好きだと言えない
name change
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「悟、良かったの?」
2人で入ったファミレスでご飯を食べている時
名前が唐突に悟に質問をした
何を意味しているか理解できず「は?」と目線だけで返すと
「だってイブだよ?彼女ほったらかしてていいの?」
「…お前は俺といていいのかよ。彼氏いんだろ?」
「え?いないよ?」
開いた口がふさがらないというのは
正にこの事だ
「え?だ、だってお前、ちょっと前にデートがどうとかいってたじゃねーか!」
「あぁ。あれね」
「嘘だったのかよ。それとも見栄はってたの?」
「ううん。私にとってはデートかな」
名前の言わんとしていることが
全く理解できない
イライラとした気持ちをそのまま愚直に
悟は彼女にぶつけた
「彼氏いるのかいねーのかどっちなんだよ!!」
「”いた”が正解かな。5年前に任務中に亡くなったよ」
「え…」
「私が弱かったから」
そう言ってふわっと笑う名前は自分を見ているはずなのに
その視線は交わっていないようでどこか遠くを見ている感じがした
「…お前今でも弱ぇじゃん」
「ふふっ そうだね」
「悟、私ね。呪われてるんだ」
そう微笑みながら話す名前はどこかはかなげで
ちゃんと捕まえておかないと消えてしまいそうな
雰囲気を醸し出していた
「悟坊ちゃんに、ちょっと昔話をしてあげようか」
おどけたように名前は語りだした
淡々と時には微笑みながら
澄み渡った声で紡がれていく言の葉は
その話す様子とは裏腹に残酷な現実だった
ーーー名前は幼いころから呪いが見えていた
非術師の家庭で育った彼女は両親に言っても伝わらないことから
次第に呪いの事は見て見ぬふりをすることで他の人と折り合いをつけていた
「8歳の誕生日の日にね、お父さんにイチゴのデコレーションケーキを買ってきてもらったの。イチゴで上が埋め尽くされてるやつ。すごく美味しそうでね。でも、食べる前に3級ぐらいの奴が家に現れたの」
呪いを目視出来ない両親
それをまだ、祓うすべをしらない名前
「目の前で両親は襲われ、食べられた。その時初めて私の術式が発動した」
怒り、悲しみ、憎しみをのせた炎が轟々と立ち上がり
名前の実家は燃え尽きた
呪霊は祓えた
実際は呪霊に殺されたはずの両親は家事で焼死という事になった
「その後、親族の元を転々として中1の時特例で高専に引き取られたの。うちの両親一人っ子で、祖父母もいなくて…呪いが見える私を遠い親戚は、気が触れた変人扱いだったから」
「ここに来てからはいろんな人が可愛がってくれたから、寂しくなかった。高専に来て良かったって今でも思ってる。
良く面倒見てくれた先輩で大好きな人がいて、中3の時初めて彼氏が出来た」
「…年上なんだ?」
「うん。5個上。彼が卒業とともに告白してくれてね。付き合ってた。そんな彼も私が高3の時に」
名前の瞳が潤んでいたのを悟は見逃さなかった
それでも必死に我慢して気丈に振舞う姿に
ぐずりと心が軋んだ気がした
「私との任務で…私を庇って…最後は私の腕の中で息を引き取った。だから…」
「だから、私はこれからも身を盾にしてみんなを守るの。私の大好きな人は私を庇っていなくなったから、その人の分も一人でも多くの人を守りたいって思ってる」
悟は彼女の言葉に少し違和感を覚えたが
今はまだ口にしないでおこうと思った
「それにしても私の大切な人はみんな死んじゃうって。私、どんだけ呪われてんだろうね」
そう言って名前が微笑むから
思わず悟の語気が強くなった
「無理して笑ってんじゃねぇよ。名前は呪われてねぇ。俺の目でみてもお前に呪いなんて見えね―し。たまたま周りの奴が最弱過ぎたんだよ」
「え?」
「俺の六眼、信用できねー?」
「ふふっ 出来るよ」
悟は無意識に名前の頭に向かって
手を伸ばしてその頭にポンと手のひらを置いた
「俺は最強だから一緒にいても死なねーよ。だから名前が無理して体張って守る必要もねぇ。もっと肩の力抜けよ」
「さとる」
「ま、名前が呪われた時は最強の俺が祓ってやんよ」
「お手柔らかに」
ぐしゃぐしゃとその小さな頭を撫でると
やっと名前が笑ってくれた気がした
「悟は不器用だけど優しいね。そりゃ女の子がほっとかないわけだ」
そう言って名前が笑うから
悟は聞こえない位の声で小さく小さく囁いた
「名前にだけだよ。こんな面倒な事するの」
「ん?」
「なんでもねー。ようやく最強でイケメンの俺の良さがわかった?名前ちゃん?」
「はいはい。さすが坊ちゃん」
「坊ちゃんって言うなよ名前」
彼女の過去を知り
少しだけ以前よりも近くなったと悟は感じた
―――俺がお前の嫌だったこと思い出せない位、楽しいことで埋め尽くしてやる
そう小さな誓いを立てた
初めての2人で迎えたクリスマスの夜だった
