オリジナル編〚完〛
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はち合わせを避けようとしたソフィアだったが、ソフィアは覚悟を決めてそのまま歩き続けた。
距離が近くなったその時…
「…ソフィア…?」
名前を呼ばれ、ソフィアはおそるおそる顔を上げる。
…やっぱりクラピカだ。
「…久しぶりだな」
懐かしいクラピカの声。
「…ソフィア?」
クラピカが呼ぶわたしの名前。
あんなに遠かったはずなのに、今こんなに近くにいる。
クラピカが…近くにいる。
『…クラピカっ、久しぶり!痩せたね!!』
緊張のせいか妙に声を張り上げるソフィア。
クラピカはあの頃と変わらない笑顔で静かに微笑んだ。
「そうか…ここにどうしているんだ?」
『お参りに行ってたんだよ!クラピカはこれから??』
「…あぁ、それより元気そうだな。キルアとは幸せか?」
寂しそうに微笑むクラピカ。
『キルアとは今でも友達だから、何もないよ!』
クラピカは少し驚いた様子でソフィアを見つめた。
もう二度と、こうやって笑いながら話す事はないと思ってた。
クラピカの顔を直視することができず、ソフィアはクラピカの肩を見つめる。
…下を向くと涙が出てしまいそうだから。
こうしてそばにいると、幸せだった日々が甦る。
あの時の”さようなら”は悲しい言葉じゃない。
優しい言葉だった。
クラピカの最後の精一杯の愛だったんだって、わかってたよ。
わたしから背を向けて歩き出した時…
どれくらい辛かったの?苦しかったの?悔しかったの?
クラピカと別れてからこの三年間。
あなたに会えないことが辛くて、苦しくて…
忘れるために、無駄な努力をたくさんした。
それでも忘れられなかった。
一度もあなたのこと、忘れたことがなかった。
クラピカ。
わたしは今でも、クラピカの事が…
『わたしね…』
「話が…」
二人は同時に口を開き、言葉が重なった。
『あ…クラピカから言っていいよ!』
「いや、私は構わない。お前から先に言え」
…目を合わせて笑う二人。
『もう、それじゃあハンター試験の時と一緒じゃん!』
「そうだな。なら今回は私から言わせてくれ」
言い終えて、クラピカはソフィアの元に近づき、そっと体を抱き締めた。
その力は強く、温かさに溶けてしまいそうになる。
「……すまない。叶うならもう一度、お前をこうして抱き締めたかった。…私はソフィアが好きだ。別れてからもずっと…
お前を手放してしまったが、もう絶対に離しはしない。二度と悲しい思いはさせない。だから、私の元に戻って来てほしい。…私の、傍にいてくれないか?」
ソフィアはクラピカの体に手を回し返した。
『……クラピカのバカ。遅いよ…っ』
クラピカの肩に顔を押し付け、唇を噛みしめて涙をこらえる。
わたしはこう言われるのをずっと待っていたのかもしれない。
愛してるから…愛してる人に幸せになってもらいたいからこそ離れる。
それは間違ってないかもしれない。
でもすごく寂しいことでもある。
愛してるからこそ、離さないでいてほしかった。
愛してるからこそ、たとえ相手を幸せにできる保証がなくても一緒にいたいと願って欲しい。
離れたくない。
どこにも行くな。離れるなって…
言われたかったんだ。
ずっとずっと、そう言われたかったんだ。
ソフィアはクラピカの胸から離れようとはせず、それどころか腰に手を回し、そこに顔を埋めた。
頭に血が上る。
何が起こっているのか、よく分からない。
”遅い ”と、先ほどソフィアはそう言った。
聞き間違いなんかではない。
私はこの耳で確かに聞いた。
涙声で、確かにそう言ったのだ。
遅いとは?
何が?どういう事だ。
勝手な理由で別れを告げて、ソフィアと再びこうして出会い、都合よく自ら手放した幸せを取り戻そうとしている。
今更そんなことを言われても、遅いってことなのか?
