純愛
ヒロイン名前設定
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~香奈江side~
「お前とは手繋がねえよ」
小学校の林間学校の肝試しで、当時片想いしていた人から言われた一言…
ペアになった男子とは、必ず手を繋いで肝試しのコースを歩くのがルールだった。
片想いしてる人とペアになれたことが、すごく嬉しかったから…
その分、傷ついた。
私はその日から、男が苦手になった。
私は永井 香奈江。
人見知りで男嫌い、ゲーマーの根暗女子です(笑)
そんな私が今…
男子と手を繋いでいる。
「………」
レオリオくんに無理矢理?でもないけど…手を引かれてから、お互い何も話さずにただ歩いている。
男子と手を繋ぐなんて、生まれて初めて…
緊張しすぎて、汗がだらだら出る。
私…手湿ってる?
恥ずかしいから離したいけど、急に離したら感じ悪いかな…
今手を繋いでるのって、別にラブの方の行為ではなくて…
ただ、レオリオくんに手を引っ張られてるだけなんだけど…
だからこそ、急に離したりしたら感じ悪い…?
離す前に、一言声かけた方がいいかな…
でも、自分から話しかける勇気ないよー
「オイ…喉乾かねーか?」
急に立ち止まるレオリオくんは、そう言って私の方を向いた。
「う、うん…そうだね…」
汗かいたから、余計に喉カラカラだよ…
「あれ?ヅラにゃんこカフェだってよ」
「えっっ!!」
ヅラにゃんこカフェ!?
あ…
思わずテンションあがって、大声出しちゃった…恥ずかしい…
「あそこでなんか買おうぜ」
「あ、うん…」
私とレオリオくんは、カフェの中に入った。
「並んでんな」
「…混んでるね」
ヅラにゃんこカフェは大人気で、20組ぐらいの行列が出来ていた。
列の最後尾に並んだ私とレオリオくん。
その時…
私達の繋いでいた手は自然に離れた。
レオリオくんと繋いでた方の手に、まだ繋いだときの感触が残ってる…
男の子と手を繋ぐのって、あんな感じなんだな…
「ヅラにゃんこカフェなんて初めて見たなぁ…お前知ってたか?」
すると、レオリオくんが私に話しかけてくる。
ちゃんと普通に話さなきゃ。
せっかく、私なんかと行動してくれてるんだから…
ってゆうか、なんで私と一緒にいてくれるの?
あ!
凛ちゃんとクラピカくんに気を使ったのかな…
「…聞いてるか?」
「えっ、あ…ごめん!…私も初めて見た!噂では知ってたんだけど」
「ヅラにゃんこって、最初はゲームしか知らなかったが…今は人気カフェまで出来るほど人気なんだな」
「レオリオくん…ヅラにゃんこ知ってるの?」
どちらかというと、ヅラにゃんこって女の子に人気なのに…
「知ってるぜ。俺はゲームしかやってねーけど…」
「え、ゲームやってるの!?ヅラにゃんこ戦争?」
「ああ、お前も?」
「やってるよ!凛ちゃんもね!」
「…あれおもしれえよな。俺は今、チョンマゲのぶにゃがと戦ってて…」
「うそ!レベル高い…私まだ家康にゃんこで…」
「家康はコツがあるんだぜ?」
待っている間、レオリオくんとゲームの話で盛り上がる。
おかげで時間があっという間に経ち、私達の順番になり、飲み物を買った。
「レオリオくんありがとう」
ジュースおごって貰っちゃった…
凛ちゃんのおみやげとして買おうと思ってた、ヅラにゃんこの人形焼きも。
「いいぜ、たいしたもんじゃねーし」
「そんな…」
男の子に、おごってもらったのも初めてだな…
初めてだから、うまくお礼も言えないや。
「…座るか」
「え、あ…うん」
レオリオくんがベンチを見つけ、私達は座ることにした。
人1人分くらいあけて、レオリオくんと並んで座る私。
男の人と、こんな風に座るのも初めて…
今日は初めて事がいっぱい…
「…あいつらうまくいってんのかねー」
プラスチックの容器に入ったヅラにゃんこのイラストがプリントされているコーヒーを、ストローで飲むレオリオくん。
「あいつらって…凛ちゃんと、クラピカくん?」
「そうだ。…あの二人、そろそろくっついてもいいと思わねーか?」
「お、思うけど…なに?ってことは、クラピカくんも凛ちゃんのことっ…」
「…好きに決まってんだろ、あれは。誰が見ても相思相愛だろ?」
「うそー!!!」
やったね、凛ちゃんっ♪♪♪
私もそんな気がしてたけど、レオリオくんが言うなら間違いないよね!
「でもクラピカが中々行動しねーってことは、やっぱりまだ怖-のかな…」
「…怖いって…恋愛がってこと?」
「…っていうより、女が?」
「え?」
女が怖い?
クラピカくんが…?
