純愛
ヒロイン名前設定
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”私、クラピカの元カノです!ヨロシクね♪”
クラピカの元カノ?が突然現れて、私はただ戸惑っていた。
元カノの登場によって、やろうとしていたカーレースゲームは中断…
クラピカの元カノの愛美ちゃんと一緒に来ていた男女たちと、クラピカが立ち話を始めてしまった。
「クラピカとこんなとこで会うなんてな~」
「レオリオは?」
「一緒にいたが、別行動している」
愛美ちゃんと一緒にいたのは、クラピカと同じ中学たちなのか…
こんなところで会うなんて、すごい偶然だな。
「つーかこの子誰?クラピカの彼女??♪♪」
一人の男子が、私を見てクラピカにそう聞いた。
『ちっ、違いますっっ』
あ、思わず敬語使っちゃった…
「…ぷっ」
ム。
そんな私を見て、クラピカが吹き出して笑う。
「なんだ~違うの?こんな可愛い子と一緒にいるから、てっきり彼女かと思ったよ」
「クラピカが女の子とデートするなんて、珍しすぎるからな。クラピカは女嫌いだもんな♪」
???
クラピカが女嫌い?
なんで???
「…彼女は別だ」
彼女って…せめて名前で言ってよ。
でも、嬉しいけど…
クラピカが女嫌いだったなんて、今まで知らなかった。
でもなら…
どうして、元カノの存在が…?
ちらっと、愛美ちゃんを見ると…
愛美ちゃんと目が合い、愛美ちゃんはニコッと微笑んだ。
私も愛美ちゃんにぎこちない笑顔を返す。
こんな可愛くて、モテそうな子と…クラピカは付き合ってたのか…
うちのクラスに居たら、マドンナだろうな。
やっぱりイケメンは、可愛い子を選ぶんだな…
はぁ…
心の中で、深いため息をつく。
「別ってなんだよ~なんかあやしいな~」
「…私達は親友だ。そうだな?」
『えっ!?』
親友って…
なんて言い返せばいいの?
ってゆうか、別に親友じゃないし…
私はクラピカのこと好きだから、親友にはならないと思うけど…
「親友だから、一緒に住んでいる」
「えっっっ!!?」
「マジかよ!?」
ちょっ…なに本当のこと言ってんのっ!?
そんなこと、わざわざ言わなくてもいい気がするけど…
一瞬、愛美ちゃんに目を向けると…
………。
眉間にしわを寄せて、めちゃめちゃ怖い顔をしていた。
こ、こわ…
さっきまでニコニコしてたのに、なんて変わりようなの…
クラピカが私と一緒に住んでるって聞いて、あんな顔するって事は、まだクラピカのこと好きなのかな?
ってゆうか…元カノって事は、当たり前だけど今は付き合ってないってことだよね?
なんで別れたんだろ…?
「お!おめ~ら、なんでここにいんだぁ!?」
すると、さっき香奈江ちゃんを連れて消えたレオリオが、いきなり現れた。
後ろには、香奈江ちゃんの姿が。
『香奈江ちゃん~っ』
「おっと…凛ちゃん?どうしたの?…この人たち誰?」
香奈江ちゃんに抱きつく私。
『…クラピカの中学の友達と…元カノ』
「え!?元カノ…!!?」
小声で話ながら、クラピカ達を見る私と香奈江ちゃん。
突然の中学の男友達との再会に、レオリオはテンションが上がっていた。
でも愛美ちゃんの存在に気づいたレオリオは、なんだか一瞬嫌そうな顔をした気がした。
「な~な~!せっかく偶然会ったんだし、みんなで遊ぼうぜ♪」
「そうだよ~なぁ?愛美たちもいいだろ?」
クラピカの男友達が、愛美ちゃんともう一人の連れの女の子に声をかける。
「私はいいよー」
「私も」
愛美ちゃんも、もう一人の子も…ニッコリと笑顔。
その笑顔が、なんか怖いよ…
「あーちょっと待ち」
すると、レオリオが小走りでこっちにやってくる。
「…お前らどうする?みんなで行動してもいいか?」
私と香奈江ちゃんと円を組むような体制を取り、小声で話すレオリオ。
『…うーん…』
顔を見合わせて考え込む、私と香奈江ちゃん。
「あ…私達…行きたいショップがあって…」
『そ、そうそう!この遊園地に期間限定であるのがあって…』
クラピカの元カノと一緒に行動するなんて…そんなの無理だよ。
「じゃああっち断るから、ここで待ってろ」
『えっ…なんで?私達のことは気にしないで、中学の友達と一緒にいたら?』
「そういうわけには…あ」
すると、こっちに向かって歩いて来るクラピカ。
そして…
「先程の続き、やるぞ」
『え…』
クラピカはそう言って、私の手首を掴んで引っ張った。
『続きって…』
あのカーレースゲームのこと?
