オリジナル編〚完〛
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『ただいま…』
「おかえり、遅かったのぉ」
今は夜中の0時。
いつもは22時に就寝する師匠なのに、起きてるなんてめずらしい。
そっか…わたしが帰るまで起きててくれたんだ。
ソフィアは黙って机の椅子に座った。
「夕飯は食べたのか?」
『まだ…でも、食欲ない…』
ひどく落ち込んでいるソフィアを初めて見た師匠は、椅子から立ち上がると台所に向かった。
しばらくたち、ソフィアの前に温かいシチューとパンが出される。
「お腹減っとるじゃろ?」
シチューを見てお腹の虫が鳴ったソフィアは、スプーンに手をつけて、静かに食べ始めた。
『おいし…』
温かくて、まろやかで、やさしい味。
不思議だね…どんなに落ち込んでても、お腹は減る。
ソフィアは時間をかけて、シチューとパンを完食した。
「…何かあったんか?」
『………』
「ソフィアのつらさ、わしには話せんか?」
師匠の優しい問いかけに強がる気持ちが壊れてしまいそうになる。
だけど…過去を話しちゃったら、もうこうして話したり、一緒に住めなくなっちゃう気がするんだ。
きっと師匠が思ってる以上に…
わたしは色んなものを背負ってるから。
『聞かない方がいいよ、引くよ??』
「可愛い娘のようなソフィアの話に引く訳がないじゃろ。心配せんとも大丈夫じゃぞ」
師匠の落ち着いた低い声が静まり返った部屋に響く。
ソフィアは手のひらを握り締め、ゆっくり話し始めた。
心の傷…彼氏が記憶喪失。過ち…幻影旅団に入団、殺人。
希望…結婚。絶望…失恋。
今日、クラピカと最後のお別れをした事。
師匠は最後の最後まで何も言わずに聞いてくれていた。
『引いた…よね??』
「一人で悩んでたんか?」
『…え??』
「一人で悩んでたんか?」
なんて…なんて答えたらいいんだろ。
たくさんの言葉が喉に詰まって声が出ない。
「ずっと一人で抱えてたんか…つらかったじゃろ?気づいてやれなくてすまんかったな」
優しい師匠の言葉は、わたしの枯れた心に水を与えてくれた。
「ソフィア…初恋はな、実らん方がいい」
『…え??』
予想外の言葉にソフィアは目を見開く。
「実らん方がいいかもしれんぞ?」
そう言って師匠は微笑んだ。
『師匠…どういう意味??』
「わしみたいにこう歳をとっても思い出すだけで、なんか甘酸っぱい気持ちになるんじゃ。
その頃に戻れる良い思い出さ。分かるか?ソフィア」
ソフィアは首を傾げて、師匠の話に耳を傾ける。
「きっと彼は、ソフィアと良い思い出を残したかったんじゃ。
もしあのまま連絡が来なかったら、ソフィアにとって辛い思い出になってしまったじゃろうに。
彼もソフィアと最後に良い思い出を残して、きっちり別れを告げたかったんじゃ」
『思い出…?』
「そうじゃよ。わしはな、初恋相手と良い思い出を残せて、妻のリデルと出会えて幸せじゃったよ…
それに、泣きたいときは泣くのが一番じゃよ?」
師匠はソフィアが涙をこらえてるのに気づいていた。
「無理して隠そうとせんでいい。涙を流さなければ始まらない事だってあるんじゃぞ」
その言葉にソフィアは我慢していた涙を流し、気が済むまで泣きつづけた。
この初恋を絶対に忘れない。
忘れたくない。
忘れられないから。
悲しいけれど、この日がいつか良い思い出と呼べる日が訪れますように…
翌日。その日の空は、真っ白な曇り空だった。
キルアの携帯に一通のメールが届く。
受信:クラピカ
《キルアノタノミ、ソフィア二ツタエタ。ソフィアヲシアワセニシテクレ》
