初恋
name change
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「名前俺、もうじき誕生日なんだよね」
夕食後並んで食器を片付けている時に
突然悟が脈略もなく言い出した
「え?いつ?」
「12月7日」
「って来週じゃん!いくつになるの?」
正直年齢は言いたくなかったが
少しでも名前との歳の差を埋めたくて「16」と答えた
「若っ!!16かぁ。で、何か欲しいものでもあるの?」
「ものじゃねーんだけど…一緒に京都に行きたい」
「は?京都~??」
「無茶なお願いなのはわかってんだけど。京都に戻る鍵・・・がありそうなんだ」
ずっと内緒にしていたが
現時点で分かったことをかいつまんで彼女に説明をした
いつの間にか食器は片づけ終わっていて
食後のコーヒーを名前は淹れながら
悟の話に相槌を打っているようだった
「わかった。今度の土日で京都行こう。ホテル取れるかなぁ。ツアーの方が安上がりかな?」
「いいのか?」
「だって京都行かないと戻れないかもしれないんでしょ?行くしかないじゃん!」
そう言って笑ってくれる名前に
悟は心臓が苦しくなった気がした
ーーー
ーーーーーー
ーーー
週末になり名前が探したツアーで京都に向かった
現地で時間が足りなくならないよう朝早い新幹線に乗り込んだ
もちろん帰りも終電に近いチケットを手配した
ホテルは同部屋の方が安く済むのでツインルームみたいだった
夕べから乾いた咳を繰り返している名前に
悟はペットボトルの水を差しだした
「名前ほら。大丈夫か?」
「ん。ありがと」
「着くまで寝とけ。あと、これかけとけ」
名前の頭を自分に引き寄せもたれかけさせると
悟は自分の着てきたダッフルコートを肩からかけた
先日、名前の友人からもらった古着のコートだ
まもなくして隣から寝息が聞こえてきた
眠りながらもたまに咳き込む様子を見て
悟は彼女の額に手を当てた
熱は無いようだった
最後まで彼女を振り回している
でも手放すことも出来ない
残りのわずかな時間を一緒に過ごしたいと
自分本位でしかないのはわかっている
そんな自分を悟は嘲笑った
「ごめん…」
もたれ掛かっているいる彼女の腕を撫でながら
そう紡ぐと眠る彼女の表情が
ほんのり笑ったかの様に見えた
京都に着き電車とバスを2時間かけて乗り継いだ
山道を目的地に向かってひたすら歩く
観光地とはかけ離れているそこは人もおらず
冬特有の凍てついた空気で満ちていた
「やっぱさみーな。大丈夫か名前」
「ゲホッゴホッ…うん平気平気」
「全然平気そうに見えねー。具合悪くなる前に言えよ?」
悟の手はずっと彼女の手を握って歩いた
本来ならば連れてくるべきではなかったかもしれない
だが、離れて行動するのは嫌だった
しばらく歩くと小さな祠が見えてきた
悟の目には別のモノも映りだされていた
「…あった…」
祠の奥に悟は手を伸ばした様に名前には見えていた
何かをつかむ動作の後に手を引いて名前の目の前で掌を開いた
大きな掌には小さな石が握られていた
「えっなにこれ?どこにあったの?」
「…この祠の奥ってとこか。もう一つ祠があってそれが向こうとつながってんだよ。向こうの物が手元にあれば戻れる。って言っても例の文献からの俺の推測でしかねーけど」
悟は名前を覗き込んだ
彼女は喜んでいるような悲しんでいるような
複雑な表情をしていた
「それって、今日消えちゃうとかってあり得る?」
「どーかな?文献では現れた土地も関係してるから、一番可能性があるのはお前の家の玄関かな」
「そっか、よかった…よかったね」
よかったのか?
自分はほっとしているのか悲しんでいるのかわからなかった
「名前、それ、本気で言ってる?」
名前が返事をする間もなく目の前が真っ暗になった
気が付けば悟に抱きしめられていた
「ごめん。俺喜ばなきゃいけないはずなのに嬉しくない」
「名前と離れたくない…」
告げる予定のなかった言葉だった
元の世界に戻りたいとは思っている
でも同時に名前と一緒に居たいとも強く願っていた
「名前…俺、「わかった。今日は2人で思い出作りしよ!」…は?」
「もう行かなきゃいけないとこないんでしょ?一緒にお寺や神社巡りして、美味しいもの食べていっぱい楽しもうよ!」
そう言いながら小さな体で悟の体にしがみついてくるから
名前の小さな体をかみしめるように全力で抱きしめ返した
「どこ、行きたいんだよ?」
「んーここからなら貴船かな。あと鈴虫寺」
「遠いっつーの!ま、行けるだけ回ろうぜ」
.
