名前設定無しの場合は、ヒロインが『リリー』になります。
ハンター試験編
ヒロイン名前設定
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トランプを手に取り、怪しい笑みを浮かべて段々と近づく奇術師ヒソカ。
あ…この人!
地下道でぶつかった人だ!!
リリーは目を見開いた。
先ほど襲いかかってきたトランプで受験生数人が無惨に血を流し倒れている。
リリー達は戦う体勢を整えながら、ただひたすらヒソカの行動を監視した。
「二次試験ぐらいまでは大人しくしてようかと思ってたけど、試験があまりにタルいんでさ◆選考作業を手伝ってやろうと思ってね★ボクが君達を判定してやるよ◆」
その言葉を聞いた20人程の受験生達は、怒りと殺意が湧きヒソカに一斉に襲いかかる。
「君達まとめてこれ一枚で十分かな◆」
ヒソカはトランプ一枚で次々と襲いかかってくる受験生達を切り刻み、たった数秒で全員を倒してしまった。
リリーは目の前で初めて人が殺される場面を見て、恐怖の余り自分の前にいたクラピカの服をぎゅっと掴んだ。
クラピカはリリーに 無惨な死体を見せないように自分の背中で隠す。
「君ら全員不合格だね◆残りは君達4人だけ★」
ヒソカが指を指したのは、傷口を押さえるレオリオとクラピカ、リリー、76番の受験生。
するとヒソカは、リリーを見つめると再び笑みを浮かべて口を開いた。
「おや?やっぱりキミだったのか★偶然だなぁ…◆まさかこんな場所でキミに出会えるとは★キミのこと探していたよ?」
ヒソカは不気味な笑みでゆっくりとリリーに近づいてくる。
「なに!?リリー、コイツと知り合いか!?」
レオリオは慌ててリリーを疑う。
リリーは激しく首を横に振って強く否定した。
『全然!!知らないよ!!』
なんでわたしのこと知ってるの!?
どうしよう…!!
こっちに来るよ…!!
内心焦り出すリリー達に受験生が口を開く。
「おい、オレが合図をしたらバラバラに逃げるんだ。 奴は強い…!!今のオレ達が4人がかりで戦おうが勝ち目はないだろう。お前達も強い目的があってハンターを目指しているんだろう。悔しいだろうが今は…ここは退くんだ!!」
リリー達はタイミングを見計らって唾を飲む。
そして…
「今だ!!」
リリー達は一斉にバラバラに走り出した。
「なるほど、好判断だ◆ご褒美に10秒待ってやるよ★」
ヒソカは立ち止まりゆっくり1から数えだす。
10秒数え終わり、再び歩き始めたヒソカの前に現れたのは…
傷口を布で縛り、長い棒を持ったレオリオの姿だった。
「やっぱだめだわ。こちらとらやられっぱなしでガマン出来るほど…気ィ長くねーんだよォオ――!!」
レオリオは棒を構えながらヒソカに向かって走り出す。
レオリオの勢いよく降り下ろした棒をヒソカが避け、レオリオの頭を掴もうとした瞬間…
ドコッ!!
突然ヒソカの頭に釣りざおの先が当たった。
「ゴン!!」
息を切らしたゴンが釣りざおを構えてヒソカを見つめる。
ヒソカは首をぐるんとゴンに向けると近づいた。
それを見たレオリオは再びヒソカに襲いかかる。
するとヒソカはレオリオの顔を手加減無しで殴り飛ばした。
ゴンは再びヒソカに向かって釣りざおを振る。
一瞬ヒソカの姿が消え、気がつけばヒソカはゴンの首を掴んでまじまじと顔を見つめた。
「……うん★合格◆いいハンターになりなよ◆」
ヒソカは笑顔でこう告げるとかかってきた電話に出た。
用件を済ませるとヒソカはレオリオを肩に担ぐ。
「大丈夫◆殺しちゃいないよ★彼は合格だから◆一人で戻れるかい?」
ゴンは頷くと「いいコだ◆」の一言を残しレオリオを連れて霧の中に消えていった。
『ゴン!!』
リリーとクラピカはゴンの元へ駆け付ける。
リリー達が見た光景は、レオリオの姿がなく、気が抜けてヘタっと膝をつくゴンの姿だった―――…
あれからのリリー達は湿原の中、ゴンがレオリオの香水の匂いを辿った。
そして無事に三人は湿原を抜けて、ビスカ森林公園の二次試験会場に辿り着いた。
「…どうやら間に合ったようだな」
背筋に何かを感じたゴンは瞬時に後ろへ振り向く。
そこにはヒソカが笑みを浮かべて右に指を指していた。
その方向の先には、右頬がパンパンに腫れて、木の下で座っているレオリオの姿。
「レオリオ!!」
三人はレオリオの元へ駆け寄る。
『レオリオ、大丈夫!?』
「うむ、腕の傷以外は無事のようだな」
心配するリリーの隣でクラピカはきっぱり言い切る。
「てめ…よく顔見ろ!顔を」
「(あ、ホントだ…)」
レオリオのパンパンに腫れた顔を見ていなかったクラピカは、今ごろレオリオの顔に気がつく。
二人のやり取りを見て安心したように笑うリリーは、ふと疑問に思った。
『…そういえば、なんでみんな建物の外にいるんだろ?』
「中に入れないんだよ」
『…キルア!!』
気がつけば余裕の表情でスケボーを片手に持ち近づいてくるキルアの姿だった。
リリーは、パアッと顔が明るくなる。
『無事だったんだね!もー姿が全然見えなかったから心配したよ!』
「バカ、こんな余裕なテストにオレが脱落するわけないだろ?リリーじゃあるまいし」
相変わらず生意気な態度にリリーはイラッとする。
『なんですってぇ~!』
「まぁまぁ、――でなんで中に入れないの?」
ゴンはキルアにリリーの疑問を再び問いかける。
「見ての通りさ。変なうなり声はするけど全然出てくる気配ははいし、まぁ待つしかないんだろうな」
キルアの話を聞いたリリー達はただひたすら緊張感の中、扉が開くのを待った。
なんか緊張してきたなぁ~(汗
突然怪物が襲ってきたらどうしよう…!!
