんだと?」
イラついた様子のクラピカ。
『諒一は顔も性格もいいよ』
と多少の嫌味を込めて言えば…
「そうか、ならば何も言うまい」
と私から離れて行った。
…怒った?
いや、私の方が酷いこと言われたし!!
そう思いながらグランドで走っているはずの香奈江の姿を探す。
そして、お昼。
「凛ーっ、一緒に食べよ!」
香奈江が後ろにレオリオを連れてやってくる。
『うん!じゃあクラピカも誘っ…』
そこまで言って言葉を詰まらせる。
そうだった...
私、クラピカと気まずいんだった。
香奈江はきょとんとした顔を浮かべて言う。
「じゃあ、誘っといてね」
『…うん』
私はクラピカの姿を探す。
居場所は…あそこしかなかった。
裏庭の花壇に向かうとクラピカを見つけた。
私は恐る恐る近づきクラピカに話しかける。
「…何か用か」
ビクッ。
冷たい声。
やっぱ怒ってるよね…。
『お弁当…香奈江が一緒に食べようって』
「………分かった、行こう」
立ち上がってそう言うクラピカに、私は気まずくて先に歩き出した。
香奈江とレオリオの姿が見えてきたとき…
「あ、凛ーっこっちこっち」
そう言う香奈江の元に歩み寄る。
「そういえば、諒一ってやつが水上のこと探してたぜ?」
『え?なんで?』
「一緒に飯食いたかったみてーだけどよォ、お前ひょっとして…元カレか!?」
『はぁ!?な、何言ってんの!違うよ!』
友達がいるのになんで私も?
私は香奈江の隣に座り、クラピカにお弁当を渡すと、自分のお弁当を広げた。
「そーなのか?まぁお前はクラピカしか眼中にねーからな!!」
「でもよく話してたよね。中学のとき、仲良かったの?」
『え…』
香奈江に尋ねられて、私は固まった。
「実は昔好きだっただろ!?」
レオリオは冷やかすように言った。
…そういえば、私の初恋相手って忘れてたけど諒一だったのかな。
でもめっちゃ好きだったっていうか、ちょっと気になるし好きだな〜ぐらいだったけど。
でもそんなこと、クラピカの前で口が裂けても言えない。
ってか言いたくない。
黙っていると…
「おいおい図星か!?参ったなこりゃぁ」
『ち、違うよ!』
「中学卒業して以来でしょ?久しぶりに会えてどうだった?」
『うん、ちょっと嬉しかった』
全然会ってなかったし。
「へぇーっ」
ニヤニヤするレオリオの目が私じゃなく、私の横を向いていることに気づいた。
へ?
そう思いながら横に目を向ければ不機嫌そうなクラピカ。
…え、なんで?
でもクラピカはいつも無表情だから不機嫌に見えるだけで怒ってないかも。
なんて思った私は話しかけてみた。
『あの、今日のお弁当美味しい?』
「………」
シカト。
いや、今のは話の内容が悪かったかな。
クラピカなら不機嫌じゃなくてもこのくらいのことは返事しない時もあるし。
とか思いながら…
『クラピカは次、何に出るの?私は綱引きで…』
「………」
シカト。
いやいやいや、いつものクラピカならそこ「そうだな」
くらい言うでしょ!?
私は黙り、自分のお弁当をつつき始める。
少し経つとお弁当を食べ終えたクラピカが…
「では、お先に」
そう呟いて、去って行く。
今ので確信した。
クラピカは不機嫌だ。
私と喧嘩したから?
私がそう思った瞬間、レオリオが吹き出した。
『えっ…?』
腹を抱えて笑っているレオリオ。
…何。
レオリオに何があった?
何がそんなにおかしいの?