もしそう思っているのなら、私の事なんて突き放してしまえばいい。
そうしてこの場から走り出し、二度とこの場所に現れなければいい。
そんなことをされたとしても、私はソフィアを決して恨んだりなんかしない。
だから。
それなのに私の腰に回されているソフィアの手の力に、わずかに愛が込められているような気がした。
……ヨークシンでの、あのときを思い出す。
私はソフィアの体をいったん離すと、自らの唇をソフィアの唇に近づける。
ソフィアはそっと目を閉じ、その行為を受け入れる。
そして、唇の端にキスをした。
こんなにも切なく、幸せなキスは初めてだ。
この想いを恋と表現するにはどうしても物足りなく。
不意に目が合い、二人の時間がぴたりと止まった。
もしかして………ソフィアはキルアとの幸せな未来を捨てて、私を選んでくれたのか?
ソフィアの言う”遅い”は、手遅れという意味ではなく、ずっとその言葉を待ってくれていたという意味なのか?
自惚れていいのか?期待していいのか?
傷を負わせた私を許してくれるのか?
もう一度あの日々を、幸せを手に入れることは許されるのか?
状況を徐々に把握するとともに、視界が真っ白に染まり、胸が激しく高鳴って、軽いめまいを起こした。
「もう、お前を、二度と離さない…」
ほろりと出た言葉。
再びソフィアの体を抱き寄せる。
今さら傍にいてほしいなど、あまりに自分勝手だと思っていた。
そんな私の想いを受け止めてくれたソフィア。
私の言葉をずっと待ち続けていたソフィア。
遠回りばかりして、何度も傷つけ合った。
けれど、もう一度こうして出会うことが出来た。
運命という言葉は、やはり存在していた。
私はもう何があってもソフィアを離しはしない。
今ここで誓う。
家族や同胞にも誓う。
この命がある限り、ソフィアを愛し続けると。
そして、ソフィアの事を幸せにしてみせると。
世界一、幸せにしてみせる。
だから、任せておけ。
心は変わらない。
何があっても、いつまでも、決して。
想い続けることは、間違いなく意味があった。
こうして3年4ヶ月という長い時を経て、二人の歩む道はようやく一本の太い道に繋がった。
その後、二人は村に向かいお参りをした。
緋の眼奪還をほぼ終えていたクラピカは、昨日この村に全て埋めたらしい。
クラピカはノストラード組の元へ帰る前にもう一度、同胞に最後の別れを告げに足を運んでいたのだった。
ソフィアは二度目の報告をする。
こうしてクラピカと出会えたのは、みんなが会わせてくれたからだね。
…ありがとう。
いろんな想いが込み上げてくる。
胸が苦しくなる事も、心が優しくなれる事も。
…まだ忘れられない事がいっぱいいっぱいある。
でも、今は過去より…未来を見るんだ。
今の二人に怖いものなんて何もない。
「好きだよ」とか「愛してるよ」なんて言葉を交わさなくてもわかるの。
クラピカがわたしを必要としてくれている事。
そしてまた、わたしも同じようにクラピカを必要としている事。
伝わってるんだ。
「ソフィア、行こう」
隣にはクラピカがいる。
あの優しい笑顔で、わたしの名前を呼んでくれる。
昨日までは遠い夢の夢だと思っていた光景が、今ここにこうして存在している。
差し伸べられたクラピカの手にそっと触れた。
二人の指先が静かに絡まった。
温かくて、柔らかくて、幸せな感覚。
何度も離れ離れになったわたし達。
それでもこうしてもう一度出会うことができた奇跡。
生きててよかったと、この瞬間にこれほどまで強く感じたのは、きっとこの世界でわたしだけだね。
これから先、何があっても二度と離れたりしない。
二人で力を合わせれば、これからどんな事も乗り越えていけるよね。
ぜったいに、
乗り越えていこうね……クラピカ。
「行きたい所がある」
そう言ってクラピカは行先も言わずにソフィアを連れて飛行船に乗る。
全く見当がつかないソフィアは、疑問を浮かべながらクラピカに着いていく。
2日かけて到着した場所は、レオリオの国の役所。
『…なんで役所??』
目をきょとんとしながら問いかけるソフィア。
歩いていたクラピカは立ち止まり、ソフィアに振り返る。
「逃げ出すなら今のうちだぞ。これが最後のチャンスだ」
『何のこと?』
クラピカはソフィアの手を引く。
「行こう」
手を引かれて歩き出した時、ソフィアは気がついて立ち止まった。
『もしかして…』
クラピカは優しく微笑んだ。
「あぁ、ソフィアの夫になる為だ」
『え、今から!?』
「ちゃんと伝えた、独身最後の10分間だ。何かしておきたいことはあるか?」
ソフィアは慌てて自分のほっぺたをつねった。
イテテテ…ッ!