リリーは色んなパターンの想像をしながら開始時間を待っていると扉がゆっくりギギッと音を出して開きだした。
扉が開くとそこには巨大な男性とソファーに座る若い女性。
建物から響くうなり声は男性の腹の虫の音だった。
女性は試験の説明をし始める。
「二次試験は料理よ‼美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意してちょうだい!あたし達二人が“美味しい”と言えば晴れて二次試験合格‼試験はあたし達が満腹になった時点で終了よ‼』
料理という課題に受験生達は内心焦り出し、どんな料理を作らせるのかと必死で耳を傾ける。
すると巨大な男性ブハラはヨダレを出しながらお題を出す。
「まず最初にオレのメニューは豚の丸焼き‼森林公園に生息する豚なら種類は自由。それじゃ…二次試験スタート‼」
合図と共に一斉に走り出した受験生149人は豚を捕まえようと探し出す。
リリー達が見つけ出した豚は世界で最も狂暴な豚、グレイトスタンプ。
大きくて頑丈な鼻に突進されたらひとたまりもない。
5人は豚の突進を避けながら弱点を探した。
どこが弱点なの~っ‼
こんな狂暴な豚捕まえられるわけ…ぎゃっ‼
追い掛けられて、逃げることに必死だったリリーは木の根っこに足が引っ掛かり転んだ。
「リリーっ‼」
クラピカは豚に突進されそうなリリーを急いで抱きかかえ、横の草むらに突っ込んだ。
豚はそのまま目の前の木に突進し、その拍子にゴンが釣りざおで豚の頭を攻撃した。
攻撃を受けた豚はそのまま横に倒れる。
「ナイスゴン‼こいつらの頭部が弱点だぜ!!」
レオリオが大声で知らせると皆はそれぞれ頭部を攻撃し、豚を倒した。
「オイリリー‼大丈夫か!?」
レオリオはリリーを気にかける。
リリーはというと、クラピカにお姫様だっこをされていたが、すぐに下ろされた。
リリーの心臓は派手に脈打っている。
『あ、うんっ大丈夫!あの…クラピカありがと!』
リリーは緊張しながらも笑顔でクラピカに礼を言う。
「…急ごう」
クラピカはリリーの顔を見ずに、豚を持ち上げて進んだ。
会場に豚を持ち運んだ受験生達は丸焼きにしてブハラに渡した。
ブハラは豚の丸焼き70頭を完食し、二次試験前半の試験は無事に終了。
豚の丸焼き料理審査は71名が通過し、二次試験後半メンチのメニューは…
『スシ』の課題だった。
「ヒントをあげるわ!この建物の中で料理を作るのよ‼最低限必要な道具と材料はそろえてあるし、スシに不可欠なゴハンはこちらで用意してあげたわ!
そして、最大のヒント‼
スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ‼それじゃ…スタートよ‼」
開始の合図が出たが受験生達は用意された道具を見て考え出す。
次第に頭を抱える受験生達を見て リリーは内心とても喜んでいた。
やっったぁああ!