夕食後並んで食器を片付けている時に
突然悟が脈略もなく言い出した
「え?いつ?」
「12月7日」
「って来週じゃん!いくつになるの?」
正直年齢は言いたくなかったが
少しでも名前との歳の差を埋めたくて「16」と答えた
「若っ!!16かぁ。で、何か欲しいものでもあるの?」
「ものじゃねーんだけど…一緒に京都に行きたい」
「は?京都~??」
「無茶なお願いなのはわかってんだけど。京都に戻る鍵・・・がありそうなんだ」
ずっと内緒にしていたが
現時点で分かったことをかいつまんで彼女に説明をした
いつの間にか食器は片づけ終わっていて
食後のコーヒーを名前は淹れながら
悟の話に相槌を打っているようだった
「わかった。今度の土日で京都行こう。ホテル取れるかなぁ。ツアーの方が安上がりかな?」
「いいのか?」
「だって京都行かないと戻れないかもしれないんでしょ?行くしかないじゃん!」
そう言って笑ってくれる名前に
悟は心臓が苦しくなった気がした
ーーー
ーーーーーー
ーーー
週末になり名前が探したツアーで京都に向かった
現地で時間が足りなくならないよう朝早い新幹線に乗り込んだ
もちろん帰りも終電に近いチケットを手配した
ホテルは同部屋の方が安く済むのでツインルームみたいだった
夕べから乾いた咳を繰り返している名前に
悟はペットボトルの水を差しだした
「名前ほら。大丈夫か?」
「ん。ありがと」
「着くまで寝とけ。あと、これかけとけ」
名前の頭を自分に引き寄せもたれかけさせると
悟は自分の着てきたダッフルコートを肩からかけた
先日、名前の友人からもらった古着のコートだ
まもなくして隣から寝息が聞こえてきた
眠りながらもたまに咳き込む様子を見て
悟は彼女の額に手を当てた
熱は無いようだった
最後まで彼女を振り回している
でも手放すことも出来ない
残りのわずかな時間を一緒に過ごしたいと
自分本位でしかないのはわかっている
そんな自分を悟は嘲笑った
「ごめん…」
もたれ掛かっているいる彼女の腕を撫でながら
そう紡ぐと眠る彼女の表情が
ほんのり笑ったかの様に見えた
京都に着き電車とバスを2時間かけて乗り継いだ
山道を目的地に向かってひたすら歩く
観光地とはかけ離れているそこは人もおらず
冬特有の凍てついた空気で満ちていた
「やっぱさみーな。大丈夫か名前」
「ゲホッゴホッ…うん平気平気」
「全然平気そうに見えねー。具合悪くなる前に言えよ?」
悟の手はずっと彼女の手を握って歩いた
本来ならば連れてくるべきではなかったかもしれない
だが、離れて行動するのは嫌だった
しばらく歩くと小さな祠が見えてきた
悟の目には別のモノも映りだされていた
「…あった…」
祠の奥に悟は手を伸ばした様に名前には見えていた
何かをつかむ動作の後に手を引いて名前の目の前で掌を開いた
大きな掌には小さな石が握られていた
「えっなにこれ?どこにあったの?」
「…この祠の奥ってとこか。もう一つ祠があってそれが向こうとつながってんだよ。向こうの物が手元にあれば戻れる。って言っても例の文献からの俺の推測でしかねーけど」
悟は名前を覗き込んだ
彼女は喜んでいるような悲しんでいるような
複雑な表情をしていた
「それって、今日消えちゃうとかってあり得る?」
「どーかな?文献では現れた土地も関係してるから、一番可能性があるのはお前の家の玄関かな」
「そっか、よかった…よかったね」
よかったのか?
自分はほっとしているのか悲しんでいるのかわからなかった
「名前、それ、本気で言ってる?」
名前が返事をする間もなく目の前が真っ暗になった
気が付けば悟に抱きしめられていた
「ごめん。俺喜ばなきゃいけないはずなのに嬉しくない」
「名前と離れたくない…」
告げる予定のなかった言葉だった
元の世界に戻りたいとは思っている
でも同時に名前と一緒に居たいとも強く願っていた
「名前…俺、「わかった。今日は2人で思い出作りしよ!」…は?」
「もう行かなきゃいけないとこないんでしょ?一緒にお寺や神社巡りして、美味しいもの食べていっぱい楽しもうよ!」
そう言いながら小さな体で悟の体にしがみついてくるから
名前の小さな体をかみしめるように全力で抱きしめ返した
「どこ、行きたいんだよ?」
「んーここからなら貴船かな。あと鈴虫寺」
「遠いっつーの!ま、行けるだけ回ろうぜ」
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