好きだと言えない
name change
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1月7日
ピロン
悟
≪仕事終わったらお前の家に行くから。また連絡する≫
名前
≪了解。私も任務あるから終わったらLINEするね≫
そう2人がメッセージで約束したのは朝だった
悟はその日のために有名なパティスリーのケーキを予約し
任務の後に取りに行く予定だった
「だーーーーーっなんでこんなに道混んでんだよ!!」
「悟、ちょっと落ち着こうか?」
「ごめんね五条君。事故があったみたいで、迂回路入ったんだけど…この後なんか用事あった?」
ふと腕時計を見ると時刻は18:11
予約したパティスリーはたしか19時までだ
ここから地下鉄に乗ってギリギリ間に合うかどうかだったが
悟の選択は1択だった
「俺ここで降りる。停めて」
「悟…暴走しないようにね」
同級生に意味ありげな笑みを向けた傑に
悟は盛大に舌打ちをしてから車を降りた
駅までの道を走って地下鉄に滑り込み
閉店ギリギリでケーキを受け取り
再び電車に乗ったがしばらくして今度は電車が止まった
『この先の駅で人身事故があり、復旧の見通しが立っておりません。お急ぎのところ…』
―――最悪だ。俺がなにしたってんだよ!!
夕方の満員電車
潰されない様に上の棚に置いたケーキの箱を見て
今日何度目か分からないため息を付いた
それから電車が動き出したのは1時間ほど過ぎてからだった
名前には連絡したが返信は事務的な「了解」の2文字のみ
本当なら寮に帰って私服に着替えてから家に行く予定だった
制服で彼女に会いに行きたくなかった
服装一つで年齢が名前に追いつく訳では無いものの
明らかに未成年と社会人という高い壁を感じてしまうので悟は嫌だった
時刻はすでに21時を回っていて
いくら気持ちが急こうと電車の速度は平常運転
余計に悟をイラつかせていた
名前の最寄り駅に着きドアが開きかけると
そこに肩を通して急いですり抜ける
ケーキを崩さない様に気を付けながらも
階段を飛ばしながら駆け下り
改札を抜けてマンションまで走り抜けた
インターホンを鳴らすと彼女の
「はーい」という間の抜けた返事が聞こえて
それだけでほっとしたのと同時に
会いたくて、会いたくて
エレベーターの上がる速度ですらもどかしくて仕方がない
「さとっ…ぐぇ」
かちゃりと玄関のドアが開き名前が顔をのぞかせる
悟はそのまま彼女の腕を掴んで自分に引き寄せ
小さな体を思いきり抱きしめた
―――やっと、やっと会えた
その想いの丈をぶつけるようにその小さな体を抱きしめて
頭に顔を近づけてすん、と匂いを嗅いだ
悟の腕の中にいる名前は全く状況が呑み込めず
さっきから不満の声を上げている
「苦しい…とりあえず離して。で、中入ってよ」
渋々腕を緩めるとと名前がするりと抜けていき
それだけで悟は寂しいのと同時に物足りなさや
いろんな感情が渦の様にごちゃごちゃに混ざっていった
自分の少し先を歩く家主について行き
リビングに通されるとテーブルの上に
ラッピングされた袋が目に入った
それを横目で見ながらも手にしていた箱を彼女に渡した
「あ、これケーキ。時間経っちゃたから冷やして」
「ありがと」
「なぁ名前、これ…」
冷蔵庫に向かった後ろ姿に聞くと
名前は振り向かずに「悟のだよ」と答えた
「…開けていい?」
「うん。気に入るか分かんないけど」
ラッピングを解くとネイビーにブルーのアクセントが
入っている手触りの良いロングマフラーが出てきた
「この前の任務で汚しちゃったかなと思って」
そう言いながらコーヒーの入ったマグカップを
両手に持って帰ってきた名前に
悟もポケットの中から小ぶりの箱を差し出した
「俺も。これ、やる」
「ありがと。開けてもいい?」
「おー」
小箱を開けると水色の小ぶりの宝石のついた
シンプルなネックレスが納められていた
「気に入るか、わかんねーけど」
「ふふっ ありがとう使わせてもらうね」
「俺もマフラー使う。ありがと」
ずっと彼女がまともに見れなくて横を向いていた悟が
ちらっと彼女を横目で見るとネックレスを付けようとしていたので
すっと手を伸ばして名前の手首をそっとつかんだ
「…付けてやる」
そう言って名前の背後に回り小さな金具を止めると
そのまま後ろから彼女を抱きしめた
―――息苦しい、この想いは何なんだよ。
好きになるってこんなに苦しいのか?
抱きしめていても、不安で仕方がなくて…
俺、こんな弱かったか?
小さな名前に回した腕は小刻みに震えていて
誤魔化しきれない
ーーーあぁ…すき。こいつがすきだ
「名前、俺と付き合って。俺の彼女になって」
.