キルアはグリードアイランドの世界に戻る前、最後にクラピカの元に向かった。
ビルの屋上で外の風景を眺めているクラピカに、キルアが尋ねる。
「ソフィアにマジで伝えたのか?」
「あぁ…」
クラピカはキルアの顔に視線を向け、目許を和ませた。
「キルア…ソフィアの事、頼んだぞ。キルアなら私も安心してソフィアを任せられる。
ソフィアを大切にしてくれ。寂しさや辛さから守ってくれ」
「クラピカ…お前ホントに…」
キルアは目を見開いた。
そんなキルアを見つめる藍色の瞳は、静かだ。
「本気だ、本気で頼んでるんだ。私はこれから、仲間の眼を集める。…元気でな」
クラピカはそう言い残し、その場を後にする。
「おい、クラピカ……クラピカ!」
キルアは進んでいく後ろ姿を呼び止める。
足を止めたクラピカの背中にキルアは訴えた。
「行くなよ!オレ、実はクラピカが妬ましかっただけなんだ!もうクラピカは記憶を思い出した。だから戻れよ!!」
「いや、それは出来ない」
「なんでだよ。オレがソフィアを好きだからか?だから譲るって言うのか!?」
クラピカは振り返り、キルアを見つめて答えた。
「愛は譲るものではない。これからソフィアの力になれるのは私ではなくお前だ。
私は今、緋の眼を集める為にマフィアの頭として働いている。私といればソフィアに危険が及ぶかもしれない。
キルアなら安全な場所で見守っててやれるからだ。…ではまた」
お前、そんなにソフィアのこと…
キルアは何も言えなかった。
遠くなっていく背中をただ見送った。
オレ、お前がソフィアにオレの頼みを伝えたって聞いたとき、自分から頼んだくせに、まさか本当に頼むとは思わなくて…
何故か胸が苦しくなった。
本当はソフィアのそばにいてあげてェのに、平気なふりして強がって、無理して笑ったクラピカの姿を見て、すげェ苦しくなった。
オレ、やっぱりお前には勝てねェよ。
前から悔しかった。
そして、今も…
悔しかったんだ、クラピカ。
ソフィアは、部屋の中で呆然と窓の外の景色を眺めていた。
プルルルル…♪
突然、携帯電話に着信が入ってきた。
『もしもし…』
「ソフィアか?」
電話の相手はキルアだった。
「ソフィア!今すぐクラピカに電話しろ!!」
『え…??』
「アイツ、お前の記憶を思い出したんだ!!」
『……知ってる。昨日クラピカと会ったから。でもそのとき約束したの、もう会うのは最後にするって…』
「違う、そんなの本心じゃない!!」
本心じゃない…?
どうしてキルアにそんな事がわかるの??
「……ソフィア。ごめん、オレが悪かった。お前を奪われるのが嫌だった。
…お前を本気で惚れてんのはクラピカだ。お前を好きな気持ちはアイツには勝てない」
『なに、言ってるの…??』
ソフィアは言葉の意味が理解できなかった。
「ソフィア…アイツ、仲間の眼を集めるために今マフィアの頭として働いてるんだ。
お前を危険な目に合わせるかもしれないからって、安全な場所でソフィアを見守れるのはオレだって」
見開かれたままのソフィアの瞼が、大きく震える。
クラピカが…マフィアの頭…?
『…嘘でしょ…??』
「ホントだよ。お前がアイツの傍にいてやらねーと…クラピカ、ホントにダメになっちまう。クラピカの居場所も知ってる…」
キルアはクラピカの居場所を伝えた。
しかしソフィアは何も言い返せずに電話を切った。
クラピカ…どうして?
危険な目に合わせるかもしれないから、自分じゃ幸せにできないって…。
平凡な暮らしなんて、わたしは望んでないんだよ。
クラピカが傍にいてくれるだけで、それがわたしの幸せなんだよ。
普通、好きだからどんな危険でも一緒に乗り越えていくもんじゃないの??