「クラピカはよぉ…見ての通りカッコイイだろ?だから昔からスゲーモテてたんだ」
高校入学した時から、私も実はそう思ってた…
凛ちゃんには言ってないけど。
「もうそれは恋愛通り越して、ファンみたいになってな…中学の時とかマジで凄かったんだ」
「そんなに?」
「あぁ、毎週のように誰かに告られたり、なんかもらったりな…一瞬羨ましくも思えるけどでも違った」
苦笑いするレオリオくん。
「中2くらいの時だったかな~それぐらいからクラピカのファンの女達が急変し始めてな…」
「…急変って…どんなふうに?」
「クラピカの家について行ったり、私物盗んだりとか…あとイタ電イタメール…その他もろもろ…」
それって…イタズラ?
「それからはクラピカは女嫌いになっちまってな…女を避けるようになったんだ。気軽に話したり、遊んだりとか絶対しなかった。まぁクラピカは元々、女とつるむ奴じゃねーけどな」
「…じゃあクラピカくん、今まで彼女とかいなかったんだ…」
あんなにかっこいいのに、勿体ない!
「いや、一人だけいたな。中3の初め頃」
「…!」
なんだ…彼女はいたんだ。
そりゃあ、そうだよね…あれだけのイケメンなら、彼女の1人や2人や3人や…
「イタイファンの女達と違って…クラピカのこと純粋に好きな子が一人だけいてな。顔も可愛くて、頭良くてスポーツ出来て…そんな子がいたわけ。斉藤(さいとう)って言うんだけどよぉ…ま、すぐ別れたけどな!」
「…すぐ別れちゃったの?なんで?」
「…なんっつーか…斉藤が思ってたよりも、肉食系だったからだろーな」
「え?」
肉食系???
って、女なのに?
「斉藤な…顔はお前みたいに純粋で可愛いのに、中身は純粋の欠片もなくてなー」
「あああ、あのっ…それはっ…どうしてーかなー…ァハハ」
純粋で可愛いって…言われたよね今!?
せっかくレオリオくんが話してくれてるから、話をそらしちゃいけないと思ってあえて流したけど…
今、さりげなくほめられた!?
こういうときの返しも、うまくできないよ~
「キスとか自分からしたり…露出して自分から誘ったりな、計算高いっつーのかな?そういう女でよ、斉藤は…」
「ふーん…」
私だったら、そんなこと絶対できないなぁ。
計算なんて…どうすんのかわかんない。
「あんな肉食系女とは、クラピカは合わねぇな。もっとイジメがいのある女じゃねーとな」
「…イジメがいって?好きな子のこといじめるの?」
「そうだ。好きだからこそイジメたいってことだ!からかいたいっていうか…クラピカはドSだからなぁ~キスとかも、自分から意地悪しながらしてーんじゃねーかな」
「………っ」
意地悪しながらキス!?
なにそれ!
よくわかんないけど、クラピカくんがそうだっていうのは…なんか納得できるかも!
あの顔でドSなんて、メチャメチャかっこいいっ♪
「それからすぐ斉藤と別れて…クラピカはそれっきり彼女作らなかったしな、女自体と仲良くしなかった。…で、中学卒業してこっちに引っ越して、俺は東京の高校に入学したんだ」
「…そう」
クラピカくんの過去か…
凛ちゃんに教えてあげなくちゃ!
あ!
でも、凛ちゃんに言ってもいいのかな?
そんなことを考える私だが、それに気づいていないレオリオくんは話を続けた。
「最初の1ヶ月くらいは高校も楽しかったんだけどよぉ…でもやっぱりクラピカがいない生活はつまんなくてな。だから親に頼んで転校してきたんだ。
俺ん中でクラピカはこっちの学校でも女に付きまとわれて大変だと思ったのによ…案外、こっちの女達は常識あるよな?クラピカのファンはたくさんいるが、マナーはちゃんとしてるしな」
確かにそうかも…
みんな密かにファンでいる感じ?っていうか…
でもクラピカくんの近づくなオーラが怖いからっていうのも、あるんじゃないかな。
「だから余計に、クラピカが水上とつるんでんのを見てビックリしてよ。最初、水上がクラピカに付きまとってんのかと思った…」
「あ、そっか…」
だから転校してきてすぐ、レオリオくんは凛ちゃんに当たりきつかったのね。
「でもすぐに、それは違うって分かった。クラピカがそんな女と仲良くするはずねーし、それに水上もそんな奴じゃねーからな。まだ付き合い浅えが、それぐらい分かるし」
「凛ちゃんはそんなことしないよ。ってゆうか、そういうこと出来ない性格だと思う」
好きな人に対して、積極的な行動することが出来ないと思うな…
見た目と違って、照れ屋ちゃんだし♪
「クラピカが水上を選んだ気持ちはよく分かるな。あいつ可愛いし、女らしいしな…」
「………」
遠い目をするレオリオくん。
「…もしかして、レオリオくんって凛ちゃんのこと好きなの?」
「………」
今の言い方って…そうとしか思えないんですけど…
「…黙ってるって事は…」
「…好きじゃねぇよ、別に!俺は恋愛より友情を選ぶんだ!!」
「って事は、やっぱり凛ちゃんのこと好きなんだね」
「…あ」
しまった!という顔をするレオリオ。
私はそれを見て、クスクス笑った。
「…最初見た時、イイ女だと思ったな」
「やっぱり…」
「…でも本当は今はどうも思ってねぇよ。俺が水上と会う前からクラピカといい感じだったしな…それ以上の感情を抱く前に終わった(笑)さっきも言ったけどな、水上なんかよりクラピカの方が大事なんだよ!」
レオリオくんの言い方は、どこか強がっているようにも見えた。
「でももし、クラピカくんがいなかったら…凛ちゃんに告ってたでしょ?」
「…お前はどうなんだよ?水上がいなかったらクラピカに告ってたか!?」
「えっ…」
じーーーーーっと、私を見るレオリオくん。
「なっ、なにそれ!?なんのこと言ってるのっ!!?」
「とぼけんな!いつも水上に気づかれないように、クラピカのこと見てんだろ!?」
「…っ!」
その一言で、何も言い返せなくなってしまった。
顔はタコのように真っ赤になり、エアコンの風が直にあたる場所にいるにも関わらず、体は暑くなり汗が吹き出た。
レオリオくんの言ったことは…案外外れてなかった。
高校に入学して、数日後遅れて初登校してきたクラピカくんを初めて見たあの日…
こんなにカッコイイ人が地球にいたのか!
