番外編
ヒロイン名前設定
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オレは、誰よりも可愛くて。
かなり天然で、ドジな彼女に惚れている。
ただ、一つだけ問題が…
ほんわか彼女に振り回されるオレの奮闘物語。
突然だが…オレ、クラピカ(12歳)には何よりも大切なものがある。
絶対にこれだけは誰にも譲れない。
それは…
『クラピカ‼』
パタパタとオレの名前を呼びながら走って来る少女。
「ソフィア、あまり走ると危ないぞ」
ソフィア(11歳)
オレの大事な大事な彼女。
そう、こいつがオレにとって大切な存在だ。
『キャッ』
「おっと…」
オレのすぐ前でソフィアはつまずき、こけそうになったところをギリギリでオレは受け止めた。
「ほら、言っただろ」
いつもソフィアは危なっかしい。
毎回注意してるのだが…
『ごめんね…でもありがとっ』
そうオレの腕の中でニコッと笑うソフィア。
そんな笑顔にオレはいつも許してしまう。
『あ、そうだ!ねぇねぇクラピカ‼』
思い出したように騒ぐソフィア。
「ん?どうした?」
『今日学校終わったらクラピカの家行ってもいい?』
「あぁ、いいよ」
そうオレが言うと両手を上げて喜ぶソフィア。
『今日こそは私が勝つんだからね~‼』
ソフィアが言っているのは、最近流行っているテレビゲームだ。
ソフィアは弱いからいつもオレが勝ってしまう。
「ソフィアには無理だ」
『むぅ』
頬を膨らまし、怒るソフィア。
全然怖くないな(笑)
むしろ可愛いくらいだ。
そして学校は終わり、オレの家に帰った。
「飲み物持ってくる」
『わかった~』
部屋にソフィアを残し、オレはリビングに向かった。
「はあぁぁ…」
オレは大きなため息をついた。
ソフィアと遊べるのは嬉しいことだが、正直家で遊ぶのは…
男の事情というものがあるんだよなぁ…
去年に出会い付き合ってから一年が経つが、今まで何一つ経験のないオレ達。
キスだってしたことがない。
まぁ、ソフィアがあんなだからなぁ…
まだオレは12歳だ。
だが、最近になってから正直毎日我慢するのが大変だ。
ソフィアは幼いが、天然だから平気でオレの心を揺さぶる事を言ってくる。
今日も頑張るか…
ジュースを持ってオレは部屋に戻った。
『あ、クラピカ!おかえり~』
そう満面の笑みで言ったソフィア。
やばい…っ
めっちゃ抱きしめたい。
そんな衝動にかられ、座るソフィアの後ろから抱き締めた。
『クラピカ??』
不思議そうにオレの名前を呼ぶソフィア。
「なぁ…ソフィア」
オレは意を決してソフィアに告げた。
「…キスしてもいいか?」
ドクドクと心臓が高鳴る。
『キス?うーん…』
考え出すソフィア。
え?
まさかしたくないのか?
オレ…傷つくんだけど…
『キスって結婚してからするものでしょ?』
…
…
…
…
…
「え?」
オレはソフィアの言葉に固まってしまった。
『私達、まだ結婚してないも~ん!』
そう言って笑うソフィア。
確かにソフィアはかなりの天然だ。
でもここまで来るとちょっとびっくりしてしまう。
いや、かなり驚いた…
ソフィアさん…
キスは結婚してなくてもできるのだよ…
ーーーーー…
「ぷっ、はははははっ」
「笑い事じゃないんだ!!」
次の日の昼休み、オレの親友であるパイロに昨日の出来事を話した。
「ごめんクラピカ、でも面白いからさ」
こんなパイロに話したオレがバカだった。
「ソフィアちゃん、本当に面白すぎるね」
まだ笑っているパイロ。
「オレにとっては真剣な悩みなんだよ!!」
「分かってるって」
本当に分かってるのか?
「キスは結婚しなくても出来るんだよって言うしかないんじゃない?」
そうなんだが…
「なんかこう、ソフィアのピュアな感じを壊してしまうのもいたたまれないんだよ」
「なるほどね~。分からなくもないけど」
何の汚れも知らないピュアなソフィアを崩してしまうと思うとなかなかなぁ…
「じゃあ結婚するまで我慢だね、クラピカ」
やっぱりそうなるのか…
はぁ…
ちゃんと我慢できるだろうか…
それから数日後。
オレはなんとか自身の欲望を押し止めていた。
この欲望は汚らわしいものだと自分に言い聞かせる。
そんなオレの気持ちも知らずに、天然ソフィアちゃんは今日もオレの家に来たいと言い出した。
初めは断ってたオレだけど、うるうるとした目で見つめられ、結局今日もソフィアはオレの家に来る。
だってあんな可愛い顔でうるうるの目で上目遣いで見られたら、それは断れるわけがない。
そんなわけでさっきから学校の玄関でソフィアを待ってんだが、いっこうにくる気配がない。
ソフィアとは学年が違うから、いつも玄関の前で待ち合わせしてるんだが…
あいつ何やってんだ?
