好きだと言えない
name change
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夜ホテルのシャワーから上がったところで
名前の携帯が鳴った
「もしもし?」
『俺。任務終わった?』
「うん。悟も終わったの?」
『俺?余裕だっつーの』
いつもの自信満々な声を聞いているだけで
なんだかほっとしてしまう自分がいた
―――あれ?なんでほっとしてんだろう?
『名前、聞いてる?』
「あ、ごめん。なに?」
『疲れてんの?それともなんかあった?』
なぜ年下なのに気が付くのだろうか
それとも自分のポーカーフェイスがまだまだなのだろうかと
名前は考えて前者かな、と思うと自然と口角が上がった気がした
函館での任務はすぐに終わった
廃墟になっている倉庫
肝試しに入った学生が行方不明とのことだった
なにもかもが遅かった
あと少し到着が早ければ
あと少し…私が強ければ
手を伸ばして泣き叫ぶ学生は悟と同じ年くらいだろう
名前が手を伸ばした数センチ先でただの肉の塊となった
人の死は見慣れていると自負していた
顔にかかった生臭い鉄っぽい匂いが鼻腔を襲った
名前の中でさっきの少年と悟が一瞬重なって見えた
ーーー自分の想い人が目の前で消えていく
昔の記憶が蘇る
手の中で消えていく体温が蘇る
「…悟は、いつ特級になるの?」
ぐちゃぐちゃな思考のまま声に出した言葉は
なんの脈絡もないものだった
『は?』
「悟なら、1級以上も夢じゃないでしょ。私より強いし。悔しいけどさ」
『そりゃお前なんて目じゃねーけど?急にどうしたよ?』
「悟は、」
死なないよね?
喉元まで出かかった言葉は声にならなかった
『名前…もしかして、泣いてる?』
「…」
―――あ、私わかったかもしれない
『…マジ?おい、名前返事しろよ』
「…切る」
『待った!!ぜってぇ切んな!!』
『なんで泣いてるか分かんねーけど。ごめん』
なぜ悟が謝ってるのか名前には理解できなかった
謝罪という文字が欠落している悟が素直に言葉を紡いでいるのだ
『隣にいたら抱きしめて泣きたいだけ泣かせてやれんのに。こんな時に側にいなくて、ごめん』
「…」
『なんも喋んなくていいよ。理由も別に言わなくていい。せめて、泣き止むまでは通話、続けててよ』
『名前、全世界がお前を否定しても、俺はお前を肯定するからな』
『何があったか知らねーけど、お前はお前なりに出来る事やったんだろ?それでいいじゃん。名前は何も悪くない』
『…頑張ったな。お疲れ』
―――なんでこんなに欲しい言葉をくれるの?
とくん
心臓の音が聞こえた気がした
―――私、悟の事が好きなのかもしれない
名前は声を押し殺して泣いた
携帯の通話先も終始無言だ
でも、画面にはいまだに”五条悟”の文字が浮かび上がっている
「…ごめん…」
聞えるか分からないほどのか細い声に
出した本人も驚いていた
『…なんで謝んだよ。お前は悪くねーって言ってんだろ』
『あーーーーっなんで函館なんかにいるんだよ!!今すぐに行けねーじゃねーか!!』
『あ、待てよ?反転術式できれば、そっちの空間とこっちの空間を引き寄せて…』
携帯越しに一人で術式解説を始めた悟の声を
ただただ耳が拾っていった
その声が心地よくて
名前は泣きながら笑った
「…そんなこと出来たら惚れちゃうかも」
『マジ?今名前、俺に惚れるって言った??』
「出来たら、ね?」
いつの間にか涙が引いていて
初めてこの時名前も悟に会いたいと思った
『ぜってぇ出来るようになる。知ってた?人って想像できること全部出来るんだぞ?』
『出来るからこそ想像できんだよ。出来ねーのは諦めが早いバカだから』
『あー今すぐ反転術式できたら俺、超かっこいいのに』
思わず名前の口から笑いがこぼれた
それを耳ざとく悟は拾った
『…良かった。笑ってくれて。お前に泣かれると…』
「泣かれると?」
『何でもない。泣くとブスになるぞ?』
「元からブスだから今更」
携帯越しに悟が笑ったのが名前にも伝わった
『ちゃんと目、冷やせよ?』
「うん」
『明日、何時に集合なわけ?』
「えーと8時?」
『じゃあ、まだ平気だな。お前が寝るまで繋げとくから』
この男は何時間電話する気なのだろうか?
思わず名前が「お風呂も?」と言うと
『いいね。一緒に風呂中継する?』
「しない!!じゃね!!」
と言って通話を切った
名前の中で悟の存在が大きなものにかわった
―――悟なら
悟になら弱みを見せてもうけとめてくれるかな
そんなことを思いながら顔を洗いに
バスルームへと向かった
.