夢じゃない…夢じゃないんだ!!
やっとわたし、クラピカのお嫁さんになれるんだっ!!
何も言わないで黙ってここに連れて来ちゃうなんて、もうっクラピカの照れ屋さんッ♡
あ、ちょっと待って。
普通、入籍する前って「結婚しよう」とか「愛してる」とか言うでしょ?
クラピカはこういうのきっちりしてそうなのに、どうして何も言ってくれないんだろ??
一人で考え込んでいたソフィアにクラピカが心配そうに呼ぶ。
「…ソフィア?」
『…クラピカのいじわる。「愛してる」の一言ぐらい言ってくれてもいいのにぃ』
「嘘は言えない、お前を愛してるから夫になる訳じゃないからな」
……ソフィアは固まった。
え?どういう事??
全然わからない。
『じゃあなんで?愛してないのに結婚するの??』
ソフィアは今にも泣きそうな目で問いかける。
クラピカはそんなソフィアを見つめ、真剣に言った。
「相変わらず鈍感だな。お前を愛してるからではなく、お前しか愛せないからだ」
ソフィアは目を見開く。
「ソフィア以外に選択の余地はない」
なんだ、そういう事だったんだ…
内心ほっとしたソフィアは、嬉しそうに笑顔を浮かべた。
クラピカはそっとソフィアに手を差し出す。
「花も、キャンドルも、お決まりの指輪すらない。
だが私は一刻も早く、お前を手に入れたい。それでも、妻になってくれるか?」
ソフィアは迷うことなくクラピカの手のひらに自らの手を置いた。
『当たり前でしょっ』
目の奥が熱い。
幸せすぎて、嬉しすぎて、涙が出てきそう。
二人は仲良く手を繋いで、婚姻届を取りに歩き出した。
進んでいくとそこには白紙の婚姻届を持って笑顔を浮かべているレオリオ、サラの姿。
「まさかオレ達がお前らの証人になるとはな!!」
「二人とも、おめでとう!」
『レオリオ!サラさん!どうしてここに!?』
驚いて尋ねるソフィアにクラピカが答える。
「昨日私からソフィアと結婚するから証人になってくれと電話で頼んだんだ。
サラさん、初めまして。クラピカと申します。遅くなりましたがこの度はご結婚おめでとうございます」
「(凄く丁寧…しかもイケメン///)あ、ありがとうございます、私はサラです。どうぞよろしく」
「……そう言う事だ!!さ、お二人さん!オレ達も忙しいからよ~ちゃっちゃと書いてくれ!!」
やけに嫌に慌てているレオリオに半呆れながらも、クラピカとソフィアは顔を見合わせて笑うと、婚姻届けにサインをした。
お互い書き終え、クラピカはレオリオに渡す。
「二人は証人の欄にサインを」
レオリオとサラは言われた通りにサインをした。
書き終え、クラピカは婚姻届を受け取り確認する。
隣でソフィアも確認すると、物凄く嬉しそうな笑みを浮かべてクラピカに抱きつく。
『キャーッ!!やっと結婚できるんだねっ♡クラピカっ///』
そうだな、とクラピカも幸せそうな笑みを浮かべる。
「二人とも、時間を取らせてすまなかったな。礼をいう」
『レオリオ、サラさん!ありがとう☆クラピカ!!早く出しに行こうっ♪』
ソフィアはクラピカの腕を引っ張って、二人は婚姻届を出しに行った。
幸せそうな二人を見送るレオリオとサラ。
「さぁ、もう一仕事だな!!」
「そうね!」
レオリオはサラの肩に手を回して歩き出した。
今夜、クラピカとソフィアが宿泊するホテルをクラピカに聞いたレオリオとサラは、その部屋を飾り付けしていた。
数量の赤とピンクのハート形の風船。
数量のキャンドル、オレンジのオシャレなスタンド、大きな花束。
ダブルベットが置かれたごく普通のシンプルな部屋は、ロマンティックあふれる部屋へと変わった。
「よく思いついたな!!」
「祝福できない家族の分まで私達が祝ってあげましょ。よかったわね、クラピカさんの記憶が戻って」
花びらを床に散らばしながら言うサラ。
