好きだと言えない
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日から悟は名前に会えないでいた
高専に来ていてもすぐに移動する様で
避けられている事は明らかだった
「はぁ―――」
大きなため息を付きながら
机に突っ伏した悟に
硝子は嫌そうに視線を送った
「なにジメジメしてんの?ウザいんだけど」
「べっつにー」
「そう言えば五条、あんた名前さんに何かした?」
「名前」というワードに思わず肩が揺れた
してないと言えば嘘になる
あの柔らかな唇の感触は未だにリアルに覚えているし
あの泣きそうで悔しそうな、それでいて怒気を孕んだ視線も忘れられるわけがない
「なんでそんなこと聞くの?」
「昨日会った時あんたの名前出したら露骨に嫌な顔してたから」
簡単に彼女の嫌そうな表情が思いだせる
再度ため息を付きながら悟はぼそっと言った
「なー名前さんって彼氏いたの知ってた?」
「なんだい悟。やっぱり本人に聞いたのかい?」
「まぁいてもおかしくないよね。小さくて可愛いし」
「…別に可愛くなくない?顔もスタイルも普通じゃん。もっといい女なんてゴロゴロいんじゃん」
ふと窓の外に視線を移した
どんよりとした曇り空が広がっていた
それはまるで自分の心模様の様だと悟は思った
ドロドロと後から後からあふれる感情
なにもかもすっきりとしない
自分がどうしたいのかもわからない
「そういえば、悟は名前さんに誕生日プレゼントもらえたのかい?」
「あ゛?!」
「悟は顔も良くて、家柄も権力も金もあるから余裕なんだったよね?」
「なにそれ?クズ思考だな」
「まさかここ数日名前さんが高専にほとんど来ないのって悟のせいじゃないよね?」
「なんもしてねーよ!!あいつがいてもいなくてもどうでもいいだろ!!」
悟は机を思いきり叩きながら立ち上がると
そのまま教室を出ていってしまった
「あれはなんかやったな?」
「どうせ俺様クズ的な事やらかしたんじゃないの?でも」
「でも?」
硝子の言葉の続きを促すと
「名前さんが避けるなんてよっぽどかなって。今まで何言ってもかわしてたじゃん。あの人大人だし」
その意見に賛同するとともに
傑は教室の扉へと視線を向けた
あけ放たれたままのそこからは
廊下から冷たい空気が流れ込んでいた
ーーー
ーーーーー
ーーー
この時期の街中はどこもかしこも
クリスマスのライトアップ一色だ
キラキラと輝く人工的な光を
名前は横目で車の窓から眺めていた
車が停まった先は本日2件目の任務先だった
歓楽街の奥にある取り壊し中の雑居ビル
都会の喧騒に紛れているにも関わらず
不気味なほどに静かな空間だった
―――「名前、そいつの事本気で好きなの?」
―――「許さねぇ」
任務中だというのにあの時の彼の怒気を孕んだ声が
あの表情が頭から離れてくれない
悟はなんであんなに怒っていたのだろうか
コツコツと
冷たい廊下には名前の歩くヒールの音だけが響いている
―――「デート」とは言ったものの。もういない人なんだけど
五条がどういう意味でキスしてきたか
真意はわからないけど知りたくもない
「…もう人を好きにならないって決めてるから。ね」
ぼそりと誰に言うわけでもなく呟いた独り言
その声の後に間髪入れずに
ぱちんと彼女の指の音が鳴った
「へぇ。何体いんのよここ。悪趣味もいいとこね」
祓っても祓っても
蛆のごとく湧いてくるそれに嫌気がさす
どこかに本体がいるはずだと
気配を辿ろうとした時
足元の床が崩れ落ちた
バランスを崩したまま落下する
上手く受け身を取ろうとして体を捩っていると
足首を何かがものすごい力で引っ張られた
.
高専に来ていてもすぐに移動する様で
避けられている事は明らかだった
「はぁ―――」
大きなため息を付きながら
机に突っ伏した悟に
硝子は嫌そうに視線を送った
「なにジメジメしてんの?ウザいんだけど」
「べっつにー」
「そう言えば五条、あんた名前さんに何かした?」
「名前」というワードに思わず肩が揺れた
してないと言えば嘘になる
あの柔らかな唇の感触は未だにリアルに覚えているし
あの泣きそうで悔しそうな、それでいて怒気を孕んだ視線も忘れられるわけがない
「なんでそんなこと聞くの?」
「昨日会った時あんたの名前出したら露骨に嫌な顔してたから」
簡単に彼女の嫌そうな表情が思いだせる
再度ため息を付きながら悟はぼそっと言った
「なー名前さんって彼氏いたの知ってた?」
「なんだい悟。やっぱり本人に聞いたのかい?」
「まぁいてもおかしくないよね。小さくて可愛いし」
「…別に可愛くなくない?顔もスタイルも普通じゃん。もっといい女なんてゴロゴロいんじゃん」
ふと窓の外に視線を移した
どんよりとした曇り空が広がっていた
それはまるで自分の心模様の様だと悟は思った
ドロドロと後から後からあふれる感情
なにもかもすっきりとしない
自分がどうしたいのかもわからない
「そういえば、悟は名前さんに誕生日プレゼントもらえたのかい?」
「あ゛?!」
「悟は顔も良くて、家柄も権力も金もあるから余裕なんだったよね?」
「なにそれ?クズ思考だな」
「まさかここ数日名前さんが高専にほとんど来ないのって悟のせいじゃないよね?」
「なんもしてねーよ!!あいつがいてもいなくてもどうでもいいだろ!!」
悟は机を思いきり叩きながら立ち上がると
そのまま教室を出ていってしまった
「あれはなんかやったな?」
「どうせ俺様クズ的な事やらかしたんじゃないの?でも」
「でも?」
硝子の言葉の続きを促すと
「名前さんが避けるなんてよっぽどかなって。今まで何言ってもかわしてたじゃん。あの人大人だし」
その意見に賛同するとともに
傑は教室の扉へと視線を向けた
あけ放たれたままのそこからは
廊下から冷たい空気が流れ込んでいた
ーーー
ーーーーー
ーーー
この時期の街中はどこもかしこも
クリスマスのライトアップ一色だ
キラキラと輝く人工的な光を
名前は横目で車の窓から眺めていた
車が停まった先は本日2件目の任務先だった
歓楽街の奥にある取り壊し中の雑居ビル
都会の喧騒に紛れているにも関わらず
不気味なほどに静かな空間だった
―――「名前、そいつの事本気で好きなの?」
―――「許さねぇ」
任務中だというのにあの時の彼の怒気を孕んだ声が
あの表情が頭から離れてくれない
悟はなんであんなに怒っていたのだろうか
コツコツと
冷たい廊下には名前の歩くヒールの音だけが響いている
―――「デート」とは言ったものの。もういない人なんだけど
五条がどういう意味でキスしてきたか
真意はわからないけど知りたくもない
「…もう人を好きにならないって決めてるから。ね」
ぼそりと誰に言うわけでもなく呟いた独り言
その声の後に間髪入れずに
ぱちんと彼女の指の音が鳴った
「へぇ。何体いんのよここ。悪趣味もいいとこね」
祓っても祓っても
蛆のごとく湧いてくるそれに嫌気がさす
どこかに本体がいるはずだと
気配を辿ろうとした時
足元の床が崩れ落ちた
バランスを崩したまま落下する
上手く受け身を取ろうとして体を捩っていると
足首を何かがものすごい力で引っ張られた
.