スシはわたしの大好物だし‼
師匠が何回か日本の民族料理だってわたしに作ってくれたもんねっ
師匠、ほんとにありがとう‼
リリーは一人ウキウキでスシを作ろうとする。
それを見たレオリオは、慌ててリリーに話しかけた。
「オイリリー!もしかしてスシの作り方しってんのか!?」
『うん♪だってわたしの大好物だもんっ』
聞いたクラピカもピクッと耳を傾ける。
「なにィ!?それを早く言ってくれよ!!オイ、どんな料理だ!?」
リリーは自慢げな笑みを浮かべるとレオリオとクラピカに小声で説明した。
しかし…
「魚!?お前ここは森ん中だぜ!?」
大声で話すレオリオにクラピカは持っていたしゃもじをレオリオの頭に投げる。
「声がでかい‼魚だったら川とか池とかにあるだろーが‼」
『…………』
一瞬受験生達が静まり返り、そして…
「「「魚!!!!」」」
受験生達は一斉に会場から走り出した。
「ちイっ、盗み聴きとは汚ねー奴らだぜ‼」
「そうか、あれを盗み聴きと言うならばもう何も言うまい」
『全くも~!二人とも声がでかいんだから!』
三人はブツブツと文句を言いながら走り去る受験生達の後を追った。
会場では忍者姿で、頭が坊主の男性が焦りだす。
「くそっ!オレの他にも知ってる奴らがいたのか!!」
それを聞いた受験生達は内心突っ込みをいれる。
「「「(やはりか!!)」」」
一時間後…
受験生達は様々な種類の魚を会場に持ってきて、さっそく料理を始める。
さてと…
準備万端!スシ作ろっかな~♪
……って、あれ?
魚ってどうさばけばいいんだっけ…?
リリーは包丁を手にしたものの魚のさばき方を全く知らず慌てる。
どうしよ~ッ!!
あのとき師匠に魚のさばき方教わっとけばよかったぁあ(泣)
えーいっ!泣いても仕方ない!!
頑張ってやってみよう!!
えっと…ここをこうして、こうかな…??
リリーはとにかく魚を自分の勘でさばき始めた。
一方隣のレオリオはというと自信満々気に想像を次々と膨らませてスシを完成させる。
「よっしゃあ!!出来たぜ――!!オレが完成第一号だ!!名付けてレオリオスペシャル!!さあ、食ってくれ!!」
「どれどれ…?」
腹を空かせたメンチは機嫌よく蓋を開けた。
それは…
生きた魚に大量のご飯を丸めた塊。
「食えるかぁっ!!」
メンチはレオリオスペシャルを無様に後ろへ放り投げた。
「て、てめ!!何も放ることねーだろコラァ!!」
レオリオはメンチに怒鳴り付ける。
「何?失格にするよ!い――い!?カタチは大事よ!!ニギリズシのカタチをなしてないものは味見の対象にもならないわ!!」
メンチはきっぱり言い切り落ち込んで帰るレオリオの次はゴンだった。
だが…
「403番とレベルがいっしょ!!」
レオリオと同様、後ろへ投げられてしまった。
「レオリオと同じレベルかー…」
「心中察するぞ、ゴン」
『元気出して!』
落ち込むゴンにクラピカとリリーが励ますが、それを聞いたレオリオは怒鳴る。
「んだよっコラァ!!」
それから次々と受験生達はあらゆる模索で“スシ”の料理をメンチに見せるがどれも投げられた。
そして、クラピカも…
「あんたも403番並み!!」
ガド――ン!!
ショックすぎて放心状態のクラピカにリリーは目を丸くした。
「そんなにショックかぁあ!?コラ!!」
レオリオはクラピカに怒鳴り付ける。
「そーいえばリリーだけまだ見せてないけど?」
キルアはリリーに話しかける。
ビクッ!!
リリーは咄嗟に自分の作った料理を後ろに隠した。
『いやっまだ完成してなくてさ!!あはははっ』
焦りながら笑いだすリリーにレオリオが話し出した。
「スシはリリーの大好物なんだろ!?早く手本てゆーのを見せてくれ!!」
『うぅ…(泣)』
リリーはしぶしぶレオリオ達に蓋を開けて見せると、皆は目を点にした。
リリーが作った”スシ“は、無惨に刻まれて目から涙を流している魚の物体。
「オイ ひっでぇな~!!これじゃまるでエイリアンじゃねーか!!」
『レオリオに言われたくないわよ!!』
キルアはリリーの料理を見ながら口を開く。
「こんなんじゃリリー。いくら可愛くても嫁にいけねーぞ?」
か、可愛い?!////
今、わたしのこと可愛いって言った!?
リリーは少し頬を紅くしながらも、一生懸命言い訳をする。
『だって、魚のさばき方知らなかったんだもん!!』
クラピカがリリーを見つめるその時、忍者姿の男性ハンゾーが堂々とメンチにスシを見せる。
だが、味が美味しくないとのことでハンゾーはスシの作り方をばらしてしまい、メンチはぶちギレ。
そして…
「ワリ!!お腹いっぱいになっちった!終~了ォ~~!!
第二試験後半の料理審査は合格者はゼロよ!!」
…………
ええぇぇぇぇ!!
ハンター試験、0人って…
どうなっちゃうの…??
next…