今までだって、どんな時でも一緒に乗り越えてきたじゃない。
今、たった二人だけの一族なのに、寂しすぎるんじゃないかって思うこともたくさんある。
でも、クラピカの心の一番奥にある想いは、わたしとはまったく違う。
わたしだけじゃない。
本当は、ゴンもキルア、レオリオも知ってる。
クラピカは優しい。
だから、本当は復讐を望んでいないってこと。
誰よりも優しいから、わたしに背負わせたくないって思ってる。
仲間にもクモに関わってほしくないって思ってる。
すべてを背負うのは自分一人でたくさんだと、思ってる。
一人で全部抱えなくていいんだよ。
わたしはクラピカが大切です。
大切だからクラピカの辛さを、悲しみを消したかった。
今までずっと、クラピカを想って、追いかけてた。
だけど、もうわたし、歩けない。
あなたが選んだ道と、わたしは別の道を歩いていく。
最後の…初恋の思い出を、綺麗に残しておきたいとあなたが選んだから。
だから、クラピカのいない場所でわたしは生きる。
あなたが傍にいなくても、どんなことがあっても。
生きていける。
生きていくしかないから。
あなたとの思い出と、あなたが教えてくれた優しさと強さを糧に、
わたしは…これからも生き続ける。
それからのソフィアは、師匠に腹に刻まれたクモの刺青のことを相談し、師匠の知り合いの外科医者に刺青を消してもらった。
そして、ソフィアは自分が犯してきた罪を少しでも償うために、世界を旅しながら目の前の困っている人達を助けると決意した。
その為に世界中にちらばる偉人達が隠したという財宝などを発見するハンター、いわゆる”財宝ハンター”として師匠と別れた。
しばらくしてその年の冬も終わったーーー…
ーーーーーーー
ーーーーーーーーーー…
ーーーあれから3年後。
「おい、リーア!あぶねーぞ!?」
『リーア、待って!!ほら、あぶないから!!』
無邪気に走る一歳半の女の子”リーア”は、ソフィアとキルアの前を小さな足で無邪気にどんどん走っていく。
その背中をソフィアとキルアは追いかけた。
するとリーアは転んで、顔をくしゃくしゃにして泣きわめいた。
ソフィアは急いでリーアを抱っこして背中をトントンと叩く。
『痛かったね~よしよし。泣かないで~いい子ね』
「だから走るなって言ったのにさ。いったい誰に似たんだよ」
『父親に決まってるよ。よしよし…あ、やっと来た!』
レオリオがオムツや子供用品を手にぶら下げて急いで走ってきた。
「おせーよ!30分も待ったぞ?」
ご立腹のキルアに謝りながらリーアを抱っこするレオリオ。
「わりィ、わりィ!よ~しパパが来たぞ~!!いい子にしてたか!?」
そう、リーアの父親はレオリオ。
2年前にレオリオは見事晴れて医者になり、過去に付き合っていた彼女とよりを戻して結婚し、子どもを授かった。
今日で二年目となるレオリオの結婚と新築祝い。
ソフィア達はレオリオからのメールで家に招待され、一足早く着いていた二人はレオリオの買い物が終わるまでリーアの面倒を見ていた。
「みんなー!!お待たせーーッ!!」
遠くから凄い勢いでゴンが走ってきた。
「オメェもおせーよゴン!!」
「ごめん!途中道に迷子になっちゃってさ!!ソフィア、レオリオ!!久しぶりだねっ!!」
「そうだな!!ソフィア、またキレイになったなァ!!オメェ今財宝ハンターなんだってな!?どうだ?ハンターの仕事は慣れたか?」
レオリオに尋ねられソフィアは笑顔で答えた。
『まぁね♪レオリオは医大合格したんでしょ!!念願のお医者さんだねっ!おめでとう!!』
「おう!!ありがとなっ!!」
「ソフィア!色んな国旅したんでしょ!?どーだった!?」
子どもみたいな笑顔で問いかけるゴン。
『も~最高だったよ!!』
プルルルル…♪
レオリオの携帯電話が鳴り始める。
「もしもし?あ~分かった分かった!今から行くからよ」
電話を切り、リーアを抱きかかえたまま歩き出すレオリオ。
「オレの嫁がお怒りだ!急ごーぜ!!アイツ怒ると怖ェーからよ~(焦)」
ゴンが周りをきょろきょろしながら尋ねる。