『でも…』
「なんだ?」
『…みんなと一緒に遊びたいんじゃないの?』
てゆうか、遊んだ方がいいんじゃ?
愛美ちゃんも、こっち見て睨んでるし…
「クラピカ、どうすんだ?あっち断るか?」
「別に、それぞれ適当に行動すればいいだろ」
聞いてきたレオリオにクラピカは軽く答えた後、私を引っ張ってカーレースゲームのところへ。
「お、それやんの?」
「俺もやる!」
クラピカの男友達二人が、カーレースゲームのゲーム機にいる私達に近づいて来る。
少し離れた場所で、愛美ちゃんとその友達…レオリオと香奈江ちゃんがいた。
結局…このみんなで行動することになっちゃった。
本当にいいのかな?
ちらっと愛美ちゃんを見ると、ご機嫌ななめの様子…
「水上…ゲーム始まるぞ」
『え、あっ…はい!』
私は4つ並んでいるカーレースゲーム機のクラピカの隣に座り、クラピカの友達も入れて4人でカーレースゲームをやった。
数分後。
「あー面白かった~」
4人でのレースゲーム終了。
「…お前最下位だったな(笑)」
ゲーム機から立ち上がる時、クラピカが私にそう言って笑った。
『いいの!ゲーム弱くても生きていける!』
「ハハ」
楽しい雰囲気。
心がほんわかする…
しかし…
「クラピカ~」
カーレースゲームのゲームが終わる事を、待ちかねていたかのように愛美ちゃんがクラピカに近づいた。
しかも…
ちゃっかり腕組んでるし…
それに、クラピカの腕に自分の胸の胸をすりつけてる気がするのは…気のせい?
「プリ撮ろうよ~♪」
「いや、断る」
「二人じゃないよ~?みんなで~」
この二人見ていたくない…
だって、付き合ってたんだもんね…
って事は…
キスだってしたことあるだろうし、それに…それ以上だって…
『………』
私はそっと二人から離れ、背を向けた。
「凛ちゃん」
『…香奈江ちゃんっ』
すると香奈江ちゃんが、心配そうに私に声をかけてきた。
私は半泣き状態で、香奈江ちゃんに擦り寄る。
「大丈夫?」
『…なんとか。思わぬ元カノの登場でもうビックリ…』
この数分で、めちゃくちゃ体力消耗したよ…
「あのね…さっきレオリオくんから、クラピカくんの元カノのこと聞いたんだけど…」
『えっっ』
元カノのこと!?
『なになになに?レオリオなんだって!?』
私は香奈江ちゃんからクラピカの中学の頃からの女からのモテっぷりのことや…
元カノの愛美ちゃんの事を聞いた。
『----そうなんだ。…じゃあクラピカから愛美ちゃんフったのかな?』
「多分ね。だから愛美ちゃんはまだクラピカくんに未練があるのかも…」
『そうだよね…』
愛美ちゃんと付き合ってたのって、一瞬だったんだね…
しかも、クラピカって女嫌いだったのか!
「でも大丈夫だよ!愛美ちゃんに未練があったとしても、クラピカくんには全くその気はないから!」
私を気遣ってくれる香奈江ちゃんに、笑顔で返す。
「あ、そうだ!さっきレオリオくんとヅラにゃんこカフェに行ったんだけど…」
『え!?ヅラにゃんこカフェなんかあるの!!?』
「そう!見つけたの♪そんなのあるなんて知らなかったよね!でね、凛ちゃんにお土産で買ったんだ~」
香奈江ちゃんが鞄から出したのは…
『うわ~可愛い♪これヅラにゃんこの人形焼き!?』
それはヅラにゃんこの絵がついている可愛い箱には、人形焼きの文字。
「そう!見つけて凛ちゃん絶対喜ぶと思って買ったの♪」
『ありがとう!すっごく嬉しい♪私も行きたかったな~』
「あ、でもそれ買ってくれたのはレオリオくんで…」
『え、レオリオ?レオリオがこれを…?』
「そ、そう…凛ちゃんの分と私の分と…あとさっき買った飲み物代も出してくれて…」
香奈江ちゃんの顔は、みるみる赤くなる。
『ちょっとなに~?もしかしてレオリオとなんかあったでしょ~??』
「な、ないよ!なんにも!本当だよ!?」
『怪しいな~』
疑いの目で香奈江ちゃんを見つめていると…
「…人形焼きか?美味しそうだな」
クラピカが私達に近づいて来て、貰ったばかりの人形焼きの箱を見てきた。
あれ…?
