好きだと言えない
name change
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そのまま高専初めての冬休みになった
25日から1年生はそれぞれ帰省などの休みを取っていた
悟も例外ではなく実家に帰って
あの日名前からもらったキーホルダーを眺めていた
もらったと言ってもファミレスからの帰り
名前の車の中でバックミラーについていたものだ
それを悟が無理矢理もらってきたようなものだった
「これ、サンキャッチャーっていうの。太陽の光を吸収するんだよ」
そう彼女は言っていた
ガラスでできている球体のそれは
面が多角にカットされており
光が屈折して見える
悟にはキラキラと輝くその光の断面が
名前のように思えて
いつまでもその光を眺めていたいとも思えた
「あー、俺、重症かも」
そんなに人に執着したことがなかった
初めて人に興味を持ったと言っても過言ではない
ただの興味で終わればよかったものの
名前の声が
名前の気配が
名前の匂いが
名前の笑顔が
悟の心を埋め尽くして食い尽くしていくようだった
欲しくて欲しくてたまらない
彼女のなにが欲しい?
多感な年頃でもある
彼女のその唇を貪り柔らかそうな胸をまさぐって
己の昂った熱を発散させたい思いもあるものの
ただ側にいて
その匂いを感じ
温もりを感じ
ただ、その声で自分の名前を呼んで欲しい
そう思ってもいた
―――そう言えば両親もいない、親族とか身内がない名前は年末年始どうしてるんだろう?
ふと疑問に思い
携帯を取り出して迷わず彼女に電話をかけた
『悟?どうしたの?』
受話器の向こう名前の声がする
たった2日聞かなかっただけなのに
胸がとくんと高鳴った
「よぉ。何してんの?」
『私?これから任務だけど』
彼女の答えに悟は驚愕した
「任務~~~?!年末じゃん!休みじゃねーの??」
「ほら、みんな休みだから。私は別に年末年始に帰るとこないしね」
みんなの代わりに当直の様に控えているらしい
話を聞くと毎日2~3件の割合ですでに任務が入っており
補助監督の休みを回すために完全単独行動みたいだった
「明日、何時からどこ?」
『え?なんで?』
「いいから答えろよ」
『明日は10時に新宿だけど。大丈夫だよ?全部2級以下だし』
「何がいいんだよ!!お前一昨日までぶっ倒れてたじゃねーか!4日まで休みなしで一人で任務なんかすんじゃねーよ!」
「いいから位置情報送れ。明日10時にそこ行くから。お前は補助監督な。俺が祓う」
それだけ言い放つと悟は電話を切った
ーーー
ーーーーー
ーーー
翌日、2人で任務を終わらせた後
帰りの車内で悟がある提案を持ちかけた
2人で行くなら倍の数の任務でもこなせるだろうから
明日明後日までに終わらせようとのことだった
「腹減ったし、なんか食いながら内容一回確認しようぜ?」
「さっきお昼食べたじゃん」
「えー。コンビニおにぎりじゃん。お前、なんか甘いものとかいらねーの?」
「甘いものかぁ。フルーツパーラーのケーキ美味しいんだけど、新宿戻るのも面倒だなぁ」
「新宿にあるんだ。そこは今度にしよーぜ。あ、パンケーキ食べたい」
悟の提案通り車を走らせて
吉祥寺のパンケーキ屋に向かった
店内でパンケーキが焼きあがるまでの間
コーヒー片手に悟はタブレット
名前はノートPCで任務工程を再構築し始めた
「等級は無視でいーよ。俺いるし」
「了解。最悪2人でなんとかなるしね。場所重視かなー。ルート考えないと道、混んでるからね」
「はぁ?!なんだよこれ」
悟が目にしたであろう任務に覚えがあり
「それは私一人で行くから」と
画面から視線を上げることなく答えた
「しかも元旦縛りなんだって」
「ふーん。あっそ」
「そこ意外を移動時間考慮して組むと、あと3日で終わるかな」
「お待たせしました。フランボワーズパンケーキになります」と
店員さんがPCの脇にそれを置いて行った
甘い香りが辺りに充満していく
ふと視線をあげると
それをパクパクと口へ運びながら
眉間に皺を寄せた悟と目が合った
「なに?美味しくないの?」
「美味いよ?食う?」
悟が一口サイズに切り分けたパンケーキに
フランボワーズソースを絡めて名前の口元へと
それを持ってきたので
彼女はためらうことなくぱくっと食いついた
「あ、めっちゃ美味しいっ」
―――あ、これって「あーん」じゃね?
