純愛
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悟が消えてから3年の月日が流れ
名前は依然として悟を忘れることが出来ずにいた
悟が消えてしまったあの日から数日仕事を休んだ
熱をぶり返したのもあるが
泣き続けて何もする気が起きなかった
年越しを迎える前の大掃除で
悟に貸していた部屋の掃除をした時に小さい紙袋を見つけた
悪いと思いつつ中を覗くと手紙と小箱が入っていた
手紙には「名前へ」と書かれていて
小箱を開けると青いシンプルなデザインのピアスが
納められていた
手紙は至ってシンプルで
「MaryChristmas」と「いつもありがとう」の文字
クリスマスに向けて用意されていたのだろう
2人で迎えられなかった悟の誕生日やクリスマス
だが約束を交わしていたわけでもない
京都で交わされた数々の約束も
今思えばあの時点で果たされることなどないと
分かっていた
でも、何かで縛りたかった
行かないでなどと言えたはずもないのに
悟が置いて行ったそれを見るたび涙腺が緩んでしまうので
ピアスを今の様に身に着けるのに2年以上も
年月をかけてしまった
「名前~ほんとに人足りないんだって!行こうよ飲み会」
「いやもう私30過ぎたし」
「大丈夫、大丈夫!相手方もアラサーだから!」
悟を想い続けていた私は彼氏なんか
到底作る気は起きなかったし
結婚も諦めていた
「名前ってばまだ例の留学生に片思いなの?連絡取れてないんでしょ?」
懐かしい悟の設定に思わず笑みがこぼれた
そんな事を友人に問い詰められた時に
話した記憶が懐かしい
「懐かしい…か」
もう、そう思うほど年月は流れていた
懐かしいと思えるくらいに
悟は私の事を覚えているのだろうか?
イケメンの彼の事だきっと彼女の一人二人いるだろう
「元気でいてくれれば十分…か」
結局友人に押し切られ
明日の夜飲み会に行く約束をさせられてしまった
私もそろそろ前を見なくてはいけない
そんな時期になってしまった様で
何気なく左手に通っているブレスに手を添えた
結局参加させられた飲み会
久々ににぎやかなのは嫌いじゃないけれど
色々と聞いてくる男性が嫌だった
元カレとの苦い記憶もある名前は
当たり障りのない返事をして
予定があるからと言って1次会で逃げる様にその場を去った
週末の繁華街はまだまだ賑やかだ
その中を新宿駅の西口に向かって歩く
いつもの角を曲がった時だった
知っているはずの道のはずだった
考え事をしていた名前は気付くのが遅かった
人気がないと思った
さっきまであんなに人であふれていた道に
誰もいない、一人もいないのだ
明るいはずの駅までに道もなぜか街灯が1つ灯っているだけ
異様な雰囲気は明らかだった
戻ろう
そう思い名前は来た道を引き返す
だがどれだけ進んでも街灯が1つ灯っているだけの
この道にたどり着いてしまう
街灯の奥は仄暗く
道があるのかさえ目を凝らしても分からない
その闇の奥から何かが近づいてくる気配がした
「呪霊は普通見えねぇよ。呪力が高かったり死に際だったり」
昔悟が話してくれた言葉が脳裏に浮かんだ
頭の中でサイレンが鳴っている
逃げろと走れと言っているのに
名前は一歩も動けないでいた
ズズズ…
ズズズ…
真っ黒い何かがこちらへ向かって這っている
ようやく動いた足で数歩後ろへ下がると
冷たい何かにぶつかった
それが壁だと理解するのは数秒だった
殺されるーーーー
そう思った時に口にしたのは彼の名前だった
「さ、悟!!悟!!!」
「名前!掴まれ!!」
いるはずもない人物の声がして
声のした方へ目線を送ると
斜め上の壁に黒い穴が開いていて
そこから一本の腕が伸びていた
本来ならその光景は異常で恐怖の対象だろう
だがその伸びた腕に名前の見覚えのある
ブレスレットを見つけると
なんのためらいもなく右手を伸ばした
大きな掌は力強く名前の手を掴んで
黒い穴の中へと引き込んだ
.
