初恋
name change
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目覚めたら見慣れない天井が目にとまった
どこにいるのか何があったかを考えようと
する前に聞きなれた声に話しかけられた
「起きた?」
「悟…?あれ?ここ…」
「あぁ、保健室だよ学校の。お前あの後倒れちゃって…覚えてない?」
あの後…?
一瞬で思いだした
あの男に首を絞められた手の感触
耳元にかかった吐息の虫唾が走るような感覚
「大丈夫…じゃねえよな。悪かった」
声のする方へと視線を動かすと
うなだれる様に下を向いている悟が横にいた
何に対しての謝罪なのだろうか
彼は助けに入ってくれた
悟が来なかったらと思うと―――
名前はそこから先は考えない様にするためにも
首を横に振って目の前にいる珍しく落ち込んでいる
彼に声をかけた
「大丈夫だよ。悟が来てくれて助かった、ありがとう」
お礼の言葉に少しだけ肩を揺らした悟が
こちらを見下ろした
サングラス越しに目が合った気がするものの
その表情までは読み取れなかった
「…帰る?起きれそう?無理ならおぶってく」
「大丈夫だよ。おんぶはさすがに恥ずかしいなぁ」
悟は名前の腕をゆっくりと引っ張り上げて
背中に手を添えて上半身を起こすと顔を覗き込んだ
「ひでぇ顔」
「ちょっと!言い方!」
そのまま悟はケラケラと笑いながら名前の荷物を持つと
再び彼女に手を伸ばした
「名前、帰るぞ」
差し出された手に手をのせると
悟に自然に指を絡ませられる
いつもよりゆっくり歩く大きな背中を見つめていると
ぎゅっと一瞬だけ力を込められた
「ほんと、お前お人好しだよな。あんな奴再起不能にするくらいボコっちゃえばよかったのに」
「悟!それ傷害罪で捕まるやつ!」
「…自分は死にかけたくせに。これ以上人に優しくすんな。優しくするのは俺だけでいいよ」
「なにそれ~」
笑う名前に振り返り
顔を覗き込むように屈んで視線を合わせた
「俺みたいなの面倒見てるだけで手一杯だろ?」
「ふふっそうだね」
再び歩き出した悟が言った言の葉は小さすぎて
彼女の耳には届かなかった
「お前は俺の事だけ見てればいいよ」
ーーー
ーーーーー
ーーー
翌日休めと言ったにもかかわらず大丈夫だと言い張って
名前は出勤していった
首に残る手の形をした痣をハイネックで隠していた
どう考えてもトラウマになるであろう職場へ
「私が稼がないと悟を食べさせてあげられない」と
笑顔で言われた時には柄にもなく胸が痛んだ
子どものころから術式や六眼で大人たちからも
一目置かれた存在であった悟にとって
自分は役立たずの子どもだと
初めて言われたようにも思えた
今日名前の学校の資料を読み終わる
自分の推察が正しければ鍵は京都にある
帰れる見込みは高くなってきている
名前の足枷でしかない自分は
元の世界へ帰ってしまった方が彼女のためだとわかっているのに
なかなかそれが言い出せないでいた
所詮彼女から見れば自分はガキだ
名前の隣に立てる人間ではない
けれども夕べ倒れて気を失っている彼女に
無意識に唇を寄せていた
―――彼氏のフリではなくて彼氏になれればいいのに
でもあの男から守り切れなかった
守ると決めていたはずだったし
得意分野であったはずなのに
こんな結果になってしまった以上
到底自分からは言えなくなってしまった
「まだまだガキだな。俺」
「どーすっかなぁ…」
一通り家事を終わらせ小綺麗になった部屋を見渡した
自分と名前の匂いが混ざったこの部屋が好きだと思う
ずっとここに居られたら自分は幸せかもしれない
「あいつは幸せだなんて思わねーっつーの」
開いていたPCを閉じて鞄にしまうと
名前の学校へ行くべく玄関へと向かった
.