愛美ちゃんと一緒にいたんじゃ…?
「私にもくれないか?」
『ダ、ダメ!これは香奈江ちゃんがヅラにゃんこカフェで買って来てくれたんだから、家で大切に食べるの!』
「ヅラにゃんこカフェ?あのくだらないキャラのカフェがこの遊園地にあるのか?」
『そ、そうみたい…香奈江ちゃんはさっきレオリオと行ったんだって…』
行って、私の知らないうちに…ちょっとラブい展開があったみたい♪
「…ならこれから行こう。腹が空いたな」
『…!』
これから…?
『…いいの?愛美ちゃんは?なんか…プリクラ撮ろうって誘われてなかった?』
「誘われて、皆で無理矢理機械の中に入らされたが…撮影する直後に出て来た。だからレオリオ達は今プリクラを撮っている」
『…ふーん』
ちらっと香奈江ちゃんを見ると、ちょっと嫌そうな顔をしていた。
だけど、今はそれは置いておいて…
「行こう」
『え、あ、うん…ごめんね、香奈江ちゃん…またヅラにゃんこカフェ行ってもいい?』
先に歩き出すクラピカ。
私は香奈江ちゃんの腕を軽く引っ張った。
「い、いいよ!私はこの辺フラフラしてるから、二人で行ってきなよっ」
私の背中を押す香奈江ちゃん。
『そんなわけにはいかないよっ!香奈江ちゃん一人なんて出来ないって。それに…カフェの場所わかんないし…』
「でも…」
『気を使ってくれるのは嬉しいけど、香奈江ちゃん一人にしてまでクラピカと二人きりになりたくないよ…』
そういうの、好きじゃないかも…
クラピカとは一緒に住んでるんだし、いつも一緒にいられるんだから…
「凛ちゃん、大好きっ!」
『私も大好きっ!』
ぎゅうーと抱き合う、私と香奈江ちゃん。
少し離れたところで、クラピカが「早く来い」と苦笑いをしていた。
私達は小走りで近寄り、3人でヅラにゃんこカフェに向かい、飲み物と軽食を買った。
『空いてて良かったね』
「さっきはすごい混んでたんだよ?」
『そうなの?じゃあ、時間的にタイミング良かったのかなー』
3人でカフェのフードコートに座る。
『メニュー全部にヅラにゃんこがプリントされてて可愛いねっ♪写メ撮ろうー』
私と香奈江ちゃんはスマホを出して、買ったものを全て写メで撮った。
「…早く食べたいのだが」
『もうちょっと!』
お腹が空いてるクラピカが、写メを撮る私達に小声を言う。
『はい、いいよー食べて下さい』
「…やっとだな。すまないが外で食べないか?ここにいるの、凄く恥ずかしいのだが…」
『ダメ!このカフェにいること事態がレアなんだから!今度いつ来られるかわかんないし…』
「…………」
ハンバーガーを食べながら、私の言葉に呆れるクラピカ。
それを見て、アイスを食べている香奈江ちゃんがクスクス笑った。
この3人でいるのって、なんかほんわかしてていいな~
落ち着くし…
私はゆとりある気持ちで、ポテトを2、3本頬張った。
「あ、ここにいたか!クラピカー!!」
すると、レオリオが手を振りながらやってくる。
あれ…?
プリクラ撮ってたんじゃなかったの?
「探したぜ~俺を置いて行くなんて酷えじゃねーか!」
そう言って、クラピカの隣の空いている椅子に座るレオリオ。
「…プリクラなど興味がないからな」
「まあな。クラピカはそうだよな」
クラピカって…プリ嫌いなのか。
まあ、好きそうではないけど。
ってゆうか、愛美ちゃんたちは?