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2人で入ったファミレスでご飯を食べている時
名前が唐突に悟に質問をした
何を意味しているか理解できず「は?」と目線だけで返すと
「だってイブだよ?彼女ほったらかしてていいの?」
「…お前は俺といていいのかよ。彼氏いんだろ?」
「え?いないよ?」
開いた口がふさがらないというのは
正にこの事だ
「え?だ、だってお前、ちょっと前にデートがどうとかいってたじゃねーか!」
「あぁ。あれね」
「嘘だったのかよ。それとも見栄はってたの?」
「ううん。私にとってはデートかな」
名前の言わんとしていることが
全く理解できない
イライラとした気持ちをそのまま愚直に
悟は彼女にぶつけた
「彼氏いるのかいねーのかどっちなんだよ!!」
「”いた”が正解かな。5年前に任務中に亡くなったよ」
「え…」
「私が弱かったから」
そう言ってふわっと笑う名前は自分を見ているはずなのに
その視線は交わっていないようでどこか遠くを見ている感じがした
「…お前今でも弱ぇじゃん」
「ふふっ そうだね」
「悟、私ね。呪われてるんだ」
そう微笑みながら話す名前はどこかはかなげで
ちゃんと捕まえておかないと消えてしまいそうな
雰囲気を醸し出していた
「悟坊ちゃんに、ちょっと昔話をしてあげようか」
おどけたように名前は語りだした
淡々と時には微笑みながら
澄み渡った声で紡がれていく言の葉は
その話す様子とは裏腹に残酷な現実だった
ーーー名前は幼いころから呪いが見えていた
非術師の家庭で育った彼女は両親に言っても伝わらないことから
次第に呪いの事は見て見ぬふりをすることで他の人と折り合いをつけていた
「8歳の誕生日の日にね、お父さんにイチゴのデコレーションケーキを買ってきてもらったの。イチゴで上が埋め尽くされてるやつ。すごく美味しそうでね。でも、食べる前に3級ぐらいの奴が家に現れたの」
呪いを目視出来ない両親
それをまだ、祓うすべをしらない名前
「目の前で両親は襲われ、食べられた。その時初めて私の術式が発動した」
怒り、悲しみ、憎しみをのせた炎が轟々と立ち上がり
名前の実家は燃え尽きた
呪霊は祓えた
実際は呪霊に殺されたはずの両親は家事で焼死という事になった
「その後、親族の元を転々として中1の時特例で高専に引き取られたの。うちの両親一人っ子で、祖父母もいなくて…呪いが見える私を遠い親戚は、気が触れた変人扱いだったから」
「ここに来てからはいろんな人が可愛がってくれたから、寂しくなかった。高専に来て良かったって今でも思ってる。
良く面倒見てくれた先輩で大好きな人がいて、中3の時初めて彼氏が出来た」
「…年上なんだ?」
「うん。5個上。彼が卒業とともに告白してくれてね。付き合ってた。そんな彼も私が高3の時に」
名前の瞳が潤んでいたのを悟は見逃さなかった
それでも必死に我慢して気丈に振舞う姿に
ぐずりと心が軋んだ気がした
「私との任務で…私を庇って…最後は私の腕の中で息を引き取った。だから…」
「だから、私はこれからも身を盾にしてみんなを守るの。私の大好きな人は私を庇っていなくなったから、その人の分も一人でも多くの人を守りたいって思ってる」
悟は彼女の言葉に少し違和感を覚えたが
今はまだ口にしないでおこうと思った
「それにしても私の大切な人はみんな死んじゃうって。私、どんだけ呪われてんだろうね」
そう言って名前が微笑むから
思わず悟の語気が強くなった
「無理して笑ってんじゃねぇよ。名前は呪われてねぇ。俺の目でみてもお前に呪いなんて見えね―し。たまたま周りの奴が最弱過ぎたんだよ」
「え?」
「俺の六眼、信用できねー?」
「ふふっ 出来るよ」
悟は無意識に名前の頭に向かって
手を伸ばしてその頭にポンと手のひらを置いた
「俺は最強だから一緒にいても死なねーよ。だから名前が無理して体張って守る必要もねぇ。もっと肩の力抜けよ」
「さとる」
「ま、名前が呪われた時は最強の俺が祓ってやんよ」
「お手柔らかに」
ぐしゃぐしゃとその小さな頭を撫でると
やっと名前が笑ってくれた気がした
「悟は不器用だけど優しいね。そりゃ女の子がほっとかないわけだ」
そう言って名前が笑うから
悟は聞こえない位の声で小さく小さく囁いた
「名前にだけだよ。こんな面倒な事するの」
「ん?」
「なんでもねー。ようやく最強でイケメンの俺の良さがわかった?名前ちゃん?」
「はいはい。さすが坊ちゃん」
「坊ちゃんって言うなよ名前」
彼女の過去を知り
少しだけ以前よりも近くなったと悟は感じた
―――俺がお前の嫌だったこと思い出せない位、楽しいことで埋め尽くしてやる
そう小さな誓いを立てた
初めての2人で迎えたクリスマスの夜だった
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