オリジナル編〚完〛
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ふたりが入籍してから、1ヶ月後。
師匠が暮らしている街で、クラピカとソフィアは新築を購入し、幸せな新婚生活を送っていた。
マフィア(ノストラード組)の若頭だったクラピカは、信頼していた仲間に若頭を引き継がせて辞職し、ハンター教会に就職活動を始めていた。
まだ奪還できていない緋の眼もあるが、マフィアから足を洗ったクラピカは、ソフィアの為に緋の眼奪還は断念したのだった。
そして、キルアからの連絡で3年ぶりに再会したクラピカは、バー(酒場)のカウンターで水割りのお酒を飲んでいた。
「…おめでとう。結婚したってレオリオから聞いたんだ」
お酒を見つめながら言うキルア。
沈黙が続き、クラピカは言葉が見つからずに黙り込む。
キルアは残念そうな笑顔を浮かべながら口を開いた。
「オレが最初にお祝いしたかったなァ。誰よりも先におめでとうって言いたかった。それで来たんだ」
予想外の言葉にクラピカはキルアを見た。
「キルア…」
「ホントだよ」
言い切ると、どこか寂しそうな笑みを浮かべながら水割りを一口飲むキルア。
本当は、まだソフィアの事が好きなのだろう。
嬉しさ、感動、罪悪感を交えながらも、クラピカは心からキルアに感謝した。
「ありがとう…すまないな」
「今度はオレが言わせてもらうぜ?ソフィアを絶対、幸せにしろよ」
虚を突かれたクラピカは軽く微笑むと、キルアの目を見て答えた。
「あぁ、心配するな」
ハンター試験で出会ったキルア。
始めはゴンの友達で、自然と私とも話すようになっていた。
正直な所、私はキルアを恐れていた。
危ない奴だと思っていた。
しかしキルアは、ただ自分に正直な、真っ直ぐな、ごく普通の少年だった。
今まで何度か私とぶつかってきた。
私とキルアは全くと言っていい程の正反対。
正反対だからこそ、仲良くなれたのかもしれないな。
別れ際にキルアが笑顔でこう言った。
「結婚式、決まったら教えろよ?絶対行くからさ」
「あぁ、必ず連絡する」
「後さ…オレら友達だよな?」
その質問にクラピカは目を丸くした。
後からクラピカはなるほど、と合点が言った。
あの時の事か…。
「当たり前だ、これからもキルアは大事な仲間だ」
キルアは照れくさそうに笑うと「じゃあな!」と軽く手を振って歩いていった。
なぁ、クラピカ。
オレやっぱり、ソフィアのそばにいたかった。
オレが幸せにしてやりたかった。
オレにとってソフィアは、クラピカと同じ初恋の人だから。
でもアイツを見送るよ。
ソフィアに二度もクラピカを失わせる訳にはいかない。
それから…
オレ、前からクラピカが好きだった。
好きって言ったって誤解すんなよ?
別に変な意味じゃねーから!
男同士として、人間として好きってこと。
仮にオレが女だったらクラピカのこと狙ったりしねーし。
だってクラピカ、カッコイイ、頭良い、優しい、友達としては最高な奴だけど、
頭固いし、女心全然わかってねェんだもんなー。
ああ見えて結構純粋なところがあるし。
なんて余計なこと言ったらまた怒られるよな……。
怒られる前に謝っておくよ。ごめん。
それから…
ホントに、結婚おめでとうな。
3ヶ月後。
季節は変わり雪は解け、ふきのとうが照れくさそうに顔を出した。
ぽかぽかと暖かい日差しがやわらかく照り付ける。
桜咲くこの季節が巡ってきた。
…始まりの季節、春。
そして、結婚式前夜。
明日はついに待ちに待った、結婚式。
世界で最も美しいと言われる南の島、サウストエリアで結婚式を行うため、ソフィアとクラピカはその近くの高級ホテルに宿泊した。
二人は明日の結婚式の二次会の打合せ、準備などを全て済ませ、二人はソファーに座りやっと一段落した。
『とうとう明日だね。なんだか緊張する~っ。忘れてる事とかないよね?大丈夫かな??』
不安そうな表情を浮かべるソフィアに、クラピカは目許を和ませた。
「きっと大丈夫だ、後は明日を待つだけなのだよ」
『そうだねっ』
ソフィアは笑顔を浮かべると、温かい紅茶を息で何度か冷ましながら飲み始める。
クラピカはそんなソフィアの横顔を愛おしげに見つめた。
ソフィアに伝えたいことが、山ほどある。
それは明日でも明後日でも、いつだって伝えることができるはずなのに。
それでも今すぐ伝えなければならないような気がして、
山ほどあるのに上手く伝えることができないように思えた。