どこにいるのか何があったかを考えようと
する前に聞きなれた声に話しかけられた
「起きた?」
「悟…?あれ?ここ…」
「あぁ、保健室だよ学校の。お前あの後倒れちゃって…覚えてない?」
あの後…?
一瞬で思いだした
あの男に首を絞められた手の感触
耳元にかかった吐息の虫唾が走るような感覚
「大丈夫…じゃねえよな。悪かった」
声のする方へと視線を動かすと
うなだれる様に下を向いている悟が横にいた
何に対しての謝罪なのだろうか
彼は助けに入ってくれた
悟が来なかったらと思うと―――
名前はそこから先は考えない様にするためにも
首を横に振って目の前にいる珍しく落ち込んでいる
彼に声をかけた
「大丈夫だよ。悟が来てくれて助かった、ありがとう」
お礼の言葉に少しだけ肩を揺らした悟が
こちらを見下ろした
サングラス越しに目が合った気がするものの
その表情までは読み取れなかった
「…帰る?起きれそう?無理ならおぶってく」
「大丈夫だよ。おんぶはさすがに恥ずかしいなぁ」
悟は名前の腕をゆっくりと引っ張り上げて
背中に手を添えて上半身を起こすと顔を覗き込んだ
「ひでぇ顔」
「ちょっと!言い方!」
そのまま悟はケラケラと笑いながら名前の荷物を持つと
再び彼女に手を伸ばした
「名前、帰るぞ」
差し出された手に手をのせると
悟に自然に指を絡ませられる
いつもよりゆっくり歩く大きな背中を見つめていると
ぎゅっと一瞬だけ力を込められた
「ほんと、お前お人好しだよな。あんな奴再起不能にするくらいボコっちゃえばよかったのに」
「悟!それ傷害罪で捕まるやつ!」
「…自分は死にかけたくせに。これ以上人に優しくすんな。優しくするのは俺だけでいいよ」
「なにそれ~」
笑う名前に振り返り
顔を覗き込むように屈んで視線を合わせた
「俺みたいなの面倒見てるだけで手一杯だろ?」
「ふふっそうだね」
再び歩き出した悟が言った言の葉は小さすぎて
彼女の耳には届かなかった
「お前は俺の事だけ見てればいいよ」
ーーー
ーーーーー
ーーー
翌日休めと言ったにもかかわらず大丈夫だと言い張って
名前は出勤していった
首に残る手の形をした痣をハイネックで隠していた
どう考えてもトラウマになるであろう職場へ
「私が稼がないと悟を食べさせてあげられない」と
笑顔で言われた時には柄にもなく胸が痛んだ
子どものころから術式や六眼で大人たちからも
一目置かれた存在であった悟にとって
自分は役立たずの子どもだと
初めて言われたようにも思えた
今日名前の学校の資料を読み終わる
自分の推察が正しければ鍵は京都にある
帰れる見込みは高くなってきている
名前の足枷でしかない自分は
元の世界へ帰ってしまった方が彼女のためだとわかっているのに
なかなかそれが言い出せないでいた
所詮彼女から見れば自分はガキだ
名前の隣に立てる人間ではない
けれども夕べ倒れて気を失っている彼女に
無意識に唇を寄せていた
―――彼氏のフリではなくて彼氏になれればいいのに
でもあの男から守り切れなかった
守ると決めていたはずだったし
得意分野であったはずなのに
こんな結果になってしまった以上
到底自分からは言えなくなってしまった
「まだまだガキだな。俺」
「どーすっかなぁ…」
一通り家事を終わらせ小綺麗になった部屋を見渡した
自分と名前の匂いが混ざったこの部屋が好きだと思う
ずっとここに居られたら自分は幸せかもしれない
「あいつは幸せだなんて思わねーっつーの」
開いていたPCを閉じて鞄にしまうと
名前の学校へ行くべく玄関へと向かった
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