好きだと言えない
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予定通り3日で任務が粗方片付き
残りは12/31~1日にかけての任務だけになった
大した任務じゃないからと名前は断ったものの
悟に押されて結局2人で来ることになっていた
新幹線で郡山まで出て
在来線で揺られること1時間ちょい
最寄り駅を降りると辺りは真っ白な雪化粧が施されていた
「寒っ」
「マジさみーな。ねぇこれからどうすんの?」
「先に宿に行こうか?荷物置いてちょっと聞き込み」
「聞き込み~?めんどくせー」
ぶつぶつ言っている悟をよそに
名前はタクシーを捕まえて運転手に
宿の名前を言った
タクシーを降りるとそこには山奥にポツンとある温泉宿
古めかしい佇まいの旅館だが中に入ると小綺麗にされており
古民家風の情緒のある場所だった
もともと名前一人で来るはずだった任務で一室しか取っていない
ど年末に空室があるわけもなく仕方なく2人は同じ部屋になった
「…部屋、一緒なのかよ」
「年末で空いてなかったの。でも広くてよかったね。ベッドも布団もあるし」
離れの部屋だったので
10畳ある和室の奥にベッドルーム広縁もある
押し入れにさらに2組の布団もあったので
名前は別々で寝れるし問題なしと考えていた
「とりあえずお茶でも飲む?」
「おー」
ソワソワしている悟に気が付くこともなく
名前はテーブルにセットされていた
お茶をいれて悟にさし出した
「いい旅館だね。温泉もあるみたい。任務なければ最高なのに」
「温泉か」
悟がテーブルの上にあった旅館案内を
何気なくめくっていると「貸切風呂」の文字
―――貸切風呂かぁ。名前と一緒に温泉…貸切…
悟が妄想に耽っていると
名前が任務の詳細を話し出した
「この旅館の裏山の結界の張り直しをするんだけど、噂でここの温泉と龍脈がつながってるらしいんだよね。結界が緩むと貸切風呂に呪いが現れるんだって」
「悟、聞いてる?」
「だりー。とりあえず裏山の祠とやらに行きゃいいんだろ?」
コンコンとノックの後に女将さんが入ってきた
60代くらいだろうか、すらっとした和服美人だ
にっこりと微笑んだあと遠慮がちに話し出した
「お忙しい年の瀬に用こそお越しくださいました。女将の京子と申します。あの…随分とお若くいらっしゃるんですね」
ここは毎年誰かが「お清め」という体裁で任務に来ている
2人を見ておそらく頼りなく感じたんだろう
悪気のない声色だが心配されているようにも思えた
「御心配には及びません。それで最近はどのような様子でしょうか?」
名前が話す横で退屈そうに胡坐をかいて
肘に頭を乗せて悟は2人の会話を聞くことに徹しようと思った
昨年は誰が来たのか知らないが
悟にはすでに結界がほぼ機能していないのが
ここに来る前に見えていた
「ご存じの通り貸切風呂で先月から怪異が起きているんです」
女将の話はこうだ
最初は電気が付いたり消えたりした
次に手前の廊下で誰かに見られているような
視線を感じると従業員間で噂になった
そしてここ最近は客からのクレームだった
「入浴中に誰かに引っ張られる、と。実際溺れそうになった方も出てきて…このままでは変な噂が立ってしまいますので、今は修復中という事にして誰も入れない様になっております」
「わかりました。ちなみにその異変が起こる時間帯とかありますか?」
「特に…昼夜問わずといいますか。そもそも離れの貸切風呂ですので閉めてからは清掃時間しか従業員も近づいておりませんもので」
「従業員の方でここ最近異変を感じた方はいますか?」
「特に聞いておりません」
「ちなみに清掃時間は決まってるんですか?」
「午前中ですね。開けている時と変わっておりませんので、9:00~14:00の間で手の空いてるときに行っております」
「ありがとうございました。明日の午後には開けても大丈夫にしますので。終わり次第女将さんにご連絡いたします」
「ありがとうございます。後ご夕食を部屋にお持ちしますが、20時頃でよろしいでしょうか?」
名前は悟に向き直って視線をおくると
めんどくさそうに立ち上がりながら声を出した
「はぁ。じゃ、行きますかー」
「今から行くのでそれでお願いします」
.
