好きだと言えない
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「あーーーーっもう、うっせえな!なんでついてくんだよっ」
「いや、それそのままあんたに返すから!これ私の任務なの!わかる?日本語通じる??」
先程の任務を終えて
特級呪物「宿儺の指」を高専に一度預けに戻った
その後で悟は名前を家まで送ってから
自分はその代わりに任務に向かうつもりだった
だが名前は頑なに拒否をした
理由は「学生の本文は勉強」とのことだった
だが問題児がそんな理由に納得するわけもなく
冒頭に至っている
「頑固ババアのために俺様が100歩譲って手伝ってやる。それなら秒で祓えんだろ?」
「なんで着いてきたのよ。夜蛾さんに怒られるの私なんだけど」
なぜってそんなの決まっている
惚れた女が体調不良でふらふらしながら
任務に就くなんて悟は黙って見過ごせなかった
「俺が勝手に着いてきたんだよ。名前が怒られる訳ねーだろ?」
「君は子どもで私は大人なんだってば」
「そのセリフ俺、き・ら・い」
「…余計頭痛くなってきた…もういいや。とっとと祓って帰ろ」
ふらふらと車を降りて廃墟に向かう彼女に
補助監督の柊さんが困り顔で悟に話しかけた
「五条くんの気持ちも分かりますが、名前さんの気持ちも察してあげてください」
「けっ どーでもいいわ」
「でも、心配なんでしょう?名前さん無理しますから、ね」
「俺が付いてきてんだよ。あいつに働かせてやるもんか」
「では、帳を降ろしますのでお気をつけて」
悟は廃墟の入り口に飲まれるように中へ入り名前を走って追いかけた
真っ直ぐに彼女の元へと向かうと
その先で火柱が上がっていた
ぱちんと指音が鳴る
ごうっと火が燃える
悟は彼女の横顔に見惚れた
その頬に炎の紅い光が当たっていて
噴煙でなびく髪がとても綺麗だと思った
「はい、そこまで。あとは俺のトレーニングってことで」
そのまま2級、3級の複数の呪霊を
軽々と体術のみで祓っていく悟を
壁にもたれながら名前はぼんやりと見ていた
最後の一体はぱちんと指を鳴らした名前が祓い
そのまま帳が上がった廃墟を2人で後にした
「あと1件」
「本気で行く気?おまえは車で寝てろよ」
「私は平気。悟が強いの知ってるけど、あんたに何かあったら困るのよ」
「…保護者として?」
名前が真っ直ぐに悟を見上げて
「それ以外になにが?」と答えた
結局名前は最後の任務も祓いきり
車に乗るなり気を失うかの様に眠りについた
窓ガラスに頭を預けている名前は
車が揺れるたび頭をぶつけているようで
それを見かねて背中に腕を回して自分にもたれさせた
悟は自分の学ランを脱いでそっとかけ
そっと頬に手を添えると明らかに熱かった
眉間に皺を寄せながら眠る名前の
顔にかかった髪を耳にかけていた
バックミラー越しに柊と目が合うと
運転席から声がかかった
「五条くん、ドラッグストアにでも寄りますか?」
「ん。おねがいします」
「どうせ病院っていっても彼女は素直に行くタイプじゃないですから。私が何か買ってきますよ」
名前の事を知った風に紡がれた言葉に
悟はイラっとしてミラー越しに運転している人物を睨み付けた
「いや、勘違いしないでくださいね。私は彼女の同期なんです。それに私は既婚者です」
「べつに…なんも言ってないっすよ」
くつくつと笑われ居心地が悪い
そんな悟を無視して視線は前方のまま
柊は話し出した
「少し、昔話をしましょうか」
柊と名前は2人きりの同期だった
学生時代から術式に恵まれどんどんと駆け上がる名前
それに引き換え万年3級の柊
「あの時は常にフルパワーで祓っては倒れ。彼女を運ぶのが私の任務の様なものでした」
「精密な炎を使いこなせるこいつが?」
「ええ。私はいつも足手まといでした。でも彼女は笑ってこういってくれました」
ーーー柊がいないと倒れた私は起きるまでそのままじゃん。いつも運んでくれてありがとう
「何度もその小さな体で身を挺して守ってもらいました。痛みに強いから大丈夫だって。一度も弱音を聞いた事がない。私は頼ってもらえなかった、弱かったから」
「でも彼女も女性です。きっと誰かに頼りたいときもあるはずです。なので五条くん」
いきなり名前を呼ばれて「へ?」とあいまいな返事をすると
「君は強いから、彼女の支えになってください。大丈夫。本気で嫌な時は今回みたいに同行すらさせてもらえないですよ」
そういって車を駐車場に止めた柊は
ドラッグストアへと向かっていった
悟は大きな体をドア側にもう一歩つめると
自分の左側で苦し気に眠る名前を
自分の太腿にゆっくりと倒した
「ぜんぜん大丈夫じゃねーってことか。この意地っ張り」
名前が目を覚ますと見覚えのある天井があった
ゆっくりと体を起こそうとして強いめまいに襲われて
そのままベッドへ逆戻りした
「なにしてんだよ」
低い声が聞こえた方へ視線を送ると
不貞腐れた悟がベッドに肘をつきながら
こちらを見下ろしていた
「まだ熱あんだから寝とけ」
「…あれ?私」
「車で眠りこけてたから高専の医務室連れてきた。先生と柊さんは帰った。で、熱計れ」
悟は名前の目の前に体温計を出すと
そのまま視線を横に逸らした
体温計の電子音がして彼女がそれを取り出すと
本人が見る前に乱暴にそれを奪った
「39℃、ぜんぜん下がってねえじゃん」
「ねえ、私どれくらいここで寝てた?」
「2時間くらいじゃね?」
悟が立ち上がってがさがさとビニール袋から
何かを漁る音が聞こえた
「なぁ。なんか食える?薬飲ませてぇから。ゼリーとかあるけど」
「うん」
買ってきてくれたのか?
