番外編
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結婚式が終わって一週間後の夜。
カレンダーを見ると明日から三連休。
クラピカは無表情でソファーに座って本を読んでいる。
『ねぇ、クラピカ。三連休のどれか遊びに行かない?』
「…そうだな」
素っ気ないクラピカ。
『ねぇ、その本そんなに面白い?』
「………」
本を読むのに夢中みたい。
あーもうムカつくなぁ。
私は携帯を取り出す。
…誰かにメールしようかなぁ。
そう思いながら携帯を開く。
『…あっ、ねぇねぇ日曜日仕事ないって言ってたよね!?』
「あぁ、言ったな」
『遊園地行こうよ!!』
私のいきなりの提案にクラピカは本から目を上げた。
「駄目だ」
そう言うと再び本に目を戻した。
『なんでー??』
「人混みは疲れる。せっかくの休みなのだから、ゆっくりしたい」
なにーーー!?
こんな男を旦那にした気がしれない!! …私だけど(笑)
『あたしぃー、クラピカと一緒に遊園地に行きたいぃ~』
ぶりっ子作戦。
ぶりっ子が嫌いな私にとって一番したくない行為だ。
でも、これは遊園地に行けるため!!
「…フッ、気持ち悪いな」
鼻で笑うクラピカにカチンとくる私。
『じゃあクラピカはどんな子がタイプなの??』
こんな質問何度した事だろう。
「知らないな」
そして何度こう返されただろうか。
そんなことよりも!!
『そうだ、ゴンたちも誘ってさ!一緒に行こうよ!来週までこっちにいるって言ってたし!皆で行ったら絶対楽しいよ!!』
「そんな、勝手に決めて大丈夫なのか?」
私はゴンに電話をし始めた。
「お、おい…(ってもう架けてるし(汗」
『もしもし、ゴン?』
ゴンが電話に出た。
『そーっ私!あのさ、突然ごめんね!!今週の日曜日さぁ…』
話を終えて電話を切り、クラピカに笑顔を向けるとクラピカはため息をついた。
そして!!
待ってました日曜日~♡♡
私とクラピカは待ち合わせ場所である駅に向かい、ゴンとキルアと再会した。
「レオリオまだかよ。つか5人で遊園地なんて初めてだよなー」
ちょっと嬉しそうなキルア。
『そうだね~!クラピカが余り出掛けるの好きじゃないもんね~』
「悪かったな」
ソフィアの言葉に少し不機嫌になるクラピカ。
そんな二人にゴンは軽く微笑んで言った。
「でも二人いつも仲いいからいいじゃん!!」
『えへへ、まあね♡』
そう言われると、ちょっと照れくさい。
「おーい!!」
声が聞こえた方を向くとレオリオが走ってきた。
「わりィなぁ!!寝坊しちまってよ~‼」
「遅いぞレオリオ。もうすぐ電車が来るぞ」
クラピカが時計を見てそう言い、私達5人は電車に乗り込んだ。
「テンション上がるね~♪」
「そうかー?ガキじゃあるめーし」
「キルアだってまだ子供のくせにー」
ゴンとキルアは仲良くそんなことを言い合っている。
私は…
チラリと隣を見る。
ぐっすり寝ているクラピカ。
…まぁ、昨日も遅くまで仕事だったしね。
疲れてるから仕方ないか。
いつもクールなクラピカを笑顔にしたくて私は遊園地に行こうって思ったのに…
クラピカにとっては迷惑だったかな?
でもクラピカと遊園地に行ったことないし、普段クールなクラピカのイメージを一度壊してみたいなぁ。
例えば?
ジェットコースターで泣き叫んだり?
…ないよね。
ハンター試験のトリックタワーで全然平気そうだったし。
じゃあお化け屋敷で腰抜かしてたり?
それはもっと想像つかない。
クラピカが遊園地をどう楽しむか。
私はそれが見てみたい…
そんなことを想像し続けて数十分。
「…お前、何を想像している」
いつのまにか起きたのか、クラピカが呆れた表情で言ってきた。
…げ、見られてた!?
