好きだと言えない
name change
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桜の咲く季節になった
高専内にも何本も桜はあるが
名前は人気の少ない奥地に1本だけあるその古木が好きだった
「名前みーつけたっ こんなとこに桜の木あったんだな」
振り返らなくても分かる
この数か月間ずっと一緒にいて
毎日の様に名前に不器用ながらも好意を寄せてくれた人
「名前初めて会った時の事、覚えてる?」
「うん。大怪我した」
「そ。無謀にも俺を庇って。あの時も桜、咲いてたんだよね」
「お前の顔に花びらが付いててさ」
―――こんなに綺麗に笑う人がいるんだって思った
「あれからすげー探したけど、お前全然見つかんなくって。ようやく見つけて名前見た時、やっぱすきだなって思った」
「珍しく饒舌じゃん。どうしたの悟?」
「なぁお前、俺に話すことあるんじゃねーの?」
名前は桜の木を見上げた
悟に知られる前にこっそりと旅立つ予定だった
冷たい風が通り抜け彼女の髪を揺らした
名前の目線は未だに桜を見上げていて
自分と交わることがないのを悟は歯がゆく思った
「…アメリカ、行くんだろ?」
「バレちゃったか」
「なんで言ってくんねーの?俺のこと嫌い?」
名前は悟を見上げた
視線が絡むと悟はサングラスをすっと外して
しっかりと碧眼で彼女の目を見た
「悟の事、嫌いじゃないよ。でもね、なんだろ。怖い、のかな」
「怖いって?」
「もう、人を好きになってその人に置いて行かれるのが、怖い」
悟は一歩名前に近づき
その小さな手を取り自分の両手で包んだ
「俺は、お前を置いて行かない」
「悟、強いもんね。でも五条家の坊ちゃんはいずれ私が邪魔になるよ?」
「どういう意味?」
「時期に良家のお嬢さんとの縁談とか出てくるって」
「名前、」
「その前に私と離れればあれは気の迷いだったって「名前!」…なに?」
悟を見上げると
その瞳に怒気が含んでいた
「だから俺から逃げんの?」
「気の迷いなんかじゃねーよ。そんなんで一年もお前の事追えるかっての!俺の気持ちなめんな」
「さとる、」
「お前はどう思ってんのか正直に言え!それだけ聞かせろ」
いつの間にか包まれていた手は解かれていて
その代わりに痛い程に名前の細い手首を握りしめていた
「ーーー悟が、すき」
悟は名前を引き寄せて
その小さな体を掻き抱いた
「やっと…やっときけた」
名前の体が軋むほど抱きしめ
彼女が苦しくて背中を叩くとようやく腕が緩められた
「で?やっぱアメリカ行くの?」
「うん。ごめん」
悟は腕の中にすっぽりと納まっている名前に
不貞腐れながら視線を送った
「なんで?ここにいろよ。俺のことすきなんだろ?」
「今の私じゃ、悟にふさわしくないから。堂々と隣に立てない」
「一般家庭の生まれで、両親も親族もいない。美人で可愛いくもないし、スタイルだってよくない。唯一出来るのが術師 なのにそれも1級の底辺だし。」
「せめて、術師として腕をみがきたいの」
2週間ほど前に夜蛾からきたオファー
それはアメリカに拠点を置き呪術を学ぶことだった
2年間の契約で向こうの呪いと対峙し
海外の術師と学ぶことで得るものは多いはずだ
今より強くなりたい
術師としても人としても女としても
それが自分の自信になるはずだと考えていた
「俺にとっては十分すぎるほどお前は可愛いし、どんな女も勝てねぇけど?」
「…自信、ない」
「お前、本当に自己肯定感低すぎ。この俺が認めてんだから素直になれよ?」
「はぁ…その代わり条件のんで。じゃなきゃアメリカ行きぶっ壊す」
悟の腕の中で俯いていた名前は
顔を上げてまっすぐに碧眼を覗き込んだ
悟は悪戯を思いついた子どもの様に
口角を上げて名前に一つ目の条件を出した
「名前がアメリカ行くまで、お前の家に泊まらせて?」