「クラピカまじ最高だー!!んで、何がなんだか分かってねーお前も最高だ!!」
『は?』
レオリオを笑わせている原因が自分にあると分かった私は首を傾げる。
「レオちゃん!」
そう注意をうながす香奈江も可笑しそうな顔をしている。
『…何?』
「クラピカくんが、諒一くんの話をすると不機嫌になるんだもーん」
なんて楽しそうに言う香奈江。
『え?クラピカが機嫌悪いのそれが原因?』
「それ以外に何があんだよ」
なんて偉そうに言うレオリオに腹パンチしたい気持ちを抑える。
「クラピカ興味ないふりしてるくせにめっちゃ気になってんだよなァ!」
「そこが可愛いんだけどね」
楽しそうに言う二人を呆れたように見る。
『私が諒一の名前出すたびにヤキモチ?ないない、そんなこと一度もないし地球が真っ二つに割れたってないから』
そんな可愛いキャラ、クラピカはしてないし。
そう言うと二人はニヤニヤし出す。
あーもう、このカップルきもい。
なんて酷いことを考えながら睨んでみる。
「お前の中の地球どんだけ簡単に割れんだよ!」
大笑いするレオリオをギロリと睨んで…
『私ももう応援席に戻るから』
と言ってお弁当を掴んでその場を去った。
クラスで最近仲良くなった友達を見つけ…
「ただいま!」
と言いながら肩をポンと叩く。
「あ、おかえり。本当香奈江ちゃんと仲いいね」
「午後の部戻ってこないかと思った」
『んなわけないじゃん』
と笑う私。
他愛もない話をしているうちに午後の部が始まる。
「てか私と凛ちゃん午後イチじゃん!!」
あっ!!
『忘れてた!!行こっ!』
そう言って友達のうちの一人と走り出す。
ちなみに私が出るのは綱引き。
まぁ、楽なのしか出るつもりはない。
適当にやるつもりが、結局本気でやった。
「めっちゃ惜しかったねーー!!」
『ねぇー!悔しいっ!!』
そんなことを言いながら応援席に戻ると、香奈江とレオリオが諒一と話していた。
一歩離れたところでつまらなそうな顔をしたクラピカが立っている。
「おっ、水上じゃんー綱引き見たよ、すっげぇ面してたな」
なんて諒一が言ってくる。
『はぁーそれ乙女に向かって言うセリフ?』
そう言うとハハハッと声を出して笑う諒一。
ふとクラピカに目を向ければ、目を伏せている。
…つまんなそう。
『…ただいまっ』
笑顔で言いながらクラピカの隣に並ぶ。
すると…
「…おかえり」
と小さく呟いた。
私が目を見開いてクラピカを見つめると…
「何だ?」
いつも通りのクラピカ。
『ううん、別に』
そう言いながらニヤける私。
その後、誰かしら競技に出たり戻ってきたりはしていたけど、5人で話していた。
そして最後の競技は、対抗リレー。
「じゃ、俺行ってくるぜ~!」
そう言ってレオリオが走って行く。
「あれ?お前は出ねぇの?」
諒一がクラピカに聞く。
「見て分からないか?私は出ない」
何故だか喧嘩腰のクラピカ。
私はハラハラしてくる。
「へぇー、俺は昔から駆けっこは一番だったし、リレーっつったらアンカー任されてたけど」
無反応なクラピカ。
私はその場の空気を取り持とうと代わりに反応する。
『そうだよね!諒一は昔から足早いのだけが取り柄だったもんね』
「だけってなんだよ!大体そんな足早いのしか取り柄じゃないような男好きだったの誰だよ?」
ニヤニヤしながらそう返してくる諒一。
…へ?
なんで知ってんの??
そう思いながら香奈江の方を見る。
「ごめんね、言っちゃった(レオちゃんが)」
言っちゃった、じゃなーい!!!
途端にほんのり熱を持ち出す私の顔。
「そんな水上にいいこと教えてやるよ」
諒一がいきなり口を開く。
『えっ、なに?』
「俺も水上が好きだったんだよ」
ニコリと笑ってサラリと言う。
『…へ』
私の顔はみるみるうちに真っ赤に。
当の本人は赤くなる様子もなくヘラヘラ笑っている。
「あれ、水上の顔真っ赤だよ。可愛いなー」
そう言って私の顔を触る諒一。
『…っひゃ』
声に出たとき、ずっとリレーを見ていたクラピカが一瞬こっちを見た。
…気がした。
そして対抗リレーも終わり、閉会式が終わり体育祭は終わった。
片付けをしていると、諒一が近づいて来る。
「帰り車乗ってく?兄貴が送ってくれるけど」
と言ってきた。
『ホント!いいの!?乗って行こうよ』
私が隣のクラピカを見ると、しかめっ面を浮かべている。
『クラピカ?』
「私は歩いて帰る。お前は乗って行け」
…え。
なんか機嫌悪い。
そんな雰囲気の中、クラピカは去って行く。
…え。
私がその後ろ姿を見つめていると…
「何してんの、凛も歩いて帰った方がいいよ!」
と香奈江に背中を強く押される。
「凛、バイバイ」
笑顔で言う香奈江。
『うんっ、またね』
私はそう言うと走り出す。
『クラピカ!!』
そう叫んでるのに無視して歩き続けるクラピカ。
もぉーー…!!