『遊園地楽しみで…』
遊園地がというよりクラピカの反応がね。
「…まだ子どもだな」
フッとクラピカが優しく微笑む。
ついその微笑むクラピカに見とれてしまった。
「何だ?」
『や…、クラピカのその顔、珍しいなって』
本当はかっこいい♡って言いたかったけど、恥ずかしいから言えない。
「お前が遊園地を楽しみだと言う方がかなり珍しいが?」
『わ、私だって遊園地くらい楽しみだもん』
なんて言っているうちに遊園地に着いた。
『遊園地だぁー!!』
「だねっ!今日はいっぱい楽しもう!!」
私とゴンはテンションMAX!
「日曜日だからかやはり混んでるな…」
なんだか嫌そうに、そう呟くクラピカ。
「まずどこから行く~?」
意外とウキウキのキルア。
「絶叫系は!?」
即提案するゴンにレオリオが口を開く。
「ホントお前そうゆうの好きだよな-!!」
「オレも好きー♪」
笑って言うキルア。
…待って。
この雰囲気は絶叫系に行ってしまう。
そう、わたし実は絶叫系無理なんです!!
「行っちゃうか~!?」
待って、レオリオ!!
なんとしても絶叫系に行くことを止めさせたい私は慌てて答える。
『ま、まずは優しいやつから行こうよ!楽しみは後にとっとく的な』
出来るだけ…後にしたい。
「…絶叫系はこの時間だと混んでいるかもしれない」
クラピカがそう応える。
やった!!
「夜のパレードんとき人空きそうだし、そん時にでも行くか!!」
……レオリオ。
あなたはそんなに絶叫系にしたいんですか。
なんなら今すぐにでも絶叫させてあげようか?
なんて物騒なことを考えながらも、一先ず今すぐ絶叫系に乗る必要はなくなったことに対して安堵の息を漏らす。
「じゃあ、あれ乗ろーぜ?」
キルアがどこか指差す。
そこはまあまあ空いている場所で、絶叫系ではなく、水の上を穏やかなスピードで流れるやつだ。
「乗るー!」
「ハイハイ、じゃあ行くか!」
「~♪」
ゴンとキルアとレオリオは、私とクラピカをその場に残して、そのアトラクションの方に向かって行く。
『待っ…』
待って。
そう言って3人の後を追おうとするが…
クラピカまでもが私を置いてスタスタと歩いていく。
『ねぇ待ってっ。クラピカ!』
立ち止まり、私の方に振り向いて…
「おいで」
手を差し出すクラピカ。
……。
私もおずおずと手を出すとクラピカが優しく私の手を握った。
「私から離れるな」
『うん、分かってるよ』
その言葉久しぶりに聞いた。
結婚しても言ってくれるなんて、嬉しい///
『もーみんな置いて行かないでよ〜』
私は恥ずかしいのを隠しながらも、手を離す事はしないで3人にそう言う。
「おいおい、手なんか繋いでのろけかぁ?」
からかってくるレオリオ。
「いいじゃん!二人とも新婚さんなんだから!ラブラブだねっ♪」
『えへっそれほどでも~///』
浮かれてそう応えると…
「混んじまうから早く行こーぜ?」
キルアが素っ気なく言った。
空いているとはいえやっぱり混んでいて、少し時間がかかったものの私達はその乗り物に乗り込んだ。
ゆっくりそれが進む。
やがてそれは洞窟の中に入り、ガタガタと揺れる。
「ワハハハ、面白ーい!」
ゴンは超楽しそうに叫ぶ。
ガクン!!
