純愛
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向かった先は足場の組まれている都内の雑居ビル
工事中で廃墟となっているそこは人の気配はない
ある一人を除いて
車のドアを乱暴に閉め何も言わずに中へ入っていく五条の背中に
「お気をつけて」と小さく呟いた後伊地知は帳を降ろした
目当ての男はそこに居た
悟が来るのが分かっていたかのような口ぶりで
あいさつをしてきた
「ようこそ。五条君」
「お前と話してる時間ねぇよ。さっさと呪い解け」
「流石だね。俺を殺しても呪いが解けないのバレてるんだ」
悟は呪力を飛ばすと男の両足が砕けた
「時間ねぇって言ってんだろ?解けよ。ってか呪具を出せ!」
呻きまわる男の首元がきらりと光ったのを
悟は見逃さなかった
その首にかかった石を力任せに引きちぎり
掌の上で粉々に砕いた
「ははっ 簡単に壊すね?…これで俺もあの子も戻る道がなくなったよ?いいの?」
「いいんだよ」
足元に転がる男を蹴飛ばそうとしたが
男が話し出したので悟は足をひっこめた
「…桔梗はさ、俺の彼女にそっくりだったんだよ。3年前2人で旅行先で交通事故にあった。それがきっかけで俺だけここへ飛ばされた。なぜ…なぜ俺がって、何度も何度も呪ったよ」
「そんな時お前を見かけた。知ってた?京都で俺らすれ違ってんだよ。彼女がモデルみたいな子がいるって騒いでたからお前を覚えていた」
「…ずっと一人で探してた。帰りたくて、あいつの元に戻りたくて。あいつが生きてるのか死んでるのかもわかんねぇけど、あいつの元に戻りたかった…」
「桔梗が言ってた女が…名前が俺の世界の人間だってすぐに分かった。だからお前から引き離して無理やりにでも向こうへ戻るつもりだった。失敗に終わったけどな」
「…五条。桔梗は何も知らねぇよ。俺が利用した女だ、あいつは責めるな」
言いたいことだけ言って男は煙の様に消えていった
悟は男が消えても暫くそこを見つめていた
「…お前の気持ち、わからなくもないよ。僕もお前の立場ならそうしたかもね」
スマホを取り出し硝子へ電話をかけ
伊地知の元へ戻った悟は
車を高専に向けて急いで出してもらった
後部座席で窓からの景色を何気なく目で追いながら
先程の出来事の詳細を伊地知に話した
「…そうだったんですね」
「僕もあいつの立場なら同じことしたかもな、なんてね。ま、あいつと違って僕って何でもできちゃうからー」
「その人は消えたんですよね?戻れたんでしょうか?」
「さあね。桔梗の件は上に任せる。伊地知ー、報告書書いといて」
「え?私がですか??」
「え?他にだれが書くんだよ?」
真っ先に連絡した硝子は「症状が改善した」と言っていた
名前の呪いも解けたようだったが
自分の目で確認しないとやはり不安は拭えない
「僕、名前のとこに行くから忙しいの」
悟は再び視線を窓の外へ向けると
左腕のブレスレッドを撫でた
ベットに横たわる青白い顔を思い出すだけで息が苦しくなる
早く彼女を自分の腕で抱きしめて温もりを感じたかった
「伊地知、飛ばして」
「え?」
「名前に会いたい。ちゃんと無事を確かめたいから。は・や・く!!」
「は、はいっ」
突然、悟の手元にあったスマホが震えてどきっとした
嫌な思考が頭を横切る
画面の文字を見た瞬間悟は
タップし急いで自分の耳元へ当てた
『ーーー悟?』
その声を聞いた時
呼吸することを思わず忘れた
『悟?あれ?繋がってない?もしもーーし』
いつもの名前声色に安堵する
震えてるのがバレてしまいそうな気がして
必死に悟は平然を装った
「名前…聞こえてるよ」
『悟、怪我してない?一人で向かったって硝子に聞いて』
ーーー君は僕をなんだと思ってんの?
死にかけといて人の事の心配してんじゃねぇよ
「…もうすぐ着くよ。そこでちゃんと待ってて」
『うん。悟?』
「なーにー?」
『本当に大丈夫?』
ーーー大丈夫かだって?
大丈夫なわけねーだろ
今、お前の声聞くだけで苦しくて死にそうだよ
「ねぇ。なんでそんな事聞くの?」
『なんとなく…辛そうな声に聞こえて。疲れてる?今日は悟の好きなもの夕飯に作るね』
ーーーもう、お手上げだ、敵わないよ
「あーーーーーーっもう!!!すぐ帰る。動くなよ!」
悟は一方的に通話を切ると伊地知に車を
人目のつかない所に停車させた
.