「あれ?レオリオ!クラピカは??」
「あ~アイツは忙しいから来れねーって」
「そっかァ…」
3年ぶりに聞いた、懐かしくて、切なくて、愛しい名前。
正直、クラピカにもう一度会えるのではないかと少し期待していた。
期待していた分、切なさが込み上げる。
クラピカ、今頃どうしてるかな…。
ソフィアは視線を地面に落とし、クラピカを思い出した。
キルアは気を遣って話を変える。
「レオリオん家、楽しみだなァ~!!」
『ホントだね!!レオリオの奥さんってどんな人かな!?すっごく楽しみッ!!』
「まさかレオリオが結婚するとはなァ~」
「ほっとけ!さぁ、着いたぜ!!」
ソフィア達は目の前の家を見上げた。
一戸建てで庭付きの新築の家。
皆は家に上がると、レオリオの嫁が顔を出す。
「はじめまして。散らかってますけど、どうぞ」
レオリオはリーアを床に下ろすと、妻の肩に手を回した。
「紹介するぜ!オレの可愛い嫁、サラだ!」
ソフィア達は一瞬固まった。
そして…
「「『ええええぇぇ~!?』」」
三人は声に出して驚く。
「すっごいキレイな人だね!!」
『めっちゃ美人…♡』
ゴンとソフィアは想像以上に美人でスタイルが良い嫁に思わず見とれながらもそれぞれサラに自己紹介する。
「おっさんに勿体ねーだろ」
「おい、キルア!!おっさんじゃねーって何度言ったら分かんだよ!!オレはまだ十代…」
「もう十代じゃねーだろ?」
レオリオが言い切る前にすらっと突っ込むキルア。
「あれ?レオリオって今何歳だっけ??」
ゴンの質問にレオリオは答える。
「えっとな、23だ!!」
「…のわりにはまだ老けてるけどな!」
意地悪に微笑みながら言うキルア。
「相変わらず生意気なガキだな。オメェは何歳になったんだよ!?」
「16!」
『もう16かぁ!!確かに二人とも背がわたしと同じくらい伸びたし、声も変わったよね!でも余り変わってない!』
「オレ達は変わんないよ!でもソフィアはもっと可愛くなったよねっ!!ソフィアは何歳になったの??」
『ありがとゴン♡わたしは20歳ッ』
「20歳かよ!?ソフィアもすっかり大人だなァ~!!」
『サラさんは??』
尋ねるソフィアに、サラは笑顔で返した。
「22です」
22!?
わたしと二つしか変わらないのに大人っぽ~い…
そんなやり取りや色んな話に盛り上がりながら、パーティーに向けて用意し、全員乾杯の準備をする。
キルアとゴンは楽しそうにお酒を選んでいる。
「ゴンどーする~??もう16だし、もちろん酒以外は禁止な!!」
16と言っても、まだ未成年だからダメなのに…と心で突っ込みを入れながらも、そんな事今さら気にしてもしょうがない。
「オレ白ワイン~♪」
「え、じゃあオレは赤ワイン~!!」
『わたしも赤ワインにしよっと♪』
「オレとサラはビールだな!!」
全員グラスにお酒を注ぎ終わり、そして…
「「「「『カンパ~イッ!!!!』」」」」
全員持っていたお酒をごくんと一口だけ飲むと、みんなはそれぞれ話し始めた。
3年ぶりに再会した4人は、それぞれ今まで何をしていたか等を話して、話題が尽きずにお酒やサラが作ったご馳走を楽しむ。
その時間は最高に楽しく、まるでハンター試験の頃に戻れたような気がしていた。
「「『お邪魔しましたァ~!!』」」
気がつけば外は暗くなり、ソフィア達は酔っ払いながらもレオリオとサラ、リーアと別れて、レオリオの家を後にした。
カバンから携帯電話を取り出し時間を見ると、時間は夜の18時。
…行かなきゃ。
「なァ、まだいけんだろ?せっかくだし二次会しよーぜ」
「キルア、まだ飲むの!?」
「当たりめーだろ?ぜんぜんへーき!」
「すごいねキルア!!じゃあ、オレも一杯だけ飲もうかな!ソフィアも行くよね??」
『ごめんね、わたしは用事があるから行かなきゃ!』
断ったソフィアに、ゴンとキルアは疑問を浮かべる。
「用事?何の用事だよ」
キルアの質問に、ソフィアは口元に笑みを乗せたまま、静かに呟く。
『ちょっとお墓参り。明日、クルタ族の命日なんだ』
命日…?