適当だと思われたくはない。
その場限りだと思われたくはない。
上辺だけだと思われたくはない。
どうすれば上手く伝えることができるのだろう。
…そうか。
ソフィアの前で私は、もうカッコつける必要はないんだ。
夫なのだから、飾らない言葉で、感じたことをそのままに。
「…ソフィア。私はクルタの村で初めてお前と出会ったときから、お前しかいないと思った。
だが9年前にお前と同胞を失ってからの私は、クモに復讐の事だけを考えて生きてきた」
自分と戦い抜くための強い意志と力、ただそれだけを求めて生きてきた。
一度、大事な人を失った悲しみを知ってしまった私は、もう二度とこの先、誰も愛さないと誓い、恋愛には全く眼中になかった。
あの時のリリーを傷つけることへの重みに、あえて目を背けていた。
「私は夢も希望も何一つ残されていなかった。だがお前と再び出会ってからの私は…夢や希望を持つ喜びを取り戻せたんだ」
『…うん』
ソフィアと出会ってから、自分自身が傷を負い、誰かを傷つける事への重みを知った。
いつしか背けていた事に、真正面から向き合えるようになっていた。
「お前と出会っていなければ、きっと今頃寂しい人間になっていた。誰かの為に生きたいなど、絶対に思わなかっただろう…。
私は、お前と出会えてよかった。今までソフィアには言葉に言い尽せないほど感謝している。本当にありがとう」
出会えてよかったと言えば、それはありきたりで陳腐な表現になってしまうだろう。
それでも私はお前に伝えたかった。
お前に出会えて、よかった。
出会い、笑い、怒り、すれ違い、傷つけ合った事。
お前の記憶を忘れ、たくさん傷つけてしまった事。
いろんなことがあった。
だが、お前と出会えたお陰で、今の私がいるのだろう。
もう一度だけ、言わせてくれ。
お前に出会えてよかった。
『わたしもクラピカに出会って成長できたよ。クラピカに出会えてほんとによかった。ありがとう…これからはずっと一緒だよね??』
その無邪気な問いかけにクラピカは仄かに笑って頷いた。
「あぁ、ずっと一緒だ。いつまでもこうしてそばにいてくれ。見守っててほしい、私の進む道を。
お前がそばにいてくれれば、今日のことは忘れない。だからソフィア、ずっと私のそばにいてくれ」
『もちろんだよ!ぜったい、何があってもそばにいるからっ』
ソフィアはクラピカの胸に抱きついた。
温かくて、心地よい温度。
クラピカの腕の中にいるときが、一番落ち着く。
ちょっと眠たくなってしまったソフィアは、そのまま目を瞑る。
軽く眠ってしまっているソフィアに、クラピカが優しく声をかける。
「疲れただろう。私の膝を使え」
ソフィアはソファーの横になり、クラピカは自分の膝の上にソフィアの頭を乗せた。
下から見るクラピカはなぜかいつもより数倍カッコ良く、そして大人っぽく見える。
こんなにドキドキさせて、ずるいよ。
クラピカのほっぺに両手を当て、自分の唇へとクラピカの顔を引き寄せるソフィア。
しかし、どんなに頑張っても唇は軽く触れる程度にしか近づかない。
クラピカはフッと微笑み、ソフィアの頭の下にそっと手を入れてゆっくり持ち上げると、強く唇を重ねた。
クラピカとのキスは…大好き。
キスをしながら優しく頭を撫でてくれるから。
たくさんの愛を感じられるから。
こんなに優しいキスができるのはきっと心が優しいからだね。
重なり合う唇が、あまりにも温かくて涙が出そうになった。
この幸せが、いつまでもいつまでもつづきますように。
今は、ただただそう願うだけ。
唇がそっと離れ、クラピカはソフィアの体を起こすときつく抱き締めた。
その体は心なしか震えているように感じる。
『クラピカ…どうしたの?』
体を離し、目線を床へとずらすクラピカ。
「…何故かは分からないが、緊張している。カッコ悪いな」
クラピカの言葉はソフィアの胸を熱くし、それと同時に溢れんばかりの愛しさが込み上げてきた。
『わたしも…すごいドキドキしてるよ』
クラピカは優しい目でソフィアを見つめる。
「明日が結婚式なんだな。余り実感が湧かないな」
『うん…』
「幸せを感じる事に慣れていないせいか、最近眠れないんだ。常に将来の子どもの事を想像したりしている」
『ぷぷっ…可愛い♡』
「やはり可笑しいか?」
『…わたしも同じだよ。だから、可笑しくないよっ』
二人は目を合わせて微笑んだ。
天国のお父さん、お母さん、わたしの弟か妹へ。
聞こえてますか?