…と思うくらい、クラピカくんに釘付けになっていた私。
恋愛感情の好きではなかったけど、彼のファンになりかけていたのは事実。
だからこそ!
凛ちゃんが落としたヅラにゃんこを届けた帰り道、クラピカくんが駅まで送ってもらった時は、心臓が飛び出そうになったんだ。
でも…
「…最初から…私の入り込む隙間なんてなかったんだ…」
「…?」
私はあの日の帰り道でのクラピカくんとの会話を、レオリオくんに話したーーーー…
「………」
「………」
「あっち~風呂入りて~」
凛ちゃんちからの帰り道。
クラピカくんに送ってもらうことになった。
歩いてもう数分経ったけど、まだ無言の私とクラピカくんと、ぶつぶつと独り言を言うクラピカくんの弟の…
確か、クラウスくんだっけ?
あのクラピカくんが、私の隣にいる!
しかも…あのクラピカくんが私を送ってくれてるなんて…!
やばい!
本当死にそうっ…
あ、でも駅が見えて来た。
「も、もうこの辺でいいよ!駅前だし人気もあるし明るいからっ!」
このままだと、心臓が持たないしっ
「…そうか、では気をつけて…」
「送ってくれてありがとう!水上さんによろしく言ってね」
よし。
なんとか笑顔で言えた!
「あぁ…永井さん、水上の事どう思う?」
「え?」
妙に真剣な表情のクラピカくん。
「…水上さん?いい子だと思うけど…」
美人だし、大人っぽいから憧れちゃう♪
「もし…水上の事少しでも気に入ってくれたのなら、仲良くしてやってくれないか?あいつ…友達運が悪いからな。だが、永井さんなら仲良くしてくれそうだから、私からの頼みだ」
「…!」
まるで…
自分の彼女の為に言っているようだった…
私はクラピカくんと凛ちゃんは、てっきり付き合ってるんだと思ってた。
付き合ってなくても、クラピカくんは凛ちゃんのこと好きなんだって思った…
「----だからね、私も…クラピカくんのこと好きになる前から、もう諦めてたんだよね。あの二人は、もう二人の世界があったし…」
最初から、クラピカくんは凛ちゃんを見てた。
凛ちゃんも、クラピカくんのこと見てたから…私の入り込む隙なんてない。
「そっか、なら俺達って…」
私の話を聞いたレオリオくんは、そう言って私に顔を近づけてくる。
「似た者同士だな!!」
「…っ!」
そして、ニカッと笑うレオリオ。
その笑顔に…ドキッとしてしまった…
レオリオくんって…
思ってたよりも、いい人?かも…
見た目は男らしくて、でもちょっとチャラそうだけど…よく周りを見てるし、フォローするのが上手いし、優しいし…
最初に抱いてたイメージと、全然違う。
「なーんかムカついてきたから、俺らであいつらのことちょっとイジメてやるか!」
「…いじめるって?」
「両想いのくせに中々くっつかねーだろ!?だから俺達が影で協力してやんだ!…っ、あいつら中学生かっ!?」
「ハハハ、中学生(笑)でも、クラピカくんはどうして凛ちゃんに告白しないんだろ?」
好きなら、早く告白して付き合えばいいのに…
「今は友達関係だから、下手なことして気まずくなりたくないんじゃねーか?しかも一緒に住んでるから余計にな!」
「あ、そっか…でも…凛ちゃんがクラピカくんを振る訳ないんだし、気まずくならないと思うけどな…」
「だからムカつくって言ってんだ!お互い両想いだってわかってねーところが!!」
「なるほどね…」
納得しました。
「とりあえずあいつら探して、遠くからウォッチングしてやろうぜ♪」
「ハハ、そうだねっ」
ニシシと笑うレオリオくんに、またドキッとした。
私の、新しい世界が開いた気がした…
next…