番外編
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今、私は妻と玄関のドアに挟まれている。
そう。 それは数秒前のこと。
仕事から家に帰り、疲れた心身を愛しい妻に癒やしてもらおうとドアを開けたときだった。
ガチャンとドアが閉まった瞬間に…
ドンッ!という音と共にソフィアが私の目の前にいた。
「…な、なんだ?」
私がそう口を開くと…
『…………』
無言のまま、ソフィアは私を見た。
そんなソフィアに私は言った。
「…まさか私を誘っているのか?…すごく嬉しいんだが、とりあえず…」
そう言いかけた私に、ソフィアは…
『誘ってなんかないっ!.....私は怒ってるのっ』
そんなことを言った。
私はきっと間抜けた面をしていただろう。
私をドアと自分で囲うソフィア。
私よりも数十センチも背の低いソフィアは、私の両脇の下辺りに手を置いて、頬をほんのり紅くして、大きな瞳は私を上目に見上げている。
__可愛すぎる。
そんな妻は怒ってるという。
…私にはどう考えたって、誘っているようにしか見えない。
そんなことを考えてる私にソフィアはボソッと言った。
『…プリン…』
「…え?」
『…私のとっておいたプリン、食べたでしょ!!』
ーープリン。
確かに私は今日の朝、食べた。
「…あぁ、食べた…な…」
『今日の夜、食べようと思って楽しみにしてたのに…』
そう言って涙目になるソフィア。
ーーだから、可愛すぎだ。
「…すまない。そんなに楽しみにしていたのを知らなかったんだ。
本当にすまない。今度、好きなだけ買ってやるから許してくれ…な?』
そう言ってソフィアの頭を撫でた。
すると、ソフィアはフッと息を吐いて言った。
『…いいよ、もう…』
ソフィアはいつもそうだった。
私が何かして怒らせても、いつも最後は『いいよ。』と言って、少し頬を膨らましながらも許してくれる。
怒りきれない優し過ぎるソフィア。
ソフィアは手をそっとドアから離すと一歩、後ろへ下がった。
ソフィアからの拘束が取れると、理性を保てきれた安心感と、ソフィアとの密着がなくなり寂しい気持ちになった。
「…あれ、誰かからの頂き物だったのか?」
私は今しがた少し離れたソフィアに問い掛けた。
するとソフィアはコクンと頷き…
『…キルアからもらったの』
「…………」
キルア。
…私は心の中で舌打ちをした。
私とソフィアは1ヶ月前、結婚式をしたばかり。
所謂、新婚だ。
キルアは昔からソフィアを本気で愛していた。
結婚式には参加し、皆と祝福してくれた。
だが、今もきっとソフィアの事は好きなのだろう。
しかし、ソフィアは自分で気付いていないだけで、男達からの人気が高い。
最近、店で一人買い物中にナンパされたそうだ。
こないだの遊園地でもちょっとした隙に、男達からナンパされていた。
そんなことを考えていると、こないだゴン達が私の家に遊びに来ていた時のことを思い出した。
ソフィアと距離が近かったキルア。
一瞬だが二人で手も繋いでいた。
私がそれに気付き、急いで近付こうとした時にはキルアは手を離して、トイレへと向かった。
「…キルアは、まだソフィアのことが好きなのか」
私は低い声でソフィアに言った。
その時の残像が浮かんで、思わず声が重いものへとなったのが自分でも分かった。
『…そ…そんなことないよ』
そう言って首を左右に振るソフィア。
明らかに動揺しているのが分かる。
『それより、もうご飯にしよっか!』
そう口にしたソフィアはキッチンへと向かうべく、踵を返した。
その瞬間、私はソフィアの腕を掴み、引っ張った。
そして、彼女の顔の横にドンッ!と手をついた。
ソフィアは扉と私に挟まる状態。
ーーつまり、先程の逆の体勢。
ソフィアは驚いた表情で私を見上げている。
「…何か隠しているな?」
私がそう言うとソフィアは俯いた。
『……何も隠してないよ?』
私はそんなソフィアの手首をとって自分の口許へと持っていった。
「だがこないだ、キルアの奴に手を握られていたぞ」
そう言って私はそのまま、ソフィアの指を唇にあてた。
『…ちょっ!』
ソフィアは驚いて、手を引っ込めようとするが私がそうはさせない。
「何を隠している?…答えろ」
『…何もないよ…』
「ソフィア…教えてくれ」
『…………』
「またキルアに告白でもされたか?」
私がそう言うと、ソフィアの体が少しビクッと反応した。
『告白じゃないけど……今度、一緒に二人で出掛けようって言われた」
「……そうか。何て答えたんだ」
『…………』
何も言わないソフィア。
「まさか…OKしたのか?」
私がそう言った瞬間、ソフィアは私の服を掴み前のめりになりながら言った。
『そんなわけないでしょっ‼』
大きな声で必死にそう言ったソフィアに少しの驚きと、愛しい気持ちでいっぱいになる。
『私はクラピカが大好きだから、二人はだめってちゃんと言ったに決まってるでしょ…!』
そう言ってまた大きな瞳を涙目にさせる愛おしい妻。
「……もう、限界だ」
私はそう言って、ソフィアに深い口付けをした。
それはどんどん深いものへと変わり、ソフィアの甘い声が私の耳をくすぐる。
唇を離すと、そこには可愛すぎるソフィアが肩を上下にさせて息をしていた。
そんなソフィアを私はそっと抱き締めた。
そして、心の中で誓った。
明日にでも電話でキルアに言おう。
ソフィアは私の妻だと。
そして、キルアの目の前でソフィアと私の熱いキスを見せてやろうか…
など柄にもなく馬鹿なことを思った。
end♡