「あの二人から学んだぜ。辛い記憶も時間が経てば、いつか幸せの糸口になるってことがな」
レオリオはサラを抱き締めた。
「だからオレもオレ達がどう愛し合って、どう別れたのか、嫌な記憶も全部思い出すぜ?」
「なによ、どうせ思い出せないくせに」
「オレは忘れっぽいだけ、年のせいだ!そんなにオレをいじめるなよ~サラちゃん♡」
「もう…」
良いムードの二人。
その時、後ろからクラピカの低い声が聞こえた。
「おい、何してる」
レオリオは慌ててサラから離れた。
「み、見りゃわかるだろ!?」
クラピカは目を細める。
「抱きついていただろう」
「ちょっとだろ!?ソフィア、結婚おめでと~!!オレ達からの結婚祝いだ!!」
『ありがとう!!すっごくキレイ!!サラさんもありがとうございますッ♡』
満面の笑みで礼を言うソフィアにサラも笑顔を浮かべた。
「えぇ、ステキな夜を」
「…本当にレオリオには勿体ない女性だ」
『ホントだよね~‼』
からかうクラピカとソフィアにレオリオは不機嫌な表情を浮かべた。
「おい、お二人さん。初夜でなく人生最後の夜を迎えるか!?」
「冗談だ」
冷静に答えるクラピカ。
レオリオはサラの肩を掴みながらドアへと歩き出す。
「じゃあ退散するぜ!オレ達も今夜は愛し合うか!?」
「そんな事ばっかり言って」
サラは呆れながらもレオリオに連れて行かれ、二人は部屋を後にした。
二人きりの空間。
どうしよう…クラピカと二人きり。
久しぶりすぎて緊張しちゃう。
『…ホントにキレイだね!まるで違うホテルみたい!!』
緊張のせいかわざと明るく振る舞い、クラピカに背を向けて部屋に飾られたキャンドルなどを眺める。
すると、突然後ろからクラピカに優しく抱き締められる。
背中から伝わる温かく心地よい温度。
鼓動の音が激しく高鳴る。
「…後悔してないか?」
『後悔って??』
「私と結婚したことだ」
『するわけないでしょ?もしわたしが後悔したって言ったらどうするの??』
「…それでも離さないがな」
その言葉を聞いて安心したソフィアは、振り返ってクラピカと向かい合う。
『クラピカ、約束叶えてくれてありがとう。わたしクラピカと結婚できて本当に幸せだよっ』
「そうか…///」
自分から聞いてきたわりにそっけなく窓の方へ顔を向けるクラピカ。
知ってるよ。
本当は嬉しいんだよね。
だって見たもん。一瞬笑顔になったところ。
まったく素直じゃないんだから。
…ってわたしも同じか。
やがて互いに目が合い、時が止まる。
ソフィアはそっと目を閉じ、軽く背伸びをして、自らの唇をクラピカの唇に重ねた。
…二人の吐息が重なった瞬間。
…本能で動いた瞬間。
まだ照れくささが隠しきれていない…もどかしい愛の形。
時間をかけて唇を離すと、目が合ったクラピカは照れくさそうに微笑んで見せた。
「…ソフィアからしてくるとは、大胆だな」
冷静さを取り戻したソフィアは、みるみるうちに頬が紅く染められていく。
『…こっち見ないで///』
「恥ずかしがることはないだろう?こっち向いてくれ」
『やだっ!!///』
ソフィアの肩をぐいっと抱き寄せ、耳元に唇を寄せるクラピカ。
「私とキスしたいと思ってくれたのか?」
ソフィアが静かに頷くと、クラピカは体を離し、ソフィアの頭に手を回して、唇にキスをした。
触れる程度の淡いキスではなく、深いとろけるようなキス。
どうしよう…体が熱い。
何も考えられない。
いつしかクラピカはソフィアの腰に手を回し、ソフィアはクラピカの首に手を回し、二人は何度もキスをした。
…まるで何かを忘れようとするかのように。
…まるで不安を消し去るかのように。
無我夢中でキスをした。
クラピカはソフィアの体をゆっくりとベッドに倒し、唇を首元に移動させてゆく。