「俺だってガキみてーなの興味ねぇけどな!だがこの4人で撮るってのはどーだ?それだったらいーだろ?」
えっ!
「…………」
レオリオの提案に、何も言わずに黙々とハンバーグを食べるクラピカ。
『いやいや!プリなんて…そんなっ!』
「滅相もございませんっ!!」
クラピカに断られる前に自分が断った方がショックが少ないと思い、先に全力で断った。
私に続いて、香奈江ちゃんも顔を真っ赤にして言った。
そうだよね!
男苦手の香奈江ちゃんが、プリクラなんて…!
「なんだよお前ら…ノリ悪いなァ」
3人にレオリオが加わっても、変わらずに落ち着くかも…
同じ学校だから、当たり前かな…?
「クラピカーレオリオー俺らも入れて~」
すると、さっきの中学の男友達がトレーを持って、私達の席にやって来た。
隣のテーブルには…
「…………」
ムスッとした愛美ちゃんと、その友達の姿も…
いたんだ…
さっきまでのほんわかした気分は一転して、沈んだ気分になっちゃった…
でも、愛美ちゃんをそんなに毛嫌いしてたら悪いよね…
ただクラピカの元カノってだけで…私に何か嫌な事をしてくるわけじゃないし…
ただ、女子が苦手な私からしたら…
自分から愛美ちゃんに話しかけたりは出来ないだけなのかも…
「な~この後、ジェットコースター行かね?」
「いいね♪みんなで行こうぜ!」
男子たちが次に行くアトラクションを勝手に決めて盛り上がっている。
ジェットコースターか…
そういうの乗れば、愛美ちゃんたちともなんとなく楽しめるかな?
せっかくクラピカと遊園地に来たんだし、思いっきり楽しまなきゃね!
元カノが登場したからって、負けないよ私はっ!!
そして、軽食を食べた後…みんなでジェットコースター乗り場にやって来た。
しかし…
待ち時間。
男子たちは何やら話が盛り上がっているのに…
私達女子ときたら…全く会話もなく、盛り上がらない雰囲気。
このアトラクション人気だから、待ち時間は50分待ち…
50分なんて私からしたらかわいいものだけど、この50分はマジで地獄かも~
めっちゃ長く感じるよ…
「…こ、混んでるね」
『う、うん!夏休みだし仕方ないよね~』
「ジェットコースターなんて…超だりぃ。クラピカがいなきゃ絶対乗ってないし…」
香奈江ちゃんと話していたら、後ろから愛美ちゃんのそんな声がボソッと聞こえた。
こ、こわ~
さっきクラピカと話してるトーンと、全然違うし!
「てゆうか、クラピカってなんか変わった?あんな表情豊かだったっけ?あいつ…」
「私と付き合ってる時は、めちゃめちゃクールで~無口だったのに…今って結構話すよね~」
「確かに変わったよね。中学よりももっとかっこよくなってない?」
愛美ちゃんとその友達の会話が、自然に入ってくる。
クラピカって…
中学の時は、あんな感じじゃなかったのか…
今は、面白いことがあれば笑うし…
普通に話してくれる人だけど…
前はそんなんじゃなかったのか…
「ねえ…あなた…水上さん…だっけ?」
すると、私に話しかけてくる愛美ちゃん。
私の恐怖メーターは、一気に上昇する。
『は、はいっ!水上ですっっ』
敬語使っちゃった…
変だと思われたよね…?
「あなたさ~クラピカのなんなの?一緒に住んでるって言ってたけど…」
『…!』
はぁ…一緒に…っすか?
『…住んでる…けど、親が知り合いで…なんか…成り行きでそうなっただけで…』
「ふーん…じゃあ…」
不機嫌な顔から、急にニコッと笑顔になる愛美ちゃん。
余計怖い…
この人、私が苦手な女子代表だよ~
「私ぃ~まだクラピカのこと好きなの♪だから~協力してくれる?」
『え…』
まだ…クラピカのこと好き…?
じゃあ、やっぱりまだクラピカのこと諦めてなかったんだ…
『う、うん…』
思わず返事しちゃった…
私のバカ。
「ありがと~♪水上さんっていい人~」
『はぁ…』
愛美ちゃんに、手をぎゅっと握られる。
協力するって何をだろう…
本当怖いよ~
そして50分経ち…私達の番に。
「香奈江!一緒に乗ろうぜっ!!」
「えっ…」
ジェットコースターに乗り込む寸前、レオリオが香奈江ちゃんの手を引いた。
おお!