ピロン
悟
≪仕事終わったらお前の家に行くから。また連絡する≫
名前
≪了解。私も任務あるから終わったらLINEするね≫
そう2人がメッセージで約束したのは朝だった
悟はその日のために有名なパティスリーのケーキを予約し
任務の後に取りに行く予定だった
「だーーーーーっなんでこんなに道混んでんだよ!!」
「悟、ちょっと落ち着こうか?」
「ごめんね五条君。事故があったみたいで、迂回路入ったんだけど…この後なんか用事あった?」
ふと腕時計を見ると時刻は18:11
予約したパティスリーはたしか19時までだ
ここから地下鉄に乗ってギリギリ間に合うかどうかだったが
悟の選択は1択だった
「俺ここで降りる。停めて」
「悟…暴走しないようにね」
同級生に意味ありげな笑みを向けた傑に
悟は盛大に舌打ちをしてから車を降りた
駅までの道を走って地下鉄に滑り込み
閉店ギリギリでケーキを受け取り
再び電車に乗ったがしばらくして今度は電車が止まった
『この先の駅で人身事故があり、復旧の見通しが立っておりません。お急ぎのところ…』
―――最悪だ。俺がなにしたってんだよ!!
夕方の満員電車
潰されない様に上の棚に置いたケーキの箱を見て
今日何度目か分からないため息を付いた
それから電車が動き出したのは1時間ほど過ぎてからだった
名前には連絡したが返信は事務的な「了解」の2文字のみ
本当なら寮に帰って私服に着替えてから家に行く予定だった
制服で彼女に会いに行きたくなかった
服装一つで年齢が名前に追いつく訳では無いものの
明らかに未成年と社会人という高い壁を感じてしまうので悟は嫌だった
時刻はすでに21時を回っていて
いくら気持ちが急こうと電車の速度は平常運転
余計に悟をイラつかせていた
名前の最寄り駅に着きドアが開きかけると
そこに肩を通して急いですり抜ける
ケーキを崩さない様に気を付けながらも
階段を飛ばしながら駆け下り
改札を抜けてマンションまで走り抜けた
インターホンを鳴らすと彼女の
「はーい」という間の抜けた返事が聞こえて
それだけでほっとしたのと同時に
会いたくて、会いたくて
エレベーターの上がる速度ですらもどかしくて仕方がない
「さとっ…ぐぇ」
かちゃりと玄関のドアが開き名前が顔をのぞかせる
悟はそのまま彼女の腕を掴んで自分に引き寄せ
小さな体を思いきり抱きしめた
―――やっと、やっと会えた
その想いの丈をぶつけるようにその小さな体を抱きしめて
頭に顔を近づけてすん、と匂いを嗅いだ
悟の腕の中にいる名前は全く状況が呑み込めず
さっきから不満の声を上げている
「苦しい…とりあえず離して。で、中入ってよ」
渋々腕を緩めるとと名前がするりと抜けていき
それだけで悟は寂しいのと同時に物足りなさや
いろんな感情が渦の様にごちゃごちゃに混ざっていった
自分の少し先を歩く家主について行き
リビングに通されるとテーブルの上に
ラッピングされた袋が目に入った
それを横目で見ながらも手にしていた箱を彼女に渡した
「あ、これケーキ。時間経っちゃたから冷やして」
「ありがと」
「なぁ名前、これ…」
冷蔵庫に向かった後ろ姿に聞くと
名前は振り向かずに「悟のだよ」と答えた
「…開けていい?」
「うん。気に入るか分かんないけど」
ラッピングを解くとネイビーにブルーのアクセントが
入っている手触りの良いロングマフラーが出てきた
「この前の任務で汚しちゃったかなと思って」
そう言いながらコーヒーの入ったマグカップを
両手に持って帰ってきた名前に
悟もポケットの中から小ぶりの箱を差し出した
「俺も。これ、やる」
「ありがと。開けてもいい?」
「おー」
小箱を開けると水色の小ぶりの宝石のついた
シンプルなネックレスが納められていた
「気に入るか、わかんねーけど」
「ふふっ ありがとう使わせてもらうね」
「俺もマフラー使う。ありがと」
ずっと彼女がまともに見れなくて横を向いていた悟が
ちらっと彼女を横目で見るとネックレスを付けようとしていたので
すっと手を伸ばして名前の手首をそっとつかんだ
「…付けてやる」
そう言って名前の背後に回り小さな金具を止めると
そのまま後ろから彼女を抱きしめた
―――息苦しい、この想いは何なんだよ。
好きになるってこんなに苦しいのか?
抱きしめていても、不安で仕方がなくて…
俺、こんな弱かったか?
小さな名前に回した腕は小刻みに震えていて
誤魔化しきれない
ーーーあぁ…すき。こいつがすきだ
「名前、俺と付き合って。俺の彼女になって」
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