純愛
name change
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ーーー悟のまっすぐな蒼い瞳から目が逸らせない
何か言わないといけないと名前は
頭では理解しているものの
声にすることが出来なかった
ふと悟の眼差しが優しく弧を描き
「ごめん」と消え入りそうな声が耳に届いた
「ごめん。僕、何そんなに焦ってんだろうね。ほんと、かっこ悪い。名前の前ではかっこつけたいんだけどな」
「さと…」
「返事は急がないよ。名前がここにいるってことは向こうの全てを捨てる向こうの全てを捨てる ってことだ。そう簡単じゃないのも分かってるつもりだよ。でも僕の気持ちを知ってて欲しかった。あの時と僕は何一つ変わってないって言いたくなっちゃったんだ」
愛おしそうな瞳で見つめ名前の頭を撫でる
その優しい手つきからも気持ちは伝わる様だった
「じゃ、僕、風呂入ってくるね。眠たかったら先寝てていいから」
そう言って背中を見せた悟に
名前は何も言えずに廊下へ出て扉を閉めた
彼女の気配が扉から遠ざかってから
悟はその場にしゃがみこんだ
心臓がやけに五月蠅い
女性相手にもっとかっこつけたセリフや
いやらしいセリフをいくつも吐いてきた
でも名前に対して紡いだ言葉は
今までの人生の中で一番緊張したかもしれない
「はは…ほんと、かっこ悪ぃ」
拒絶はされていない
だけど肯定もされていない
彼女の見開いた瞳がその後どんな言葉を
紡ぐのか怖くなって自分から引き延ばしてしまった
「好き」と「結婚」は重みが違う
でも結婚出来れば二度と名前を手放すことはない
また以前の様に離れる事は今の悟には考えられなかった
もっと彼女がこちらの生活に慣れてから言うべき
だったかもしれない
全てを捨ててとよく恋愛ドラマ等で言うけれど
自分の家族も、友人も今まで彼女を作り上げてきた
全てがこちらの世界には存在しない
本当に何もかも彼女は失うのだ
悟はシャワーを頭から浴びた
名前の失うもの全てと同等の価値が自分にあるのか
それ以上の幸せを本当に与えることが出来るのか
自分の中の不安に向き合うと答えは自ずと出てくる
「あるか無いかじゃなくて。「やる」か「やらないか」だな」
ーーー覚悟を決めてたつもりなのに
揺らぐなんて俺らしくねーな
もう二度と手放す気はねーし
俺があいつを幸せにするんだ
「俺以上名前を幸せにできる奴なんかいねーだろ」
ーーー
ーーーーー
ーーー
名前は冷蔵庫からビールを
取り出すとそのままソファーへと座った
ビールを飲みながら頭の中は
さっきの悟の言葉でいっぱいだった
「あの頃からずっと名前が好き。結婚を前提に僕と付き合って」
私もあの頃から何も変わらず
悟の事が好きだった
すぐに返事をしてしまえたら良かったのに
だけど勢いに任せるほど若くもない
年を取るという事はそういう事だ
「本当にこれで、いいのかな…」
再び口に含んだビールの味は
全くしなかった
今日いくつか分かったことがある
悟はこの世界でおそらく重要人物だという事
それと相変わらずのイケメンで
きっと女性にもモテてるだろう
それに比べて私は何も取り柄がない
若くもないし、美人でもスタイルも良くない
そして悟が言ったみたいに
ここには私には何もない、何も残ってない
家族はもういないからいいとしても
友人も知人もいない、仕事もない
そもそも戸籍もないだろう
私はこの世界では異物でしかない
そんな私でいいのだろうか?
悟にはもっとふさわしい人がいるんじゃないだろうか
でも
12年の歳月がここでは過ぎていて
その間ずっと忘れないでいてくれて
しかも自分を想ってくれていたのは
「…正直、嬉しいよね」
「なにが嬉しいの?」
独り言になぜか返事が返ってきた
吃驚して顔を上げると
触れてしまいそうなほど近くで
悟がこちらを覗き込んでいた
.