レオリオってば、積極的!
「で、でも凛ちゃんが…!」
『いいのいいの!香奈江ちゃんはレオリオと乗んなよ』
私は二人に手を振った。
なんかいい感じだな、この二人~
何気なく呼び捨てにされちゃって…香奈江ちゃんもすみにおけないよねっ♪
「凛、お前はクラピカと乗れよ」
!?
ちょ、ちょっと…
今…凛って…
『レ、レオリオっ!!今私のこと呼び捨てにしたでしょっっ!!』
”凛”って、確かに言った!!!
私はレオリオを指差して、ぷんぷん怒る。
「いーじゃねーかよ。香奈江がお前のこと”凛、凛”って呼ぶから移っちまったんだよ…」
『な、なにそれ…』
あんたが香奈江ちゃんのこと呼び捨てにするのはまだ分かるけど、私のこと呼び捨てにするのはどーなのっ!?
「私の事も…さっきまで”永井”って呼んでたのに…」
『え?そーなの?』
顔を赤くして言う、香奈江ちゃん。
この短時間の間に、レオリオってばめっちゃ図々しくなってない…?
「バカだなお前っ!ちょっと来いっっ!」
??
レオリオが香奈江ちゃんの手を引いて端に寄り、ひそひそ話し始めた。
「あ~そっだったね…さっきお互いに下の名前で呼ぼうって決めたんだったね~」
『…?』
香奈江ちゃんの様子がおかしい。
変な独り言みたいなこと、私に聞こえるように言ってるし…
「…ってことでよ、俺らはあっちに座るからなっ!!♪」
レオリオと香奈江ちゃんは、そう言って6人乗りのジェットコースターの一番前の椅子に隣同士座った。
なんか…
一気にあの二人ラブラブだなぁー
何気にお似合いだし…
ぎゅ。
!!
その時、横から誰かに手を握られた。
とっさに目をやると…
『ク、クラピカ…』
手を握ってきたのは、クラピカだった。
背筋がピンと張り、一気に体中に緊張が走る。
「何処に座る?」
『え、えっと…』
怖い怖い怖い怖い…
後ろにいる愛美ちゃんが、怖い顔してるのが目に見えるよ~っ(泣)
『あ、私は…この人と乗る約束したんだ!』
「おっと…」
クラピカから手を離し、近くにいたクラピカの男友達の手を引く私。
突然のことで、その男子もわけがわからない様子…
名前も知らないこの男子、悪いけど協力してもらうからね!
私はその男子を引っ張って、無理矢理隣同士の席に座った。
「頭上にあるレバーを引いて下さい~」
係員のお姉さんのそんな声が聞こえてきて、私はレバーを引いてジェットコースターが動くのを待った。
プルルルル…
「まもなく発車しまーす」
ジェットコースターが動く直前…一瞬後ろを振り返ってみた。
一番後ろの席に、クラピカと愛美ちゃんが座っているのが見える。
胸が痛かった…
せっかく誘ってくれたクラピカから、離れたのは自分なのに…
本当バカみたい…
クラピカから手を離さなければ、今頃はクラピカが隣にいたのに…
ちょっと怖い女子に言われたからって…
大人しく従うことなんてなかった。
ガコン…
ゆっくりと動き始めるジェットコースター。
でも私は上の空。
愛美ちゃんとなんて…
学校も違ければ、住んでる場所だって遠い。
今日が終われば、もう会う事なんてないのに…
なんで私は…
そんな子の協力なんてしてるんだろう…
私だって…
クラピカが好きなのに。
ゴゴゴゴゴゴゴゴっ…!