いきなり船が急降下。
ほんの数メートルだったけど、本当に私は驚いた。
「凄い楽しかったねっ!!」
興奮するゴンにクラピカは…
「だが物足りなくなかったか?」
と言う。
「じゃあもうちょい刺激を求めて~あれはどうだ!!」
レオリオが指を指したのはバイキング。
船が揺れるやつだ。
まぁこれなら私もたぶん大丈夫…。
「じゃあ行こう♪」
ゴンの言葉で私達5人はそこに並ぶ。
「オレさ、こうゆう揺れが激しい乗り物に乗ると気持ち悪くなるんだけど…」
キルアが呟くがみんな気持ちはバイキングに向いているため無視。
『キャァァァアーッ!』
私は乗りながら悲鳴に近い声を上げる。
もちろん怖くてじゃなくて楽しくて上げてるんだけどね。
隣でゴンもめっちゃ楽しそう。
「キャッホーイ!!」
レオリオもそう言って楽しんでるみたい。
私はチラリと隣のクラピカの顔を見上げる。
…てか顔伏せてる!
顔見えない!!
レオリオみたいに両手を上げて
「キャッホーイ!」
くらい言えないの?
…言うわけがない。
言ったらクラピカじゃないもん。
キルアは降りるとダルそうな顔をしていた。
『キルア、大丈夫??』
心配になって声をかける。
「…大丈夫じゃねーよ」
「じゃ、絶叫マシーン行こうぜ!!」
レオリオがそんなことをクラピカ、ゴンに言う。
「待てよ、オレも…う”」
気持ち悪そうなキルア。
「キルアはそこで大人しくしてろ!行こうぜクラピカ!」
「おいっ」
レオリオがクラピカを連れてウキウキした様子で走って行く。
「あ、レオリオ待ってー」
ゴンはレオリオの後を追おうとしながら私の方を見て尋ねる。
「ソフィアはいいの?」
『あ、いいよ。キルアこんなんだし、私ちょっと休憩したいかも』
何より乗りたくないし…。
「そっか。後でまた乗ろうね!」
そう言ってレオリオの後を追った。
「…ごめんな」
キルアがボソッと呟いた。
『え?』
「遊園地、お前楽しみにしてたのにな…情けねーよ」
キルアは近くのベンチに座った。
『いいよ、別に…それより大丈夫??』
そもそも絶叫系に乗りたくないし。
「ムリ…吐く!…」
『ちょ、え?私なんか飲み物買って来るから待ってて!!』
そう言って私はキルアをベンチに残して、慌てて自動販売機へと走り出した。
自動販売機付近には何人かの男がいて。
…チャラい。
そう思いながら私は適当に冷たいお茶を買って戻った。
『はい』
お茶をキルアに手渡すと、キルアはそれを受け取った。
「わりぃ…」
そしてそのお茶を口に含む。
『大丈夫?』
「あぁ…大分楽になった」
『よかった…』
そう言って私はキルアの隣に座る。
『キルアはあーゆーの苦手なんだね』
「あんなに揺れるものの何が楽しいのか分かんねーな」
『キルアの唯一の苦手な乗り物?』
キルアは少し考えてから答える。
「かもな…」
『へぇ~』
そういえば、クラピカの苦手なものはまだ分からず終いだな。
んーなかなか手強い。
「クラピカか?」
『へ?な、なんで分かったの!?』
「バレバレだっつーの」
キルアは、ばつが悪そうな顔をしながら言う。
「新婚だからクラピカのことで頭がいっぱいか」
『そ、そんなことないもん』
「幸せか?」
真っ直ぐに私の目を見つめて聞いてくるキルア。
『え、うん…幸せだよ』
素直にそう応えると…
「そっか。それは良かったな」
そう言って、視線を地面に向けた。
遠くに見えるポップコーン売り場からほんのりキャラメルの臭いが漂ってくる。
『お腹空いたなー』
「そうだな」
『今日寝坊して朝ご飯食べてないからお腹ペコペコ』
「…3人が戻ってきたら昼にすっか」
それからしばらくして、ゴンとクラピカとレオリオが戻って来た。
