好きだと言えない
name change
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今日は久しぶりに名前と悟での任務だった
1級2名での任務
すなわち相手は1級以上、特級クラスである
「お前も来んの?いらねーから帰ったら?」
「はいはい。私も坊ちゃん一人でいけると思うよ?でもね坊ちゃんには保護者が必要なんだって」
「はぁ?!お前みたいなチビから産まれた覚えねーわ!」
「私もこんな可愛くない子どもいらないんだけどねぇ?坊ちゃん一人で行かせると現場全部壊れちゃうから~」
イライラと貧乏ゆすりをしながら
隣に座っている名前を悟はちらっと見た
心なしか顔色が悪い気がする
「なぁ」
「…」
「なぁ、って。おい!お前聞こえてんなら返事くらいしろよ!」
「私の名前は「なあ」でも「おい」でもありません」
大げさなくらい大きなため息を悟はついてから
頭の中で何度も何度も呼んでいた
その名前を口にした
「…名前」
「私、年上!」
「ちっ細けーな!!名前さん」
先程まで窓の外を眺めていた彼女が
振り向いて笑ってこたえた
「やればできるじゃん!悟」
その笑顔に内心胸の奥がうるさくなるも
悟られない様に平然としながら会話を続けた
「…名前呼んでくれんの初めてじゃん。傑も硝子もずっと前から呼んでるのに」
「それは悟が私の名前呼ばないのが悪いでしょ?」
「ふーん」
「なになに?まさか照れてんの?悟、かわいいねぇ~」
「うるせーっ!!照れるわけねーだろ!!おま…名前さんなんかにいちいち照れねーよ!!」
「わざわざ言い直してくれちゃうんだ~」
名前が横にいる悟に手を伸ばして
頭をわしゃわしゃと撫でると
頬を赤らめてやめろというが
いつもより覇気がなく本気で嫌がっている
わけではなさそうだ
「もっ…髪乱れるからやめろっ」
自分の頭の上にある手首を掴むと
思わず「細っ」と口にした
「どんだけ細せーの?よくこんなんで術師できんね?」
「そりゃ術式がいいからねー。まぁ悟の足元にも及ばないけど」
悟は名前の手首をつかんだまま
自分の前でまじまじとみた
以前にこの細い手で庇われたあの情景が
無意識に脳裏に浮かんだ
「悟?いつまで掴んでんの?」
呼びかけられて我に返った悟は
慌てて手を放して横に座る彼女を見下ろした
やはり顔色が青白くみえる
「なぁ。名前さん、もしかして具合悪い?」
「ん~?ちょっと寝不足なだけ。問題ないよ。それより」
そう言って名前は会話を任務へと切り替えた
悟もあまり追求せずに補助監督の説明に耳を傾けた
ーーー
ーーーーー
ーーー
帳が降ろされた
行方不明者が立て続けに2名出ている現場は
私立のカトリック系の女子高だった
隣接して系列の総合病院もあり
最小限の被害でというのが先方のオーダーだ
今日は学校は休校にされているので
人の気配はない
広い敷地の端にある旧校舎へと
2人は足を踏み入れた
「ったく、こんなん俺だったら全部ぶっ壊して祓えるのにめんどくせー。行方不明者だってどうせ死んでんじゃん」
「まあ、今回は1週間経ってるしそうかもね。でも破壊は最小限ね」
へいへい、と適当な返事をして
悟は廊下を歩きだす
木の床板がぎぃっと鳴いた
一つずつ教室の扉を開けていく
建付けが悪くなっていて名前が横に引いても
がたがたと音を鳴らすだけで一向に開かない
「開かねーの?」
そういって悟が手を取っ手にかけて
力を入れるとがたんっと音を立てて扉が開いた
「開くじゃん。ってか非力すぎ。それとも俺の前だからかわい子ぶってんの~?」
名前を覗き込むようにかがんだ悟に
目もくれずに名前はパチンと指を鳴らすと
炎が上がり教室の奥に潜んでいた呪霊がぼうっと燃えて消えた
「悟。油断してると一緒に燃やすわよ?」
「別に油断なんかしてねーよ。目の前に来たら殴ろうかと思ってた、とこ!」
そう言いながらもう一体現れた呪霊を殴って祓う
先程から低級呪霊しか現れない
「ねぇ、その目で何か見えないの?」
「俺の目はレーダーじゃねえっつーの!」
彼女の右手の甲には大きな痣がある
悟の六眼にははっきりと文字が浮かび上がって見えている
名前の術式の業火はこの右手から放つことが出来る
「なぁ。名前さんのその火って火力調整とかもできんの?」
「出来るわよ?タバコの火から一部屋燃やすくらいの範囲までなら。それ以上は無理だけど」
「へぇ。見てみてーな」
他愛もない話をしながら2階へと続く階段を
ぎしぎしと音を立てながら登っていった
ふと名前が顔を上げて悟を見た
「悟!」