まさか先に帰った!?
そう思いソフィアの下駄箱を覗くが、靴がまだ入ってるから学校にいるようだ。
なんだこの感じ…
ものすごく嫌な予感がする…
「あれ?クラピカ、まだいたんだ」
現れたのはパイロだった。
「パイロこそなんでいるんだ」
「僕は居残り課題やらされてた」
そう言えば、テストの点が悪すぎて居残りさせられてんだったな。
「クラピカは何やってるの?」
「ソフィア待ってんだけど、全く来ない」
「先に帰ったとか?」
「靴があるからまだいるはずだが…」
どうしたんだよ、ソフィア…
「あ!!」
突然パイロが大声を上げた。
「なんだよ、急に…」
「僕、ソフィアちゃん知ってる!」
「は!?どこで!?」
なぜそれを早く言わない…
「課題提出しに廊下歩いてたら、教室の方でソフィアちゃんの声が聞こえたんだよ!あと男の声も…」
「本当か!?…男の声?」
「うん…僕が二階の教室に居たから二階のどこかに誰かといると思う」
「分かった!ありがとう、パイロ!!」
オレはソフィアがいるかもしれない二階に急いで向かった。
二階は音楽室、家庭科室など教室ではない様々な部屋がある。
パイロが聞いた声が本当にソフィアだったら…
一緒にいる男って…誰だ!?
まさかオレのソフィアを取って食おうとしてるんじゃ…
そんなの…絶対に許せない!!
オレは歩くスピードを速めた。
そして、全力疾走した。
二階に到着し、肩で息をしながら一つ一つの部屋を開けて中を調べる。
でも、ソフィアの姿はない。
ソフィア、どこにいるんだ。
あと調べてないのは音楽室だけになった。
オレは勢いよくドアを開けた。
え…
目の前に広がる光景に言葉をなくした。
『…クッ、クラピカ…っ』
弱々しいソフィアの声がする。
なんと、ソフィアが誰だか知らない奴に押し倒されていたのだ。
視界が緋色に染まる。
「貴様…何してるんだ!!」
自分でも驚くほど低くてドスのきいた声でオレは怒鳴った。
そしてソフィアを押し倒していた男の胸倉を掴んだ。
こいつ、確かソフィアと同じクラスの…
「ごっごめんなさい…!!」
苦しそうにそいつは言う。
「貴様ッ!ソフィアに何をしたんだ!!」
「本当、すみませんでした!!」
ただひたすら謝る男。
「今度ソフィアに近づいてみろ…ただじゃおかないからな」
そう言ってオレが睨み付けると、その男は顔を真っ青にして逃げ出して行った。
「ソフィア、大丈夫か!?」
オレはソフィアに駆け寄った。
『クラピカっ』
目にいっぱいの涙を浮かべて、ソフィアはオレに飛びついてきた。
そんなソフィアをぎゅっと強く、でも優しく抱き締めた。
『…っ…ぐすっ…』
オレの胸板に顔を付けて泣くソフィア。
体が震えている。
相当怖かったに違いない。
無理もない。
なんの汚れも知らないソフィアなのだから。
オレはソフィアが泣き止むまで抱き締め続けた。
「ソフィア、落ち着いたか?」
しばらくの間、オレの腕の中で泣いていたソフィアはようやく落ち着きを取り戻して来た。
『うん、ありがと…』
真っ赤に腫れた目でニッコリ笑うソフィア。
よかった。
「なんであいつとこんな所にいたんだ?」
オレは疑問に思ってた事をソフィアに聞いた。
『話があるからって言われて着いて行ったの。そしたら好きだって言われて、私にはクラピカがいるからって言ったら、急に…』
なるほどな…
「これからは、変な男にのこのこ着いて行くなよ?」
『うん』
本当に分かってるのか…?
『私がキスしたいと思うのはクラピカだけだもん』
「…………」
『あれ?どうしたの?』
ソフィア…
今のオレにそれを言ってはダメだ…
チュッ
オレは強引にソフィアの唇に自分の唇を押し付けた。
『くっ…クラ…ピカ!?』
混乱しているソフィア。
「ソフィア、オレはお前が好きだ。誰よりも」
『………』
「将来は結婚したいと思ってる。だから、今のキスはその証な」
我ながらキザな言葉だとは思う。
でもこれは正直な気持ちだ。
『私もクラピカが大好きだよ!!』
「ソフィア…」
やっぱり可愛いなソフィアは。
オレ達はこのペースでこれからもゆっくり…大人まで進んでいこう。
『ねぇねぇクラピカ』
「ん?」
『…もう一回、キスしてもいい??』
「っ…////」
オレの我慢が続くかは分からないがな。
オレの大切な天然彼女
END