「やっぱ絶叫系は混んでるなァ」
「でも待った甲斐があったよね」
楽しそうに話すレオリオとゴンを羨ましそうに見つめるキルア。
「まぁまぁ、後から乗ればいーだろ?」
そう言ってレオリオがなだめる。
『ねぇ、そろそろお昼にしよーよ』
私の言葉にゴンも言う。
「オレも、お腹空いた」
「どうすっかー…何処も混んでるしな〜」
そう言った後でクラピカが口を開く。
「私が適当にフランクフルト等買ってこよう。皆はそこのベンチで待っててくれ」
「オレも行くよ」
そう言ってキルアが立ち上がった。
『分かった、待ってるね』
クラピカとキルアの二人はお昼を買いに行った。
「オレはちとトイレ行ってくるわ」
レオリオはそう言ってトイレに向かってその場を後にする。
「クラピカ、今日はなんだか楽しそうだよね」
皆が見えなくなってからゴンがポツリと呟いた。
『え、そうかなー?いつも通りクールだよ?』
「そんなことないよー。なんか顔が明るいよ。いつもはもっと無表情だもん」
無表情…(汗)
まぁ確かにね。
『それにしても…今こうして5人で遊園地に来てるのが夢みたい』
「そうだね!しかもソフィアとクラピカは結婚もしたし、ラブラブだしね!」
『そうかなぁ~?』
「そうだよ。クラピカ、すっごくソフィアのこと大事にしてるって感じるし、とってもお似合いだよ」
『ありがとう、ゴン』
「オレもやっぱり今のうちにトイレに行ってこようかな!ソフィアは一人で大丈夫?」
『全然平気!いってらっしゃーい』
手を振ってゴンはトイレの方へ走り出した。
その時…
「ねぇ君可愛いねー」
突然男の声がした。
振り返るとさっきの自販機にいたチャラい人達4人組…。
『はぁ…どうも』
私は怪訝そうな顔をして言った。
「おぃ~怖がってんじゃん」
「マジ?ごめんなーそんな怖がらないでよ。ねぇ君めっちゃ俺の好みの顔なんだけど!良かったら一緒に遊ばない?」
男は私に言い寄る。
『あの、私旦那と来てるんです』
「マジー?人妻!?じゃあアドレスだけでも教えてよ」
『そのっ困ります…』
「いいじゃん、友達からやろうって言ってんの!」
ど、どうしよう…!!
「私の嫁に何か用か?」
クラピカが私に言い寄る男の肩を掴んだ。
その隣でキルアが男達を睨み付ける。
「っだよ、チッ」
そう言って男達は去って行った。
『ク、クラピカ…』
「大丈夫か?」
優しくそう尋ねるクラピカ。
『うん…。あの…クラピカ、ありがとう』
ナンパされたの、あの時以来だったかも。
あの時はレオリオが助けてくれたんだっけ。
集団だと、やっぱり男って怖い…
よかった、クラピカ早く戻ってくれて…
「いや、ゴンとレオリオは?」
『二人ともトイレに』
「そうか」
「先に食べようぜ」
キルアがそう言ってクラピカの手から袋を取った。
『クラピカ、これいくらだった?』
「キルアがおごってくれた」
『そうなの?』
あ…払わなきゃ。
「いいよ」
私がバックに手を伸ばす前にキルアがそう言った。
『え、何で?』
「さっきお茶買ってきてくれただろ」
『え、お茶なんて150ジェニーそこらじゃん!』
「いいよ、お金を受け取るのが面倒」
『ありがとう…』
そして私はキルアが持っている袋のうち一つを覗いてみる。
ハンバーガーとフランクフルトとフライドポテトとフライドチキンとサラダ…
って買い過ぎじゃない!?
『これ誰の分よ?』
「全部ソフィアのだけど」
『ちょっと、こんなに食べられないし!』
私がクラピカに視線を映すと…
「買いすぎだと止めたが、キルアが今日お前に世話になったからだそうだ」
「おい、クラピカ!」
キルアが珍しく焦っている。
てか…え?
お礼のつもりでこんなに買ってきてくれたの??