残りは12/31~1日にかけての任務だけになった
大した任務じゃないからと名前は断ったものの
悟に押されて結局2人で来ることになっていた
新幹線で郡山まで出て
在来線で揺られること1時間ちょい
最寄り駅を降りると辺りは真っ白な雪化粧が施されていた
「寒っ」
「マジさみーな。ねぇこれからどうすんの?」
「先に宿に行こうか?荷物置いてちょっと聞き込み」
「聞き込み~?めんどくせー」
ぶつぶつ言っている悟をよそに
名前はタクシーを捕まえて運転手に
宿の名前を言った
タクシーを降りるとそこには山奥にポツンとある温泉宿
古めかしい佇まいの旅館だが中に入ると小綺麗にされており
古民家風の情緒のある場所だった
もともと名前一人で来るはずだった任務で一室しか取っていない
ど年末に空室があるわけもなく仕方なく2人は同じ部屋になった
「…部屋、一緒なのかよ」
「年末で空いてなかったの。でも広くてよかったね。ベッドも布団もあるし」
離れの部屋だったので
10畳ある和室の奥にベッドルーム広縁もある
押し入れにさらに2組の布団もあったので
名前は別々で寝れるし問題なしと考えていた
「とりあえずお茶でも飲む?」
「おー」
ソワソワしている悟に気が付くこともなく
名前はテーブルにセットされていた
お茶をいれて悟にさし出した
「いい旅館だね。温泉もあるみたい。任務なければ最高なのに」
「温泉か」
悟がテーブルの上にあった旅館案内を
何気なくめくっていると「貸切風呂」の文字
―――貸切風呂かぁ。名前と一緒に温泉…貸切…
悟が妄想に耽っていると
名前が任務の詳細を話し出した
「この旅館の裏山の結界の張り直しをするんだけど、噂でここの温泉と龍脈がつながってるらしいんだよね。結界が緩むと貸切風呂に呪いが現れるんだって」
「悟、聞いてる?」
「だりー。とりあえず裏山の祠とやらに行きゃいいんだろ?」
コンコンとノックの後に女将さんが入ってきた
60代くらいだろうか、すらっとした和服美人だ
にっこりと微笑んだあと遠慮がちに話し出した
「お忙しい年の瀬に用こそお越しくださいました。女将の京子と申します。あの…随分とお若くいらっしゃるんですね」
ここは毎年誰かが「お清め」という体裁で任務に来ている
2人を見ておそらく頼りなく感じたんだろう
悪気のない声色だが心配されているようにも思えた
「御心配には及びません。それで最近はどのような様子でしょうか?」
名前が話す横で退屈そうに胡坐をかいて
肘に頭を乗せて悟は2人の会話を聞くことに徹しようと思った
昨年は誰が来たのか知らないが
悟にはすでに結界がほぼ機能していないのが
ここに来る前に見えていた
「ご存じの通り貸切風呂で先月から怪異が起きているんです」
女将の話はこうだ
最初は電気が付いたり消えたりした
次に手前の廊下で誰かに見られているような
視線を感じると従業員間で噂になった
そしてここ最近は客からのクレームだった
「入浴中に誰かに引っ張られる、と。実際溺れそうになった方も出てきて…このままでは変な噂が立ってしまいますので、今は修復中という事にして誰も入れない様になっております」
「わかりました。ちなみにその異変が起こる時間帯とかありますか?」
「特に…昼夜問わずといいますか。そもそも離れの貸切風呂ですので閉めてからは清掃時間しか従業員も近づいておりませんもので」
「従業員の方でここ最近異変を感じた方はいますか?」
「特に聞いておりません」
「ちなみに清掃時間は決まってるんですか?」
「午前中ですね。開けている時と変わっておりませんので、9:00~14:00の間で手の空いてるときに行っております」
「ありがとうございました。明日の午後には開けても大丈夫にしますので。終わり次第女将さんにご連絡いたします」
「ありがとうございます。後ご夕食を部屋にお持ちしますが、20時頃でよろしいでしょうか?」
名前は悟に向き直って視線をおくると
めんどくさそうに立ち上がりながら声を出した
「はぁ。じゃ、行きますかー」
「今から行くのでそれでお願いします」
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