聞こうとしたら背中に手を添えられて上半身を起こされた
「…柊さんだよ。買ってきてくれた」
「柊かぁ。昔から気が利くからね」
「悪かったな。気が利かなくて」
無言でパックに入っているウィダーインゼリーを
差し出されて名前は小さく笑った
「悟も気が利くじゃん。熱あるの気が付いたし」
「…あんな顔色悪かったら誰でも気付くっつーの」
「柊も気が付かなかったよ?」
そう言ってウィダーインゼリーの口を開けようとするものの
上手く手に力が入らなくてなんども捻っていると
「こんなんも開かねーのかよ?貸せっ」
ぱき、と小気味いい音が聞こえて
再び名前の前に差し出された
「ありがと。で、悟くんはいつ帰るのかな?」
「は?帰んねーよ?」
「私は一人で大丈夫だから」
そう言って彼女は笑った
悟はそんな名前を見て気が付いた
ーーーあぁみんなこの笑顔に騙されてんだな
確かに彼女は大人だ
看病って言っても側にいるだけで
何をするわけでも、させてもらえるわけでもない
「…もう一回帰ったし」
「嘘は良くないよ?帰ってお風呂入って寝なよ?悟も疲れてんでしょ?」
ーーー『君は強いから、彼女の支えになってください』
悟は薬取り出し彼女に差し出した
「名前が薬飲んで寝たら帰る。それまではやだ」
「仕方ないなぁ」
そう言って名前は笑った
.
「いや、それそのままあんたに返すから!これ私の任務なの!わかる?日本語通じる??」
先程の任務を終えて
特級呪物「宿儺の指」を高専に一度預けに戻った
その後で悟は名前を家まで送ってから
自分はその代わりに任務に向かうつもりだった
だが名前は頑なに拒否をした
理由は「学生の本文は勉強」とのことだった
だが問題児がそんな理由に納得するわけもなく
冒頭に至っている
「頑固ババアのために俺様が100歩譲って手伝ってやる。それなら秒で祓えんだろ?」
「なんで着いてきたのよ。夜蛾さんに怒られるの私なんだけど」
なぜってそんなの決まっている
惚れた女が体調不良でふらふらしながら
任務に就くなんて悟は黙って見過ごせなかった
「俺が勝手に着いてきたんだよ。名前が怒られる訳ねーだろ?」
「君は子どもで私は大人なんだってば」
「そのセリフ俺、き・ら・い」
「…余計頭痛くなってきた…もういいや。とっとと祓って帰ろ」
ふらふらと車を降りて廃墟に向かう彼女に
補助監督の柊さんが困り顔で悟に話しかけた
「五条くんの気持ちも分かりますが、名前さんの気持ちも察してあげてください」
「けっ どーでもいいわ」
「でも、心配なんでしょう?名前さん無理しますから、ね」
「俺が付いてきてんだよ。あいつに働かせてやるもんか」
「では、帳を降ろしますのでお気をつけて」
悟は廃墟の入り口に飲まれるように中へ入り名前を走って追いかけた
真っ直ぐに彼女の元へと向かうと
その先で火柱が上がっていた
ぱちんと指音が鳴る
ごうっと火が燃える
悟は彼女の横顔に見惚れた
その頬に炎の紅い光が当たっていて
噴煙でなびく髪がとても綺麗だと思った
「はい、そこまで。あとは俺のトレーニングってことで」
そのまま2級、3級の複数の呪霊を
軽々と体術のみで祓っていく悟を
壁にもたれながら名前はぼんやりと見ていた
最後の一体はぱちんと指を鳴らした名前が祓い
そのまま帳が上がった廃墟を2人で後にした
「あと1件」
「本気で行く気?おまえは車で寝てろよ」
「私は平気。悟が強いの知ってるけど、あんたに何かあったら困るのよ」
「…保護者として?」
名前が真っ直ぐに悟を見上げて
「それ以外になにが?」と答えた
結局名前は最後の任務も祓いきり
車に乗るなり気を失うかの様に眠りについた
窓ガラスに頭を預けている名前は
車が揺れるたび頭をぶつけているようで
それを見かねて背中に腕を回して自分にもたれさせた
悟は自分の学ランを脱いでそっとかけ
そっと頬に手を添えると明らかに熱かった
眉間に皺を寄せながら眠る名前の
顔にかかった髪を耳にかけていた
バックミラー越しに柊と目が合うと
運転席から声がかかった
「五条くん、ドラッグストアにでも寄りますか?」
「ん。おねがいします」