工事中で廃墟となっているそこは人の気配はない
ある一人を除いて
車のドアを乱暴に閉め何も言わずに中へ入っていく五条の背中に
「お気をつけて」と小さく呟いた後伊地知は帳を降ろした
目当ての男はそこに居た
悟が来るのが分かっていたかのような口ぶりで
あいさつをしてきた
「ようこそ。五条君」
「お前と話してる時間ねぇよ。さっさと呪い解け」
「流石だね。俺を殺しても呪いが解けないのバレてるんだ」
悟は呪力を飛ばすと男の両足が砕けた
「時間ねぇって言ってんだろ?解けよ。ってか呪具を出せ!」
呻きまわる男の首元がきらりと光ったのを
悟は見逃さなかった
その首にかかった石を力任せに引きちぎり
掌の上で粉々に砕いた
「ははっ 簡単に壊すね?…これで俺もあの子も戻る道がなくなったよ?いいの?」
「いいんだよ」
足元に転がる男を蹴飛ばそうとしたが
男が話し出したので悟は足をひっこめた
「…桔梗はさ、俺の彼女にそっくりだったんだよ。3年前2人で旅行先で交通事故にあった。それがきっかけで俺だけここへ飛ばされた。なぜ…なぜ俺がって、何度も何度も呪ったよ」
「そんな時お前を見かけた。知ってた?京都で俺らすれ違ってんだよ。彼女がモデルみたいな子がいるって騒いでたからお前を覚えていた」
「…ずっと一人で探してた。帰りたくて、あいつの元に戻りたくて。あいつが生きてるのか死んでるのかもわかんねぇけど、あいつの元に戻りたかった…」
「桔梗が言ってた女が…名前が俺の世界の人間だってすぐに分かった。だからお前から引き離して無理やりにでも向こうへ戻るつもりだった。失敗に終わったけどな」
「…五条。桔梗は何も知らねぇよ。俺が利用した女だ、あいつは責めるな」
言いたいことだけ言って男は煙の様に消えていった
悟は男が消えても暫くそこを見つめていた
「…お前の気持ち、わからなくもないよ。僕もお前の立場ならそうしたかもね」
スマホを取り出し硝子へ電話をかけ
伊地知の元へ戻った悟は
車を高専に向けて急いで出してもらった
後部座席で窓からの景色を何気なく目で追いながら
先程の出来事の詳細を伊地知に話した
「…そうだったんですね」
「僕もあいつの立場なら同じことしたかもな、なんてね。ま、あいつと違って僕って何でもできちゃうからー」
「その人は消えたんですよね?戻れたんでしょうか?」
「さあね。桔梗の件は上に任せる。伊地知ー、報告書書いといて」
「え?私がですか??」
「え?他にだれが書くんだよ?」
真っ先に連絡した硝子は「症状が改善した」と言っていた
名前の呪いも解けたようだったが
自分の目で確認しないとやはり不安は拭えない
「僕、名前のとこに行くから忙しいの」
悟は再び視線を窓の外へ向けると
左腕のブレスレッドを撫でた
ベットに横たわる青白い顔を思い出すだけで息が苦しくなる
早く彼女を自分の腕で抱きしめて温もりを感じたかった
「伊地知、飛ばして」
「え?」
「名前に会いたい。ちゃんと無事を確かめたいから。は・や・く!!」
「は、はいっ」
突然、悟の手元にあったスマホが震えてどきっとした
嫌な思考が頭を横切る
画面の文字を見た瞬間悟は
タップし急いで自分の耳元へ当てた
『ーーー悟?』
その声を聞いた時
呼吸することを思わず忘れた
『悟?あれ?繋がってない?もしもーーし』
いつもの名前声色に安堵する
震えてるのがバレてしまいそうな気がして
必死に悟は平然を装った
「名前…聞こえてるよ」
『悟、怪我してない?一人で向かったって硝子に聞いて』
ーーー君は僕をなんだと思ってんの?
死にかけといて人の事の心配してんじゃねぇよ
「…もうすぐ着くよ。そこでちゃんと待ってて」
『うん。悟?』
「なーにー?」
『本当に大丈夫?』
ーーー大丈夫かだって?
大丈夫なわけねーだろ
今、お前の声聞くだけで苦しくて死にそうだよ
「ねぇ。なんでそんな事聞くの?」
『なんとなく…辛そうな声に聞こえて。疲れてる?今日は悟の好きなもの夕飯に作るね』
ーーーもう、お手上げだ、敵わないよ
「あーーーーーーっもう!!!すぐ帰る。動くなよ!」
悟は一方的に通話を切ると伊地知に車を
人目のつかない所に停車させた
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