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高専内にも何本も桜はあるが
名前は人気の少ない奥地に1本だけあるその古木が好きだった
「名前みーつけたっ こんなとこに桜の木あったんだな」
振り返らなくても分かる
この数か月間ずっと一緒にいて
毎日の様に名前に不器用ながらも好意を寄せてくれた人
「名前初めて会った時の事、覚えてる?」
「うん。大怪我した」
「そ。無謀にも俺を庇って。あの時も桜、咲いてたんだよね」
「お前の顔に花びらが付いててさ」
―――こんなに綺麗に笑う人がいるんだって思った
「あれからすげー探したけど、お前全然見つかんなくって。ようやく見つけて名前見た時、やっぱすきだなって思った」
「珍しく饒舌じゃん。どうしたの悟?」
「なぁお前、俺に話すことあるんじゃねーの?」
名前は桜の木を見上げた
悟に知られる前にこっそりと旅立つ予定だった
冷たい風が通り抜け彼女の髪を揺らした
名前の目線は未だに桜を見上げていて
自分と交わることがないのを悟は歯がゆく思った
「…アメリカ、行くんだろ?」
「バレちゃったか」
「なんで言ってくんねーの?俺のこと嫌い?」
名前は悟を見上げた
視線が絡むと悟はサングラスをすっと外して
しっかりと碧眼で彼女の目を見た
「悟の事、嫌いじゃないよ。でもね、なんだろ。怖い、のかな」
「怖いって?」
「もう、人を好きになってその人に置いて行かれるのが、怖い」
悟は一歩名前に近づき
その小さな手を取り自分の両手で包んだ
「俺は、お前を置いて行かない」
「悟、強いもんね。でも五条家の坊ちゃんはいずれ私が邪魔になるよ?」
「どういう意味?」
「時期に良家のお嬢さんとの縁談とか出てくるって」
「名前、」
「その前に私と離れればあれは気の迷いだったって「名前!」…なに?」
悟を見上げると
その瞳に怒気が含んでいた
「だから俺から逃げんの?」
「気の迷いなんかじゃねーよ。そんなんで一年もお前の事追えるかっての!俺の気持ちなめんな」
「さとる、」
「お前はどう思ってんのか正直に言え!それだけ聞かせろ」
いつの間にか包まれていた手は解かれていて
その代わりに痛い程に名前の細い手首を握りしめていた
「ーーー悟が、すき」
悟は名前を引き寄せて
その小さな体を掻き抱いた
「やっと…やっときけた」
名前の体が軋むほど抱きしめ
彼女が苦しくて背中を叩くとようやく腕が緩められた
「で?やっぱアメリカ行くの?」
「うん。ごめん」
悟は腕の中にすっぽりと納まっている名前に
不貞腐れながら視線を送った
「なんで?ここにいろよ。俺のことすきなんだろ?」
「今の私じゃ、悟にふさわしくないから。堂々と隣に立てない」
「一般家庭の生まれで、両親も親族もいない。美人で可愛いくもないし、スタイルだってよくない。唯一出来るのが
「せめて、術師として腕をみがきたいの」
2週間ほど前に夜蛾からきたオファー
それはアメリカに拠点を置き呪術を学ぶことだった
2年間の契約で向こうの呪いと対峙し
海外の術師と学ぶことで得るものは多いはずだ
今より強くなりたい
術師としても人としても女としても
それが自分の自信になるはずだと考えていた
「俺にとっては十分すぎるほどお前は可愛いし、どんな女も勝てねぇけど?」
「…自信、ない」
「お前、本当に自己肯定感低すぎ。この俺が認めてんだから素直になれよ?」
「はぁ…その代わり条件のんで。じゃなきゃアメリカ行きぶっ壊す」
悟の腕の中で俯いていた名前は
顔を上げてまっすぐに碧眼を覗き込んだ
悟は悪戯を思いついた子どもの様に
口角を上げて名前に一つ目の条件を出した
「名前がアメリカ行くまで、お前の家に泊まらせて?」
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