「きゃーーーーーーーーーっ!!」
私の乗っているジェットコースターは、急に落下し始める。
絶叫マシンを楽しみたい気持ちよりも、クラピカのことを考えてしまい…全然楽しめなかった。
今はこれに集中しなきゃ!と思った時には、もうジェットコースターは止まっていた。
がやがや…
ジェットコースターから降りると、少しフラフラしてしまう。
何がなんだか、全然わかんなかったな。
ただ落下したり、振り回されたりしてただけだったような…
どっちにしろ、楽しくも怖くもなかった。
「ちっと便所~」
「俺も」
クラピカ以外の男子たちが、そう言ってジェットコースター乗り場の近くにあったトイレへ…
「凛ちゃんトイレ平気?」
香奈江ちゃんが、私に近づいて来る。
『うん大丈夫!香奈江ちゃんは?』
「私も大丈夫」
香奈江ちゃんの顔を見た途端、沈んでいた心が少し晴れた。
「アハハ♪」
少し離れたところで、クラピカと愛美ちゃんが二人で話してるのが見える。
愛美ちゃんの友達はトイレなのか、その場にはいなかった。
クラピカと話せて、楽しそうな愛美ちゃん。
私も…あんなふうに笑いたかったのにな。
「ジェットコースター楽しかったね!」
『…うん!室内だけど、結構速くて迫力が…ってごめんね。なんか気を使わせちゃって…』
香奈江ちゃんが私に気を使ってるのが分かる。
最低だ。
唯一心許せる友達に、こんな想いさせるなんて…
「いいの。そんなこと全然気にしてないよ。私だって今の凛ちゃんの立場なら同じこと思うもん」
『香奈江ちゃん…』
泣きそう。
私は香奈江ちゃんに「ありがとう…」と小声で言い、腕にひしっとしがみついた。
「っ!凛ちゃん!前前っ!」
『え…?』
すると急に香奈江ちゃんが焦り始め、ふと前を見ると…
目の前には、クラピカが…!
無表情で少し怖い顔をして、私を見下ろしていた。
「…少し彼女を借りる」
『え!』
「うん!どうぞどうぞ!!」
香奈江ちゃんが私をぐいぐい押してクラピカに近づける。
少し離れたところにいる愛美ちゃんが視界に入って来て、私を睨んでいるのが見えた…
怒ってる…
怖いよ。
でも、またここでクラピカと離れたら後悔することになるのに…
「愛美…お前も来い」
!!!
今度は、愛美ちゃんを呼ぶクラピカ。
一体なにを考えてるの…?
「はいは~い」
さっきまでの怖い表情から、ニコニコ顔に変わった愛美ちゃんは、小走りでクラピカに近づいた。
そしてクラピカの腕にしがみつき、まるでクラピカの彼女みたいな表情をした。
胸がズキズキする…
こんなの…見たくないよ…
我慢できず、クラピカと愛美ちゃんから目をそらすと…
「…愛美、お前は相変わらずだな。その二重人格は未だに直ってないのだな」
クラピカは愛美ちゃんに、冷たい口調で言った。
「な、なに言ってんの…」
思いもよらぬクラピカからの言葉に、動揺する愛美ちゃん。
「お前と別れたのは、お互いの性格が合わなかったのも理由の一つになるが…それ以前にお前のその性格の悪さに気づいていたからだ」
「…!」
クラピカの言葉は、愛美ちゃんの胸にグサッと突き刺さっているみたいだ。
「別にその性格をお前が直そうが直さまいが、私には関係のないことだが…」
『?』
「水上絡みでお前が何か吹き込んでいるのなら、さすがに私も容赦はしない」
『~~~っっ!』
こ、こわっ!!
クラピカはそう言って、物凄く恐い顔をした。
それは愛美ちゃんがさっきまでしていた怖い顔なんかとは、比べ物にならないくらいの怖さで…
クラピカの言葉が嬉しいのに、それがすぐには頭に入ってこなかった。
愛美ちゃんはクラピカの腕からそっと手を離し、逃げるように女子トイレへ走って行ってしまった。
なんか、魂抜けたような顔してたな…
よっぽどの屈辱だったみたい…
ぎゅ。
『あ…』
すると、私の手を引き歩き始めるクラピカ。
どこに行くの…?
って…なんとなく聞けないな…
私は戸惑いながらも振り返り、香奈江ちゃんの顔を見ると…
香奈江ちゃんは、笑顔で私を見送ってくれていた。
私は香奈江ちゃんに手を振り、クラピカが私の掴んでいる手首から徐々に下に下りてきて…
私の手を握り締めていることに気がついた。
私はその手を、ぎゅっと握り返した。
『わぁ…』
クラピカが連れて来てくれた場所は、ベンチがたくさんあるフロアーで壁一面に綺麗な電光のイルミネーションが飾られているとこだった。
そこにはカップルが多く、私とクラピカは一番端のベンチに腰掛けた。
繋いでいた私達の手は、その時自然に離れる。
クラピカと手繋いじゃった…
大きくて、指も長くて…
男の人の手ってこうなんだ…
「先程パンフレットを見た時、ここを見つけたんだ…」
『そうなんだ…クラピカにしては珍しいね。こんなとこ来るなんて…』
「お前に見せたかったからに決まってるだろ」
『えっ…』
ななな、なんだって…!?
