短編
name change
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「ねぇねぇ。ねーってば」
久々の休日
さっきから悟が構ってモードに切り替わっていて
家事をしているのに邪魔な事この上ない
「名前ちゃんもちょっと休もうよー」
「この洗濯物干したら終わるから」
「さっきは「掃除機かけたら」だったじゃん。手伝ったじゃん」
「だって洗濯機がピーって鳴ったんだもん。悟も服がシワシワだったら嫌でしょ?」
そういうと渋々動き出して私の隣へとやって来た
「僕も一緒干す」
「ん、ありがとう」
「あ!名前のパンツ発見!」
ったく小学生か!
「今日は天気いいからよく乾きそうだよね。シーツも洗おうかな」
「え?!まだやるの?せっかく休みなんだからどっか行こうよ」
「いいけど、悟どこか行きたいところあるの?」
そう聞くと「んー」と考え出した
洗濯物を干す手が止まってる
「名前はどこかないの?」
再び洗濯物を干しながら悟が聞いてきた
最後の一枚を持って「んー」と考えていると
それをすっと奪われて悟がハンガーにかけて
物干しにかけた
「特にないかなー。あ、マッサージとか行きたい」
「なにそれ!僕いてもいなくても一緒じゃん」
「だって肩凝ってるんだもん」
じゃあと言って悟が私の手を引いて
ソファーへと連れてきた
「僕がしてあげるからその間にどこ行きたいか考えてよ」
そう言って悟が私の肩を揉み出した
「あー、そこ。そこ気持ちいい」
「ここー?本当だ。凝ってるねー」
「悟は肩とか凝らないの?」
「僕?ぜーんぜん。まぁ、名前と鍛え方が違うからね」
まあそうだろうね
そう思うよ
「で、どこ行きたいー?」
「ん?特にないんだよなぁ。悟の行きたいところでいいよ」
「それやだ。僕は名前の行きたいところがいいの。買い物でもなんでも付き合うよ?」
うーん
本当にそれといって行きたいところないんだよなぁ
「名前って普段から「あれが欲しい」とか「ここ行きたい」とか言わないじゃん。だから今日は名前を労ってあげたいんだけどなー」
「んー。その気持ちだけで嬉しいよ」
「却下」
却下なのか
じゃあ悟も楽しめるところがいいからなぁ
「カフェコム○でフルーツタルト食べたい」
「あ、あそこ美味しいよね?じゃあ決まり!」
悟に運転してもらいながら
カフェのあるショッピングモールへ行く
こういう人が多いところに来ると
いつも隣で歩くのが気が引ける
ほら
みんな悟を見てから私を見てる
まぁ言いたいことはわかるからいいけど
悟はそんな事お構いなしで
いつものように指を絡めて手を握り
私の歩幅に合わせて歩いてくれる
「今日はいつもよりちょびっと大きいね名前ちゃん」
「ヒールだからねぇ」
「そんだけ高くしてもまだ僕の肩くらいとか、可愛いねぇ」
頭よしよしするのやめて
外だと恥ずかしい
ふと視線をずらしたお店の入り口に
可愛いマグカップを見つけた
おそらくペアであろう2つのマグカップは
白を基調に綺麗な二色の蒼い線で模様が描かれていた
「ん?名前どした?」
「なんでもない、お腹すいたから行こう」
そのままカフェに入り
私は季節のフルーツタルトを悟はクリームたっぷりのメロンのショートケーキを頼んだら
「名前、ちょっと待っててくれる?」
「ん?どうしたの?」
ちょっとねーとだけいって店の出口へと向かっていった
先に来たコーヒーを啜っていると
ニコニコしながら戻ってきた悟の手には
紙袋があった
「なんだ、買いたいものあったなら食べ終わってから一緒に行ったのに」
「んー。それも考えたんだけどね。はい」
「はい?」
「僕から名前へのプレゼント」
中を覗くと
さっき可愛いと思ったマグカップがペアで入っていた
「悟、なんでわかったの?そんなに私物欲しそうな顔してた?」
「してないしてない」
運ばれてきたケーキの写メを撮りながら
悟が何気なく答える
「僕以外のものに名前が心奪われんの、わかっちゃうんだよねー僕」
「は?」
心奪われるって物だよ?
「本当は名前が僕以外見てるとか嫌なんだけど、今回はペアカップだし名前がこの色を選んでくれてたのもなんか嬉しくてね。だってこれ、カラーが僕じゃない?」
そう言われて初めて気が付いた
白地にちょっとの蒼だった気がするカップは
確かに悟の色と言われればそうなるかも
「もしかして無意識だった?」
食べるとも食べたいとも言ってないのに
あーんと口元に
悟が自分のケーキを乗せたフォーク持ってくる
程よい甘さのクリームとメロンの風味が広がる
お、これも美味しい
で、なんだっけ?
無意識かって?
「無意識かも。こっちも食べる?」
「食べさせてくれる?」
あーんと言いながら口を開ける悟に
フルーツタルトを入れると、ボソッと
あんまり甘くないと言われた
「今日から僕色のカップでコーヒー飲む名前とか、そそる」
「なにそれ?キモい」
マグカップの入った箱を開けて
改めて眺める
悟色と言われるとなんだか照れるけど
派手すぎず落ち着いた色合いのそれが
私の中でとてもしっくりきて嬉しかった
「悟、ありがとうね」
「いいえー。いつも頑張ってる名前への感謝とご褒美だよ」
なんのことか分からず
マグカップから視線を向けると
悟が優しい笑みを浮かべて私を見ていた
「いつも家事してくれてありがとう。早く結婚しよーね?」
「じゃあ結婚してもたまには労ってくれる?」
悟は自信満々に
「もちろん」と短く答えた
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