「どうせ病院っていっても彼女は素直に行くタイプじゃないですから。私が何か買ってきますよ」
名前の事を知った風に紡がれた言葉に
悟はイラっとしてミラー越しに運転している人物を睨み付けた
「いや、勘違いしないでくださいね。私は彼女の同期なんです。それに私は既婚者です」
「べつに…なんも言ってないっすよ」
くつくつと笑われ居心地が悪い
そんな悟を無視して視線は前方のまま
柊は話し出した
「少し、昔話をしましょうか」
柊と名前は2人きりの同期だった
学生時代から術式に恵まれどんどんと駆け上がる名前
それに引き換え万年3級の柊
「あの時は常にフルパワーで祓っては倒れ。彼女を運ぶのが私の任務の様なものでした」
「精密な炎を使いこなせるこいつが?」
「ええ。私はいつも足手まといでした。でも彼女は笑ってこういってくれました」
ーーー柊がいないと倒れた私は起きるまでそのままじゃん。いつも運んでくれてありがとう
「何度もその小さな体で身を挺して守ってもらいました。痛みに強いから大丈夫だって。一度も弱音を聞いた事がない。私は頼ってもらえなかった、弱かったから」
「でも彼女も女性です。きっと誰かに頼りたいときもあるはずです。なので五条くん」
いきなり名前を呼ばれて「へ?」とあいまいな返事をすると
「君は強いから、彼女の支えになってください。大丈夫。本気で嫌な時は今回みたいに同行すらさせてもらえないですよ」
そういって車を駐車場に止めた柊は
ドラッグストアへと向かっていった
悟は大きな体をドア側にもう一歩つめると
自分の左側で苦し気に眠る名前を
自分の太腿にゆっくりと倒した
「ぜんぜん大丈夫じゃねーってことか。この意地っ張り」
名前が目を覚ますと見覚えのある天井があった
ゆっくりと体を起こそうとして強いめまいに襲われて
そのままベッドへ逆戻りした
「なにしてんだよ」
低い声が聞こえた方へ視線を送ると
不貞腐れた悟がベッドに肘をつきながら
こちらを見下ろしていた
「まだ熱あんだから寝とけ」
「…あれ?私」
「車で眠りこけてたから高専の医務室連れてきた。先生と柊さんは帰った。で、熱計れ」
悟は名前の目の前に体温計を出すと
そのまま視線を横に逸らした
体温計の電子音がして彼女がそれを取り出すと
本人が見る前に乱暴にそれを奪った
「39℃、ぜんぜん下がってねえじゃん」
「ねえ、私どれくらいここで寝てた?」
「2時間くらいじゃね?」
悟が立ち上がってがさがさとビニール袋から
何かを漁る音が聞こえた
「なぁ。なんか食える?薬飲ませてぇから。ゼリーとかあるけど」
「うん」
買ってきてくれたのか?
聞こうとしたら背中に手を添えられて上半身を起こされた
「…柊さんだよ。買ってきてくれた」
「柊かぁ。昔から気が利くからね」
「悪かったな。気が利かなくて」
無言でパックに入っているウィダーインゼリーを
差し出されて名前は小さく笑った
「悟も気が利くじゃん。熱あるの気が付いたし」
「…あんな顔色悪かったら誰でも気付くっつーの」
「柊も気が付かなかったよ?」
そう言ってウィダーインゼリーの口を開けようとするものの
上手く手に力が入らなくてなんども捻っていると
「こんなんも開かねーのかよ?貸せっ」
ぱき、と小気味いい音が聞こえて
再び名前の前に差し出された
「ありがと。で、悟くんはいつ帰るのかな?」
「は?帰んねーよ?」
「私は一人で大丈夫だから」
そう言って彼女は笑った
悟はそんな名前を見て気が付いた
ーーーあぁみんなこの笑顔に騙されてんだな
確かに彼女は大人だ
看病って言っても側にいるだけで
何をするわけでも、させてもらえるわけでもない
「…もう一回帰ったし」
「嘘は良くないよ?帰ってお風呂入って寝なよ?悟も疲れてんでしょ?」
ーーー『君は強いから、彼女の支えになってください』
悟は薬取り出し彼女に差し出した
「名前が薬飲んで寝たら帰る。それまではやだ」
「仕方ないなぁ」
そう言って名前は笑った
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