明日、昔から夢だったクラピカの花嫁さんになる日を迎えます。
わたしの花嫁姿、実際に見てもらえないけど天国から見ていてください。
わたしはいつまでも、家族との想い出をずっと忘れません。
将来子どもができたら、お母さんのような母親になりたいと思います。
お父さん、お母さん、みんなの分も長生きして幸せになるので、ずっとそばで見守っててください。
二人の子どもで本当によかった。
お母さん。
わたしを産んでくれてありがとう…
二人はベッドの中にいた。
「…ソフィア」
名前を呼ぶと同時にソフィアの体を抱き寄せるクラピカ。
『…ん??』
目を見開くとそこにはクラピカの柔らかい笑顔があった。
その笑顔が妙に安心をくれる。
「明日はお互い、最高の結婚式にしよう」
『うんっ』
…クラピカってどうしてこんなに温かいんだろう。
「明日も早いからな、そろそろ寝よう」
『は~い…おやすみなさい…』
「おやすみ」
今日は最高の結婚式前夜だった。
きっと明日も最高の結婚式になるね。
クラピカの腕に埋まり、そのままソフィアは眠りについた。
ーーー結婚式当日。
空は青く、雲一つない快晴。
サウストエリアで一番人気がある草原に囲まれた海の見える式場。
チャペルは外で開かれる事となった。
招待されたゴン、キルア、レオリオ、サラ、リーア、センリツ、師匠(本名:ラディウス)は、
今か今かと草むらの上のテーブル席に着いて待っていた。
「いよいよだな!!」
レオリオがネクタイを整えながら、片手にばっちりカメラを用意する。
そうね、とサラが笑顔で返しリーアに注意する。
「リーア、大人しくしてるのよ?」
「あいっ!!」
何度も花嫁が出てくる扉を確認しているゴン。
「まだかなァ~??早く出てこないかなァ~!!」
「まだ直ぐには出て来ねーよ」
「もう待ちきれないよキルアー!!」
ゴンはキルアの腕を掴んで強引に揺らす。
「やめろって、ゴン!!ネクタイがずれるだろ!?」
そんな二人を見ながらセンリツが微笑む。
「ソフィア、絶対白いドレス似会うでしょうね。早く始まらないかしら」
師匠は時計を見て、慌てて立ち上がった。
「(わしもそろそろ行かなくては…緊張で胃がきりきりするわい。こんな気持ちは何年ぶりじゃろう…)」
式場の扉に向かう師匠にゴンが呼び止める。
「あれ、ソフィアの師匠!!どこ行くの!?」
「ちょっとな」
「ラディウスさんもソフィアと一緒にバージンロードを歩くのよ」
センリツが代わりに答える。
「そうなんだ!!ソフィアにとってのお父さんはラディウスさんなんだねっ!!まるでオレとミトさんみたいだっ!!」
元気に話すゴンの言葉にキルアが納得した。
「そっか、だからか」
「そう言う事じゃ。わしにとってソフィアは弟子でもあるが可愛い娘じゃからな」
そう言って、ラディウスは優しく微笑むと歩き出した。
白いタキシードに着替え、準備が整ったクラピカは、控室で窓の外の景色を眺めていた。
コンコン…
「失礼します」
ドアが開かれ、式場のスタッフが顔を出す。
「新郎様、ご新婦様のご準備が整いました。どうぞこちらへ」
「はい」
クラピカはソフィアがいる部屋に向かった。
新婦控室のドアの前で、クラピカは立ち止まる。
このドアの向こうに花嫁衣装のソフィアがいるのか。
…さすがに緊張してきたな。
ノックをするため伸ばした手を思いとどめる。
息を飲み、じんわりと汗ばんだ手のひらを握り締め、二回程度ドアを叩いた。
『…どうぞ』
その返事にクラピカは静かにドアを開いた。
その時…
目に映ったソフィアの姿に、クラピカは目を見開いて固まった。
『クラピカ…ありがとう。わたし、とっても幸せだよ』
涙を浮かべながら、花が咲いたように笑顔を浮かべるソフィア。
…覚悟はしていた。
しかし、これ程までに綺麗なソフィアを見たのは初めてで、不覚にも見とれてしまった。
『クラピカ…?』
ソフィアに呼ばれて我に返るクラピカ。
「あ、あぁ…とてもよく似合っている。本当に綺麗だ…」
クラピカは照れくさそうにそう言って、部屋の中に入る。