何か言わないといけないと名前は
頭では理解しているものの
声にすることが出来なかった
ふと悟の眼差しが優しく弧を描き
「ごめん」と消え入りそうな声が耳に届いた
「ごめん。僕、何そんなに焦ってんだろうね。ほんと、かっこ悪い。名前の前ではかっこつけたいんだけどな」
「さと…」
「返事は急がないよ。名前がここにいるってことは向こうの全てを捨てる
愛おしそうな瞳で見つめ名前の頭を撫でる
その優しい手つきからも気持ちは伝わる様だった
「じゃ、僕、風呂入ってくるね。眠たかったら先寝てていいから」
そう言って背中を見せた悟に
名前は何も言えずに廊下へ出て扉を閉めた
彼女の気配が扉から遠ざかってから
悟はその場にしゃがみこんだ
心臓がやけに五月蠅い
女性相手にもっとかっこつけたセリフや
いやらしいセリフをいくつも吐いてきた
でも名前に対して紡いだ言葉は
今までの人生の中で一番緊張したかもしれない
「はは…ほんと、かっこ悪ぃ」
拒絶はされていない
だけど肯定もされていない
彼女の見開いた瞳がその後どんな言葉を
紡ぐのか怖くなって自分から引き延ばしてしまった
「好き」と「結婚」は重みが違う
でも結婚出来れば二度と名前を手放すことはない
また以前の様に離れる事は今の悟には考えられなかった
もっと彼女がこちらの生活に慣れてから言うべき
だったかもしれない
全てを捨ててとよく恋愛ドラマ等で言うけれど
自分の家族も、友人も今まで彼女を作り上げてきた
全てがこちらの世界には存在しない
本当に何もかも彼女は失うのだ
悟はシャワーを頭から浴びた
名前の失うもの全てと同等の価値が自分にあるのか
それ以上の幸せを本当に与えることが出来るのか
自分の中の不安に向き合うと答えは自ずと出てくる
「あるか無いかじゃなくて。「やる」か「やらないか」だな」
ーーー覚悟を決めてたつもりなのに
揺らぐなんて俺らしくねーな
もう二度と手放す気はねーし
俺があいつを幸せにするんだ
「俺以上名前を幸せにできる奴なんかいねーだろ」
ーーー
ーーーーー
ーーー
名前は冷蔵庫からビールを
取り出すとそのままソファーへと座った
ビールを飲みながら頭の中は
さっきの悟の言葉でいっぱいだった
「あの頃からずっと名前が好き。結婚を前提に僕と付き合って」
私もあの頃から何も変わらず
悟の事が好きだった
すぐに返事をしてしまえたら良かったのに
だけど勢いに任せるほど若くもない
年を取るという事はそういう事だ
「本当にこれで、いいのかな…」
再び口に含んだビールの味は
全くしなかった
今日いくつか分かったことがある
悟はこの世界でおそらく重要人物だという事
それと相変わらずのイケメンで
きっと女性にもモテてるだろう
それに比べて私は何も取り柄がない
若くもないし、美人でもスタイルも良くない
そして悟が言ったみたいに
ここには私には何もない、何も残ってない
家族はもういないからいいとしても
友人も知人もいない、仕事もない
そもそも戸籍もないだろう
私はこの世界では異物でしかない
そんな私でいいのだろうか?
悟にはもっとふさわしい人がいるんじゃないだろうか
でも
12年の歳月がここでは過ぎていて
その間ずっと忘れないでいてくれて
しかも自分を想ってくれていたのは
「…正直、嬉しいよね」
「なにが嬉しいの?」
独り言になぜか返事が返ってきた
吃驚して顔を上げると
触れてしまいそうなほど近くで
悟がこちらを覗き込んでいた
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