名前の携帯が鳴った
「もしもし?」
『俺。任務終わった?』
「うん。悟も終わったの?」
『俺?余裕だっつーの』
いつもの自信満々な声を聞いているだけで
なんだかほっとしてしまう自分がいた
―――あれ?なんでほっとしてんだろう?
『名前、聞いてる?』
「あ、ごめん。なに?」
『疲れてんの?それともなんかあった?』
なぜ年下なのに気が付くのだろうか
それとも自分のポーカーフェイスがまだまだなのだろうかと
名前は考えて前者かな、と思うと自然と口角が上がった気がした
函館での任務はすぐに終わった
廃墟になっている倉庫
肝試しに入った学生が行方不明とのことだった
なにもかもが遅かった
あと少し到着が早ければ
あと少し…私が強ければ
手を伸ばして泣き叫ぶ学生は悟と同じ年くらいだろう
名前が手を伸ばした数センチ先でただの肉の塊となった
人の死は見慣れていると自負していた
顔にかかった生臭い鉄っぽい匂いが鼻腔を襲った
名前の中でさっきの少年と悟が一瞬重なって見えた
ーーー自分の想い人が目の前で消えていく
昔の記憶が蘇る
手の中で消えていく体温が蘇る
「…悟は、いつ特級になるの?」
ぐちゃぐちゃな思考のまま声に出した言葉は
なんの脈絡もないものだった
『は?』
「悟なら、1級以上も夢じゃないでしょ。私より強いし。悔しいけどさ」
『そりゃお前なんて目じゃねーけど?急にどうしたよ?』
「悟は、」
死なないよね?
喉元まで出かかった言葉は声にならなかった
『名前…もしかして、泣いてる?』
「…」
―――あ、私わかったかもしれない
『…マジ?おい、名前返事しろよ』
「…切る」
『待った!!ぜってぇ切んな!!』
『なんで泣いてるか分かんねーけど。ごめん』
なぜ悟が謝ってるのか名前には理解できなかった
謝罪という文字が欠落している悟が素直に言葉を紡いでいるのだ
『隣にいたら抱きしめて泣きたいだけ泣かせてやれんのに。こんな時に側にいなくて、ごめん』
「…」
『なんも喋んなくていいよ。理由も別に言わなくていい。せめて、泣き止むまでは通話、続けててよ』
『名前、全世界がお前を否定しても、俺はお前を肯定するからな』
『何があったか知らねーけど、お前はお前なりに出来る事やったんだろ?それでいいじゃん。名前は何も悪くない』
『…頑張ったな。お疲れ』
―――なんでこんなに欲しい言葉をくれるの?
とくん
心臓の音が聞こえた気がした
―――私、悟の事が好きなのかもしれない
名前は声を押し殺して泣いた
携帯の通話先も終始無言だ
でも、画面にはいまだに”五条悟”の文字が浮かび上がっている
「…ごめん…」
聞えるか分からないほどのか細い声に
出した本人も驚いていた
『…なんで謝んだよ。お前は悪くねーって言ってんだろ』
『あーーーーっなんで函館なんかにいるんだよ!!今すぐに行けねーじゃねーか!!』
『あ、待てよ?反転術式できれば、そっちの空間とこっちの空間を引き寄せて…』
携帯越しに一人で術式解説を始めた悟の声を
ただただ耳が拾っていった
その声が心地よくて
名前は泣きながら笑った
「…そんなこと出来たら惚れちゃうかも」
『マジ?今名前、俺に惚れるって言った??』
「出来たら、ね?」
いつの間にか涙が引いていて
初めてこの時名前も悟に会いたいと思った
『ぜってぇ出来るようになる。知ってた?人って想像できること全部出来るんだぞ?』
『出来るからこそ想像できんだよ。出来ねーのは諦めが早いバカだから』
『あー今すぐ反転術式できたら俺、超かっこいいのに』
思わず名前の口から笑いがこぼれた
それを耳ざとく悟は拾った
『…良かった。笑ってくれて。お前に泣かれると…』
「泣かれると?」
『何でもない。泣くとブスになるぞ?』
「元からブスだから今更」
携帯越しに悟が笑ったのが名前にも伝わった
『ちゃんと目、冷やせよ?』
「うん」
『明日、何時に集合なわけ?』
「えーと8時?」
『じゃあ、まだ平気だな。お前が寝るまで繋げとくから』
この男は何時間電話する気なのだろうか?
思わず名前が「お風呂も?」と言うと
『いいね。一緒に風呂中継する?』
「しない!!じゃね!!」
と言って通話を切った
名前の中で悟の存在が大きなものにかわった
―――悟なら
悟になら弱みを見せてもうけとめてくれるかな
そんなことを思いながら顔を洗いに
バスルームへと向かった
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