疲れている体を無理矢理動かし、私はクラピカにどうにか追いつく。
『歩くの…っはぁ、はぁ…速っ』
息を切らしながらそう言う。
「...車で帰らなくて良かったのか」
チラリと私を鋭い目で見る。
…なんか怒ってるし。
『クラピカ歩いてくなら私も歩いてこうかなーと思って…』
「そうか」
とりあえず余計不機嫌になることはなかったけど、良くなるはずもなく不機嫌なまま。
『今日疲れたねー』
「………」
…いつもどんな会話してたっけ。
『あっ、リレー』
「……」
『レオリオ、速かったね』
「…お前、リレー見ていなかっただろう」
『え?見てたよ』
「いや、見ていない」
『なんで?』
私が見てたか見てないかなんて、なんでクラピカにわかんのよ。
「お前は諒一とやらと話していたからな」
…あぁ。
『で、でも見てたし』
「…話しながらだろう」
あ、れ?
なんか機嫌悪くなってない?
私はそれ以上反抗するのを止めた。
『まぁ、話ながらだけど…』
ギロ。
『へっ?』
クラピカに睨まれた…。
なぜだか余計機嫌が悪くなった様子のクラピカ。
「お前、奴のことが好きだったのか?」
『奴って…諒一?』
「他に誰がいる」
『…何?気になってんの?』
調子に乗ってそう聞いたのが悪かった。
「気になんかしていない、自惚れるな」
ヤバイ…
ますます怒った…
「私の質問に答えろ」
『へ?』
クラピカの言葉に間抜けな声が出る。
「好きだったのか?」
…気になるんじゃん。
香奈江やレオリオが言っていたことが本当な気がしてきた私は、つい頬の筋肉が緩んでしまう。
『…ちょっと好きだったよ。今は少し意地悪だけど、昔は優しかった』
そう言うとクラピカが呟く。
「顔もいいからな…」
『え、何?』
「忘れろ」
聞こえないフリをしたけど、本当は聞こえた。
私がクラスの女子と諒一の方がクラピカよりもカッコイイって言ったの根にもってんのかな…。
んなわけないじゃん!
クラピカの方が100億倍もカッコイイんだから。
『ねねっ、もしも私が今も諒一のこと好きって言ったらどうする?』
クラピカにもっと妬いて欲しくてついそんなことを言う。
「論外だ、勝手にしろ」
予想外の反応に私は焦る。
『じ…冗談だよ、大体私は諒一のことなんて全然好きじゃないし』
そう言ったとき、クラピカの顔が緩む。
なんだか嬉しくて私までニヤけてしまう。
「では今、お前が好きなのは誰なんだ?」
…へ?
『なに?』
聞き間違えたかと思ってもう一度聞く。
「彼を好きではないなら、今は誰が好きなんだ」
…なんか。
『クラピカの意地悪...』
「言わないという事はまだ好きなんだな?」
…なっ!!
『好きじゃないってば!』
「では誰なんだ」
そう言いながら私の頬に両手を添える。
『っ…』
だんだん近づいて来る顔。
そして…
クラピカは私の唇に自らの唇を這わせた。
唇が離れたと思ったら、クラピカはまた尋ねる。
「誰だ?」
『…クラピカ』
顔を赤くして俯けば…
「上出来だ」
そう言って顎を上げられ、再び唇を合わせる。
なんだかいつもよりも優しいキス。
唇が離れると…
「行こう」
クラピカは再び歩き出す。
…クラピカってやっぱりドSかも。
さっき頬が緩んだように見えたのは、微笑んだわけじゃなくて怪しく笑ったんだ…
なんて考える。
『…クラピカって今日一日不機嫌だったね』
そう言うとクラピカは私に目を向けずに行った。
「誰のせいだと思っている」
『私のせいでしょ?私が諒一と話すからヤキモチ…っ』
言葉の続きを封じようとクラピカは私の口を塞ぐ。
「いい加減にしろ。次ふざけたことを言ったら明日はないと思え」
そんな言葉にもニヤける私は重傷だ…。
クラピカに言ったら殺されそうだから言わないけど…
高校生活最後の体育祭。
今までで一番思い出に残ったかな、なんて。
私だけの秘密。
next…