名前は依然として悟を忘れることが出来ずにいた
悟が消えてしまったあの日から数日仕事を休んだ
熱をぶり返したのもあるが
泣き続けて何もする気が起きなかった
年越しを迎える前の大掃除で
悟に貸していた部屋の掃除をした時に小さい紙袋を見つけた
悪いと思いつつ中を覗くと手紙と小箱が入っていた
手紙には「名前へ」と書かれていて
小箱を開けると青いシンプルなデザインのピアスが
納められていた
手紙は至ってシンプルで
「MaryChristmas」と「いつもありがとう」の文字
クリスマスに向けて用意されていたのだろう
2人で迎えられなかった悟の誕生日やクリスマス
だが約束を交わしていたわけでもない
京都で交わされた数々の約束も
今思えばあの時点で果たされることなどないと
分かっていた
でも、何かで縛りたかった
行かないでなどと言えたはずもないのに
悟が置いて行ったそれを見るたび涙腺が緩んでしまうので
ピアスを今の様に身に着けるのに2年以上も
年月をかけてしまった
「名前~ほんとに人足りないんだって!行こうよ飲み会」
「いやもう私30過ぎたし」
「大丈夫、大丈夫!相手方もアラサーだから!」
悟を想い続けていた私は彼氏なんか
到底作る気は起きなかったし
結婚も諦めていた
「名前ってばまだ例の留学生に片思いなの?連絡取れてないんでしょ?」
懐かしい悟の設定に思わず笑みがこぼれた
そんな事を友人に問い詰められた時に
話した記憶が懐かしい
「懐かしい…か」
もう、そう思うほど年月は流れていた
懐かしいと思えるくらいに
悟は私の事を覚えているのだろうか?
イケメンの彼の事だきっと彼女の一人二人いるだろう
「元気でいてくれれば十分…か」
結局友人に押し切られ
明日の夜飲み会に行く約束をさせられてしまった
私もそろそろ前を見なくてはいけない
そんな時期になってしまった様で
何気なく左手に通っているブレスに手を添えた
結局参加させられた飲み会
久々ににぎやかなのは嫌いじゃないけれど
色々と聞いてくる男性が嫌だった
元カレとの苦い記憶もある名前は
当たり障りのない返事をして
予定があるからと言って1次会で逃げる様にその場を去った
週末の繁華街はまだまだ賑やかだ
その中を新宿駅の西口に向かって歩く
いつもの角を曲がった時だった
知っているはずの道のはずだった
考え事をしていた名前は気付くのが遅かった
人気がないと思った
さっきまであんなに人であふれていた道に
誰もいない、一人もいないのだ
明るいはずの駅までに道もなぜか街灯が1つ灯っているだけ
異様な雰囲気は明らかだった
戻ろう
そう思い名前は来た道を引き返す
だがどれだけ進んでも街灯が1つ灯っているだけの
この道にたどり着いてしまう
街灯の奥は仄暗く
道があるのかさえ目を凝らしても分からない
その闇の奥から何かが近づいてくる気配がした
「呪霊は普通見えねぇよ。呪力が高かったり死に際だったり」
昔悟が話してくれた言葉が脳裏に浮かんだ
頭の中でサイレンが鳴っている
逃げろと走れと言っているのに
名前は一歩も動けないでいた
ズズズ…
ズズズ…
真っ黒い何かがこちらへ向かって這っている
ようやく動いた足で数歩後ろへ下がると
冷たい何かにぶつかった
それが壁だと理解するのは数秒だった
殺されるーーーー
そう思った時に口にしたのは彼の名前だった
「さ、悟!!悟!!!」
「名前!掴まれ!!」
いるはずもない人物の声がして
声のした方へ目線を送ると
斜め上の壁に黒い穴が開いていて
そこから一本の腕が伸びていた
本来ならその光景は異常で恐怖の対象だろう
だがその伸びた腕に名前の見覚えのある
ブレスレットを見つけると
なんのためらいもなく右手を伸ばした
大きな掌は力強く名前の手を掴んで
黒い穴の中へと引き込んだ
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