『…んっ……』
自然と漏れる声。
クラピカの唇が移動するたび、体が、反応していく。
くすぐったく、でも温かくて心地いい…まるで夢の中にいるような感覚。
ソフィアはクラピカの体に手を回し、強くしがみついた。
クラピカは再びソフィアにキスをする。
入ってくるクラピカの舌、ソフィアもそれに応えるかのように絡める。
…熱く溶けそうな体温。
『…ぁっ……』
自分が自分じゃなくなってしまう。
それほどまでに刺激的な感覚。
クラピカはいったん唇を離すと、ソフィアの頬に手のひらを当てた。
「お前のそんな声聞いたら、もう抑えがきかない…」
ちょっぴりかすれた低い声。
今までに聞いた事のないクラピカの声に…心臓が大きく鳴り響く。
時間をかけて服のボタンが外されていく。
徐々に移動する唇。
頭から指先まで体中すべてが敏感になっていて…唇がはうたび体が小さく跳ね上がる。
クラピカの優しさが体中に伝わってくる。
クラピカの手が、太ももに伸び、その瞬間、ソフィアはとっさに彼の手を止めた。
『だ、だめっ…!』
その行為に、わかりやすく心配そうな表情を浮かべるクラピカ。
「…すまない、嫌だったか?」
違うの。そうじゃない。
これから言おうとしていることを考えると、両手で顔を覆わずにはいられなくて。
『嫌とかじゃなくて…あのね、自分が自分じゃなくなっちゃうみたいで恥ずかしいの…』
顔を見ることができない。
クラピカは今、どんな表情を浮かべているの?
クラピカは覆った両手をよけ、顔をあらわにすると、ソフィアの右手を自らの左手と重ね、指を絡めた。
「何を言っている、夫婦なのだから恥ずかしがることはない。ソフィアは十分綺麗だ」
『でも…』
「今まで会えなかった分、いろんなソフィアを見せてくれ」
クラピカの細く長い指が、愛しさに触れた。
『…あっ……』
自分の声で我に返り、唇を噛みしめるソフィア。
クラピカはすかさずソフィアの気持ちを見透かしたようだった。
「我慢しなくていい。ソフィアの可愛い声、たくさん聞かせてくれ」
クラピカの指は、時に優しく、時に激しく、そのたびに体が反応し、声が漏れ…
いつもの自分がどこかへ行ってしまうような気がして怖くなった。
今まで感じたことがない初めての感覚。
もうすぐ、二人が一つに繋がろうというときに、クラピカは優しくソフィアの頭を撫でた。
絡み合ったクラピカの指先を強く握り締め…そして二人は一つになった。
重なり合う体温や握った手のひらがすごく熱くて。
…わたしの事を強く想ってくれている気持ちが痛いくらいに伝わってくる。
『クラピカ、…クラピカのこと、大好きだよ…っ』
「私もだ、ソフィア…愛してる…っ」
クラピカに対する愛しさが込み上げてくる。
それと共に、体がフワフワと浮き上がってくるような感覚。
瞬間。
体が浮き上がり、頭が真っ白になった。
何かにたとえるならば高いところから突き落とされたような。
でもそれは痛くもなく、怖くもなくて…
ソフィアは意識をなくし、そのまま眠りについた。
カーテンの隙間から漏れるまぶしい光によってクラピカは目を覚ました。
隣にはソフィアが規則正しい寝息をたてて眠っている。
クラピカはソフィアの寝顔をじっと見つめて、軽く笑った。
「…無防備だな」
手を伸ばしソフィアの頭をなでる。
やっと巡り会えた。
心から会いたいと願っていた人に。
私は今、幸せだ。
そして今、あの頃に負けないくらいの幸せを体中で感じている。
もしかしたらこの瞬間に、誰より一番、生きることへの幸せを感じているのかもしれない。
……ソフィア。
これだけは約束しよう。
私はお前を絶対に幸せにしてみせる。
この命が続く限り、必ず。
私にとってお前は、世界で一番大切な宝物だ。
愛してる。
心から、永遠に…
next…