目を見開く二人にソフィアはやけに明るく続けた。
『そう。村を見るのが怖くてずっと行かなかったんだけど、ちゃんと行こうと思って』
「…そっか」
しょんぼりと呟くゴンだが、キルアはわざと明るい声を出した。
「気をつけて行けよ!またいつでも連絡しろよな!」
『うん!じゃあ…二人ともまたねっ‼』
「ソフィア、元気でねー!!」
こうしてソフィアはゴンとキルアと別れて、ルクソ地方へと歩き始めた。
夜の便の飛行船に乗り、一日かけて向かった。
夕方、飛行船が到着してから、途中街の花屋に寄り、花束を買う。
2月4日、クルタ族滅亡の日。
今から9年前…幻影旅団によって大切な大切な家族、親戚、友達を失った。
今でもあの時の恐ろしい地獄のような光景が頭に浮かぶ。
きっと、生涯忘れることはない。
大事な人達を失った心の傷も、決して消えることはない。
そして、幻影旅団に対する憎しみも。
ソフィアは一歩一歩、ルクソ地方のクルタの村へ足を運びながら家族、同胞達の顔を思い浮かべていた。
クルタの村に到着したとき、ソフィアは愕然とした。
自分の思い出の中にある大好きな村は、まるで面影一つ感じられない。
家はほとんど焼かれ、跡形もなく、草はあまり生えていない更地のような状態。
しかし、村の中心に木で作られた十字架の墓が作られている。
おそらく死体が回収された後、クラピカがたった一人で墓を作ったのだと想像しただけで、ソフィアの目から幾粒ものの涙がこぼれ落ちた。
当時12歳の子どもがどれ程の心の傷を負いながらも、同胞達の墓を作ったのか、余りの残酷な事実に想像がつかない。
きっと、死ぬほどの悲しみと、苦しさ、怒り、憎しみを抱いた事だろう。
ソフィアはさっき買った花束を墓の前に置き、手を合わせて祈った。
【そっちの世界ではどうか…元気でいてください。そして、安らかに眠ってください…】
同胞に送ったメッセージ。
そして…
【…お母さん、お父さん。
…わたしね、クラピカとの約束、守れなかったよ。クラピカを、幸せにできなかった…】
ソフィアは、両親に報告した。
クラピカが殺そうとしていた旅団の一人の復讐を止められたこと。
クラピカの手が罪で汚されなかったのは、お母さん、お父さん、クラピカの両親のおかげだということ。
クラピカと別れてしまったこと。
クラピカが緋の眼を集める為に頑張っていること。
クラピカの約束を果たせなかったこと。
でも、それは誰のせいでもない…
クラピカが悪いわけではないということ。
自分の心の気持ちを…全部報告した。
お参りを終え、村を出始めたその時。
…こっちに向かって歩いてくる黒のスーツ姿の男性。
ソフィアは立ち止まり、目を見開いた。
なんでわかるんだろう。
あれは…
クラピカだ。
next…