悟の思想とは裏腹に名前は
口の中に広がる甘みを堪能していると
目の前の悟は肘に顎をのせながら
横に顔を逸らしていた
「…恥ずかしくねーのかよ」
「ん?なんか言った?」
「何でもねーよ!でも3日って言うか、それ合わせたら5日じゃん。泊りだろ?」
「うん。でもおかげで2日は休めそうだよ?」
悟は視線を逸らせたまま
大きなため息をついた
実際、いつもならもっと任務を詰め込むことは可能だ
だが年末年始の混雑もあり通常よりも
移動に時間がかかってしまうのは仕方がない
高校生の悟を夜中に連れまわすのは
名前の中でもためらわれたので
これでも譲渡した方だった
「じゃあこれで行くか。で、状況次第で各日翌日以降の現場行くぞ」
「え?別にいいよこれで。年末年始休めなくても予定ないし。ってか悟ずっと来るの?」
「ちっ 来ちゃダメなのかよ」
「ダメじゃないけど、冬休み無くなっちゃうし、給料出ないよ?」
「金なんて要らねーし。とっとと終わらせて一緒に初詣行くぞ」
名前は目の前の男の言わんとしている事が理解できなかった
五条家の嫡男であるこの男は
年末年始はそれこそスケジュールが
埋まっているのではないだろうか?
「え?そもそも悟は家の事とか大丈夫なの?」
「別に平気。任務で帰らないってもう伝えた」
「はい?」
「どうせわけわかんねー遠縁の奴ら相手に挨拶とかするだけじゃん。面倒くせーし」
「え?それで大丈夫なの?怒られない?」
「おう。当主の俺がいいって言ってんだからいいんだよ!」
名前はここで初めて
悟が五条家当主だったという事実を知った
最近悟との距離感が近くなった気がしていた
今まで高専で見かけるくらいで
任務も数えるほどしかかぶっていない
一緒に食事したのも今日で合わせて2回目だ
感じの悪い後輩だと思っていたが
話してみて感じたことを名前は言葉にした
「悟って口悪いけど、やさしいね?」
「なんで疑問形なんだよ。別に優しくなんかね―し。誰にでもこうしてるわけじゃねーっつーの」
「ありがと。今度ちゃんとお礼するね。なんか欲しいモノとかある?好きなものは?」
「お前、」
悟は無意識についた言葉に
慌てて言葉をかぶせた
「…が選んでくれたもんなら何でもいーよ」
「うーん。甘いもの好きだよね?ほか何かなー。15歳の子が好みそうなものとかわかんない」
「俺、こないだ誕生日来たから16」
「え?そうだったの?いつ?」
本日何度目か分からないため息を付きながら「7日」と答えた
「おめでと!私1月7日なの。一か月違いだね!」
「ふーん。じゃあ俺に誕生日プレゼントとして頂戴。俺も名前にやるから」
そう言うと
嬉しそうに笑った彼女から目が離せないでいた。
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25日から1年生はそれぞれ帰省などの休みを取っていた
悟も例外ではなく実家に帰って
あの日名前からもらったキーホルダーを眺めていた
もらったと言ってもファミレスからの帰り
名前の車の中でバックミラーについていたものだ
それを悟が無理矢理もらってきたようなものだった
「これ、サンキャッチャーっていうの。太陽の光を吸収するんだよ」
そう彼女は言っていた
ガラスでできている球体のそれは
面が多角にカットされており
光が屈折して見える
悟にはキラキラと輝くその光の断面が
名前のように思えて
いつまでもその光を眺めていたいとも思えた
「あー、俺、重症かも」
そんなに人に執着したことがなかった
初めて人に興味を持ったと言っても過言ではない
ただの興味で終わればよかったものの
名前の声が
名前の気配が
名前の匂いが
名前の笑顔が
悟の心を埋め尽くして食い尽くしていくようだった
欲しくて欲しくてたまらない
彼女のなにが欲しい?
多感な年頃でもある
彼女のその唇を貪り柔らかそうな胸をまさぐって
己の昂った熱を発散させたい思いもあるものの
ただ側にいて
その匂いを感じ
温もりを感じ
ただ、その声で自分の名前を呼んで欲しい
そう思ってもいた
―――そう言えば両親もいない、親族とか身内がない名前は年末年始どうしてるんだろう?