今なんて言った?
「ところで大丈夫か?愛美の奴に何かされていただろ。周りの事を考えてあえて気づかない振りをしていたが…さすがに我慢できなくてな」
『かばってくれて嬉しかった…でも大丈夫かな?愛美ちゃんすごくショック受けてたけど…』
愛美ちゃんは、まだクラピカのこと好きなんだもんね…
あの子意地悪かもしれないけど、クラピカのこと好きなのは私と同じだし…
「愛美のことなどどうでもいい、放っておけ」
『…うん』
冷たくて、怖い言い方…
ちょっとだけ愛美ちゃんを可哀想だと思ってしまう私は、お人好しなのかな…
「それより…お前に聞きたいことがあるのだが…」
『うん?何?あ…そうだ、ガム食べる?』
さっきヅラにゃんこカフェで売ってたやつ~♪
「…緊張感がないな」
『え?』
先にガムを口に入れると、クラピカは呆れたような顔をした。
『緊張感って…何が?』
「………」
口をモグモグさせると、クラピカの顔は更に呆れかえる。
「私の事をどう思っている?」
『…!』
突然の質問に…
時間が止まった気がした。
周りにいるカップルたちも
子どもや家族連れも
私の視界に入ってこない…
どちらかというと騒がしい周りの音も、耳に入ってこない…
口に入れているガムの味さえも、今はしなくなっていた。
私の事をどう思ってる…?って…
それって、クラピカのこと好きかどうかってことだよね…
ってことは…
クラピカは…私のこと…
ドクン
ドクンっ
『…………』
「…………」
心臓が飛び出そう…
おまけに、クラピカに聞こえそうなくらい鳴ってる気がする…
『あ…私は…』
ここで言えば…
クラピカと両想いになれるの…?
私も好きって言えば…
クラピカの彼女になれる…?
クラピカは真剣な表情で私を見つめている。
その時…
ダダダダダダダダ…!
!?
近づいて来る足音…
「お姉ちゃん!見て!!クラウスくんがこんなに大きいヅラにゃんこのぬいぐるみ当てたの!!」
『…………』
「…………」
かなり大きなヅラにゃんこのぬいぐるみを、私に嬉しそうに見せてくる莉子。
後ろには、クラウスくんや莉子の友達がいる。
「なに?リアクション薄くない?お姉ちゃんに見せるために走って来たのに~」
『え、あ…えっと…』
どうしよう…
今はヅラにゃんこの事なんて、考えられないよ…
タイミング悪過ぎ…
私は今…
クラピカのこと好きだって言おうとしてたのに…
「…はぁ」
…!
ため息をつくクラピカ。
た、ため息!?
もしかしてだけど…
怒ってるんじゃないの~?
カタ…
急に立ち上がるクラピカ。
違う意味で、胸がドキッとした。
やっぱり怒ってる…?
立ち上がっただけなのに、めっちゃ怖いんですけど!
そしてクラピカはベンチから離れ、どこかへ行こうとする。
もう終わったと思った、その時…
「…何をしている。行くぞ」
『え?』
クルッと振り返り、キョトンとした顔で言うクラピカ。
その表情は決して怒っているような顔をしてるわけではなく、至って普通だった。
『どこ行くの?』
私もベンチから立ち上がり、クラピカに近づいた。
「…小腹が空いたから、先程のカフェに行くぞ」
『小腹って…またお腹空いたの?』
ジェットコースター乗る前に食べたばっかりじゃん!
「…別に良いだろう。早く行くぞ」
『う、うん…』
クラピカと並んで歩きながら、後ろを振り返り莉子に一言声をかけた。
そしてクラピカと2回目のヅラにゃんこカフェへ行き、二人きりでお茶を飲んだ。
クラピカがさっきの話も続きをぶり返すことはなかったが、今日初めてデートらしいことが出来たし…
私は大満足だった。
”私の事をどう思っている?”
その言葉だけで、今は十分だよ…
next…