なんかキルアにしては無茶苦茶なお礼の仕方だけど…
でも、嬉しい。
キルアは無表情のまま私にそのお昼を渡す。
「お前、今日寝坊して朝何も食べてないって言ってただろ、だから沢山食べろよ」
え…
お腹空いてると思って、だからこんなにたくさん…。
『ありがと』
私は素直にそう言ってそれを受け取る。
案の定、途中からお腹いっぱい。
てか…入らない。
ハンバーガーが結構お腹にたまります…。
フランクフルトは2口で断念。
フライドポテトはちょっと残ってる。
サラダは食べきったけど…
フライドチキンは手をつけてすらいませんよ。
『クラピカ~』
「何だ」
『お腹いっぱい…』
申し訳なさそうに言う私を見て、フライドポテトを一緒に食べてくれた。
「レオリオ、そのフライドチキン食べてくれないか?」
「え?いいのかよ!」
クラピカはフライドポテトを口に含みながら、無言で頷く。
「じゃあいただくぜ~」
そう言ってレオリオは手をつけられていないフライドチキンを食べ始めた。
「仕方ねーな。フランクフルト貰うぜ」
「うん」
キルアは3分の2くらい食べてから…
「はい、後は一人で食べろよ」
と言った。
『う”ー…』
私は一生懸命口に入れて食べきった。
「はい、よくできました」
そう言ってキルアが私の頭をよしよしと撫でる。
それを見たクラピカは、若干不機嫌な表情になった。
レオリオを見ればちょうどフライドチキンを食べ終わったところみたいで、
キルアはフランクフルトが入っていた袋を捨てに行っていた。
私はそんなキルアのところまで小走りで駆け寄った。
『せっかく買ってきてくれたのにごめんね』
「別に気にする必要ねーよ」
「じゃあお腹もいっぱいになったところだし、ちっと歩くか!!」
レオリオの言葉で私達は少し歩いた。
お腹も大分落ち着いたころ、ある乗り物を見つける。
動物の乗り物で、空をグルグルと飛ぶやつだった。
「楽しそうだね」
「んじゃ乗るか!」
そう言って私達はそこに並んだ。
しばらくしてようやくそれに乗れた。
私はゾウの乗り物にクラピカと二人で乗った。
『気持ちいね~』
私は笑顔でクラピカに声をかける。
「そうだな」
クラピカは気持ちよさそうに風を感じながら景色を楽しんでいる。
良かった。
私はそのアトラクションを純粋に楽しんだ。
それが終わってからもう一つのアトラクションを楽しんだ後…
「なぁ、お化け屋敷入らねぇ?」
とレオリオが言いだした。
「オレはいいよ!!」
お化け屋敷が大嫌いなゴンが叫ぶ。
「なんでだ!?普通遊園地っつったらお化け屋敷って定番だろ!?」
「本っ当にオレ嫌いなんだよ!!」
『…………』
レオリオが指差したお化け屋敷は、確かにかなり怖そうな大人向けだった。
でもゴンがお化け屋敷嫌いだったなんて、ちょっと意外かも。
そんなに嫌がるゴンを見てクラピカが口を開く。
「止めておこう、ゴンが嫌がっているだろう」
「イヤイヤ、俺は何がなんでも皆とお化け屋敷に入らねぇと気が収まらねェ!!」
「レオリオ~‼(泣)」
「ソフィアはお化け屋敷平気か?」
ゴンを無視して私に聞くレオリオ。
『…たぶん』
私もちょっと苦手だけど…。
「お前は怖いもの知らずっぽそうな顔してるもんな!!」
からかうレオリオに私はムッとする。
『どんな顔よ?』
「まっ、ともかく行こーぜ!!」
どんどん話を進めるレオリオにゴンはレオリオの腕を引っ張る。
「まあオレ様がいるから大丈夫だ!!」
レオリオはそう言ってゴンの頭をくしゃっと大きく撫でる。
「だって…」
『じゃあ、あれにしない?』
私が指差した方には子供用のお化け屋敷。
あれだったらどうせ子供だましだろうし。