ふと疑問に思い
携帯を取り出して迷わず彼女に電話をかけた
『悟?どうしたの?』
受話器の向こう名前の声がする
たった2日聞かなかっただけなのに
胸がとくんと高鳴った
「よぉ。何してんの?」
『私?これから任務だけど』
彼女の答えに悟は驚愕した
「任務~~~?!年末じゃん!休みじゃねーの??」
「ほら、みんな休みだから。私は別に年末年始に帰るとこないしね」
みんなの代わりに当直の様に控えているらしい
話を聞くと毎日2~3件の割合ですでに任務が入っており
補助監督の休みを回すために完全単独行動みたいだった
「明日、何時からどこ?」
『え?なんで?』
「いいから答えろよ」
『明日は10時に新宿だけど。大丈夫だよ?全部2級以下だし』
「何がいいんだよ!!お前一昨日までぶっ倒れてたじゃねーか!4日まで休みなしで一人で任務なんかすんじゃねーよ!」
「いいから位置情報送れ。明日10時にそこ行くから。お前は補助監督な。俺が祓う」
それだけ言い放つと悟は電話を切った
ーーー
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翌日、2人で任務を終わらせた後
帰りの車内で悟がある提案を持ちかけた
2人で行くなら倍の数の任務でもこなせるだろうから
明日明後日までに終わらせようとのことだった
「腹減ったし、なんか食いながら内容一回確認しようぜ?」
「さっきお昼食べたじゃん」
「えー。コンビニおにぎりじゃん。お前、なんか甘いものとかいらねーの?」
「甘いものかぁ。フルーツパーラーのケーキ美味しいんだけど、新宿戻るのも面倒だなぁ」
「新宿にあるんだ。そこは今度にしよーぜ。あ、パンケーキ食べたい」
悟の提案通り車を走らせて
吉祥寺のパンケーキ屋に向かった
店内でパンケーキが焼きあがるまでの間
コーヒー片手に悟はタブレット
名前はノートPCで任務工程を再構築し始めた
「等級は無視でいーよ。俺いるし」
「了解。最悪2人でなんとかなるしね。場所重視かなー。ルート考えないと道、混んでるからね」
「はぁ?!なんだよこれ」
悟が目にしたであろう任務に覚えがあり
「それは私一人で行くから」と
画面から視線を上げることなく答えた
「しかも元旦縛りなんだって」
「ふーん。あっそ」
「そこ意外を移動時間考慮して組むと、あと3日で終わるかな」
「お待たせしました。フランボワーズパンケーキになります」と
店員さんがPCの脇にそれを置いて行った
甘い香りが辺りに充満していく
ふと視線をあげると
それをパクパクと口へ運びながら
眉間に皺を寄せた悟と目が合った
「なに?美味しくないの?」
「美味いよ?食う?」
悟が一口サイズに切り分けたパンケーキに
フランボワーズソースを絡めて名前の口元へと
それを持ってきたので
彼女はためらうことなくぱくっと食いついた
「あ、めっちゃ美味しいっ」
―――あ、これって「あーん」じゃね?
悟の思想とは裏腹に名前は
口の中に広がる甘みを堪能していると
目の前の悟は肘に顎をのせながら
横に顔を逸らしていた
「…恥ずかしくねーのかよ」
「ん?なんか言った?」
「何でもねーよ!でも3日って言うか、それ合わせたら5日じゃん。泊りだろ?」
「うん。でもおかげで2日は休めそうだよ?」
悟は視線を逸らせたまま
大きなため息をついた
実際、いつもならもっと任務を詰め込むことは可能だ
だが年末年始の混雑もあり通常よりも
移動に時間がかかってしまうのは仕方がない
高校生の悟を夜中に連れまわすのは
名前の中でもためらわれたので
これでも譲渡した方だった
「じゃあこれで行くか。で、状況次第で各日翌日以降の現場行くぞ」
「え?別にいいよこれで。年末年始休めなくても予定ないし。ってか悟ずっと来るの?」
「ちっ 来ちゃダメなのかよ」
「ダメじゃないけど、冬休み無くなっちゃうし、給料出ないよ?」
「金なんて要らねーし。とっとと終わらせて一緒に初詣行くぞ」
名前は目の前の男の言わんとしている事が理解できなかった
五条家の嫡男であるこの男は
年末年始はそれこそスケジュールが
埋まっているのではないだろうか?
「え?そもそも悟は家の事とか大丈夫なの?」
「別に平気。任務で帰らないってもう伝えた」
「はい?」
「どうせわけわかんねー遠縁の奴ら相手に挨拶とかするだけじゃん。面倒くせーし」
「え?それで大丈夫なの?怒られない?」
「おう。当主の俺がいいって言ってんだからいいんだよ!」
名前はここで初めて
悟が五条家当主だったという事実を知った
最近悟との距離感が近くなった気がしていた
今まで高専で見かけるくらいで
任務も数えるほどしかかぶっていない
一緒に食事したのも今日で合わせて2回目だ
感じの悪い後輩だと思っていたが
話してみて感じたことを名前は言葉にした
「悟って口悪いけど、やさしいね?」
「なんで疑問形なんだよ。別に優しくなんかね―し。誰にでもこうしてるわけじゃねーっつーの」
「ありがと。今度ちゃんとお礼するね。なんか欲しいモノとかある?好きなものは?」
「お前、」
悟は無意識についた言葉に
慌てて言葉をかぶせた
「…が選んでくれたもんなら何でもいーよ」
「うーん。甘いもの好きだよね?ほか何かなー。15歳の子が好みそうなものとかわかんない」
「俺、こないだ誕生日来たから16」
「え?そうだったの?いつ?」
本日何度目か分からないため息を付きながら「7日」と答えた
「おめでと!私1月7日なの。一か月違いだね!」
「ふーん。じゃあ俺に誕生日プレゼントとして頂戴。俺も名前にやるから」
そう言うと
嬉しそうに笑った彼女から目が離せないでいた。
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