好きだと言えない
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彼女との出会いは
高専へ入学を控えていた頃だった
その年の桜は例年より少し開花が早くて
満開をすでに迎えていた
木の中には早くも散り始めていた気がする
「五条君!!!」
見学という名の任務同行をした
名前も知らない1級術師
彼女に宛がわれた任務は2級討伐
僕の力試しをする予定だったにもかかわらず
現れたのは特級呪霊で
なんの躊躇もせずに貴方は僕の盾になった
腹部が抉られ
どこもかしこも血まみれなのに
「…怪我、してない?」
そう言って僕の心配をして笑った
その後2人で
無我夢中でそれを祓った
あの頃の僕はまだまだで
もっと強くなりたいと思った
一瞬でこんなやつ払えるくらいに
目の前の特級が
塵となって風に消えた後
力尽き倒れた
貴方を僕は抱き上げた
ヌルりと手を伝う生暖かい液体と
鼻につく錆びた鉄の様な匂い
柄にもなく手を取ると体液とは裏腹に
冷え切った冷たい指先
「お前、バカなんじゃねーの?俺なんか庇って」
「子…どもを…守るのは。大人の…務めだよ」
貴方は大人で僕は子どもだからだと言った
「五条家」を嫡子だからだと
常に言われてきた僕にとって
その答えはとても新鮮であったはずなのに
その時はそれが癪に触ってイライラをぶつけた
「けっ 偉そうなことぬかしてんじゃねーよ! 弱っちい癖に」
困ったように笑ったあなたの顔に
ひらひらと舞い降りてきた
桜の花びらが張り付いた
その情景が綺麗で儚くて
人って簡単に死んでしまうと理解したのと同時に
貴方だけは死なせたくないと強く思った
抱き上げた小さな体を
守りたいと
生まれて初めて人を守りたいと
そう思ったんだ
今思えば
僕は
あの日から貴方に恋をしている
.
高専へ入学を控えていた頃だった
その年の桜は例年より少し開花が早くて
満開をすでに迎えていた
木の中には早くも散り始めていた気がする
「五条君!!!」
見学という名の任務同行をした
名前も知らない1級術師
彼女に宛がわれた任務は2級討伐
僕の力試しをする予定だったにもかかわらず
現れたのは特級呪霊で
なんの躊躇もせずに貴方は僕の盾になった
腹部が抉られ
どこもかしこも血まみれなのに
「…怪我、してない?」
そう言って僕の心配をして笑った
その後2人で
無我夢中でそれを祓った
あの頃の僕はまだまだで
もっと強くなりたいと思った
一瞬でこんなやつ払えるくらいに
目の前の特級が
塵となって風に消えた後
力尽き倒れた
貴方を僕は抱き上げた
ヌルりと手を伝う生暖かい液体と
鼻につく錆びた鉄の様な匂い
柄にもなく手を取ると体液とは裏腹に
冷え切った冷たい指先
「お前、バカなんじゃねーの?俺なんか庇って」
「子…どもを…守るのは。大人の…務めだよ」
貴方は大人で僕は子どもだからだと言った
「五条家」を嫡子だからだと
常に言われてきた僕にとって
その答えはとても新鮮であったはずなのに
その時はそれが癪に触ってイライラをぶつけた
「けっ 偉そうなことぬかしてんじゃねーよ! 弱っちい癖に」
困ったように笑ったあなたの顔に
ひらひらと舞い降りてきた
桜の花びらが張り付いた
その情景が綺麗で儚くて
人って簡単に死んでしまうと理解したのと同時に
貴方だけは死なせたくないと強く思った
抱き上げた小さな体を
守りたいと
生まれて初めて人を守りたいと
そう思ったんだ
今思えば
僕は
あの日から貴方に恋をしている
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