「わーってるって。名前、足引っ張んなよ?」
「そのセリフそっくりそのまま返すわよ!」
現れた呪霊に先に走り込んだのは悟だった
悟が蹴り飛ばし吹っ飛ばされたところで
ぱちんと彼女の指がなり轟々と炎が立ち上がる
名前は悟の攻撃を先読みしているかの様に
一歩引いた場所から絶妙なタイミングで火柱を上げる
呪力を込めた体術で近接戦を繰り広げている悟は
傑と組んでいるかのような心地よさを覚えていた
「そろそろ終わりにすっか?」
「なにすんの?」
「ぶっ飛ばすからその炎で固定とかできる?」
「余裕!」
悟が窓めがけて呪霊を蹴り飛ばすと彼女の名を呼んだ
名前は外に投げ出されたそれに特大の火柱を上げて包む
「術式順転 蒼」
消え去った呪霊の代わりに特級呪物の指が
ことりと音を立てて地面に転がった
「流石だね。威力抑えててくんなきゃ新校舎壊れてたね」
「余裕だっつーんだよ」
悟自身もいつも思っていた
名前の術式があったからこそ
威力を抑えた蒼でも祓えたという事を
先を見る視野の広さ
炎の強弱すなわち呪力量の使い分け
味方に合わせた攻撃
きっと名前は自分以外のペアでも
お互いの能力を最大限に発揮できる
攻撃方法を見出して瞬時に行うのだと
ーーー1級か
「伊達に年喰ってねーんだな」
「悟より力がなくても。ね?」
帳が上がっていき名前がその指を拾い上げて
立ち上がった時にその小さな体がぐらっと揺れた
「おいっ」
あの時の情景と重なった
忘れる事なんて出来る訳がない
目の前の彼女は怪我なんておってないのに
名前があの時の様に血塗れにみえた
地面に叩きつけられる前に
悟はその手を掴み自分に引き寄せた
「ごめん、躓いた」
「ったく顔面からダイブするつもりかよ。ブサイクが余計にブサイクになんぞ?」
しっかりと足が付いたのを感じて手を放し
その顔を覗き込むように見た後
悟はその額に手のひらを宛がった
「お前、熱あんじゃん。なにまさかずっと具合悪かったとか?」
「…大したことないし。なんならまだ任務終わってないし」
「はぁ?!任務?!ふざけんなよ!」
悟は名前の手首をつかんでぐいぐいと
引っ張りながら車の待つ場所まで歩く
「ま、待って悟。歩くの早いってば」
「いつもならついてこれんだろ?具合悪いの認めねーお前が悪い」
「でも休めないし」
「…代わりに俺が行く」
.
1級2名での任務
すなわち相手は1級以上、特級クラスである
「お前も来んの?いらねーから帰ったら?」
「はいはい。私も坊ちゃん一人でいけると思うよ?でもね坊ちゃんには保護者が必要なんだって」
「はぁ?!お前みたいなチビから産まれた覚えねーわ!」
「私もこんな可愛くない子どもいらないんだけどねぇ?坊ちゃん一人で行かせると現場全部壊れちゃうから~」
イライラと貧乏ゆすりをしながら
隣に座っている名前を悟はちらっと見た
心なしか顔色が悪い気がする
「なぁ」
「…」
「なぁ、って。おい!お前聞こえてんなら返事くらいしろよ!」
「私の名前は「なあ」でも「おい」でもありません」
大げさなくらい大きなため息を悟はついてから
頭の中で何度も何度も呼んでいた
その名前を口にした
「…名前」
「私、年上!」
「ちっ細けーな!!名前さん」
先程まで窓の外を眺めていた彼女が
振り向いて笑ってこたえた
「やればできるじゃん!悟」
その笑顔に内心胸の奥がうるさくなるも
悟られない様に平然としながら会話を続けた
「…名前呼んでくれんの初めてじゃん。傑も硝子もずっと前から呼んでるのに」
「それは悟が私の名前呼ばないのが悪いでしょ?」
「ふーん」
「なになに?まさか照れてんの?悟、かわいいねぇ~」
「うるせーっ!!照れるわけねーだろ!!おま…名前さんなんかにいちいち照れねーよ!!」
「わざわざ言い直してくれちゃうんだ~」
名前が横にいる悟に手を伸ばして
頭をわしゃわしゃと撫でると
頬を赤らめてやめろというが
いつもより覇気がなく本気で嫌がっている
わけではなさそうだ
「もっ…髪乱れるからやめろっ」
自分の頭の上にある手首を掴むと
思わず「細っ」と口にした
「どんだけ細せーの?よくこんなんで術師できんね?」
「そりゃ術式がいいからねー。まぁ悟の足元にも及ばないけど」
悟は名前の手首をつかんだまま
自分の前でまじまじとみた
以前にこの細い手で庇われたあの情景が
無意識に脳裏に浮かんだ
「悟?いつまで掴んでんの?」
呼びかけられて我に返った悟は
慌てて手を放して横に座る彼女を見下ろした
やはり顔色が青白くみえる
「なぁ。名前さん、もしかして具合悪い?」