「あれ、オレ昔似たようなやつで入ったことあるけど怖くもなんとねーし、超つまんねーぜ!?」
レオリオの言葉を聞いてゴンが呟く。
「あれなら入れるかも」
「マジかよ…」
レオリオは苦笑い。
「あれじゃなきゃオレは入らない!!」
ゴンが言い切る。
「しょうがねぇ、あれにすっか!!」
レオリオがそう言い、私達は子供向けのお化け屋敷に並ぶ。
「これ入るの3人と2人ずつでいいよなァ?」
「まぁいいんじゃない?」
キルアとレオリオの会話を聞いて…
「えっ、5人じゃないの!?」
とゴンが不安そうな顔を浮かべる。
「いいだろ!?オレとキルアが着いてるしな!!」
「うん…」
そう言うゴンの顔はどこか不安げだ。
「でもキルアがいてくれるから大丈夫か!」
開き直るゴンにレオリオが、がくっと肩を落とす。
「おいおい、オレだけじゃ頼りにならねーってか!?」
「クラピカは頼りになるからソフィアは安心だね!」
『確かにクラピカはお化け屋敷とか平気そうだよね!』
私もお化け屋敷苦手だから、クラピカがいたら安心♪
「レオリオはお化けと一緒にオレのこと怖がらせてきそうなんだよ」
「するわけねーだろ!!」
まぁクラピカはそんなことしなさそうだね。
第一キャラ違うし…。
そう言い合っているうちにレオリオ達の出番が来た。
「オレホントに無理なんだって~‼」
「おい、引っ付くなよゴン!!」
ゴンが涙声でそう言いながらキルアにしがみついている。
『…ここ怖いのかな?』
クラピカにそう聞くが返事がない。
『クラピカ?』
「……ん?」
…絶対ボーッとしてたよね。
しばらくして…
「じゃ入ってください」
と係りの人にそう言われ、私達は中に入った。
『子供用でもやっぱ意外と暗いね…』
「…そうだな」
ガタガタッ
『!!』
振り返ると骸骨が揺れている。
『ハハッ、やっぱ子供だましだね』
そう笑いながらクラピカに言う。
「そ…、そうだな」
…?
『クラピカ…まさか、怖いの?』
なんだかクラピカの様子が変だ。
「何を言っている、お前ではあるまいしな」
『私だって怖くないし!』
あー気のせいだった!
クラピカがお化け怖かったら腹が割れちゃうくらい笑っちゃうよ!
その後も静かな空間を二人で歩く。
ケケケケケケ…
どこからともなく不気味な笑い声が聞こえる。
ドンドンドンドン!!!!
壁が叩かれる音。
『結構リアルだね…』
ちょっと怖いかも。
そう言って振り返るとクラピカが立ち止っていた。
『…クラピカ?』
「なんでもない…」
クラピカはそう言ってスタスタと私の横を通り過ぎていく。
『ちょっと待っ…』
私がそう言ってクラピカを追いかけ、クラピカの隣に並んだ時…
ウギャアアアアッ!!!!
そう言ってガッシャーンとガラスの割れる音がした。
『わっ!!』
私は思わず声を上げる。
声に驚いたわけでも、ガラスの音にビックリしたわけでもない。
クラピカがいきなり…
私のことを抱き締めたんだ。
『…クラピカ?』
私がそう声をかけると…
「あぁ…すまない」
とゆっくり腕を離す。
『クラピカやっぱり…』
クラピカは小さく呟いた。
「そうだ…怖いんだ」
蚊の鳴くような声。
『なにが怖いの?』
私はニヤニヤしながらわざと聞く。
「お前…」
残念ながら全く怖くない。
『あっそ』
そう言って私は笑いを浮かべながらスタスタと歩いていく。
「おい、待て!そうだ、お化けが怖いんだ、私は…!」
ぷ…
思わず吹き出す私。
だってあのクールでカッコ良すぎるクラピカがお化け怖いって…
「おい、笑うな」
『はいはい、じゃあ手を繋いであげよっか?』
私はからかうように言う。
プライドが高いクラピカのことだから断ると思ってたら…
ぎゅ…
何も言わずに私の手を握った。
…そんなに怖いの!?