『…クラピカ、すっっごくカッコ良いよ!!まるで王子様みたい♡///』
「ソフィアも、まるでプリンセスみたいだ」
二人はお互いに照れながらも幸せそうに笑った。
眩しそうに目を細めて、クラピカは手を伸ばし、ソフィアをふいに抱き締めた。
「ありがとう…私は今、世界で一番の幸せ者だ。一生愛しているよ、ソフィア…」
ダメだよぉ…涙がでちゃうよ。
ソフィアもクラピカの背中に手を回した。
溜まり始めた涙がこぼれないように、まばたきをせずに必死に目を見開く。
しかし、耐えきれずにまばたきと同時に涙がこぼれ落ちた。
今まで、いろんなことがあったね。
たくさんすれ違って遠回りした。
でも最後に願った二人のゴールは…同じ場所だった。
あなたが背を向けてわたしから去ったあの日、二人の間には確かに愛があった。
追いかけなかったわたしと振り返らなかったあなた。
でも確かに大きな一つの愛がここにありました。
そして今、あの時より大きな愛がここにある。
大きな大きな愛が…ここに存在してるんだ。
体をゆっくり離し、クラピカはソフィアの手をそっと取り、自分の腕に彼女の手を絡める。
「皆が待っている、行こう」
『うんっ』
二人は式場に歩き出した。
……ねぇ、クラピカ。
好きになってくれてありがとう。
お嫁さんにしてくれてありがとう。
選んでくれてありがとう。
わたしは今、人生の中で一番の喜びを感じています。
こんな日が来るなんて思わなかった。
わたしは今、本当に、本当に幸せです。
生まれてきて、よかった。
クラピカに出会えて、よかった。
本当に、ありがとう…
式場の扉の前で待っている師匠に、ソフィアは声をかけた。
『師匠…』
呼ばれて振り向くとそこには可愛らしいソフィアの花嫁姿。
ラディウスは驚き、思わず自然と笑みがこぼれた。
「ソフィア…よく似合っているなぁ、とっても綺麗じゃよ」
『ありがとう、師匠。…じゃなくて、お父さん。わたしにとって師匠はもう一人の大事なお父さんだから。
出会ってから7年間、本当に今までお世話になりました』
師匠がいてくれたから、わたしはハンターの仕事を知れて、ハンター試験でクラピカに出会えた。
すべては、師匠のおかげなんだよ。
本当に、ありがとう。
ラディウスは寂しそうな、泣き顔のような顔で笑った。
「わしもじゃ。わしに生きる希望を与えてくれて、ありがとうソフィア」
ソフィアは笑顔で頷くと、ラディウスの横に並んで腕を絡めた。
扉の向こうには、大好きなみんながいるんだ。
そして、あの人も…
扉がゆっくりと開かれる。
外の光を浴びながら、ソフィアと師匠はバージンロードを歩き出した。
ソフィアの姿を見た会場の全員が、盛大な拍手で迎えた。
「わぁ!!すっごいキレイだよ!!ソフィア!!おめでと~!!」
ゴン、ありがとう。
「スッゲェ良く似合ってるぜソフィア!!早く息子を産んでくれ!!ウチの娘と結婚させるからな!!そん時は泣くんじゃねーぞ!?」
まったくレオリオたら…ありがとう、レオリオ。
「おめでとう!ソフィアちゃん!」
サラさん、ありがとうございます。
「ソフィア、おめでとう!とってもキレイよ!」
センリツ、ありがとう。
「…おめでとう!すげー似合ってるぜ?よかったな!」
キルア……ありがとう。
みんな、本当に、ありがとう。
ソフィアは前を向いた。
目の前には、大好きな…大好きな…
クラピカの姿。
クラピカは優しく微笑むと、ラディウスから通して渡されたソフィアの手を取り、拍手に囲まれながら、神父の前に立つ。
そして静まり返り、緊張感の漂う中、神父が口を開いた。
「新郎、クラピカは、妻ソフィアを生涯愛することを誓いますか?」
クラピカは真っ直ぐ前を向いたまま、切実に答えた。
「はい、誓います」
「新婦、ソフィアは、夫クラピカを生涯愛することを誓いますか?」
その答えは決まってる。
迷いはない。何一つ。あるはずもない。
『はい、誓います!』
ソフィアはしっかりとした声で答えた。
「それでは、指輪の交換を」
神父の言葉に背筋を伸ばし、キョトンとするソフィア。
指輪交換って??