「ん~?ちょっと寝不足なだけ。問題ないよ。それより」
そう言って名前は会話を任務へと切り替えた
悟もあまり追求せずに補助監督の説明に耳を傾けた
ーーー
ーーーーー
ーーー
帳が降ろされた
行方不明者が立て続けに2名出ている現場は
私立のカトリック系の女子高だった
隣接して系列の総合病院もあり
最小限の被害でというのが先方のオーダーだ
今日は学校は休校にされているので
人の気配はない
広い敷地の端にある旧校舎へと
2人は足を踏み入れた
「ったく、こんなん俺だったら全部ぶっ壊して祓えるのにめんどくせー。行方不明者だってどうせ死んでんじゃん」
「まあ、今回は1週間経ってるしそうかもね。でも破壊は最小限ね」
へいへい、と適当な返事をして
悟は廊下を歩きだす
木の床板がぎぃっと鳴いた
一つずつ教室の扉を開けていく
建付けが悪くなっていて名前が横に引いても
がたがたと音を鳴らすだけで一向に開かない
「開かねーの?」
そういって悟が手を取っ手にかけて
力を入れるとがたんっと音を立てて扉が開いた
「開くじゃん。ってか非力すぎ。それとも俺の前だからかわい子ぶってんの~?」
名前を覗き込むようにかがんだ悟に
目もくれずに名前はパチンと指を鳴らすと
炎が上がり教室の奥に潜んでいた呪霊がぼうっと燃えて消えた
「悟。油断してると一緒に燃やすわよ?」
「別に油断なんかしてねーよ。目の前に来たら殴ろうかと思ってた、とこ!」
そう言いながらもう一体現れた呪霊を殴って祓う
先程から低級呪霊しか現れない
「ねぇ、その目で何か見えないの?」
「俺の目はレーダーじゃねえっつーの!」
彼女の右手の甲には大きな痣がある
悟の六眼にははっきりと文字が浮かび上がって見えている
名前の術式の業火はこの右手から放つことが出来る
「なぁ。名前さんのその火って火力調整とかもできんの?」
「出来るわよ?タバコの火から一部屋燃やすくらいの範囲までなら。それ以上は無理だけど」
「へぇ。見てみてーな」
他愛もない話をしながら2階へと続く階段を
ぎしぎしと音を立てながら登っていった
ふと名前が顔を上げて悟を見た
「悟!」
「わーってるって。名前、足引っ張んなよ?」
「そのセリフそっくりそのまま返すわよ!」
現れた呪霊に先に走り込んだのは悟だった
悟が蹴り飛ばし吹っ飛ばされたところで
ぱちんと彼女の指がなり轟々と炎が立ち上がる
名前は悟の攻撃を先読みしているかの様に
一歩引いた場所から絶妙なタイミングで火柱を上げる
呪力を込めた体術で近接戦を繰り広げている悟は
傑と組んでいるかのような心地よさを覚えていた
「そろそろ終わりにすっか?」
「なにすんの?」
「ぶっ飛ばすからその炎で固定とかできる?」
「余裕!」
悟が窓めがけて呪霊を蹴り飛ばすと彼女の名を呼んだ
名前は外に投げ出されたそれに特大の火柱を上げて包む
「術式順転 蒼」
消え去った呪霊の代わりに特級呪物の指が
ことりと音を立てて地面に転がった
「流石だね。威力抑えててくんなきゃ新校舎壊れてたね」
「余裕だっつーんだよ」
悟自身もいつも思っていた
名前の術式があったからこそ
威力を抑えた蒼でも祓えたという事を
先を見る視野の広さ
炎の強弱すなわち呪力量の使い分け
味方に合わせた攻撃
きっと名前は自分以外のペアでも
お互いの能力を最大限に発揮できる
攻撃方法を見出して瞬時に行うのだと
ーーー1級か
「伊達に年喰ってねーんだな」
「悟より力がなくても。ね?」
帳が上がっていき名前がその指を拾い上げて
立ち上がった時にその小さな体がぐらっと揺れた
「おいっ」
あの時の情景と重なった
忘れる事なんて出来る訳がない
目の前の彼女は怪我なんておってないのに
名前があの時の様に血塗れにみえた
地面に叩きつけられる前に
悟はその手を掴み自分に引き寄せた
「ごめん、躓いた」
「ったく顔面からダイブするつもりかよ。ブサイクが余計にブサイクになんぞ?」
しっかりと足が付いたのを感じて手を放し
その顔を覗き込むように見た後
悟はその額に手のひらを宛がった
「お前、熱あんじゃん。なにまさかずっと具合悪かったとか?」
「…大したことないし。なんならまだ任務終わってないし」
「はぁ?!任務?!ふざけんなよ!」
悟は名前の手首をつかんでぐいぐいと
引っ張りながら車の待つ場所まで歩く
「ま、待って悟。歩くの早いってば」
「いつもならついてこれんだろ?具合悪いの認めねーお前が悪い」
「でも休めないし」
「…代わりに俺が行く」
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