なんか…悪いけど、本気で可愛いかも…
出口に着くまでの間、ゆっくり立ち止まりながら歩いていたこともあり結構時間がかかった。
立ち止まる度にクラピカは私の手をギュッと握って、私はその度にクラピカが子供みたいに見えた。
私はギュッて握り返した。
お化け屋敷を出るとクラピカはバッと手を離した。
「レオリオ達…何処だろうな」
クラピカが辺りをキョロキョロと見渡す。
「電話してみるか?」
そう言うとクラピカが自分の携帯をポケットから出す。
「あ…」
『どうしたの?』
「レオリオからメールが来ている」
『なんだって?』
そう言って私はクラピカの携帯を覗き込む。
<レオリオ{ゴンが怖がって暴れて大変なんだ!(泣)悪いがとりあえず今、メルヘンってとこ並んでるから二人もどっか回っててくれ}>
「…たく」
クラピカが呟く。
「どうする?」
『私あれ乗りたい!』
私が指したのは観覧車。
「観覧車か…、分かった、行こう」
『うん』
観覧車に続く列の最後尾に私達は並んだ。
「…ソフィアは、私がお化け苦手なのを知ってどう思ったんだ?」
『どうって…』
少し考えてから考えるのが面倒臭くなって正直に言った。
『可愛いって思った♡』
クラピカは苦笑いを浮かべる。
「…引いたか?」
『まさか。苦手なものあった方が人間ぽいし』
「何だその人間ぽいとは…」
クラピカが呆れたような顔をしながら突っ込んだ。
『クラピカっていっつもクールだし、完璧なんだもん。嫌いなものもありませんって感じでしょ?』
「何だそれは(汗)私も人間なのだから嫌いなものぐらいある」
『じゃあ、まず好きなものは何?』
「…本だな」
『好きなタイプは?』
どさくさに紛れて、ここで聞いてみる。
「…、一緒にいて安心できる人」
クラピカは小さく呟いた。
『ねぇ~それって私??』
ニヤニヤしながら期待して聞くとクラピカは冷たく言う。
「お前と一緒にいて安心できる訳がないだろう」
『ひど!!じゃあなんで私と結婚したのよっ』
ちょっとムカッときて、前から聞こうと思いながらも聞けなかったこと。
ついつい口に出してしまった。
「次の方乗って下さい」
店員に言われ、私達は観覧車に乗り込んだ。
少しの沈黙のあと…
「ではお前は、私のどこが好きなんだ?」
とクラピカが先に口を開いた。
『そんなのいっぱいあり過ぎて言えないもん…』
顔も好きだし、優しくて、真面目で、誠実で、紳士で…
もう全部かな♡
クラピカは完璧なのに、私は普通だし、特別美人でも可愛いわけでもないし…
どう見ても釣り合わないかも。
『クラピカは私と結婚して後悔してない?』
するとクラピカはムッとした顔で尋ねる。
「お前はあるのか?」
え、後悔したこと?
うーん…クラピカがかっこよすぎるところ?
でもこれは後悔かな?
『ない!』
「ならいいだろう」
そう言ってクラピカは私の頭を優しく撫でた。
その瞬間、私はなんだかクラピカがとても愛おしく思えて…
私はクラピカの隣に座って、クラピカを抱き締めた。
「どうした?お前今日は熱でも…」
『うるさいうるさい!怖がりのくせにっ』
「は?」
なんかよく分かんないけど、私やっぱクラピカのこと大好きだなぁって思ったんだ…
「ソフィア、顔あげて」
言われた通り私は顔を上げた。
ちゅ…
優しく唇同士が重なった。
その唇は温かくてやわらかくて…とても愛を感じた。
『クラピカ…』
「ん?」
『大好き』
私は小さく呟く。
「今日は偉く甘えん坊だな」
『いいのーっ』
ムキになる私を見るクラピカの顔は優しく微笑んでいる。
「お前が可愛いから抑えが効かない…」
そう言って私にもっと甘い甘いキスをした。
いつもはクールなクラピカが…
実はお化けが苦手だとか、実はとっても優しいだとか
キスしてるときの顔だとか、全部全部、私だけのヒミツ。
大好きだよ、クラピカ。
初めての遊園地
end…♡