持ってないのに…どうすればいいんだろう。
その時、ソフィアは気がついた。
神父の持つ指輪の置台には、見たことがない指輪が二つ用意されている。
え、どう言う事??
「ソフィア、左手を」
わけもわからず言われるがままに左手を差し出す。
クラピカはソフィアの左手の薬指に指輪をするりとはめた。
小さなピンクと白のダイヤが埋められた、プラチナのリング。
クラピカ…わたしの知らない間にちゃんと用意してくれてたんだ。
きれい~…
感動しまじまじと見つめていたソフィアだったが、はっと我に返り、今度はクラピカの左手薬指にお揃いの指輪をはめた。
「それでは、誓いのキスを」
最後の言葉に二人は顔を見合わせ、クラピカはソフィアのレースを後ろに回した。
二人は互いに見つめ合う。
そっとソフィアの肩を掴むクラピカ。
クラピカはソフィアの唇の横に自らの唇を重ねた。
一瞬、触れる程度の…軽くやわらかな優しいキス。
触れた部分がまだほんのりと熱を持っている。
逸らすことなく真っ直ぐソフィアの目を見つめるクラピカ。
これからも永遠に、ソフィアのそばにいたい。
だが永遠に一緒にいたとしても、きっとお前を愛し尽くせないだろう。
お前が愛しすぎて、どうにかなってしまいそうだ。
本当に、幸せだ。
幸せすぎて、怖いくらいだ。
そして今、大声を張り上げて言いたい。
お前を世界中の誰よりも、愛していると。
不意にクラピカはその場でソフィアを抱き上げた。
『わぁっ!』
突然持ち上げられ驚いたソフィアだったが、嬉しそうにクラピカの顔を包むようにして触った。
互いに見つめ合い、幸せそうに笑う二人。
その二人の姿に皆は、盛大な拍手を贈りながら、心から祝福した。
「あら~完全に二人の世界だな、ありゃあ~。よっ!幸せ者ッ!!」
楽しそうに二人をからかうレオリオ。
「見てるとこっちまで幸せになるわね!」
レオリオの隣でリーアを抱えながら笑うサラ。
「ねえね!あうーあ(おねえちゃん、きれい)…」
目を輝かせて言うリーア。
「ホントによかったね!!涙が出て来ちゃったよ~!!」
感動し、大泣きするゴン。
「まったく見せつけてくれるよなァ~二人とも、ぜってー幸せになれよ!!」
そっけないながらも、はにかむように笑うキルア。
「若いとは素晴らしいのう…」
二人を見て涙ぐむラディウス。
「本当によかったわね、二人とも…ずっとお幸せに!」
感動の涙を流しながらも嬉しそうな笑顔を浮かべるセンリツ。
チャペルの幸せな金が美しく響き渡る。
木の陰から二人を見ていたヒソカは、「おめでと★」と言って、笑顔でその場から歩き出した。
見上げた空は小鳥たちが歌いながら飛び回り、青空が輝き、果てしなく広がっていた。
next…