いつもの様に仕事が終わって
真っ暗な家に帰宅した


電気を付けようと手を伸ばそうとした時
その手を何者かに取られ背後から口元を覆われた


なにが起こっているのか一瞬わからなかった
誰もいるはずのない家なのに


鍵はさっき自分で開けた
家を出る時に閉めたはずだが開いていたのか？
それとも別の場所から侵入されていたのか




ドクドクと心臓がうるさい
呼吸も浅くて苦しい
助けを呼びたくても声が出ない



背後にいる何者かが私に声をかけた



「おい、お前何者だよ」


低い声で相手は男性なのだと理解した
何者かって？いや、こっちが知りたい
声を出したくても恐怖で声の出し方も分からない



「黙ってんじゃねえよ。ここはどこだ。どうやって俺をここへ飛ばした？なにが狙いだ」



ぎりりっと首が締め上げられた



狙い？
狙いって何？


私は首を横に振って
かすれて震える声で言った


「こ…ろさないで…」

「それはお前次第だよ。ここはどこか言え！」

「うち…」

「は？聞こえねー」

「私の…家…」



「はぁ？！」という素っ頓狂な声とともに
私を拘束していた手がほどかれた



電気を付けると白髪の背の高い青年が
私を見下ろしていた


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